GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

グレタさんのスピーチに嫌悪感を感じるのはなぜ

2019-09-28 21:11:53 | Talk is Cheap

9月23日、国連気候行動サミットで演説したグレタさん。

このスピーチの映像及び音声を見たのだが、すごく違和感を感じる。

こういった大舞台で未成年の少女が地球の未来のことにスピーチする。学生だったり一般人だったり、毎回人は変わるのだがそれなりに「うーん、もっともだ」と思わさせられる。そして同時に「若いのによく考えてるなぁ」と普段環境のことなど何も考えていない自分を恥じたりする。

しかし、このグレタ・トゥーンベリさんのスピーチはちょっと違った。言ってることは正論だ。その内容が正しいのか科学的根拠はどうかはさておき、なんか喧嘩腰なの。感情もろ出しで「あなたたちは」と世の指導者や大企業の経営者を批判する。それが気になってしまってスピーチの内容が全然入らない。感動しない。なんか否定したくなってしまう。

 

どこかで同じようなものを見たなぁって思い出してみた。そうだ、東日本大震災後タケノコのように現れた国会前で原発反対デモしてたやつのスピーチ。いつまでも沖縄の辺野古基地移転で反対してるプロ市民のスピーチ。自国の首相を呼び捨てで騒ぎ立ててるあいつら。奴らの表情によく似てる。

 

なんでそんなに怒りをあらわにして感情むき出しでスピーチしたのかはわからない。会場に突然現れたトランプ大統領を見つめる目は明らかに憎悪が浮かんでた。

こういうことを書くと「彼女はアスペルガー症候群だから」とか言われるけど、だから何?差別や偏見も持たない代わりに特別市も擁護もしないよ。勘違いしないでおくれ。ジジイは嫌いだがヨボヨボの足元おぼつかない爺さんが電車に乗ってきたら席は譲るよ。ガキも嫌いだが子供を抱えてベビーカーをたたんで持ちながら階段上がってる人を見かけたら、ベビーカー持ってあげたりするよ。だからと言って、電車の中で騒ぐガキや、スーパーでごねてるジジイには「ウルサイ」って怒鳴る。色眼鏡では見ないが贔屓もしない。それが公平ってやつだろ。違うか。

 

基本的に環境問題とか騒いだりでもしたりする人た日は苦手だ。もちろんみんな一人一人が考えなきゃ、次世代にバトンを繋げなくてはってのもわかる。だけど、なんか攻撃的なのよ。たまたまかもしれないが、俺に関わってきた環境何ちゃらって人は攻撃的なのよ。ねなんで俺が責められなきゃいけないんだ?って思うのよ。みんなやってるやんって言い訳したいんじゃないよ、凝り固まって正論ぶつけるけど、視点変えたらお前らがやってることって何?究極論は人間がいる限り、発展や便利を求める限り避けられないことばかりだもの。原始的な生活しろと?自然と勘違いした不自然な生活をしろと?

 

グレタさんのスピーチはいきなりキツイ口調で始まった。普通は会場の皆さんに挨拶(感謝)などを述べてから自分の意見を述べるのだが、そんなセオリーはすっ飛ばしいきなり攻撃的。結婚式の祝辞や表彰式(今回別にグレタさんは表彰されたとかじゃないけど)では、そうじゃないかな。誰かに対してメッセージを送るにしても(結婚式なら新郎新婦及び親族、表彰式なら支えてくれたスタッフ)感謝は忘れない。まずはそれからだ。

 

さらにグレタさんのスピーチは「私たちは」ではなく「あなた方は」ばっかりだ。言ってる内容はもっともだし、そして会場はその趣旨の集まりできた人ばっかりなんだけど、各国から代表して集まってる人たちは、またはカメラを通してスピーチを聞いた人たちは、自分たちが責められてる気になったのではないかな。少なくとも俺はそうだ。言い方ではなく、俺の捉え方が問題だと言われたらそれまでだが、少なくともこういったスピーチでは俺は全く感動しないし共感はしない。

 

「アナタたちの空虚な言葉で私の夢や子供時代は奪われてしまった」

「あなたたちには失望した。若者たちはアナタたちの裏切りに気付き始めてる」

 

 

日本でもこの手の嫌悪感を抱くスピーチをする人がいる。辻元議員や小西議員などがそうだ。最近のNHKをどうちゃらっていう政党の立花議員もそうだ。早口で自分の意見ばっかり押し通す。自分の意見が正しいのだからそれに従うべきだ、違うか、反論あるなら言ってみろよ、どうだって矢継ぎ早に攻撃的にしゃべる。蓮舫議員や山本太郎元議員も内容は攻撃的だったが、この二人はちゃんと筋道を立てて(まぁ理解には苦しむ理屈の時もあったが)ゆっくりとインタビュー受けていた。決して憎悪や怒りだけではない。あくまでも国民市民の代弁者として語ってるってスタンスだ。

 

ダウンタウンの松本さんや明石家さんまさん、ビートたけしさんなんかが時事ネタできつい事言ったりするが、あくまでも最後はお笑いにしたり茶化したりする。一部では炎上したりするが(息を吐くように炎上させたがるマニアはどうしてもいる)大多数は「なるほどね、そういう考えもあるか」って納得したりする。彼らは自分の意見を押し付け「どうだ、これが正しいだろ、考えを改めよ」ってなことはまずしない。ホリエモンや坂上忍さんは、時に暴走してこれをやってしまうので嫌われるのではないかな。持論が正しいと言い張られても、物事はいろんな角度から見ないとねぇ。

 

お隣の国の議長、「天皇陛下が謝罪せよ」と暴言吐いた。日本が訂正及び移管を伝えたら「盗人猛々しい」とわめきたてた。あの彼が日本で嫌われるのはあの表情と語調のせいだろう。まぁ韓国語ってなんか早口で攻撃的に聞こえるけどね。北朝鮮の名物アナウンサーが日本批判をする時も、大したこと言ってないんだけど、やたらと反感を買うのはそのせいだ。

 

ノーベル平和賞を受賞したマララさんという女性がいる。以前彼女が授賞式でスピーチしたのを見たが、とても感動した。ゆっくり語りかけるように全世界の人に向けて、愛と平和の大事さをスピーチした。国家間の紛争、差別、政治問題をコンコンとゆっくりと間を取りながらスピーチした。ジョン・レノンの「イマジン」を聞いてるかのよう。確か受賞当時のマララさんは17歳だったはずだから、今のグレタさんとそう変わりはない。この違いはなんだろう。

 

地球温暖化、パリ協定、京都議定書、国家間の紛争、宗教による諍い、人種差別、移民や難民、貧富の差・・・。

地球上にはいろんな問題がある。国家レベルで取り組まなきゃいけないものから個人活動から発展するものもある。富裕国は途上国に支援をする。富裕層は貧民層にボランティアをする。捉え方によってはそれを搾取といい、望まない発展、環境破壊という。アマゾンや東南アジアで焼き畑農業のために森林を焼くと自然は破壊されCo2問題になる。石炭を使う火力発電は Co2を出すが原発は出さない。しかし一度惨事が起こると壊滅的被害が生じる。

 

何事もバランスで成り立ってる。環境のためにとヨットで会場にやっていたグレタさん。修理のためにスタッフは飛行機使って3回地元に帰ったらしい。本末転倒だがそこはどうでもいいのだね。何が正しくて何からやらなきゃいけないのか。どうあるべきなのか、どうなれば幸せなのか。

怒りにまみれたスピーチではそれは全くわからなかった。

 


結婚できない男とできる男

2019-09-28 04:06:41 | MUSIC/TV/MOVIE

世間では今、結婚ブームである。本当にそうなのかは知らないが、俺はそう思う。

先日(21日)に窪田正孝さんと水川あさみさんが電撃結婚したかと思えば、24日に貫地谷しほりさんが一般人と結婚したと発表された。そして本日TOKIO城島茂リーダーが結婚すると発表された。

