GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

珈琲いかがでしょう 実写版ドラマがすごく良かった

2021-05-28 21:56:29 | BOOK/COMICS

コーヒーが好きだ。

そんなコーヒーをテーマにしたドラマが放送されてた。

「珈琲いかがでしょう」

コナリミサトさん原作の漫画を、中村倫也主演でドラマ化した作品。

先日最終回だった。

 

いやぁ、面白かった。

普段ならTVドラマのレビューは初回、または2-3回見たあたりで書くのだが、あえて最終回までやめておいたのには訳がある。

コナリミサトさんの原作漫画は単行本2巻なのだが、それをどこまでやるのかに興味があったから。もし最後までやるなら絶対ネタバレになっちゃうから。

というのもこの「珈琲いかがでしょう」という漫画、1巻あたりではほのぼのとしてるが、2巻あたりでどんどん「何があった!」「どうした」って気にやむくらい内容がハードになるのだ。

TV東京のプロデューサーもドラマスタート前のインタビューで「このドラマ、一口目はちょっと甘〜く感じるかもしれませんが、回を追うほどに意外なほどにビターでハードなテイストに仕上がっていきます」とコメントしてたくらいだ。

ってことは、2巻の結構エグいハードな内容もやっちゃうってことだろ。なら、ネタバレしたら申し訳ない。そう思って今まで我慢してた。

 

ストーリーは中村倫也演じる「青山」がワゴンカー(今でいうキッチンカーね)「たこコーヒー」で、日本全国あちこちの場所で珈琲の移動販売をやってる。

各地で出店する「たこコーヒー」には、なかなか思うようには生きられない人や、傷ついた心を持つ人がコーヒーを飲みにやってくる。

青山(中村倫也)の淹れる一杯のコーヒーと優しい言葉で、そっと癒されていく。

 

とまぁこんな感じで書くと「おっ、癒し系のほんわかしたドラマだね」と思うだろう。ハードな日々や人間関係に疲れた人を、一杯のコーヒーが癒してくれる、そんな話だねって思うだろう。

確かに前半はそうだ。

豪華ゲストが毎回登場し、それぞれ生き方に迷ってたり、心が傷ついてたりするお客を演じてくれてる。

生真面目な故に疎まれ後輩に出し抜かれてしまうOL・夏帆。平凡な毎日に嫌気がさし死にたがってる女性・貫地谷しほり。田舎にうんざりし東京でキラキラ輝きたい女子高生・山田杏奈。夢を持って上京したのに挫折した臼田あさ美。

原作には無いドラマオリジナル脚本もあって、仕事もルックスも完璧と自分では思っていたが、実は裏で同僚のOLたちから小馬鹿にされてた事実を知ったり、下に見てた同僚・小手伸也にも追い越されたり、自信喪失するサラリーマンを戸次重幸が演じる。

スナックのママ・滝藤賢一は田舎町では理解されないゲイ。ある日偶然店に寄ってくれた同級生の丸山智己は、実は怪しい水などを売るマルチ商法販売員だった・・・。

これらの人を癒してくれるコーヒーを、青山(中村倫也)が淹れてくれる。

 

しかし、これら第3話(一回が2話仕立てなのでここまでで6話)の随所に、後のハードな内容の伏線が張られてるのだ。

あぁ、これは原作通りハードな部分までやっちゃうのね、と思った。

いいのか。引かれるくらいエグいぞ。絶対、この前半部分で癒しドラマだと勘違いしてしまった人は脱落するぞ。

キン肉マンをギャグ漫画と思って油断して読んでたら、ラーメンマンやブロッケンJr.が出てきたあたり一気にハードになったのと同じパターンだ。気合い入れて観ないときついぞ。

 

コーヒーを入れながら、ほんわりゆっくり語りかけるように話す青山(中村倫也)だが、右手には薬指と小指が隠れる手袋を常にはめている。

第2話(ep.3)、のどかな田舎の生活にうんざりして、テレビや雑誌でキラキラに見える東京に憧れる女子高生・山田杏奈。青山(中村倫也)のコーヒーワゴンに潜り込んで東京まで連れてきてもらい、ネットで知り合った女性(臼田あさ美/ep.4にも登場)に案内してもらったり泊めてもらうという。でも、実は騙されてて「あんたレベルは東京にはゴマンといる」と現実を突きつけられるわ、「タダで泊めてもらえると思ったん?」と半グレ男達に襲われそうになる。

そこに中村倫也登場。

優男に見える中村倫也をなめてかかり喧嘩を仕掛ける半グレ達。だが、あっけなく中村倫也にやられる。強い。強すぎる。喧嘩慣れしてる動き。そしてその目はいつもの優しい目ではなく、深い闇をたたえた瞳。

