GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

一度死んでみた 広瀬すずがデスメタル?

2021-06-05 22:45:47 | MUSIC/TV/MOVIE

緊急事態宣言発令中なので映画館に行けない。

なので家でビデオを観る。

ビデオと言ってるがDVDやBlu-rayだ。「Line通話する」を「電話をかける」と言ってるようなもんなので、そこはあんまり気にしないように。

 

一度死んでみた

物騒なタイトルだが、広瀬すず主演の娯楽映画だ。

 

ストーリーは単純明快。

親に反発して「死んでくれ」と言ってた娘が、実際に死んじゃった父を生き帰らすために、存在感の薄い男と一緒に奮闘する。

これじゃぁ何のこっちゃわからんか。もう少しちゃんと説明しよう。

すべてを物理や化学に置き換える理系脳の父・堤真一に育てられた娘・広瀬すず。幼少時は仲が良かったが、母・木村多江の臨終時にも研究に没頭して来なかったことから父に反発し、デスメタルバンドのボーカルとして不満を歌で爆発させてる。

「いっぺん死んでくれ」と。

その父が突然死んでしまった。

影が薄く存在感がないためお目付け役をさせられてた吉沢亮は、広瀬すずに事情を説明する。

「これは開発を進めている若返りの薬を巡っての合併トラブルから、情報を外部漏洩してる社内のスパイをあぶり出すための一時的な死なのだが、このままだと火葬され本当に殺されてしまう」と。

二人で協力して父を生き返らせようと奮闘する。

 

これがこの映画のあらすじだ。

相変わらずあらすじを書くのが下手だなぁ。まぁそんなことは今更気にしてもしょうがない。詳しく知りたい人はググるかwikiでもみてくれ。っていうより映画観てくれ。その方が早い。

 

この映画、はっきりいって面白い。

ヒットしたのか興行収入がどれくらいだったのかは知らないが、この映画が公開されたのは約1年前、コロナの猛威がようやく日本でも理解され始め、自粛だ、いやそれは大げさだと世論が言い始めたくらいの頃なので、そんなものはあてにならない。

 

娯楽映画はこれでいい。

単純明快でテンポよくわかりやすい。

「本当の家族とは何か」とか「人生とは、生きるとは、巨匠なんとかが描くどうたらこうたら」なんてテーマを深く掘り下げて描いた、映画賞が喜びそうな文芸作品ならいざ知らず、気楽に見れる映画はこれでいい。

親に反発して「死んでくれ」といってた娘が、実際に死んじゃった父を生き帰らすために、存在感の薄い男と一緒に奮闘する。

そんな映画に堅苦しいものを入れられても困る。

だいたいそういった重いテーマの映画は画面が暗い。見てて気が滅入ってしまうので、こんなコロナ禍で巣ごもり中はきつい。こっちのメンタルがやられてしまう。

 

この映画は脚本がいい。

観てれば、なるほど、これでそうなったのねって理解できる。昨今の何でもかんでもセリフの中に入れて説明されるのはどうもね。お前らにはここまで丁寧に説明しないとこのシーンの意味とか判らないだろ?ってバカにされてるみたいでね。

父・堤真一が理系脳ってこともよくわかる。娘・広瀬すずがまだ子供の頃から、何でも物理化学で説明して育ててたってことも、上手く描いてる。「花火の色はね、こういった化学反応で、だからこう見えてるんだよ」とかね。

だからと言って頑固でも、扁壺でもない。いつもにこやかで瑣末なことは「まぁいいか」ってところも、いかにも研究者上がりの製薬会社の社長って感じがしていい。だから簡単に策略にはまってしまうのだ。

 

娘・広瀬すずが、母・木村多江の臨終時にも研究に没頭して来なかったことから父・堤真一を嫌いになり・・・っていうよくある黄金パターンも上手く描いてる。

通常ならそこで家を出て一人暮らしをしてたり、疎遠になってるってのが王道だが、この映画はちょっと違う。家では境界線を引き、部屋ではサンドバックに似顔絵を貼り「死ね」とストレスをぶつけているが、朝ごはんは一緒に食べる。

デスメタルバンド「魂ズ」のボーカルで、で不満を歌詞に乗せ「早く死んでくれ」とシャウトしてるが、見に来た音楽プロデューサー・大友康平に「魂がこもってない」「これじゃぁ『魂ズ』じゃなくただの『ズ』だと酷評される。

これらで、口や行動とは裏腹に父をそこまで本当に嫌ってないって事がわかる。父・堤真一が社長を務める製薬会社・野畑製薬に就職する気はないが、面接だけは受けに行ってるくらいだもんね。

 

キャスティングも娯楽映画らしく豪華だ。

あまりの存在感のなさから「ゴースト」と呼ばれているお目付け役・吉沢亮。その影の薄さは随所で描かれる。静電気もちってところが妙に共感できる。俺もそうだから。

野畑製薬古参研究員の藤井さん(通称ジィさん)を演じるのは松田翔太。若返りの薬「ロミオ」開発してる途中で2日間だけ死ねる薬「ジュリエット」を作ってしまう。実際に自分で飲んで治験してるってところがミソ。

コンサルタントの小澤征悦。「経営再建のプロ」と招かれ、情報漏えいのスパイをあぶり出すために「ジュリエットを飲んで2日間だけ死にましょう」と堤真一に持ちかける。「いやいや、お前が一番怪しいだろ」って期待を裏切らずスパイだがマヌケすぎてお茶目。

天国への道先案内人にリリー・フランキー。おとぼけた飄々とした感じがいいね。堤真一がダダを捏ねるのに付き合うちょっとお人好しなところもいいね。

妻夫木聡はクラウンホテルの支配人。

いきなり火葬されたのでは生き返る前に焼かれちゃうので、葬儀をして時間を伸ばそうとする広瀬すずや吉沢亮だが、裏で糸を引くライバル製薬会社・ワトスン製薬の社長・嶋田久作に棺桶発注や葬儀会場を先に全部埋められてしまう。

そこで思い出したのが、郷ひろみのディナーショーが急遽中止になったクラウンホテルの宴会場。妻夫木は葬儀に使うのはNGだと断るが「魂ズ」のクリスマスミサだと言われ許可する。当日受付や式微など「どう見ても葬儀じゃないか」を「いやこれはあくまでもミサだ」と言い返すやりとり(ツッコミとボケ)の演出は見ごたえあり。

 

いや、かなり無駄使いも多い。

竹中直人はお坊さん、城田優は警備員、佐藤健は高級クラブのボーイで池田エライザはそこのホステス。ほぼセリフなしか一言のみ。カメオ出演か?ちなみに郷ひろみはポスター画像と(歌:ジャパーン部分)のみ登場だ。

野畑製薬の研究員に柄本時生、西野七瀬、前野朋哉、志尊淳。社長の堤真一が死んだことより、その死体が安置されてるために食堂が使えないことを嘆いてる。セリフは各自一言二言程度。なんて無駄使いだ。

葬儀シーンでは宇宙飛行士の野口聡一さんまで登場。まぁ、途中に出てきた社長室に飾ってある宇宙服などはクライマックスのネタ振り・伏線なので重要なんだけど、野口さん本人まで登場させる必要があったのかなかったのか。予算がふんだんに使えたのかね。

 

研究ノートを家でようやく見つけた二人の前に立ちはだかる悪者二人。このワトスン製薬から雇われた悪者を演じる(と言っても演技はできてないけど)のは、プロレスラーの真壁と本間。っていうかお前ら二人とも、「ルパンの娘」に田中みな実演じる怪盗の部下で出てなかったか?