年末や年度末とかに結婚ってのが芸能人の結婚発表のセオリーみたいなところがあったが、最近ではいきなりって感じのが多い。写真週刊誌にすっぱ抜かれるのが嫌だからか?週刊誌やワイドショーで面白おかしく騒ぎ立てられるくらいなら、先にこっちから発表しちゃえって感じかな。ブログやホームページ、ファンに対してってのが今の主流。マスコミ各位、芸能レポーターやワイドショーなんかの芸能通って人らは完全に置いてきぼりを食らってる。出番がないというかお呼びじゃないというか、相手にされてないというか。まぁ、reporterなんて寄生虫みたいなもので、人の惚れた腫れた話、特に別居とか不倫とか不祥事とかの場合、何の正義感か知らないが、さぞ物知り顔でわめくから嫌われてるのかもしれない。

 

だからというわけじゃないが、どうも最近芸能人の結婚の扱いがひと頃と違う気がする。

一応体裁的には祝福してる記事の内容なんだけど、なんかおざなりな内容。ホームページやブログの受け売りそのまま。さらには巷のSNSなんかを拾い集めてるだけ。以前の梨元さんみたいにもっと普段から芸能人や芸能事務所などと親密になっていれば違うのだろうが、何でもかんでも手軽に済ます風潮で、普段から何かと手抜きしてるからだろうな。

南海キャンディーズの山ちゃんと蒼井優さんの結婚は大体的に報じられたが、あれだって本当は「格差婚」「美女と野獣」って扱いにしたかったのではないかね。残念ながら山ちゃんは世間(SNS上も)では「キモい」ではなく「キモい人を演じてる知識人」って認識だからね。いじられてもギャグで返すセンスあるしね。売れている(テレビに出続けている)コメディアンを甘く見ちゃいけないよ。「ちくしょー」とは思っても「似合わない」「不釣合い)なんていう声はほとんどなかったのではないかな。

 

そして一時期違和感感じてた結婚のニュースの時に必ずついてきてた「妊娠してる」「妊娠してない」が最近は付いていない。婚前にHをしてたかどうかをわざわざ書く必要はないと思う。これってわざわざ聞くのかね?「婚前交渉してました?」って。それこそ下衆いな。別にしてようがしてまいが未成年じゃないんだからさ、いいjない。結婚後女優の方が休業するとか心配してるの?実は妊娠しててお腹が目立ってきたから籍をようやく入れてくれた(または事務所が納得してくれた)とかなら別だがね。中には「結婚はするけど子供は別に・・・」ってカップルも「欲しいけどこればっかりは天からの授かりものだし」ってカップルもいるだろう。ほっといてあげてよ。

人権団体とかSNSの正義の使者の意見のせいか知らないが、最近はこの妊娠がどうたらってのはとりあえず発表ニュースの際にはつかなくなったのでちょっと不思議。速水もこみちさんと平山あやさんの結婚報道の際にはまだついてたきがするが、8月の小泉進次郎環境相と滝川クリステルの結婚報道を機に減った気がする。

 

それに伴ったせいか、最近は芸能人夫妻(またはどちらかが芸能人)のおめでたニュースも出産しましたニュースも取り扱いは小さい。まぁ毎回「小さな命を授かりました」とか定例文のようにパターン化してるからいいんだけどね。小池徹平さんと永夏子さんの間に第一子が誕生したんだけど、小さい扱いだった。竹内結子さんの妊娠発表もね。

 

小さい扱いといえば、進次郎氏とクリステルさんのせいかもしれないが、同時期に結婚した元宝塚女優の遼河はるひさんの扱いも小さかったね。相手がサッカー選手(GK・鈴木彩貴)だからってわけじゃないだろうけどね。ベッキーさんのお相手も元プロ野球選手(現巨人コーチ・片山治大)だったが、芸能人相手じゃないと扱いづらいのかな?不倫騒動の際はあんだけ大騒ぎしたのにね。miwaさんもお相手は荻野選手で、さらにできちゃった婚だったがほとんどニュースになってない。

 

相手が一般人だともっと扱いが小さくなる。篠原ともえさん、加藤ミリヤさん、黒川芽以さんなんかはほんま片隅って感じ。元AKB48の篠田麻里子さんもそうだな。高橋みなみの時もそうだった気がする。前田敦子さんは俳優の勝地涼さんと結婚したからかもっと大きく扱われた気がする。miwaと同じく売れっ子歌手(だった)西野カナさんも扱い小さかったね。まぁそれぞれファンにとっては重大ニュースなんだろうけどね。一般人相手だとなぜか「ふーん結婚したんだ」ってなくらいなものになってしまうのは、お相手のことがよくわからないからかね。

 

上戸彩さんとEXILEのHIROさんが結婚できた時は「今まで大変だったんだね、おめでとう」と祝福気分だったのだが、武井咲さんが同じくEXILEのTAKAHIROさんと結婚した際は「なんだかなぁ、事務所がせっかく力入れてここまでにしたのに」と思ってしまった。どちらも面識ないし俺の生活には全く関係ないのだけどね。どちらかが一般人の結婚は全くの他人事だが、芸能人同士だとなんか身内感覚になってしまうのだよね。

 

向井理さんと国仲涼子さん。

藤原紀香さんと片岡愛之助さん。

東出昌大さんと杏さん。

榮倉奈々さんと賀来賢人さん。

山本耕史さんと堀北真希さん。

北川景子さんとDAIGOさん。

渡部建と佐々木希さん。

いいなぁ、家に帰ったら北川景子や佐々木希が待ってるなんて。寄り道せずにまっすぐ家に帰りそうだ。やはり芸能人同士の方がいいような気がする。お互い業界のことがわかってる方がトラブル少なそうだし、ファンもあきらめつくしね。一般人相手だと「なぜその人を選んだの?業界よりどりみどりだろう?」なんて下衆の勘ぐりが入るからかな。(長年のファン仲間由紀恵が田中哲司と結婚した時は違う意味でそう思ったが・・・)まぁ、それでも「すれ違いが多くなって・・・」とか別れてしまう芸能人カップルもいるんだけどね。でもやっぱり美男美女の芸能人夫婦は羨ましいとか以前になんかしっくりくる。

 

木村佳乃さんと結婚した東山紀之さん、宮崎あおいさんと結婚した岡田准一さん、工藤静香さんと結婚した木村拓哉さん、黒木メイサさんと結婚した赤西仁さんもいたなぁ。ジャニーズはやはりファンに有無を言わせないような美女や才女と結婚してほしいな。城島茂さんが結婚するお相手はタレントらしいが、よく知らない。可愛い人か綺麗な人かそれとも個性的な人か、どんな人だろう。これからどんどん報道されるから嫌でも知るだろう。

 

少子化とか核家族とか言われて久しい。離婚率が上がった、シングルマザーが増えた、結婚しない人が増えてる、お一人様が気楽、かたや婚活とか妊活とかも取り上げられる。そんな風潮はドラマにも影響してる。

7月クールのドラマは、かなりそんな家族とかのあり方を描いてる作品が多かった気がする。

【監察医 朝顔】は毎回家族の絆が描かれてた。【偽装不倫】は夫婦・結婚・生活・恋が描かれた。【あなたの番です】も主人公夫婦を中心に各家庭の絡み合いが描かれ、【ボイス】でも最愛の奥様を殺された男と父を殺された女が主人公で犯人も家庭環境に問題があった。【ルパンの娘】も泥棒と警察の恋人とその家族を中心に話が展開し、【ノーサイドゲーム】も家族(チームも家族だ)を描いてた。【リーガル・ハート】も家庭シーンを丁寧に描いていた。バブル時期の男と女のすったもんだ話ばっかりだった頃とはえらい違いだな。

 

次回の10月クールではいよいよ阿部寛さん主演の【まだ結婚できない男】が始まる。

前回の【結婚できない男】から13年。主演は同じく阿部寛さん。好きなものを好きなように。料理に凝り、音楽を大音量で聞き、いろんなものにこだわり、独身貴族を満喫してた男が帰ってくる。今流行の「お一人様」を13年前に描いてたのだが、これを見てると「一人は気楽でいいよな」と思える。

前作で未婚男性のアイロニーをこれでも買って描いていたが、ラストでうまくいきそうになった(このまま結婚か?のノリ)夏川結衣さんは今回は出でないみたいだ。二人がどうなったのか気になるが、今回は吉田羊さんと稲森いずみさんが登場、どう絡んでくるんだろう。あっ塚本高史さんは続投ね。(高知東生さんは当然出ないだろう)