ラーメン屋で「まだびびってんすか」という後輩に先輩半グレは「ありゃァ、絶対過去に人を殺してる奴の目だ。真っ暗(まっくろ)の目だ」と。その会話を聞いていたチンピラが「兄さん、その話詳しく教えてくれない?」と・・・。

チンピラの名前はぺい(磯村勇斗)。この前半部分では正体は謎のままだが、青山(中村倫也)を追ってる(探してる)みたいだ。

 

青山(中村倫也)の強さは、第3話(ep.6)のゲイのママ・滝藤賢一が、元同級生の丸山智己にマルチ勧誘されてるところでも発揮される。執拗にハンコを押させようとする丸山智己を、スナックの奥のソファで寝てた中村倫也があっけなく成敗。その強さは異常だ。喧嘩慣れしてるってレベルじゃない。

第4話(ep.7)で、パンクしたタイヤを交換してもらうために寄った、昔の仲間が経営するガソリンスタンド&修理工場。昔の仲間ゴンザ(一ノ瀬ワタル)は青山(中村倫也)の過去を知ってるみたいで、本当にコーヒー屋になったん?なんかの罠?と勘ぐる。

あげくには「なるべく早く出ていってくれ」と、完全にビビってる様子。

そのガソリンスタンドの客で、愛する妻(松本若菜)を亡くしてコーヒーを絶っていたトラックドライバー(野間口徹)の心を癒した後、中村倫也は次の街へ。

 

頼まれてた希少な豆を渡すために、元バリスタチャンピオンの光浦靖子のカフェに立ち寄る。

そこで開催してるコーヒー教室には、遊び半分の有閑主婦の生徒に混じって、第一話(ep.1)で登場したOL夏帆の姿が。青山(中村倫也)の淹れてくれた珈琲で、コーヒーの世界にすっかりハマってるみたいだ。

しかし、昔の仲間ゴンザ(一ノ瀬ワタル)はぺい(磯村勇斗)に脅され、娘の無事と引き換えに青山(中村倫也)の車にGPSを仕掛けてた・・・。

ついにぺい(磯村勇斗)に見つかった青山(中村倫也)。巻き込まれる夏帆。

 

青山(中村倫也)の過去や、青山を追うぺい(磯村勇斗)の正体などが後半明らかになっていく。

 

ここからがハードな内容になるのだ。かなりエグイ暴力描写などがあるから、録りだめしてて一気観しようとしてる人は注意。特に気の弱い人や、ほんわかしたドラマと勘違いしてる人は、ここから先は見ない方がいいかもしれない。読まないでくださいね。

 

青山(中村倫也)は裏社会の人間で、暴力団(組織)の依頼で必要のない人間(ほるもん)を始末する壊し屋だった。当時は金髪で、無表情に淡々と相手を殴り続け、その圧倒的な暴力で平気で人を殺す。そう、常軌を逸脱したまっくろな目で。

その姿に憧れていつもくっついてるぺい(磯村勇斗)。

 

ある日、またも組織から依頼を受けた「ほるもん」を処分した後、二人は路地裏で変な浮浪者と出会う。その男の名前はタコ(光石研)といい、手にコーヒー豆を入れた籠(煎るための網)を持っている。

「美味しいのを飲ませてやる」と言うタコ(光石研)についていく二人。タコの住まいはお約束のガード下のバラックだが、中は驚くほど整理整頓されている。特にコーヒーミルやドリッパー、カップなどコーヒーに関するものはピカピカだ。

そのタコ(光石研)が淹れてくれたコーヒーを飲んで、青山(中村倫也)は驚く。

「美味い」と。

ぺい(磯村勇斗)には美味しさがわからない。

この二人の演技が素晴らしいのだ。

 

その後、青山(中村倫也)はタコ(光石研)の元に通い、コーヒーを習うのだが、人生で初めて夢中になれるものに出会えた喜びや、子供のようにコーヒーに夢中になる姿を見事に演じてる。まっくろな目をした殺し屋とは思えない。

コーヒーの淹れ方だけでなく、人生を楽しむために大事なことを色々、タコ(光石研)から教わ流うちに、次第に暴力だけの世界に嫌気がさし、ほるもんを処理する(仕事)にも躊躇するようになる。

 

コーヒーの美味しさがわからないぺい(磯村勇斗)は、コーヒーに夢中になる兄貴分に、置いてきぼりを食った子供のように寂しそうだ。青山(中村倫也)がコーヒーの道具を片付けた時の嬉しそうな顔。やっと自分のところに戻ってきてくれたんだと。やっといつものあの圧倒的な暴力の兄貴に戻ってくれるのだと。

