知人宅で出されたお菓子。菊の御紋が付いている、特別なものだ。
地元では誰でも知っている名士であるご主人が亡くなって、一周忌とのこと。そう言えば、夏を過ぎて秋を迎えるこの季節に旅立たれたことを思い出す。
穏やかなお人柄で、無理なことは言わず、みんなから慕われていた。居間に写真が飾ってあり、お元気なお顔を見ると、亡くなったことがまだ信じられない。
よくあるどら焼きタイプではなく、小さくて黄身餡が入っているそうだ。なんかもったいなくて、その場では食べずに持ち帰ってきた。明日、コーヒーを淹れてよばれよう。笑顔を思い出しながら。