 

まだ結婚できない男と、結婚できる男。この差はなんだろう。

このドラマを見て考えようっと。

 

 

 

 


いまいち盛り上がらないラグビ−Wカップ

2019-09-24 00:17:06 | Talk is Cheap

今日本で開催されてるラグビーワールドカップ。

悲しいくらいに盛り上がっていないね。マスコミやメディアは必死になんとか盛り上げようとしているのだが空回り。

 

つい先週まで日曜日に放送されていた池井戸潤原作ドラマ「ノーサイドゲーム」が社会人ラグビーをテーマにしてて、高視聴率だったのにね。元日本代表とかラグビー経験者(濱田岳とかもね)を出して、試合のシーンもすごくリアルだった。最終回には櫻井翔まで出てきた。ラストの長尺のゲームシーンは、「陸王」でのマラソン、「ルーズベルトゲーム」での野球と同じく迫力あるシーン満載。フィクションなのに手に汗握る感じで良かったのにね。毎回随所にアツい台詞のオンパレード。特に最終回での元日本代表キャプテンでもある廣瀬さん演じる浜畑と大泉洋の会話。「無理をすれば今後の選手生命が」と膝の怪我を気遣う大泉に対し「今後?」とこれが最後の試合だと決意を述べる廣瀬。そこに被さる米津玄帥の「馬と鹿」。そして足を引きずりながらのラストパス・・・。

 

こりゃラグビーワールドカップもこの勢いで盛り上がるか、などと思ってたが、案の定というかやっぱりというかいまいち盛り上がらない。マスコミは盛り上がってる風の記事を書いているが、実際盛り上がっていないのは事実。

 

MGCのマラソン選考会(15日)。フィギュアスケートオータムクラシックでの羽生結弦の優勝(14日)。東レ・パンパシフィックオープンでの大坂なおみの凱旋優勝(22日)。渋野日向子の東海クラシック最終日8打差逆転での優勝(22日)。プロ野球では巨人がセ・リーグ優勝を決め(21日)、大相撲秋場所では御嶽海が2度目の優勝(22日)をした。スポーツ界の大ニュースクラスがゴロッとあり、ラグビー取材に記者を送り込んでた各メディアはてんわやんわだろう。だいたいどこもラグビーをあんまり知らない記者ばかりだろうし。

さらに芸能界では、7月クールの各ドラマが最終回を迎え次のクールの番宣をしたいところ。連休には秋映画も公開されるからこの番宣も。キングオブコント2019ではどぶろっくが優勝。欅坂46が東京ドーム公演。窪田正孝と水川あさみが結婚した。

千葉では台風被害で停電があり、新内閣が発足、ZOZOがYahoo!の子会社になり前澤社長が退任した。

運が悪いというか、なんというか、これほどの状態でラグビーW杯をもりあげろと言われてもなあぁ。無理があるだろ。一般人のほとんどはラグビーにそんなに興味ないんだから。

 

一般人にラグビーが浸透していない理由を考えてみよう。

 

まずラグビーというのは庶民的なスポーツではない。野球と違い日本ではプロスポーツとしての認識がない上に学生のクラブ活動としても人気がない。俺が通ってた高校は花園にも出たことがある強豪校で、授業にもラグビーが取り入れられていたが、普通の学生には無理なスポーツだとその頃から思ってた。

まずラグビーをするにはずーと走り続けられる体力が必要だ。これはサッカーやバスケも一緒だが、ラグビーは永遠に走らされてる気がする。

がたい(体格)が良くないと無理だ。俺みたいに痩せてひょろちいのはいくらすばしっこくても相手チームに経験者が一人でもいたら簡単にタックルされ転かされる。そして痛い。スクラムは耳がちぎれそうになる。ピアスをはめてる俺には地獄だった。

野球にサッカー、バレーボール、ハンドボール、果てはボーリングやビリヤード、ビー玉まであらゆる球技は苦手ではない。しかしラグビーのボールは楕円形だ。ボールが言う事を聞いてくれない。パスにコツがいる。キックしてもまっすぐ思うところに行ってくれない。

ユニフォームがダサい。なぜボーダー。特に今の日本代表の赤白のストライプ。こんなものを着ているのはウゾーリーを探せのウォーリーか、まことちゃんの作者楳図かずお氏くらいのものだ。ヘッドギアは髪型が崩れるからもっと嫌だ。

ラグビーはどちらかといえば冬のスポーツだから、試合を見に行ってもおケツが冷えて寒い。特に冬の花園は座布団と毛布持参で行かないとね。さらに雨天でも試合は決行する。野球なら中止になるような雨でも平気で試合する。雪でも雹でも試合続行。見てる方にしたらたまったものではない。

認知度が低い。野球のように通常にテレビ中継をしてたわけもない。したがって選手名も平尾、松尾、そして近年の五郎丸、そして今回ドラマで知られた廣瀬くらいしか知られていない。野球選手の知名度が100としたらサッカーで70、マラソンやフィギュアスケートで50、バレーで20、バスケで10、ラグビーは1くらいだろう。もちろんファンは別だよ。

漫画やドラマの題材にもほぼならない。ドラマでは山下真司主演の「スクールウォーズ」、漫画だと竜崎遼児氏の「ウォークライ」くらいだ。他にもあるのだろうがパッと思いつかない。野球漫画の「ドカベン」「巨人の星」「タッチ」「ダイヤのA」「メジャー」・・・。サッカーやバスケに比べても少ない。

 

五郎丸人気の時に一気にたたみかけりゃよかったのだが、国立競技場の設計や完成時期の問題が出て、森・元首相の悪人ヅラだけがクローズアップされてしまって飽き性な一般ピーポーは覚めてしまった。まぁこれはテニスなどでも言えるけどね。今回の大坂なおみの試合をどれくらいの人が見たんだろう。ミーハーは今、女子ゴルフの渋野に傾倒してると思う。

でも仕方ない。

ノーサイドゲームじゃないが、協会とか古い体制が仕切ってるのが丸わかりなイベントには一般人はイマイチ乗り切れない。

会場での飲食物持ち込み禁止がいい例だ。スポンサーのハイネケンのせいで、ペットボトル持ち込み禁止なのは仕方がないが、それにしても1000円で売ってやがるのはどうよ。飲食物持ち込み禁止にするのはテロ対策とか言ってるが、所詮館内の飲食店(売店)を守るためだろ。で、肝心の売店では売り切れ続出。なんじゃそりゃって感じ。

さらにオリンピックと同じくテレビも独占中継。これされると他局はニュースくらいでしか流せない。それでどうやってもり上がれというのだろう。

 

ラグビーのルールは単純だ。他の球技に比べてすごくわかりやすいと思う。ボールを前に投げたらダメ。落としたらダメ。ボールをつないで相手の陣地にボールを置いたら点が入る。それだけのスポーツ。

ラグビーとアメフトとは似ててかなり異なる。これがごっちゃになってるから以前関学の危険タックルとかわけわからん騒動になる。ラグビーはボールを持って時以外はタックルしてはダメ。逆にアメフトはボールを持ってないやつもタックルとかディフェンスできる。ラグビーはボールを前に投げれない。アメフトは投げられる。ラグビーは後ろへ後ろへとボールを繋げながら前へ前へと進むスポーツ。大義名分はAll for one,One for all。一人はみんなのために、みんなは一人のために。それがラグビー。

 

それがこんな有様じゃ東京オリンピックもヤバそうだな。

せめてテーマ曲を松任谷由実の名曲「NO SIDE」にしておけば、昭和世代を引き込めたのに・・・なんて、大きなお世話か。

 


秋分の日 海王星の日

2019-09-23 22:56:38 | Talk is Cheap

1年365日、なんらかの日である。

やたら「なんとかの日」ってのが多すぎて覚える気さえないのだが、さすがに秋分の日くらいは知ってる。休日だしね。とは言ってもこの秋分の日は、日にちが決まっていない。春分の日と同じく毎年変わる。二十四節気の秋分の期間で、昼と夜の長さが一緒の日。だから毎年微妙に変わる。

 

