しましまのドレミ・カフェ

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てぶくろ

2022-02-27 20:52:00 | 日記



黄色い表紙の「てぶくろ」という絵本。
子どもが小さい頃、何度も何度も読んだものだ。

私の本棚にはその頃の絵本がたくさん残してある。
久しぶりに開いてみると、あちこちにシミがついていた。
この本も繰り返し読んだものだ。


おじいさんが子犬と一緒に森の中を歩いている。

歩いているうちに手袋を片方落として、そのまま行ってしまった。


すると、ねずみがかけてきて手袋にもぐりこんで「ここでくらすことにするわ」という。

そこへ、ぴょんぴょんがえるが来て「わたしも入れて」という。

先にいたねずみは「どうぞ」と迎える。



次に来たのは、うさぎ。



その次は、おしゃれぎつね。



もうこれで4匹だが、そこへおおかみが来る。

「だれだ。ここに住んでいるのは」
「くいしんぼねずみと ぴょんぴょんがえると
 はやあしうさぎと おしゃれぎつね。あなたは?」
「はいいろおおかみだ。おれも入れてくれ」
「まあ、いいでしょう」


その次は、いのしし。




手袋の家はかなり増築している模様だが、住人は増えるばかりで狭そうだ。

「ちょっとむりじゃないですか」
「いや、どうしてもはいってみせる」
「それじゃ どうぞ」


ぎゅうぎゅうづめの手袋。

そこへやってきたのは、のっそりぐま。
「どうしても入る」
「しかたがない。
 でもほんのはじっこにしてくださいよ」
手袋は今にもはじけそうだ。



さて、手袋を落としたことに気づいたおじいさんが、探しに戻ってきた。

子犬が先にかけていき、むくむく動いている手袋を見つける。
「わん、わん、わん」と子犬がほえたてる。
みんなはびっくりして、手袋からはいだすと、森のあちこちへ逃げて行った。
そこへおじいさんがやってきて、手袋を拾った。

それで、お話は終わる。

読んでいた子どもたちは「??」と不思議な印象を抱きつつ、現実に戻っていく。

「てぶくろ、ぎゅうぎゅうだったね」
「せまそうだったね」
「おもしろかったね」
。。。なんて話しながら。


さて。
数日前からロシアに侵攻されているウクライナ。

この「てぶくろ」の絵本は、エウゲーニー・ミハイロヴィチ・ラチョフという画家が、ウクライナ民話をもとに描いたものだそうだ。

Wikipediaによると、シベリアで生まれ、キエフ美術大学で学んだロシアの絵本作家とあった。

それ以上の寓意を私は持ち合わせていない。


しかし、この絵本に出てくる動物たちのなんと寛容なことか。

どんどん満員になっていくのに、来た人を絶対に拒否しないで受け入れていく。

正直、ウクライナの知識は大して持っていない。

・バターを抱いたキエフ風カツレツ。
 これはおいしい。

・チェルノブイリ原発のあったところ。
(ちょうど原発事故のあった時、新婚旅行でヨーロッパにいた。外国語のニュースではよく分からず、帰りの日航機の中の新聞で内容を知り怖くなった)

そしてネットで流れてきた情報で、この「てぶくろ」の絵本がウクライナ民話だったと分かった。



この世界は、おじいさんの落としていった手袋のようなものだ。

ねずみ、かえる、うさぎ、きつね、おおかみ、いのしし、くま。

大きいものもあれば、小さくて弱いものもある。

それぞれ違いはあるが、仲良くひとつの手袋に住むことはできるのだ。

子犬がほえて、おじいさんが手袋を拾って、みんな森のあちこちに逃げていき、物語は唐突に終わる。

さて。
私たちのできることは何なのか。
私のできることは何なのか。

絵本を閉じて、私も考えてみよう。


午前中は暖かく感じたが、午後からは強い風が吹いた。

多分、花粉がたっぷり混ざってる。
目がかゆくなりそうだ。



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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
しましまさんへ (ミッキー)
2022-02-27 21:24:52
てぶくろ
純粋に
寛容な心で来るもの拒まず・・
私もこの絵本、子供によく読み聞かせしました。
今回の仕掛けた指導者
どんな幼児期をすごしたのだろう
嘘を重ね
人の命を奪い
住む人を自分の支配下に強引に引き込もうとする姿

行くには遠くて地図では近い距離の国がこの国

良心と言う 心
この人はどこかに置いてきてしまったのだろうか。
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Unknown (しましま)
2022-02-27 21:42:59
ミッキーさん
指導者に問題があることは誰もが認めていますが、それだけでは個人の資質に矮小化してしまうようにも思うので、自分自身もこれを機に視野を広げたいと思っています。それにしても「死にたくない」と涙をこぼす幼い女の子の表情が胸に刺さって離れません。
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てぶくろ (よう)
2022-02-28 07:34:30
この絵本の話が 昨日の地元新聞の「滴一滴」という解説委員の話のコーナーに 紹介されていました。
今の絵本は変に教育的要素が多いですが 昔の物語は 現実にはあり得ない展開が面白く
奥が深いから 何度読んでも飽きないですね。
このところの戦争のニュースには 何も自分の考えを言葉にできないでいます。
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我々にできる事はなにか? (Ken坊)
2022-02-28 13:11:53
うちの会社は、製品の輸出をしなくしました。
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てぶくろ (美恵子)
2022-02-28 14:21:15
私はよんだことはありませんが、しばらく前にラジオから流れてきました。
なんと寛容な精神、と心打たれました。
誰かさんに、この本をプレゼントしたいと思います・・・人類はなんと愚かで歴史を学ばないものだと思います。
1日も早く平和が訪れることを願っています。
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Unknown (しましま)
2022-02-28 22:30:35
ようちゃん
元々は民話のようですので、長く語り継がれて、より深いものがあるのだと思います。いろいろな所で紹介されているのですね。
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Unknown (しましま)
2022-02-28 22:33:40
ken坊さん
さすが国際的な企業らしいですね✨✨
私にできることを考えたけれど、チャイコフスキーを聴けなくなるのも寂しいので、何か自分に書けることがあればと書いてみました。それでみなさんが何かを考えてくだされば、とそれだけを思いました。
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Unknown (しましま)
2022-02-28 22:41:14
美恵子さん
誰かさんは、この本を子どもに読んであげたことがあるのでしょうか。美恵子さんが言われるように、平和な毎日が彼らに戻る日を私も待ち望みます。あの辺りは、歴史と大国に翻弄され続けた国がたくさんあります。誇りを持って、彼らが自国で暮らせる日が早く戻りますように。
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