仕事の後、一度家に帰って洗濯物をしまい、父の病院へ行った。
今日は、時折り雨がパラつく。涼しい風が吹いた方思えば、蒸し暑くなったりする。季節の変わり目らしい天気だった。
病院では、顔を見て声をかけるくらいしか、特にできることもない。でもあっという間に帰るのも何だか忍びなくて、父の寝息を聞きながら、しばらく側に座って、持っていた文庫本を読んだりした。
そのまま家に帰る気になれなくて、コーヒーを一杯だけ飲んで帰ることにした。
晩ご飯の前だけど、「フルーツのコブラー」という本日の手作りスィーツがあまりおいしそうだったので、頼んでしまった。
この店は知人の家族がやっている。
席数が少なくて、本棚があり、大きな窓から今だとススキや彼岸花がよく見えて、落ち着くところだ。私の隠れ家の一つなんだ。
大抵一人で行くが、たまには人を連れて行く。でも大抵は楽譜や本を持ち込み、のんびりして帰る。
閉店間際に、知人が顔を出し、懐かしい話、楽しい話、音楽の話などできた。お陰で気分転換ができた。
知人は、学生時代のニックネームで呼んでくれるし、夫のことも聞いてくれた。
時々カフェを訪れることも喜んでくれた。
うれしくて、ありがたいひとときだった。
コブラーはフルーツの風味が生きていて、生地はほんのり温かく、香りが良くて、おいしかった。作る人の人柄があらわれる、丁寧な味だった。