真壁は相変わらずぶっといチェーンを首に巻いてて、本間は相変わらず何言ってるわからん滑舌の悪さで、お約束のように広瀬すずにあっけなくやられる。「ネメシス」でカラリパヤットの使い手を演じてる広瀬すずの敵ではない。

その「ネメシス」では中華料理屋のマスターの加藤諒、今回は「魂ズ」のファンを演じてる。デスメタルファンというよりはアイドルのファンのようだが、彼はオタクっぽい役がよく似合う。

広瀬すずのお目付け役の吉沢亮をストーカーか?と怪しがり、ファン仲間とともに居酒屋で詰問するが、薬関係の仕事(製薬会社勤務)をクスリを売りさばく売人やヤク中と勘違いする。挙句には酔っ払った吉沢亮に「呼んだら5分で来い」と舎弟にさせられるところなんか「翔んで埼玉!!」っぽい卑屈さが出てて良し。

 

とまぁ、娯楽映画ならではの豪華キャスト(一部無駄使いだが)で展開されるエンターテイメント娯楽映画。

バンド「魂ズ」の演奏シーンが嘘っぽいとか、広瀬すずのボーカルがデスメタルではないとか、そんなことはどうでもいいのよ。気にしちゃいけない。これは音楽映画ではないのだからね。広瀬すずって意外と歌うまいのねくらいで観てくれ。

劇中、「魂ズ」のドラムスが木魚のリズムに合わせながら、山の手線駅名を念仏代わりに唱えるシーンがある。あぁ俺も、いつも葬儀や何回忌だとかでお坊さんの読経を聞いてると、「あぁこれって究極のラップだなぁ」と思ってしまうなぁと。(罰当たりだけどね)

 

あと、劇中BGMで映画「ゴースト/ニューヨークの幻」のアンチェインドメロディや、「2001年宇宙の旅」のツァラトゥストラはかく語りきが使われてる。

アンチェインドメロディがアレックス・ノースの曲だということは有名だが、「2001年宇宙の旅」のBGMもスタンリー・キュブリックに依頼され作ってたのに、知らない間にボツにされてたって逸話がある。なんか絡んでるのかな?誰かわかってる人がいれば教えてください。

 

広瀬すずは演技うまいなぁ。

今放送されてる「ネメシス」をはじめ、視聴率は取れない女優とされてるけど、これって番宣しない・出ないからじゃないかな。彼女は多分バラエティ番組に出るのが嫌とか苦手になったんじゃないかな。

以前、とんねるずの番組で「なんであの人は照明を仕事にしようと思ったのかな」っていう部分だけ切りとられ、「裏方をバカにしてる」とか「女優が上だと勘違いしてる」って炎上したからね。

「普段暇なときは何してるの?」と聞かれたから「人間観察してる」って答え、さらに「どんな風に?」と聞かれたから「何でこの人はこの職業につこうと思ったのかなぁとか考えたり」って答えたら、さらに木梨に「じゃぁあの人見てどう思う」ってスタジオの ADを指して言われたから「なんであの人は照明を仕事にしようと思ったのかな」って答えただけなのにね。

海街diary」や「ちはやふる」で見せた演技はかなりのもので、かなり評価が高かったからその反面、アンチも多かったのかもしれないね。

成功したり頑張ってる人の粗探しをして、悪口を言う(SNSでつぶやく)事でマウントが取れたと勘違いする変な奴らっているもんね。最近特に増えたもんね。

 

そんな奴らこそ「いっぺん死んでくれ」だ。

って、うまくまとめたつもり。

 


仲間由紀恵は笑わない

2021-06-03 19:19:26 | MUSIC/TV/MOVIE

仲間由紀恵主演のドラマを見るのは久しぶりだ。

「女王の法医学〜屍活師〜」。

今回仲間由紀恵が演じるのは、タイトル通り法医学の先生。大学の法医学研究所の准教授で、検視にかけては天才的な能力を持っているが、その身勝手さや横柄な態度・物言いから「女王」と周りから言われてる桐山ユキ。

 

このドラマが面白い。

原作は社野亜希さんの人気漫画だそうだが、読んだことがなかった。全18巻だそうなので今度読んでみようと思うが、それだけ原作(ネタ)があるなら是非このドラマはシリーズ化してほしい。いや、連続ドラマ化してほしいくらいだ。

今回は単発2時間ものだったが、かなり見応えあったもん。

 

仲間由紀恵は笑わない役が似合う。

今回の役は「女王」と呼ばれるだけあって、超クールな仲間由紀恵が堪能できる。

 

と言っても、仲間由紀恵は今までもほとんど笑う役はしていない。

「コメディの作品に結構出てるじゃないか」と思われる方も多いだろうが、いつも実はほとんど笑ってないのだよ。「ニコッ」と微笑むことはあるが「ハハハ」とは笑わない。笑ってても目が笑ってないとかなのだ。

出世作「TRICK」でもそうだ。堤幸彦ワールド全開で、あれだけ随所に小ネタとコメディが張りめぐされてるのに、仲間由紀恵は笑わない。ニヤっとか、テヘっとかはするが基本無表情だ。

もう一つの出世作「ごくせん」でもニコニコとしているが、それは笑ってるのか?と聞かれたらちょっと違う気がする。実家の家業や喧嘩っ早い素性がばれないように気をつかってるだけだろう。

 

そう、コミカルな演技はしても笑わない女、それが仲間由紀恵だ。

 

ブレイク直前の「神様もう一度だけ」での深田恭子に嫉妬心燃やす役でも、「P.S.元気です、俊平」で堂本光一の初恋の人なのに本屋の店長と不倫してる役でも、「二千年の恋」で中山美穂の妹だが、東幹久にボロボロにされる役でも笑わない。

「顔」で似顔絵書きの警察官を演じても、「SAKURA」で聴覚の優れた刑事を演じても、「ゴーストママ」で殉職したが残した子供が心配で成仏できない警察官を演じても、笑わない。もちろん「相棒」でも笑わない。

「美しい隣人」や「サキ」、「10の秘密」、映画「g@me」などのサスペンスものでは当然笑わないし、「アンタッチャブル」で事件記者を演じても、「美女と男子」で芸能プロダクションのマネージャーを演じても笑わない。キムタク主演の「Mr. BRAIN」にゲスト出演しても笑わない。

いつの時代でも笑わない。

戦国時代末期の「功名が辻」で山内一豊の良妻賢母を演じても、江戸初期の「SHINOBI」で女忍を演じても、「大奥」で総取締役を演じても、明治末期〜昭和初期の「花子とアン」で吉高由里子の友人(?)を演じても、「私は貝になりたい」で太平洋戦争後に戦犯にされてしまう中居正広の妻を演じても笑わない。