9月23日は、海王星の日。秋分の日とは全く関係なく、ドイツの天文学者が1846年のこの日に海王星を発見した日にちなんだものらしい。ちゃんと由来があってよかった。どこぞの団体が申請していた安室奈美恵記念日みたいに、なんのこっちゃっていう申請内容での記念日とは違うね。まぁこの安室奈美恵記念日はバカスカ記念日の申請を通す記念日協会とやらももさすがに却下したらしいが。

 

海王星は地球から最も離れた太陽系の惑星。俺がガキの頃は冥王星が一番遠かった。「水金地火木土天海冥(一時期は土天冥海)」とリズムで覚えていたのだが、今は冥王星は「惑星じゃない」って外されちゃった。2003年に「エリス」って天体が見つかって、それが冥王星より太陽に近いらしい。さらにそれに伴ってかどうか知らないが、準惑星っていうカテゴリーができて、2006年に国際天文学連合(IAU)ってところが「冥王星は準惑星だ」ってことにしてしまった。一般人にとっては惑星か準惑星かってよくわからん。アパートとハイツ、マンションとコーポ、ヴィラとメゾンとかと同じくどうでもいいことなんだけどなぁ。

 

まぁ、おかげで今の小学生は「水金地火木土天海」って中途半端なリズムで覚えてるんだろうな。堤幸彦監督の「SPEC」シリーズで山口紗弥加率いる宗教団体が「水金地火木土天海海」と指んで印を結び唱える。「すいきんちかもくどってんかいかい〜」のラストの「かい〜」が、ワンオクターブ上げたキーなのが耳に残ってしまう。リズムとメロディで覚えたものって危険だ。未だに「富士山麓に鸚鵡鳴く」(ルート)とか「水兵リーベ僕の船」(元素記号)などは覚えてるもん。

したがって、「冥王星は惑星ではない」と今更言われても俺にとっては冥王星込みの太陽系惑星だ。これは「いい国作ろう鎌倉幕府」と覚えた人間が圧倒的に多いのに、今頃源頼朝が鎌倉幕府を開いたのは1192年ではないとか言われても浸透しないのと一緒。先日世界遺産に認定された「仁徳天皇陵」が、専門家がいくら「仁徳陵ではなく大山古墳だ」とか、「聖徳太子」は死後の呼び方で「厩戸皇子が正しい」と言っても無駄なのだ。そんな専門的なことは一般人はどうでもいいのだよ。「真田幸村」が本当は「真田信繁」だとしても、信繁ではイメージできにくいのだよ。

 

「揚子江」は「長江」、「ベニス」は「ヴェネチア」、「ビルマ」は「ミャンマー」、「中華民国」が「台湾」、「レニングラード」が「サンクトペテルブルグ」、「ウィーン」が「ヴィエナ」・・・俺が子供の頃の社会(地理)の教科書とだいぶ変わってる。お隣の国は「日本海」を「東海」に変えろと喚いてるが、これは浸透しないだろう。

フェルメールの名画「ターバンの少女」はいつの間にか「真珠の耳飾りの女」に変わってる。

ヴィクトル・ユーゴーの名作「ノートルダムの傴僂男」もいつの間にか「ノートルダムの鐘」とかになっている。

科学の進歩で証明されたとかならいざ知らず、専門的分野から「これが正しい」とか言われてともなぁ。「地理学的に」「歴史学的に」とか、挙句には「誤解を招きかねない表現だから」とかで名称とか変えないでほしい。すでに学校教育課程を終わっているものは、知らない間に置いてきぼりになってしまうのだからさ。円周率は3.14ではなく3になったままか?

 

海王星。地球から45億km離れた青の惑星。地球の4倍あるらしいとか、零下220℃だとか、肉眼でも天体望遠鏡でも見たことないけどさ、そのうち探索機がたどり着いたり、高精度の天文望遠鏡とかで証明されるんだろうな。宇宙のロマンって科学の進化によってどんどん味気ないものになってしまうな。今時「月ではウサギが餅つきしてる」なんて言っても笑われるだけだもんね。アポロ月面着陸を知ってる時代のものとしてはちょっと寂しい。

 

なんかつまんないの。なんて考えてしまう秋分の日。

 


君が代は難しい

2019-09-21 14:51:34 | MUSIC/TV/MOVIE

君が代は難しい。

9月15日の日曜日に来られたお客様が「今日ここに来る前テレビでマラソンMGCを・・・」と話し出した。てっきりマラソンレースの話かなって思ったら、開始前の国歌斉唱の話。君が代をコブクロの小渕さんが歌ったらしいんだけど、かなりひどかったって。まぁ、君が代は難しいし余程の声量と音域がないとね、なんて話してたんだが実際に聞いてないのでどうひどかったのかがいまいちわからなかった。

で、ようやくYoutubeで見つけて聞いてみた。

うん。こりゃひどい。今まで聞いた君が代の中でトップレベルの酷さだ。

出だしのキーを間違えたのかな。必死にファルセットを使って耐えてるけどかなりきつかっただろうね。それでも最後まで歌いきったのはプロ根性だな。かなり無理やりというか強引というか意地というか、一般人の仲間内カラオケなら「ごめん、もう一回」と歌い直したり、いきなり下げて歌ってみんながガクってなったりとかできるんだけどね。多分小渕くんも脳内では「誰かリモコンでキー変えてくれ〜」と叫んでただろう。「隣に黒田俊介がいないと調子が出ない、俺はハモりで歌う癖がついてしまってるんだ〜」かもしれない。

 

なんて妄想をしてしまうくらいひどかったが、放送事故レベルの君が代斉唱は過去にいくらでもある。

郷ひろみ、北島三郎、堀内孝雄。歌が上手い人だが君が代は合わなかったんだろう。まだアイドルとか歌がそんなにうまくない人の方がなんとか歌えてしまったりする。実際SMAPがジャイアンツ戦かなんかで国歌斉唱したがそんなにひどくなかった。歌が上手い人ほどそのギャップで「えっっ!!??」ってなってしまうのかもしれない。

 

俺は小学校の途中で転校したんだが、その学区は某政党が強く、小学校では君が代を歌わせない、国旗掲揚もしないという馬鹿げた教育方針。西宮(兵庫)では普通に歌ってた国歌が高槻(大阪)では否定されてるのだよ。それは君が代だけじゃなく、授業でも日本はアジアに悪いことをしたが随所に出てきて、大人になって自分で勉強するまですっかり信じ(洗脳)させられてたよ。

 

で、すっかり疎遠だった君が代。「素晴らしい歌だ」「すごい歌だ」と認識したのが、サッカーJリーグ発足当時にあった親善試合での国歌斉唱。歌い手は松崎しげる。テレビで何気なしに見てたんだけど、これはすごかった。思わずボリューム大。歌い終わった後に「美しい人生を〜」と続けて歌ってほしいとさえ思った。

そのあといろんな歌手の君が代斉唱を聞いてきたが、圧巻だったのが小柳ゆき。ホンマに16歳か?ってくらいデビューの時から歌唱力のある子だったが、日米野球かなんかの試合前に国歌斉唱したの。アメリカの国歌「星条旗(よ永遠なれ)」を堂々と歌い上げ(もちろん英語詞で、そのあと続けて日本国歌の君が代を斉唱。もう鳥肌ものだ。

だから歌が上手い人ほど君が代が合わないってのではないだろう。キーが高い人が合わない?いやいやTMレボリューションの西川はそつなく歌ってた(ただしテンポはかなり早かった)。平原綾香の君が代斉唱は何回か見た(昨日のラグビーWカップでも歌ってた)がやはりうまいもんな。山崎育三郎も以前聞いたがうまかった。

 

だいたい、君が代という歌は難しいのだ。

詞とメロディが一致していない。どこが区切りかわかりにくい。永六輔さんが怒りそうなほど歌詞とメロディが合ってない。(意味がわからない人はそのままスルーしてね)

出だしの「君が代は」からして「きーみーがーぁーよーぉーわー」となってる。これを重厚なメロディで歌えと。更に「千代に八千代に」の「ちーよーにぃいぃ」の後「やぁ」でいきなり上がる。そして「さざれ石の」の「さ」でまた上がり「れ」で切れる。さざれ石のではなく「さざれ」「石の」となってしまう。五七調の日本語歌詞になれた人がいきなり森進一や久保田利伸を歌うようなもんだな。歌詞が全然頭に入ってこない。