磯村勇斗はこんな誰かを慕うチンピラ役が似合う。

「SUITS/スーツ」では中島裕翔演じる鈴木大貴の幼い頃からの親友というか悪友・谷元遊星役。真っ当に働こうとしてる中島裕翔を自分の裏稼業に巻き込もうとする、厄介な幼馴染を演じてた。

「今日から俺は!!」では、三橋(賀来賢人)や伊藤(健太郎)の喧嘩相手で、不良の巣窟と言われる開久高校のNo.2、相良猛を演じてた。「狂犬」と異名されるほど卑怯な喧嘩を得意とするが、最終回で番長の片桐(鈴木伸之)とともに開久高校を去る時の寂しそうな顔。

どちらも、強がっているが、置いてきぼりを食らいたくない、ひとりはいやだ、寂しいのは嫌いだという役だった。そして今回の「珈琲いかがでしょう」でも、見事に青山(中村倫也)を慕う弟分を演じた。

そういや、中村倫也も「今日から俺は!!」に出てたな。東京の不良・白原(紅野と偽名名乗ってる)で、無関係の大学生のアパートを勝手に占拠して居座ったり、開久高校の生徒をリンチして歯を全部抜いたりと、やりたい放題。自分が逃げるためなら仲間も平気で裏切る悪党を演じてた。

そう考えると中村倫也が今回演じた過去の壊し屋も、ぴったりな役なのかもしれない。

 

青山(中村倫也)がリンチされるシーンなどもかなりエグイ描写だが、その時の「俺はただ美味しいコーヒーが淹れたい。ただそれだけです」と言う中村の表情はとても印象的なのだ。

青山(中村倫也)がリンチにあってる時のぺい(磯村勇斗)は切なさそうで、「お前も殴れ」と命令された時のなんとも言えない表情は、こちらまで泣きそうになったよ。

淋しさを紛らわす飴のことも、そして三代目の命令で探してた理由も切ないが、自分の足をナイフで刺して青山(中村倫也)を逃がす健気さも最高だ。

そして今度は自分がリンチされながら思い出す珈琲が苦手な理由も・・・。

 

なんで三代目が青山(中村倫也)を探していたのか、そもそもなんで青山(中村倫也)はくみ抜けしてまでワゴンでコーヒーの移動販売しながら全国回っているのか。

細かいところが知りたければドラマや原作漫画を読んでくれ。俺が説明するより、スッキリ明瞭だ。

 

 

一つだけ気になったのはウインナーコーヒーの話。

今時「ウインナーコーヒーって、ウインナー・ソーセージがコーヒーに入ってるの?」なんてこと質問する人はいないと思うが、問題はそこじゃない。

ドリップコーヒーに生クリーム(ホイップクリーム)を乗せたこのウインナーコーヒーが、オーストリアのウィーン発祥だからそう呼ぶんだってところまではいい。

でもそれなら「ウィーン・コーヒー」でいいじゃないか。「ブラジラー・コーヒー」とか「コスタリアーコーヒー」とは言わんやろ?

それに「ブラジル」とか「コロンビア」って、豆の産地だけで呼ぶよね。それならただ単に「ウィーン」と呼べばいいじゃないか。

そもそもウィーンはドイツ語読みで(Wien)ヴィーン、フランス語読みなら(Vienne)ヴィエンヌ、米語で(Vienna)ヴィエナだ。ウィーンは日本語読みか?

「トルココーヒー」とか、「ベトナムコーヒー」というのだから、「オーストリアコーヒー」でもいいじゃないか。

謎は深まるばかりだ。

 

 

俺は1日に何杯もコーヒーを飲む。

以前は少ない日で5杯、多い日は10杯以上飲んでたが、最近は1日マグカップ3杯程度に落ち着いてる。ただし在宅時で、出かけるとカフェやサテンを見つけては入ってしまう。

カフェインは身体に・・・とか、飲み過ぎは・・・とか気にしない。美味しいから飲む。

最近世間では「身体に」とか「健康に」とか気にしすぎね。みんなそんなに健康ヲタクなのかな。病気にでもなってない限り、医者に止められてない限り、美味しいもん食え、好きなもん飲めって思う。

 

それではそろそろ、コーヒー淹れようかね。

たこさん仕込みじゃないけど、俺も結構美味しいコーヒー淹れれるんだよ。

さすがに焙煎まではしないけどね。

青山(中村倫也)のように、キッチンワゴンで移動カフェやろうかな。

 



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