 

そんな笑わない仲間由紀恵、今回の法医学の女王さま役は見事にハマった。

大学の医学部四回生で、希望の外科ではなく法医学研究室に自習配属になってしまい、いまいちやる気のない松村北斗(Six TONES)演じる犬養一を「ワンコ」と呼び、パワハラ同然、コンプライアンスお構いなしにこき使う仲間由紀恵女王さま。

うーんKOOLだねぇ。(千堂大善/椎名桔平by桜の塔)

彼女の白衣姿は「ナイトホスピタル」以来だ。「サキ」では看護師だったから白衣は着ていなかったと思う。

よく似合ってる。出産後ちょっとふくよかになられたみたいだが、まぁそれも魅力だ。っていうより二児(双子)の母とは思えないな。

ドラマで法医学の先生(法医)を、いろんな役者が演じてる。

若村麻由美(科捜研の女)、北大路欣也(刑事7人)、上野樹里(監察医朝顔)、藤原竜也(ST 赤と白の捜査ファイル)など。

今回の仲間由紀恵も遜色ないぞ。

 

ある事件がきっかけで死体にしかメスが入れれなくなった(から法医になった)とか、その事件後になった味覚障害はまだ治らないのかとか、お前のせいで弟は死んだと今でも思ってるとか、桐山ユキ(仲間由紀恵)の過去を知ってる刑事・村上を演じる田辺誠一。

法医学研究所の所長だが、実質的にすべて桐山ユキ(仲間由紀恵)に任せてる丹波教授を演じる石坂浩二。

仲間由紀恵にとって、この二人が出てくれるのはとても心強いだろう。

生瀬勝久さんとの共演がかなり多いイメージのする仲間由紀恵だが、田辺誠一とは「ナイトホスピタル〜病気は眠らない〜」や映画「リング0 バースデイなどで共演してる。

石坂浩二さんとはかなり多い。「相棒」「島の先生」「森光子を生きた女」「東京湾景」や、「私は貝になりたい」など多数のドラマや映画で共演している。

そういや石坂浩二の白衣姿を見るのは「白い巨塔」(2003年唐沢Ver.)以来かも。「東教授のご回診〜」って聞こえてきそうだ。

 

でも結構ドラマでも登場する法医だが、現実問題として法医になる(目指す)人は少ないそうだ。そりゃ、手術や治療して治す方が医者としてはやりがいあるもんな。死体は治らないし生き返りもしないもんね。

どこも人材不足だから、よほど不審死か事件性がない限り、司法解剖しない(できない)状況も問題だそうだ。

 

今は法医だけでなく、医師も看護婦も足りない。

新型コロナウイルスの治療に当たってる医師や看護師は、寝る間もなくフル回転だ。

逼迫して破綻しかかってる医療現場で、今日も懸命に頑張ってくれてる人たち。感謝しないとねってつくづく思う。

それなのに五輪やってる場合か?スポーツドクターだの看護師だの派遣しろってよく言えるよな。

「これ以上は死活問題だ」と嘆いて、時短営業や酒類提供の依頼や命令無視して営業してる場合か?

ましてや自粛疲れとか言ってる場合か?「お偉いさんが破ってるのに自粛してるのが馬鹿らしい」とか「飲食店を助けるためだ」とか言い訳して、のこのこ飲みに出かけて行ってマスクもせず酔っ払って大声で楽しんでる場合か?

お前らがコロナに感染しても、診てくれる病院ないぞ。入院できる施設ないぞ。家で寝てても治らんぞ。

もう少しだ。ワクチン接種率が目標数に達するまで、もう少しだけおとなしくしておけ。

 

知らなかったのだが、この「女王の法医学〜屍活師〜」、以前にフジテレビにて松下奈緒主演で単発ドラマ化されてたのね。関ジャニ∞の横山裕くんが、今回は松村北斗(Six TONES)くんが演じた犬養一役だったのね。

今回の仲間由紀恵バージョンはテレビ東京。権利とかなんかいろいろややこしいのかな。

でも、シリーズ化、連続ドラマ化希望。

なぜ死体にしかメスを入れれなくなったのか知りたい。

チリペッパーソースをダバダバかけてたり、辛いせんべいをいつも食べてたり、コーヒーに砂糖何回も入れたりって味覚障害になぜなったのか知りたい。

田辺誠一が「お前のせいで弟は死んだと思ってる」という、その事件とは何?

原作漫画大人買いして、一気読みするしかないのかね。

 

笑わない仲間由紀恵のクールな姿をもっと見たいのだ。

 


西島秀俊 シェフは名探偵

2021-06-01 21:14:01 | MUSIC/TV/MOVIE

美味しそうなドラマが始まった。

西島秀俊主演の連続ドラマ「シェフは名探偵」。

先日放送された第一話を見たのだが、これが面白い。

 

西島秀俊が今回演じるのは、フレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」のシェフ三舟忍。

西島秀俊といえば現在NHK朝ドラ・おかえりモネで、主演の気象予想(予報?)士を目指す清原果那をサポートする気象キャスターとして出演しているのだが、某報道番組では「潜入捜査員にしか見えない」などと言われたりしてる。確かに彼は、MOZUCRISISメゾン・ド・ポリス奥様は取扱注意まで、なんか警察や公安などの役のイメージが強い。

だが今回は、冷静沈着で穏やか、一見何を考えてるかわからないが、実はすごくお節介なシェフだ。

店に訪れたお客様たちに関わる事件や不可解な出来事の謎を解いていく、グルメミステリードラマだ(と宣伝文句には書いてある)が、別に前職は潜入捜査員でも、公安のスパイでもない。

 

「ビストロ・パ・マル」で、シェフ三舟忍(西島秀俊)の片腕を務めるスーシェフ(副料理長)志村洋二に神尾佑さん。

ワイン好きが高じてOLからソムリエ(女性だから本当はソムリエールだと思うのだがそこはスルー)に転向した金子ゆきを石井杏奈さん。

そして第1話で、会社をリストラされた失意の中、1年前に大きな取引をまとめれたお祝いをした思い出のレストランに食事をしにきて、シェフ三舟忍(西島秀俊)に「うちで働かないか」と持ちかけられ、ギャルソンとして働くことになった高築智行を濱田岳さんが演じる。

 

この4人が、うまいのだ。

 

第一話を見終わってからふと気がついたのだが、このドラマ、ほぼレストラン(ビストロ・パ・マル)だけで撮られて作られているのだ。

ギャルソンになった濱田岳が店の表を掃除したり、看板をOPENやCLOSEにするシーンはあるが、基本店内のみの映像で話は進んでいく。

小林薫主演の名作、深夜食堂も基本的には店内映像のみだったから、今回もそんな感じかな。

室内劇、言うなれば舞台での演劇と一緒なのだ。したがって、そうなると役者の演技力に全てがかかっているのだ。

 

第一話で、デザートに使うチョコレートのダメ出しをお客様(玉置玲央)にされる。そのわずかな劣化に気づき指摘した客は、今話題のお店をオープンしたばかりのショコラティエとわかり、スーシェフ・神尾佑とソムリエ・石井杏奈は「まだ開いてるな、ちょっと買いに行こう」と立ち上がる。

だが、その店(ノンブル・プルミエ)に行くシーンはない。次のシーンは玉置玲央の店で買ってきたチョコを店でみんなで食べるシーンだ。

しかし全然違和感がない。

実際に人気チョコレート店(ノンブル・プルミエ)に行って並んで買って、店(ビストロ・パ・マル)に帰ってきて、さぁみんなで食べてみようってのが、ちゃんとこの短いシーンで繋がるのだ。みんなの演技力・表現力の高さゆえ可能なのだ。(ちょっと石井杏奈がきつそうだが、頑張れ!)