元々君が代は古今和歌集の和歌にメロディをつけたものだからね。(確か明治時代だったはずだが記憶曖昧)元々の歌の意味は要約すると「大きな岩が砂のように小さくなるくらい永い時、君を想っていますよ」だが(決して天皇陛下を敬う歌ではない。共産党よ、よくも嘘を教えてくれたな)、このメロディでは絶対歌詞が頭に入ってこない。日本語というのは不思議なもので一つのセンテンスが途中で切られたり、語尾のイントネーションの上がる下がるで意味が変わってしまうものが多々ある。したがってこの君が代を想いを乗せて歌うなんて芸当ができる歌手は少ないはずだ。

 

歌唱力のある歌手が如何の斯うのと音楽評論家のように書いたが、君が代を歌うのに音域はあんまり関係ない。せいぜい1音階(1オクターブ)だもの。出だしの「きーみー」の「み」がドで一番低く、「八千代に」の「や」などがオクターブ高い「レ」だ。従って出だしのキーさえ間違えなければそれほど無理せず歌える。国歌だもんな。コーラス隊や声楽家しか歌えないとかだと大変だもの。

でも、厳格重厚なメロディ(NHKの放送終了後に流れてたやつとかね)につられ、つい「この歌は低いぞ」と勘違いしてしまい、出だしのキーを上げて歌い始めてしまうと後が大変。「「さざれ石の」の「いーしーのー」部分でオクターブ上の「レドレ」がかなりきつかったりする。そしてクライマックスの「苔の」の「ラドレ」からの「むーうーすーうーまーぁぁでー」(ドレラソレソミレ)と一気に歌わなくてはいけない。息継ぎはどこでって感じ。

 

コブクロの小淵くんが失敗してしまったのは、この出だしのキーを間違えてしまったからだな。映像ではよくわからなかったが、多分アカペラ(独唱)で伴奏なしだったのではないかな。それともイヤモニやモニターの調子がおかしくてオケが聞こえなかったか。「音が反響して」とか弁明してた記事があったが、屋外だぞ。だいたいコブクロでスタジアムやドムでのコンサートや、野外のフェスなど何回も経験してるだろ?これは的外れ。却下。あのキー、あのファルセットで最後まで歌いきったのは見事だと思うけど。

 

まぁ音域よりも声量(というか肺活量)が必要な難しい国歌、君が代。うまく歌えない歌手は、以前玉置浩二がやった独自なアレンジ君が代にしてしまう方がいいかもしれないね。ただ聞きなれたメロディーやテンポを変えられると聞く方はめっちゃ気持ち悪いんだけどね。

忌野清志郎の「パンク君が代」のようにロックアレンジにしてくれた方がマシかな。あれはあれで物議かましたけどね。「冒涜してる」とか言われてね。ジミ・ヘンドリックスのウッドストックでの「The Star Spangled Barnner」は「名演だ」って認められてるのにね。変なの。

 

君が代と日の丸。でもう一つ。

フィギュアスケートのオータムクラシック2019の表彰式。羽生結弦選手が優勝した表彰式で、国歌(君が代)が流れた際どこにも日の丸が掲揚されてなかったことに気づいた3位のメーシング選手が、表彰台の後ろにあった日本の国旗を手で広げた。それに気づいた羽生選手は表彰台を降りて国旗を正面にして頭をさげる。君が代が流れ終わるまでメーシング選手は国旗を広げて持っていてくれた。メーガン選手はカナダ人だが、祖先かなんか日本に関り合いあるのかな。

お隣の日章旗が五輪憲章にどうたらこうたらと難癖つける国に聞かせてやりたいくらいのいい話だ。(自分の国で冬季五輪やった時は平気で統一旗掲げた国なんだけどね)まぁ日本でも、アマチュア野球の選抜チームユニフォームから日の丸外すバチあたりなお偉いさんもおるみたいだからね。(そのくせ「日の丸を背負って」とか言うんだよ、これがまた)

もっとこのニュースを含め、日の丸や君が代の関連ニュースは日本でも流れてもいいのだけど、あまり流れてないような気がする。気のせいかな。

 

これからも君が代と日の丸。

せめてスポーツの世界では右の人も左の人も大事にしてくれよ。

 


監察医朝顔 演技や演出はいいけど脚本が

2019-09-19 04:28:01 | MUSIC/TV/MOVIE

漫画原作を実写ドラマにするのは難しい。

どうやっても原作ファンはあれこれ言う。キャスティングだったり、ストーリーだったり。だいたい単行本何冊か文の話を全10-11話でまとめようと思ったらかなり無理が出る。初めからシリーズ化する予定でもあれば別だけどね。役者の演技がどうこうの前に、監督と脚本家と演出に全てがかかっていってると言っても過言ではないな。もちろん衣装やヘアメイク、大小道具、照明や音響・音楽もそれぞれ重要だ。

 

監察医 朝顔。

上野樹里久々の月9主演ドラマ。この原作漫画を知ってる人は少ないと思う。そういった意味では実写化しやすいはずだ。多少設定を変えても問題ない。キャラの設定も変えれる。出てこないキャラクターも出せられる。これが戦国時代とか幕末とかの話だと「この話ならこの部分がキモなのに・・・」とか「こいつはこの場所にはいないはずだぞ」とか「これはこういう背景でこうなったんではないのか」って、あちこちで飛び交ってしまう。なまじ知ってる人が多いと大変だね。そう考えると大河ドラマとかって大変よね。

 

で、この監察医 朝顔。このドラマ面白いのか面白くないのかがいまいちわからない。俺が原作漫画を知ってるせいとかではない。なんかテンポが悪い。どうでもいいことの部分がやたら長い。感情移入できにくい。そうかといえば家や控え室に置いてあるものや、キャラクターの描写は実に丁寧。細かいところにこだわる脚本家か演出家のせいか。だから「うーん、これはすごい」と褒めたくなる場面はかなり多い。でも同時に「これ何?」とか「ひどいな」とか「要る?」って場面や、「長いわ」「くどいわ」と早送りしたくなる部分が入り混じってるドラマ。

 

俳優陣は上野樹里、時任三郎、柄本明、風間俊介、板尾創路、杉本哲太、山口智子、志田未来・・・。演技派ぞろいだから演技に問題など全くない。志田未来の開所直後の空気を読めないキャラ設定、今時演出は完全に外してた。石原さとみ主演ドラマ【Heaven?】での志尊淳のウザキャラ以上にちょっと邪魔って思った。だがクレームが多かったのか志田未来の演技が3話目以降には抑えた感じになってちょっと安心した。中尾明慶のキャラ演技も途中から変わった。これは途中で演出家が変わったのか?

 

上野樹里の母(石田ひかり)が亡くなった(行方不明)のは阪神大震災だが、ドラマでは東日本大震災になってる。これは原作漫画の連載されてた時期とドラマ化された今では被災地の状況も違うし、これはこれで全く問題はない。設定を変更して良かったと思う。でも、いつまでも「風化させないで」とかってのが随所に出てくるのはうんざり。「あれからもう何年?」とか「東日本震災以降いろんな災害があって、その度に各地で被災者は出てるんだけど」って思ってしまうほどくどい。これは脚本が悪い。

 

でも、遺体捜索の時間を取るためにと、父(時任三郎)がハードな県警本部から所轄に移動したこととか、爺ちゃん(柄本明)がやるせなさからかそっけなかったって部分は見事だ。更に手袋が片方見つかった途端、爺ちゃんの気持ちが変わりだし、和解というか協力的になったたとこ。時任三郎は手袋が見つかったことで妻の死を現実のものと認識をしてしまって戸惑ってる。そんなところの描写はすごくうまい。これは演出家がうまいのか。脚本にそうあるのかよくわからん。

 