 

第一話では偏食の激しい気むづかしいお客様(奥田洋平)さんの話も並行して行われる。

食べれないものが多すぎる奥田洋平だが、料理を気にいられて常連になってもらえた。彼がいつも連れてくる女性(冨手麻妙)が奥様ではなく、秘書で愛人だということをシェフ(西島秀俊)は見抜いてた。

落としたイヤリングを探しに来た彼女に言う。「あなたは彼と別れるべきだ」と。

出たお節介。これがこのドラマのお約束だろう。

 

この第一話だけで、シェフ・西島秀俊が、料理の腕は抜群っだということ、洞察力と観察力に長けていること、そしてお人好しのようなお節介を焼くという人だということが、うまくそつなく表現されてる。

脚本も演出もいいし、それぞれの演技力が高いから可能なのだ。

 

秘書・冨手麻妙は彼・奥田洋平の奥様は料理下手だ、まずいのは下処理も何もしてないからだ、それは愛情不足だ、私なら・・・と語るが、シェフ・西島秀俊にはその本当の理由もお見通しだ。

ショコラティエ・玉置玲央は店に連れてきた妹・井上小百合に、現在闘病中の母親の見舞いに行かないことを責められる。帰国して店をオープンしたてで忙しいのを言い訳にしてるが、シェフ・西島秀俊は彼が母親のお見舞いに行かない本当の理由もお見通しなのだ。

 

店名ノンブル・プルミエの通り、玉置玲央のお店では素数(割り切れない数)入りの詰め合わせしか用意してない理由なども含め、ショコラティエを目指した理由、母との思い出の回想シーンなどはイラスト風で表現してある。

秘書&愛人の冨手麻妙が彼・奥田洋平の家で奥様の手料理を食べた回想シーンも、イラスト風に表現してある。

基本的に室内(店内)劇以外の部分は、イラスト風に表現されるという不思議な演出を使ったドラマなのだ。

 

西島秀俊は、前述の公安や警察組織のハードボイルドな役のイメージが強いが、料理といえば「きのう何食べた?」で演じた料理男子というイメージも強いみたいだね。

俺は彼の料理やシェフ姿といえば、映画「ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶」の方が印象が強い。

麒麟の舌と呼ばれる絶対味覚を持ち、天皇の料理番(佐藤健じゃないよ)をしていたが「大日本帝國食彩全席」を作るために満州に渡り、太平洋戦争開戦直前にそのレシピとともに姿を消した悲劇の天才シェフ・山形直太郎を演じてたのだ。

映画では、現代にその麒麟の舌を持ち、お客さまの記憶にある「最後に食べたい料理」を提供するシェフを二宮和也が演じ、依頼された「行方不明の大日本帝國食彩全席レシピの再現」を探るうちに、レシピの裏に隠された歴史の真実や、彼の出生ルーツまでもが明らかになってくる。という、とてもスケールの大きな見応えある映画だ。

料理をテーマにした話なので、当然調理シーンや食事のシーンなどがふんだんに出てくるが、ただの「おいし〜ぃ」ってグルメ映画では無い。

是非一度観てくれ。

 

昨今グルメドラマは多々あるが、ほとんどは食べ歩きメインだ。孤独のグルメのヒットに便乗したかのようなね。

シェフや料理店をメインとした料理ドラマは少ないが、でも、過去には結構名作や印象に残ってる作品がある。

木村拓哉主演の「グランメゾン東京

竹内結子主演の「ランチの女王

江口洋介主演の「dinner」、唐沢寿明主演の「おいしい関係」、天海祐希主演の「Chef〜三つ星の給食〜」、向井理主演の「ハングリー!」てのもあったな。

 

料理ドラマの醍醐味は何と言っても、調理シーンが大事だ。颯爽と炎を操り鍋を振ってほしいし、スパッと包丁やナイフを入れてほしい。もちろん出来上がった料理は、いかにも美味しそうに見せてほしい。

その点でも、今回の「シェフは名探偵」、問題なしだ。

料理は美味しそうだし、調理シーンもサマになっている。そういや、西島秀俊は「メゾン・ド・ポリス」でもみんなの食事を作ってたな。

プライベートでも料理するのかな。謎だ。

まぁ、だから彼は謎な役が似合うのかもしれない。

 

ドラマ第一話ラストで、濱田岳に「なぜ僕をギャルソンに誘ってくれたのですか?」と聞かれた西島秀俊は「8年前に流行ってるラーメン屋に入った時、麺の茹で加減やトッピングなど、10人近くのややこしいオーダーを間違えずに記憶してたバイトがいた」と答える。

そして「その彼は、1年ぶりに来たこの店で、以前食べた料理やワインまでもメニューも見ずに注文した」「能力は衰えてないとわかった」からだと。

どちらもなんて記憶力だ。

でも、最後の質問「店名のビストロ・パ・マルってなんでつけたんですか?」には、シェフ西島は答えをはぐらかし逃げてしまう。スーシェフの神尾佑も、ソムリエの石井杏奈もそそくさと退散・いなくなってしまう。

これも謎だ。

そして店の前で掃除してる濱田岳の前にひょこっと現れる佐藤寛太も謎だ。彼は原作ではオーナーのハズなのだが・・・。

 

もちろん次週も観るぞ。楽しみだ。

 

 


深田恭子の休業

2021-05-27 17:15:10 | MUSIC/TV/MOVIE

深田恭子が休業するそうだ。

適応障害。

心身症とか鬱とかと一緒でストレスが原因ってのはわかってるが、だからと言って何かしたら治るとか、これを飲めば治るとかってもんじゃない。だから、今はゆっくり休んでほしい。

普段ならあれやこれやと騒ぎ立てるマスコミも、今回ばかりはデリケートなことだからか、腫物に触るように事務所から発表された言葉だけを忠実に伝えてる。

 

はっきり言ってマスコミ・メディアはいらんこと書き過ぎ、報道しすぎ。

つい先日の新垣結衣の電撃結婚の際も、「残るは綾瀬はるかと深田恭子だ」と書きたてた。

これってマリッジハラスメント(marriage harassment)ではないのかね。

親からの「あんた結婚は?」攻撃。田舎の親戚の「結婚はせんのかいな」爆撃。先に結婚した昔の友人から謎の「結婚してないあんたが羨ましいよ」魚雷。上から目線の「子供の笑顔見てたら幸せだよ。産むなら早くしなくちゃ」地雷もある。

それに等しいのがマスコミの「次は」「残るは」で、そこにSNSの「俺たちにはまだ」が加わる。でも、これはれっきとしたハラスメントではないのかね。

 

同じホリプロには石原さとみもいて、彼女が結婚した時も「ホリプロ三姉妹、残るは綾瀬はるかと深田恭子」ってマスコミは書きたてた。

大きなお世話の一つに「深キョンレベルになると相手もそれなりのレベルでないと釣り合いが取れない」ってのもある。

石原さとみの旦那が、一般人とはいえないくらいのエリート・高収入男だったからと言って、綾瀬や深キョンの相手は実業家の何々ととか、大手なんとか企業の社員と交際してて結婚は秒読みだとか、あることないことを書き立ててきたマスコミにも、今回のストレスの責任はあると思うぞ。

 

だいたいそんなのは当人たちの問題であって、相手が芸能界の人だろうが一般人であろうが、金持ちだろうが貧乏だろうが関係ないだろう。三高必須の玉の輿狙いしてたバブル時のOLじゃあるまいし。

いい人がいて結婚したいと思えばするだろうし、別に結婚しなくていいと思えばしないだろう。交際0日でも10年付き合ってても、する人はするししない人はしない。ただそれだけだ。ほっといてあげてくれ。

 

深キョンの友人に浜崎あゆみがいる。

今も仲がいいのかわからないが、昔「ayu ready?」という浜崎あゆみメインのバラエティ番組があって、そこに深キョンがゲストに出た時、仲良しアピールしてた。

彼女も相手が公開されていない(していない)シングルマザーで、つい先日2人目を産んだ。そんなことも影響してるのかな。

 

深田恭子は歌が上手い。

「ayu ready?」出演時、ayuと一緒に歌を歌ったのだが(ユーミンの曲だった気がする)、「うわぁ、めっちゃ歌うまいやん」って驚いた記憶がある。(元もとは歌手志望なのね)

長くイメージキャラを務めてるメナードのCM。もう21作目だそうだが、毎回深キョンは鼻歌みたいに「フェイシャルサロン 月二回 メナード」と歌う。しかしこのCM曲、サビのとこもそうだが、その前の部分もかなり音程を取るのが難しい歌である。実際このメロディラインを歌ったらわかる。

KinKi Kidsの「新堂本兄弟」で、錚々たるミュージシャンに混じってピアノ弾いてたくらいだから、もともと音感とかもしっかりあるのだろうけどね。

 

深田恭子はサーフィン好きだ。

役柄では不思議ちゃんとか、おっとりしたお嬢様役が多い深田恭子だが、実生活ではサーフィンをこよなく愛すアクティブレディだ。

コロナ禍で、スケジュールがバッサリ空いても、このご時世、おちおち波乗りにさえ行けない。そんなストレス発散ができなかったのも関係するのかな。コロナ鬱ってのもあるからね。

 

深田恭子を最初にTVで見たのは、多分「それが答えだ!」だ。

天才マエストロと評された三上博史だが、性格が悪くて楽団員にそっぽを向かれ解雇され、隠れるように生活している田舎で、ひょんなことから中学校のオーケストラ指導をさせられるって話。深キョンは藤原竜也と一緒に生徒役(オーケストラ部員役)で出てた。

まだそれほど売れてない頃の藤原紀香も出てたが、これ、残念ながらDVD化されていない。(はず)

 

次がたぶん「神様、もう少しだけ」だ。

このドラマは今更説明するまでもないくらい有名だが、ギャルの深キョンが援助交際するし、HIVに感染してしまう、悲しく美しい名作だ。

でもこのドラマ、当時は深キョンよりも仲間由紀恵の方に注目して観てたの。姉(宮沢りえ)の元恋人である金城武が仲良くする深キョンに嫉妬し、嘘をつき、それが二人の運命を・・・って役。「TRICK」や「ごくせん」でブレイクする前の仲間由紀恵が深キョンに負けじと可愛いのだよ。

 

で、映画「下妻物語」ね。

賛否両論分かれるけど、これ、めっちゃ面白い映画よ。ヤンキーで特攻服の土屋アンナと、ロリータ服をまとった深田恭子のコンビ。続編がなぜ作られなかったのか不思議なくらい爽快痛快な映画だ。

深田恭子のロリータファッションの似合うこと。この映画のせいで、その後の深キョンの不思議ちゃん&ふわふわイメージができてしまったと言っても過言ではない(と思ってる)。

お父さん役の宮迫がいい味出してる。ペチモン(バッタもん=偽物)のヴェルサーチを売ってたりね。最後深キョンが尼崎弁でまくしたてるとこは、この父と一緒に暮らしてるって設定がなかったら不自然なのだ。

この映画は数々の映画祭で評価されたのだが、ヨコハマ映画祭か毎日映画コンクールかどっちだったかは忘れたが、深田恭子が主演女優賞を受賞したことに某ベテラン女優(誰か忘れた)が「キワモノが受賞するようじゃダメね」的な発言をして物議を醸した。

樹木希林が「映画なんて面白かったらそれでいいのよ」とフォローしたのが印象的だった。賞とか権威に興味がない樹木希林さんならではだね。

 

そして何と言っても「富豪刑事」。

筒井康隆の原作と違って、設定を女性に変えたのは深キョンに主演さすためだろうが、これがまた傑作に面白いドラマなのだ。

新米刑事だが実は大富豪の孫である深キョンが、事件解決のために大金を惜しげもなく使う。まるで「俺の空(by本宮ひろ志)」の女版。

捜査会議で煮詰まってるところに「あの〜ちょっとよろしいでしょうか」と手を挙げ、突拍子もないアイデアを提案し、上司の山下真司は呆れるが、署長の西岡徳馬は「面白いじゃないか」「いいじゃないか」と採用するのがお約束。

犯人を監視するために周りのビル全部買い取ったり、容疑者に尻尾出させるためにアラブの大富豪を動かしたり、世界的権威の賞をとらせたり、挙句には宝くじ全部買い取って当たりくじを引かせるってのもあったな。

刑事になった孫娘を可愛がる夏八木勲。「今まで悪いことしてきたから」と「罪滅ぼし」で「いいこと(捜査)に全財産使ってくれ」と言うが、捜査で深キョンが散財するも、事件解決後には利益が出てしまって「増えとるじゃないかぁ」と嘆くというオチもお約束。

まだ無名の頃の寺島進が一気に知名度を上げ飛躍した作品でもあるね。

 

深キョンは英語がうまい。

「TOKYOエアポート」という羽田空港(?)の管制塔を舞台にしたドラマで、管制官を演じる深キョン。航空管制官という役柄ゆえに英語を使うシーンがめっちゃ多いのだが、かなりペラペラに喋ってる。

「キャビンアテンダント刑事」という2時間ドラマでも、ペラペラに喋ってた。実際にペラペラなのかどうかは知らないが、彼女ならネイティブに喋りそうだ。

 