このドラマが秀逸なのは食事のシーン。グルメドラマではないのに、かなりの時間食べることを丁寧に描いてる。日常の食事のシーン。家での朝食、帰宅後の晩御飯。お弁当。上野樹里の仕事場の控室での食事、ヤマグともこの不気味なお土産や料理。恋人(6話目から旦那)の風間俊介ともんじゃ焼きデートで食べる。風間俊介は刑事部屋でも食べる。上司である戸次重幸も蕎麦を食う。「さぁ昼飯食うぞ」でお約束の「電話がなって事件発生、すぐ現場に急行せよ、残念だが飯はお預けもある。捜索中の時任三郎もおにぎりを食べる。落ち込んだ上野樹里もおにぎりを食う。そう、どんなに悲しくても、やるせなくても、忙しくても、嬉しい時も食べることは大事だ。どんな時でも食べないとだめだ。力が出ない。考えがまとまらない。エネルギーを蓄えなければいけない。逆に言えば食べられれば大丈夫だ。

そして秀逸なのが上野樹里と時任三郎の家。細々した演出が随所にされてる。冷蔵庫の張り紙や付箋(石田ひかりがいなくなった日のまま)、台所の食器(3人分だったが今は風間俊介用のと子供用の小さいのが増えてる)、仏壇代わりのタンスの上(子供が生まれたあと写真立てが増えてる)、そこらへんの家具や転がってる小物(絵本とか玩具がそのまま増えたって感じで置いてある)。いろいろ探してしまう。石田ひかりがいなくなる前と変わらないままの部分と今の部分。そして特筆すべきは風間俊介が入り婿し子供が育った今も、食事の時は石田ひかりの席は変わらず空けてある。こういう演出は唸ってしまうほど見事なり。

 

普通ならこんなドラマはベタ誉めドラマになるはずなんだが、先に述べたようにテンポがいきなり悪くなってしまうのが難点。まどろっこしい部分が多いのだ。細かいところにこだわるのはいいのだが、「くどい!」ってなってしまうとき多々あり。

まるでこだわったヤツの家に遊びに行って、置いてある家具やディスプレイに見とれたり褒めたりしてたら、いきなり語り出して・・・。その話が興味もないことなんだけど長い、くどい、もうええってって感じになるときに似てる。

タンスの上の写真立てが子供が生まれ増えたりってのはさりげなく演出してるのに、石田ひかりと約束した花の部分は語りを入れ回想シーンを入れしつこく描く。柱の傷が時任三郎の分まであることでこの家が時任の生まれ育った家であり、上野樹里が育った家とさりげなく描いてたのに、風間俊介と結婚したら家を出て行けって叱るシーンはやたらと長いしくどい。最後は上野樹里が泣きながら父・時任三郎に「私が一緒に暮らしたいんだよ」と告げるシーンの演技は両者さすがに見事だが、あまりに見事すぎてその日の事件(心霊スポットで白骨死体が見つかり、それが徘徊老人だったと解剖・検視で判明するが、息子は遺体の引き取りを拒否する)との関連性が全く飛んでしまった。

 

その次の第6話では夫婦の死体が見つかるが疑問点が多く、上野樹里らが検視。長女が「私が二人とも殺した」と自供するが、実はお母さんが永年旦那のDVの恨みから衝動的に殺してしまって、自責の念から自殺。母を殺人者にしたくないという想いから・・・。この話の回が特に「なんのこっちゃ」満載。演技派に囲まれての妹役・小林星蘭の下手っぷり。見事なまでに棒演技。この子こんなに下手だったっけ?子役の時はうまかったのになぁ。なんてのしか印象に残らないくらい、全編くどいのオンパレード。ちっとも面白くないの。上野樹里の家族の絆とかと関連さすためかなって思ったけどそこは全然描かれないの。もう次週は見なくていいかなって思ったくらい。

ただし、風間俊介が捜査と捜索で多忙で疲労がたまってる時任三郎に、風間俊介が冷蔵庫から栄養ドリンクを渡すシーンはちょっと笑ってしまった。リゲインならぬAgain。黄色いラベルの栄養ドリンクは時任三郎に似合う。牛若丸三郎太にプレイバック。24時間戦えますか。今なら絶対クレームの嵐。「ブラックだ」「働き改革だ」なんて世の中だものね。こんなさりげない演出は好物だ。あざとさのかけらもない。

 

そのせいか7話は視聴率落ちたみたいだが、この回は石田ひかりの手袋が片方見つかった回。そして上野樹里は法廷に鑑定証人として出廷。今回の事件は「紀州のドンファン」事件を彷彿させる話で、美魔女と言われるくらいべっぴんだが金持ちと結婚するたびにすぐ旦那が死んで遺産や保険金を手にしてきた女。このすごくいやーないかにも金の亡者な美魔女を演じる有森也美が上手かった。

そして毎回さりげなく泣かせるセリフや演技を見せる風間俊介が今回も見せてくれた。被災地で見つかった手袋は母・石田ひかりのものだったが、その中にあった骨は母のものではなかった。それでも気丈に振る舞いお父さんを励ましてる上野樹里に対して優しく労う。「よく我慢したね。お父さんの前だったからでしょ。今はもう我慢しなくていいよ。」

この監察医 朝顔で上野樹里を優しく見守り、いい旦那、いい父親を演じる風間俊介は、今放送されてる倉本聰脚本ドラマ【やすらぎの刻〜道】の昭和編のパートで、徴兵拒否で自殺してしまった兄の子供を宿した清野菜名と結婚するという、こちらでもいい旦那を演じてる。

 

8話では妻が死んだ原因を知りたい旦那の要望で解剖をするが、死因が特定できない。これがまたくどいほど長いだるい内容だった。妻の死に疑問を抱く旦那を演じてる俳優が誰か知らないが、これがまた下手なの。冷静なのかただ喚いてるだけなのか、ただのクレーマーなのかただ真実が知りたいだけなのか。セリフが多い割には妻の死が受け入れられないって演じてるのだろうけどいまいち伝わらない。結局遺伝性の病だったのだが、ここまで引っ張る意味が全然理解できない。俳優のせいにしちゃいけないな。これ絶対脚本が悪いよな。

 

そして今週(第10話)またがっかりしてしまった。先週の9話から引き続き、上野樹里らが家族ぐるみで付き合う行きつけのもんじゃ焼き屋の家族。その奥さんが不慮の死を遂げ旦那が疑われる。この旦那役をきづきが演じるのだが、どうもamazonのCMキャラのイメージが強くていまいち入り込めない。奥様へのDV疑惑、児童虐待の疑いも出て子供は妻の父母が勝手に引き取ってしまう。失意のきづきは自分が殺したと自首する。なんとかきづきの無罪を証明したい上野樹里だが、見知りの友人だからかメスを持つ手が震えて切れない。山口智子に叱られ解剖室を退室。10話の再度の解剖でも手が震える。

とまぁ書き連ねただけでもなんのこっちゃというとこだが、さらにくどくてなんじゃこりゃってのが、上野樹里の講義のシーン。メスが持てなくなった上野樹里に山口智子は自分の受け持ってる大学の講義を依頼する。

壇上で淡々と喋る上野樹里、大学の講義なんてまともに聴く人も少ない。二回目の講義も淡々と喋る上野樹里。そこで質問する学生(多分戸塚純貴だと思う)。法医学の解剖は承諾なしに切れるのか。遺族が拒否しても死因究明のために解剖することが法で認められてるのなら、それは人間の尊厳を傷つけていないか。この質問を皮切りに上野樹里が法医学を語る。これが長い。ほんまに長い。

全くわからん。こんなに尺必要か?っていうかこのシーンなんのためにこんなに長く取ったんだ。法医学とはどういうものか視聴者に知ってもらいたいのか?理解を深めてほしいのか?視聴者はそれが知りたいのか?これは絶対脚本家が悪いと思う。漫画で例えたら吹き出しだらけだ。セリフだらけのページは漫画なら飛ばしになってしまう。画力がない漫画家ほどそうする。書き分けられないから、絵で伝えられないからセリフにしてごまかす。

 

演技力のずば抜けた俳優がそろってるこのドラマで、ここまでの長セリフ必要あるか?今までドラマで描いてきたのではないのか?この脚本家のセンスを疑ってしまうほど、くどい、長い、しつこい。