深キョンはアクションもできる。

おっとりしたイメージのお嬢さんって役が多い深田恭子だが、実はアクションもできる。

TVドラマ「専業主婦探偵〜私はシャドウ」では運動音痴の主婦だったし、「ハロー張りネズミ」(瑛太主演)でもそんなにアクションしてないやんって言われそうだが、映画「ジョーカーゲーム/JOKER GAME」(亀梨和也主演)ではルパン三世の峰不二子のように敵か味方かわからない女スパイを演じ、激しいアクションをこなしているのだよ。

「ルパンの娘」でも、ボディスーツを身にまといアクションをこなす。敵とハードなアクションで戦い、「悔い改めな」という決め台詞を放つのがお約束。映画「ヤッターマン」のドロンジョといい、CM「UQモバイル」といい、深田恭子にはボディスーツ(ほぼコスプレ)が似合う。

「ルパンの娘」は視聴率は悪かったはずなのに、続編が作られ、それもあんまり芳しくない視聴率だったはずだが映画化もされるという不思議さ。これが深キョンマジックってやつか。

映画「ルパンの娘」はもう撮り終わってるだろうし、公開も10月15日だから問題ないだろう。この7月からのフジテレビ系連続ドラマは降板したらしい。

横浜ゴム(タイヤ)のCMで「雨の日の運転って心配だよね」と、顔面ドアップで舌足らずにたどたどしく語りかけてくれる深田恭子。

君の身体の方が心配だよ。いや、心か。

どちらにしても、今は何も気にせず、ゆっくり静養してほしいな。

 

午後の紅茶でも飲んでリラックスしてくれ。

好きなサーフィンで発散してくれ。


CMソングは商品名入りが多い

2021-05-23 16:53:41 | MUSIC/TV/MOVIE

「この木 なんの木 気になる木」

作詞家の伊藤アキラさんが亡くなられた。

といってもこの方の名前、存じ上げてなかったの。

お亡くなりになられたという訃報が、生前お作りになられた歌詞のあれこれと共に発表され、「あぁあの曲の詞を書いた人なのか」「伊藤アキラさんという方なのだね」と知ったくらいである。

 

普段何気に聞き流してしまう、テレビで流れるCMソング。

70年代のCMソングは企業名・商品名をメロディにのせたものが多かった。

有名なのはロート製薬。鳩が飛び立つバックで「ロート ロート ロ〜ォ〜トー」と繰り返される。

「ハウスバーモンドカレーだよ〜」「カルビーのかっぱえびせん」「しょ〜ちくばい(松竹梅)」「サッポロいちばん みそらーぁめん」

「ミルキーはママの味」とか「あ〜らよっ出前一丁」といったように、ちょっとイレギュラーでも基本的には、会社名や商品名をメロディにのせる。

商品名をメロディにのせることによって耳障りをよくし、知らない間に覚えてる。気がついたら口ずさんでるといった、まるで悪魔の白い粉のような中毒性で、知名度や認知度をあげようって狙い。

それが当時のCMソングの王道だ。

 

伊藤アキラさんのCMソングにはそれが無い。

代表作にあげられる「この木 なんの木 気になる木」は、日立のCMソング「日立の樹」だが、別に商品名も企業名も出てこない。

ライバルのナショナル(現:Panasonic)が、「あっかるいナショナル あっかるいナショナル 家中(うちじゅう)みんな 何でもナショナル〜」と企業名(ブランド名)を連呼してたのとえらい違いだ。

 

吉村大阪府知事の血迷ったかのような「ポビドンヨードがコロナに効く」発言によって、一気に品切れになったうがい薬「イソジン」のCMソングも伊藤さん作詞だ。

「ただいまのあとは ガラガラジンジン」

これも商品名は連呼されない。

タイトルが「ただいまのあとで」というこの曲は、家に帰ってきて「ただいま〜」って言ったら次はうがいだぞっと、まるで今の新型コロナ禍を見越してたかのような内容だが、商品名の「イソジン」はハッキリとは出てこない。

 

お線香の「星雲」のCMソング「幸せの青い雲」。

「星雲 それは君が見た光」とさとう宗幸が歌うのだが、この歌詞の中の「星雲」が商品名だとは思われていないだろう。「青葉城恋歌」のさとう宗幸が歌うフォークソングをCMソングにしたと、ほぼ勘違いされてると思う。確か映像は連凧が連なって靡いてような気がする。

 

とは言っても伊藤さんの作品でも、「きのこの山は食べ盛り」(きのこの山)とか、「おいしいシウマイ崎陽軒」(崎陽軒)など、ズバリそのまま商品名CMソングってのもある。

15秒や30秒という限られた時間では、やっぱり商品名や企業名を入れた方が効果的だものね。

 

伊藤さんの作品には「ゆったり たっぷり のんびり 旅ゆけば三日月 ホテル三日月」ってのもある。 

この頃の深夜放送(特にサンテレビ)ではホテルのCMが多かったな。ホテルのCMソングはホテル名をメロディにのせたやつが多い。

CM、いやCMソングのせいで、「伊東に行くならハトヤだね」と刷り込まれてる。

「琵琶湖おんせ〜ん〜ホテルこうよう〜」と、琵琶湖で温泉ならホテル紅葉でしょと、思わされてる。

「有馬温泉東洋閣へ」「ホテルにゅーあ〜わ〜じ〜」と、どこも行ったことも泊まったことないのに、ホテル名だけは覚えてしまってる。

だから後年、仕事や旅行で行った時に現地で実際の建物や看板を見つけた時は「おう、ここにあったのか」と感動してしまったりする。「初めまして」なのに「久しぶりだな」って、なんだか長年会えなかった友達に逢えたような気持ちになる。

 

「とれとれぴちぴちカニ料理〜」など、関西ローカルCMソングを多数作曲してる難波のモーツアルト・キダタローさんの名作に「京橋はええとこでっせ グランシャトーがおまっせ」がある。

関西人なら誰もが知ってるCMソングだが、ここも行ったことのある人は少ない。

京橋(大阪の京阪沿線/JR環状線のよ)で、実際にグランシャトーを見つけた人は「あれ?ここにあったん?」とか「実物はこんなのだったんだ」と思うだろう。アニメファンの聖地巡礼ではないが、「グランシャトーって、実際にあったんだぁ」って。実存したんだぁとなんか不思議な変な気持ちになる。

まぁ関西ローカルのCMだから、これ読んでる人が関西以外の人ならなんのこっちゃ意味不明だろうね。

だが、「あーらよっ出前一丁!」のフレーズで長年親しまれている出前一丁のCMソングも、伊藤アキラ作詞でキダ・タロー作曲なのですよ。(大瀧詠一さん作と勘違いされてるが、大瀧さんのは別バージョン)

 

CMには「わんぱくでもいい たくましく育ってほしい」(丸大ハム)や「24時間戦えますか」(リゲイン)のように、インパクトあるキャッチコピーで攻めるものもあるが、基本は商品・企業名をメロディに乗せたものが多い。