メスが持てなくなって焦燥の中にいる上野樹里に、山口智子が講義を依頼するとき一緒に焼き芋を食べるシーンは。妻が亡くなり子供を義父母に連れて行かれて店も休んでるきづきを励まそうとお弁当を持っていくが拒否されてしまうシーン。それを自宅に持ち帰他上野樹里が自分も食欲はないのだが無理矢理にでも頬張るシーン。時任三郎と上野樹里の話を娘と階段で聞く風間俊介が涙をこらえるシーン。随所にはいいシーンがいっぱいあり、決して悪いドラマではない。でも、講義の長ゼリフのシーンはいらなかったなぁ。

 

くどいとか、しつこいって長々と書いてる俺の方がしつこくてくどいな。反省

 


敬老の日 今の老人は元気だ

2019-09-16 15:32:10 | Talk is Cheap

今日は敬老の日。

1964年に「としよりの日」が改称されて「敬老の日」になった。(一部のニュースでは改称は1966年と報道してたがどっちだ)

あ、先に書いておくがこの今日のブログでは老人の表現として「ジジイ」「ババア」と記載する。が、悪意はないので、しょうもないクレームを入れないように。「おじいさん」とか「オバァさん」などと書くと身内っぽいし、「おきな(翁)」とか「御老人」「グランパ」とか呼べるような高尚なお年寄りは身の回りにいないからね。

 

昨今は高齢化社会と言われてるが、今年は団塊の世代(1947-1949年生まれ)が70歳になるらしい。70歳以上の人口は2715万人。昨年より98万人(ほぼ100万人)増えるらしい。日本の総人口が1億3000万人(として約22%は70歳以上の老人ってことだ。

65歳以上の老人なら、なんと3588万人。ジジイ1560万人、ババア20128万人。80歳以上だけでも1125万人(総人口の約9%)いるらしい。90歳以上はさすがに少なく231万人。もし太平洋戦争がなかったらもっと多いんだろうね。2018年の日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳だそうだ。(ちなみに終戦直後の日本人平均年齢は男性21歳、女性27歳だ)

 

そりゃ街に元気な老人が溢れかえるわね。もちろんその中には寝たきり老人や病気、介護が必要な爺婆も多いんだろうが、そういう方たちは世間の目にはあまり触れない。したがって見かけるのは元気な老人。

 

少子化問題で総人口は前年から26万人減ってるのに、老人の数は増え続ける。65歳以上の人口比率は28.4%。余人に一人以上は65歳以上ってことだ。そりゃ「年金だけで生活はできない」なんて言われるわな。この年金制度ができたのは、昭和の高度成長期の頃だもの。俺らが老人になる頃には破綻してるのが丸わかりのシステムだ。

 

だからか、65歳以上で働いてる人は862万人。就業者の割合だと13%らしい。3588万人中862万人が働いてるってことは、高齢者のうち四人に一人は働いてるってことだね。高齢者世代が現役の時代は、女性(妻)は家にいろって時代で、女性は働く時代じゃなかったからなぁ。高齢者の半分は女性老人だから働かないとして、定年を終えた男性老人は、2人に一人働いてるってことになるな。だが、このデータ本当に正しいのかな?年金だけでは食えないから働いてるのか、それともなんかしてないと不安だから働いてるのか、そこがよくわからんのだけどね。

 

とにかく、老人って定義はもう一度見直した方がいいかもしれない。俺が子供の頃のじじい&ババァは、老人と呼ぶにふさわしい年寄りだった。杖を持ってる。腰が曲がってる。ヨタヨタしてる。昔話(戦争の話や食いもんがなかった話)がやたら多い&長い。ふがふが言ってる。縁側で夫婦で茶をすすって穏やかな隠居生活の似合う爺婆もいれば、悪さするガキどもに雷を落とす近所でも評判の偏屈ジジイ。

 

それがどうだい?今の老人って元気だよ。いや、老人と呼んではいけない気のする高齢の方があちこちにいる。

あのカリスマロックスター・矢沢永吉が70歳って信じられる?とてもじゃないが老人には見えない。間違ってもジジイなどと呼べる人もいないんじゃないかね。

永遠の若大将加山雄三は82歳らしい。車の運転免許の返納をしたそうだ。(船舶免許はどうしたんだろう)趣味のテレビゲームで反射神経の衰えを実感したそうだが、あれだけギターやピアノが弾けてそう思うのなら、すごいな。

名古屋市で14日の夜に歩道に乗り上げて男女七人を撥ねたタクシーの運転手は 75歳だったそうだ。

暴走老人は相変わらず多いのは困ったもんだ。車がないと生活できない田舎暮らし、ポツンと一軒家に住んでるとかならいざ知らず、街中で生活してるなら、免許はさっさと返納してくれた方がいい。電車やバスは免許返納した老人は無料とか割引とか、タクシーなんかは割引になるとかもっとできないもんかね。あ、その肝心のタクシーの運転手が高齢者なんだ。本末転倒だな。

16日には大阪の大正区で、車がコンビニ突っ込んだニュースが流れてきた。また暴走老人かと思ったら、これは20歳だった。あれ?年齢は関係ないのかね。

 

最近は暴走老人より、煽り運転の方が話題よね。煽り運転した挙句エアガンまで撃った男は40歳。同乗者の女を置き去りにして逃げて、尼崎のホテルに隠れてたらしい。白い粉でもやってたのか。同乗者の女がガラケーで撮ってた中高年カップルとか、「いったいどんな教育受けてきたんだ?」って思えるような勘違い中高年が増えた。

奴らが今後老人になっていくとしたら、日本は大丈夫か? 今の若者が将来に希望が持てないとか、悲観するのは仕方ない気がする。

 

大阪市鶴見区では76歳の男性が線路内に入って電車に轢かれた。認知症だったそうだ。

高齢化社会はますます進む。元気な老人が増える一方で些細なことで怒鳴り散らしたり、ボケてしまい徘徊する老人もいる。

昨日の15日は樹木希林さんの一周忌。樹木希林さんが亡くなられたのは75歳。樹木希林さんは最後まで矍鑠としてた。この違いはなんだろうね。

 

昨日の15日にザ・カーズのリック・オケイセックがお亡くなりになられた。享年75歳だったそうだ。カーズのアルバムは1979年発売の『キャンディー・オーに捧ぐ』が傑作だ。昨年2018年にロックの殿堂入りしたときはコメントも出されていたのだが、残念だ。若い頃に聴いていたロックスターがどんどん鬼籍に入られる。

 

E・YAZAWA。70歳。いつまでもロックしててほしいなぁ。

 

 


安部譲二さん

2019-09-08 21:47:36 | BOOK/COMICS

俺が唯一自分からサインをもらった人、安部譲二さんが亡くなられた。

どうして俺の好きな作家が次々といなくなってしまうのだろう。藤原伊織、野沢尚、中島らも・・・。まぁ、皆さん同じように年齢重ねていかれるのだから仕方ないけどさ。安部譲二さんも82歳だったそうなので、大往生だな。元とはいえヤクザが畳の上(正確には布団の上だろうけど)で死ねるなんて本望だろうね。

 

安部譲二さんからもらったサインは大事に保管してある。今、このブログを書くのに探したのだけど、引っ越しのバタバタでどこのダンボールに入っているのか見つからず。ガムテ貼ったままクローゼットや押入れにとりあえずと入れたダンボール。このままでは次の引っ越しまでそのままになってそうだ。断捨離好きの人に怒られる前に早めに整理しなくてはいけないな。まぁ、おかげで単行本と文庫本は見つけれた。

 

俺は普段、サインとかをもらう人ではない。街中で芸謀人や有名人に偶然出会った(見かけた)時に色紙とかサインペン持ち歩いてる人がいたら、よほどの蒐集家かネット転売の輩だろ。だいたいプライベートの時にわざわざ声かけてってのもねぇ。

以前にテレビや雑誌にちょこっと出させていただいた際には、ADとか編集の人が気を使って出演者(芸能人とか)などのサインを「(記念に)もらってきてあげますよ」とか言っていただくのだけど、もらったところでそれをどうするんだ?って考えちゃうの。店に飾る?俺の店はラーメン屋とか居酒屋など飲食店じゃないしね。だいたいこれ見よがしにサインが飾ってある飲食店って「なんだかなぁ」って思ってしまうもの。「ふーん。有名人が来てるからって・・だから何?」ってね。

だから大概「要りますか?」とか言われても『いや結構です』と即答するんだけど、「遠慮しなくていいですよ」とか言われたり、怪訝そうにされるのよね。世の中には有名人のサインといえば誰のものでも欲しがる人が多いのだろうか。

 

話は横道に逸れてしまったが(いつものことだが)、そんな俺が唯一と言っていいほど自分でアクションを起こしてもらった安部譲二さんのサイン。

 

バブルがはじけたかどうかって頃、俺は某チェーン店のマネージャーをしてて、その日は朝の本部会議から帰ってきたとこ。フロント(受付)のスタッフが「メンズ断ったけどいいですよね」って。当時俺が任されてた店はやたら飲み屋のママとメンズが多く、そのせいで売り上げが伸び悩んでたの。だから予約制にして(当時飲み屋のママやメンズは飛び込み客が多かった(=わがまま、せっかち=カットだけ、セットだけ=低単価)、メンズは近くのグループ系列の理髪店の方に誘導するようにしたの。

なのにわざわざ「新規だけどメンズを断った」って言うのって変だなと思い『どんな客?』と聞くと「体格のいいベリーショート、っていうか五分刈りの人」。それなら美容室じゃなくて理容室の方がベストだろう?なんでわざわざ報告を?って思ってたら別のスタッフが「確か作家の人です」って。さらに違うスタッフが「マネージャーが前にお客様に熱く語ってた映画の原作者だと思う」と。

映画化された作品の原作者+熱く語ってた+メンズ+五分刈り+体格のいい…。安部譲二さんじゃないか!?

すぐ『バーバー(関連理髪店)に紹介したんやんな』と聞くと、案内したって。すぐさま別のスタッフに「ダッシュで紀伊国屋行って色紙買ってきてきてくれ(本当は安部譲二さんの本がいいけど、どれを買えばいいかわからんだろうし、すでに全部持ってるし)」と指示し(ええ、完全な職権乱用です)、俺はバーバーへダッシュ。色紙買ってきたらそっちに持ってきてくれと指示もした(今ならこれもブラックとかパワハラとか言われるんだろうな)。

 

で、バーバーに行き、店長に『ひょっとして、安部譲二さん来てる?』と聞くと「ええ、今来られてますよ」。ちょうど顔剃り中だ。なんてグッドタイミングだ。ダッシュで色紙買ってきてくれたスタッフが到着すると同時に、顔剃り終わって顔を洗って(大阪の散髪屋はこれが定番さ)タオルで拭いてる安部譲二さんに声をかける。

『すいません、美容の方のマネージャーしてる者です。先酷はせっかくご来店いただいたのにお断りをして、こちらに誘導させていただいたとのこと。』云々なんちゃらかんちゃら・・・と謝罪。安部さんは笑顔で「いやぁ、テレビ局の人に聞いてきたんだけど、あぁここだって早合点して入ってしまったのよ」と。美容も理容も同じ名前だからね、そりゃ知らなきゃ間違える。「でも上手い人にやってもらえたからスッキリしたよ、わははは」とテレビで存じ上げるのと同じ声、と人柄。今だ!チャンスだ!『実は大ファンなのです』『本も全部持ってます。読んでます』『できればサインを頂きたく思います』と一気にお願い。

テレビや雑誌で見る人柄そのままに、心良くサインをしていただけた。

 

安部譲二さんはヤクザ映画やアウトロー小説のターニングになった人だ。

それまでもヤクザ映画はあった。場末のスクリーンでは網走番外地とか緋牡丹なんとかとか唐獅子なんとかをオールナイトでやっていた。高倉健さんはギリギリまで我慢し渡世の義理を果たすために単身ダンビラ片手に乗り込んでいく。または菅原文太が組織のしがらみによって抗争に巻き込まれていく。それらをヤクザやチンピラたちは観て、そして憂いてた。

そんな中、金子正次さんが【竜二】を発表し映画化された。

ヤクザ映画で初めて拳銃もドスも出てこないこの映画は画期的だった。シマを奪い合う銃撃戦も無いしダンプでのカチコミも無い。白い粉を港で取引したりもない。ただヤクザという人間を、ヤクザという生き方を痛烈に描いた傑作だ。(ちなみに当初は松田優作主演で映画化される予定だったがいろいろあって、原作本人が出演してる)金子さんは早逝されたが、2作目の【チンピラ】は柴田恭兵とジョニー大倉で映画化されヒット。そして三作目の【ちょうちん】では陣内孝則が癌に侵されたヤクザを熱演。どちらも銃もドスも出てこない(チンピラではモデルガンが出てくるし、ジョニー大倉は組の薬を横流しするけどね)。

ちょうちんのヒット及び、陣内孝則がブルーリボン賞とか主演男優賞取っちゃったことで、やくざ映画はこれを機に路線変更。今までの切った張ったではなく人情を絡めた話になっていく。今までのやくざ映画からアウトローモノとかクライムムービーとか呼び方も変わったね。まぁそれでも【極道の妻たち】のようにドンパチも含めたものは人気あるけどね。この路線はその後東映Vシネマと続く。


その陣内孝則がちょうちんの次に演じたのが安部譲二さん原作の【極道渡世の素敵な面々】。これが先に書いた「お客様に熱く語ってた映画」だ。

【塀の中の懲りない面々】【塀の中のプレイボール】(どちらも映画化された)に続き、映画化された【極道渡世の素敵な面々】。音楽は久石譲、主題歌と挿入歌は甲斐バンド。陣内の相手役女優は麻生祐未と超豪華。ちなみにこの映画に安部譲二さんはチョイ役で出てる。(奥さん役があべ静江だったのは偶然か?)。

 

陣内孝則がこの映画の後に主演したのが【疵】。これは実在した安藤昇さん率いる安藤組の花形敬さんをモデルにした映画。喧嘩(ステゴロ)がやたら強く、それゆえに組織から持て余され最後は非常の死を遂げるこの伝説のヤクザ(ショーケンの太陽にほえろでの殉職シーンはこの花形さんの最期にインスパイアされてると思う)が所属してたのが、安藤組。安部譲二さんは安藤組の構成員だったので、花形さんは兄貴分にあたるそうだ。ちなみに警視庁保管の構成員名簿はあいうえお順のため、安部譲二さんは安藤昇組に次いで2番目に記載されている。

 

安部譲二さんがヤクザって実は憎めないやつなんですよ、実はこんな話もあんな話もあるよって小説やエッセイにしたおかげで、痛快なピカレスクロマンとか、アウトローだけど憎めないキャラってのが出てきた。浅田次郎さんの【きんぴか】以降は、なんか小説や漫画の分野にもかなり愛すべきヤクザ者が主役のモノが増えた。そしてそのほとんどがドラマ化、映画化されていく。

仲間由紀恵主演でヒットした【ごくせん』

福澤徹三さん原作の【侠飯】は生瀬勝久主演でドラマ化され、

【Iターン】はムロツヨシ主演(古田新太/田中圭共演)で今ドラマ放映されてる。

岡田准一主演の【ファブル】も、

 

藤原竜也主演の【Diner ダイナー】も、

 

もうすぐ公開されるはずの【任侠学園】(西島秀俊/西田敏行W主演)も小説・漫画原作のアウトローもので、登場人物のやくざ、極道、チンピラは、怖いだけじゃなくどこか憎めないキャラばかりだ。

安部譲二さんが新しく切り開いたヤクザの裏面。簡単に言えば「ヤクザだって同じ人間ですよ」ってこの路線、今じゃ普通にドラマや映画、漫画や小説になってるのに、未だに「芸能人が裏社会の宴会に出た」とか、「裏社会の人と繋がりがある」とか騒いでるのはなぜ?これは良くてあれはダメ。基準がよくわからん。受け入れてるのか、排除したいのか。俺の足りない脳みそでは理解できないよ。

 

元ヤクザでパーサーで、小説家の安部譲二さん。裏社会とのつながりがとか、ハングレ集団がとか騒ぎ立てるマスコミはこの死をどう報道するのだろうか。そしてネットで正義をわめく人たちはどう受け止めるのだろう。

安部譲二さん。気にせず安らかにお眠りください。