「あいてます あなたのローソン」「セブンイレブンいい気分」「あなたとコンビにファミリーマート」と三大コンビエンスストアはどれも王道パターンだ。

「メタルインドカレー」「いいことあるぞ ミスタードーナッツ」のようにショートなものから、「チョッコレイト チョッコレイト チョコレイトは明治」などミドルバージョン、「赤ちゃん夜泣きで困ったな かん虫乳吐き困ったな ヒヤヒヤひやの樋屋奇応丸」のようなロングバージョンまで多種多様。

伊藤さんの作品にも「パッ!とさいでりあ パッ!とさいでりあ 大好きな街だから 離れられない」というミディアムバージョンもある。

 

商品名や会社名を出さずとも、「白黒抹茶あがりコーヒーゆず桜」とメロディに乗せたCMソング戦略で、「ういろうといえば名古屋」と勘違いさせるのに成功した青柳の外郎のような例もある。

「北の国から」のテーマ曲のように「ダ〜バーダァ〜バダバダァー」とコーラスだけのネスカフェ・ゴールドブレンドや、「パッパラッパッパッパラッパ〜」とトランペットの音色だけの大鵬薬品の正露丸のようなCMソングもあるから、必ずしも商品名や企業名をメロディに載せる必要はないのかもしれないけどね。

 

替え歌バージョンってのもあるね。

最近のなら「Pana Home」「UQモバイル」などね。既存のヒット曲に企業名や商品名を替え歌で載せるってのは、安易だが効果的だからやるんだろうけど、俺に言わせりゃ手抜きだな。

一時期やたらと替え歌に合わせてダンスしたり、みんなで踊ったりするCMが多かったけど、最近はちょっと少なくなって安心してる(俺が心配することではないが)。

今のポカリスウェットのように芸術的なCMや、au「三太郎シリーズ」やsoftbank「白戸家」のようなショートコメディものもいいけど、やっぱりオリジナルCMソング入りがいいなぁ。

「みんな揃ってタケモトピアノ」のように、聞かせると泣いてぐずってた赤ちゃんが泣き止むといわれるCMソングもあるくらいだからね。(実際泣き止む)

アーティストの楽曲とコラボ・タイアップするのもいいけど、やはりオリジナルのCMソングでしょう。

 

CMソングではあまり商品名や企業名を連呼するものを作らなかった伊藤さんだが、歌謡曲の歌詞では恐ろしいまでに連呼するものがある。

渡辺真知子さんの「かもめが翔んだ日」だ。

「ハーバーライトが朝日に変わる その時 一羽の かもめが翔んだ」で始まる有名な曲だ。サビで「かもめが翔んだ〜」「かもめが翔んだ〜」って狂ったように続く。ちょっと怖い。狂気だ。

「あなた一人で生きられるのね」と続くのだが、そのあなたは彼のことなのか、かもめのことなのか、それとも私のことなのかよくわからん。

でも、港や船上でカモメを見るたびに、かもめが翔んだと連呼されるこの曲を思い出してしまうのだよ。

 

まぁ「春という字は 三人の日と書きます」(石野真子/春ラ!ラ!ラ!)や「ニッチもサッチもどうにもブルドッグ」(フォーリーブス/ブルドッグ)なんて歌詞を書く人だ。

凡人にはわからない世界なのでしょうね。

 


田村正和のダンディズム

2021-05-21 19:07:51 | MUSIC/TV/MOVIE

田村正和さんがお亡くなりになられてた。

4月3日に既に心不全でお亡くなりになられてたと、5月18日に発表された。新型コロナかで取材ができないとはいえ芸能レポーターとか、芸能取材陣は最近手抜きだなぁ。

 

マスコミ・メディアも、相変わらず猛威を振るう新型コロナと、それでも強引にやろうとしてる東京五輪の事ばかり報道して飽き飽きしてたところに、新垣結衣と星野源の結婚おめでとうニュースと、田村正和さんの訃報が入ってきたもんだから狂喜乱舞。

でも、このおめでたいことと哀しいこと、両極端な二つのニュースをどうやって流したらいいかいいか戸惑ってる。

しかもどっちも取材できてなかったから情報がない上に、この先も取材できない。

いつものごとく「ネットでは」とか、「関係者の話では」とかばっかりだ。後はおきまりの芸能人のSNSを拾って、誰々がこんなコメントしてたってのばかり。

手抜き取材を通り越して、こたつ記事ばかり。これでいいのかね。

 

田村正和さんといえば、何と言っても「古畑任三郎」だろう。

1994年から放送されたこのドラマは、刑事ドラマとしては異色だった。だってそれまでの刑事ドラマって、刑事が捜査して犯人を見つける過程を描くものだもの。視聴者もそうさの過程で事件の概要をつかみ、「こいつが怪しい」とか「こいつが犯人では?」などと自分も推理しながら観るものだった。

しかし「古畑任三郎」は違う。

先に犯人が分かってる。冒頭で田村正和演じる古畑任三郎が事件の概要と真犯人について語る。そして「今日の見所はここですよ」「ここに注意してみてください」と言わんばかりの親切さ。今でいう「ネタバレ」で視聴者は観るという、大きなお世話大好きの三谷幸喜ならではの脚本だ。

したがって視聴者は、「真犯人は誰なのか」ではなく、古畑任三郎がどうやって事件を解明し、どうやって真犯人から自白や自供さすのかを観る。完璧なトリックをしかけた犯人を古畑任三郎が追い詰めていく、それを楽しむのだ。

毎回、豪華ゲストが犯人役として出演してた。

たしか第一回目は中森明菜だ。

菅原文太や草刈正雄、津川雅彦、緒形拳など大物が犯人の回もあった。

風間杜夫、鹿賀丈史、市村正規などベテランから唐沢寿明、真田広之、石黒賢などまで起用。

古手川祐子、沢口靖子、桃井かおり、鈴木保奈美など女優陣も超豪華。大地真央も出てた気がする。

笑福亭鶴瓶、小堺一機、明石家さんまなどお笑い界だけでなく、イチローやSMAPまで本人役で登場するという大盤振る舞い。

俺が好きなのは最終回での江口洋介との電車内で繰り広げられる心理合戦ね。ファイナルでの石坂浩二と藤原竜也の回も圧巻だったな。

 

本間勇輔さん作曲のオープニング曲も有名よね。ちょっと(いや、だいぶ)「007」のテーマ曲と似てるけど、そこはあまり掘り下げないでスルーしよう。

刑事ドラマはいいテーマ曲多いよね。「太陽にほえろ」「西部警察」「Gメン'75」「相棒」「踊る大捜査線」。テーマ曲が流れただけでドラマを思い出す。

 

 

古畑任三郎は警部補なので、階級で言えば「相棒」の杉下右京(水谷豊)や、もうすぐスペシャルが放送される「駐在刑事」の江波敦史(寺島進)と同じだ。

ついでに言えば「遺留捜査」の糸村聡(上川隆也)、ストロベリーナイトの姫川玲子(竹内結子)、「新参者」の加賀恭一郎(阿部寛)、「アンフェア」の雪平夏見(篠原涼子)とも同階級だが、古畑任三郎の方が偉く見えるのは田村正和さんの持つオーラのせいか。

ちなみに警部の方が階級は上だから、銭形幸一(ルパン三世)や目暮十三(名探偵コナン)よりも警部補の古畑任三郎は下である。どうでもいい情報だが。

 

田村正和さんは80年代には、トレンディドラマにも主演されてる。

その筆頭が「ニューヨーク恋物語」だろう。

タイトル通り全編ニューヨークロケという、時代を象徴するかのようなバブリーなドラマである。

主題歌は井上陽水の「リバーサイドホテル」。この曲を聴けばこのドラマを思い出す人は多いだろう。

 

 

登場人物は男3人(田村・真田広之・柳葉敏郎)と女5人。桜田淳子を除く4人がワケありバーテンダーの田村正和に惚れるという謎設定だ。

岸本加世子が右手にホットドッグ左にコーラという、「お前それ、ひったくりにすぐ会うぞ」って両手ふさがり超油断スタイルでN.Y.の街を闊歩してるところに、向こうから歩いてくるトレンチコートの田村正和。岸本加世子のヒールの靴紐が解けるのに気付き、跪いて靴紐を結び直してあげ無言で立ち去る田村正和。

今思い出してみても、ただ「N.Y.は素敵な街」「その街で出会うおしゃれな男女の素敵な恋の物語」を表現したいってのが丸わかりの演出だ。

しかし、当時の正和さまはそんなベタな演出も、サラリと似合いすぎるほどカッコよかったのだ。

「パパはニュースキャスター」「パパは年中苦労する」(共演:浅野温子)、パパとなっちゃん(共演:小泉今日子)など、パパを演じても田村正和はおしゃれでかっこいいのだ。

 

古畑任三郎の後も、田村正和のかっこいい主演ドラマは多々ある。

「協奏曲」(共演:木村拓哉/宮沢りえ)では建築設計士。ピークを過ぎた建築士の苦悩と葛藤がわかる演技はさすがだ。キムタクの抑えた演技もいい。

「総理と呼ばないで」(共演:鈴木保奈美/鶴田真由)では総理大臣。三谷幸喜は「記憶にございません」(主演:中井貴一)でも支持率の低迷する総理大臣描いてたな。

「美しい人」では美容整形外科医。夫・大沢たかおのDVから逃れるために「どんな顔にしてもいいから:と整形手術を希望する常盤貴子を、田村は亡き妻と同じ顔にする。野島伸司脚本ならではの暗い演出は田村正和には合わなかった気がする。松本清張シリーズなら違和感ないのにね。不思議。

 

そう、田村正和さんは「かっこいい」を貫いた人なのだ。

プライベートはほとんど明かされてないし、トーク番組でペラペラしゃべることもない。

役者は私生活はミステリアスな方がいい。どんなとこに住んでて、どんなもの食べてて、どんな暮らしをしてるかなんて、視聴者にバラす必要ない。想像にお任せしますでいいじゃない。

最近は俳優でも歌手でも簡単にプライベート語りすぎよ。トーク番組に出るとかもそうだけど、SNSで自ら発信してる人もいる。そんなにサーヴィスしなくていいのにな。

 

そんなミステリアスなダンディズムを貫いた田村正和さん。

ご冥福をお祈りします。

 


新垣結衣はまだ結婚していない

2021-05-20 20:15:29 | MUSIC/TV/MOVIE

いやぁ。驚いた。

新垣結衣が結婚したというニュース。

「あぁ、これは夢だ」と自分に言い聞かせ寝たのだが、朝目覚めても世界は何も変わってっていなかった。

掟上今日子のように記憶がすっぽり抜け落ちてくれてるわけでもない。どうやらこれは現実のようだ。

 

「晴天の霹靂」とはこういう事を言うのだね。

全く油断してた。っていうより芸能レポーターも業界関係者の「まさかね」が本音だろう。

そりゃ、「逃げるは恥だが役に立つ」での星野源とのコンビネーションは良かった。コメディタッチで笑いあり、ホロっと泣かせたり、考えさせられたり。「こういうカップルってのもいいよな」って思うような二人が描かれてた。

だからと言ってそのまま現実で恋愛に発展し、結婚するとは・・・。それこそ「まさか・・・」だ。

 

星野源。

別に驚くほどの男前でもない。歌がすごくいいわけでもない。うなるような演技をするわけでもない。(ファンの方すいません・・・)

「逃げ恥」で描かれてたそのまんま、よく言えば普通、悪く言えば特色のない人だ。

なぜ星野源なんだ。

共演者と結婚ってのなら、「リーガル・ハイ」での堺雅人は菅野美穂、映画「ミックス」での瑛太は木村カエラと結婚してるから対象外として、「空飛ぶ広報室」での綾野剛でもいいじゃないか。「掟上今日子の備忘録」での岡田将生というのアリだぞ。

 

まだ売れてない頃に出た「ドラゴン桜」や、「コード・ブルー」でも共演した山下智久っていうのもアリだぞ。(まぁ山P相手ならファンから大ブーイング受けそうけど)

 

「コード・ブルー」で共演した戸田恵梨香が松坂桃李と結婚したから、マスコミは「コード・ブルーからまた」みたいな書き方してるけど、それなら「ギャルサー」でもいいじゃないか。まぁ観てないんだろうけどな。

戸田恵梨香と言えば「大恋愛」でムロツヨシの奥様役を演じた。新垣結衣も「親バカ青春白書」でムロツヨシの奥様役(ほぼ回想)を演じた。恐るべし、ムロツヨシ・・・。何かのパワーがあるのか。

 

おっといけない、また話が脱線しかかってきた(いつものことだが)。戻そう。

 

まさか新垣結衣が生涯の伴侶に、この普通の人(まぁ実際は全然普通の人ではないんだが)を選ぶとは思わなかった。全く油断してたって話だ。

2016年末の紅白歌合戦で星野源が「恋」を歌う際、ステージ上で「恋ダンス」とやらを一緒に踊るという演出がされていた。商品名は宣伝になるからと歌詞を変えさすくせに、他局のヒットドラマはそのまま便乗するNHKの、紅白恒例うだうだ企画だが、審査員席の新垣結衣は断固として踊るのを拒否してた。

潔し。

「もう放送終わったドラマだから」と、もう私を引き込まないでオーラを放ってた。

いつまでも「ミクリ」イメージをひきづりたくない。ってのがありありと分かる光景だったのだ.

 

が・・・、柳の下のドジョウ狙いというか、二番煎じというか、安易というか、2021年「がんばれ人類!新春スペシャル!!」という続編が作られた。

これで再会して焼け木杭に火がついたのか、コロナ禍での自粛生活の影響か、それとも一時の気の迷いかわからんが、この度の結婚になったそうだ。

ほんと余計なことしてくれたな。

 

しかし、全国のガッキーファンよ、まだ希望はあるぞ。

婚姻届はまだ出していないんだろ?

結婚式あげてないよな。

同居もしていないみたいだ。

それは果たして結婚したと言えるのか?

この結婚、実は月給19万4000円の報酬で雇用契約してるんじゃないか(新垣結衣のギャラから考えたらめっちゃ格安だが)。細々な取り決めを就労規則や労働条件通知書にして交わしてないか?

 

そりゃ、確かに二人は連名で業界関係者にコメントは出したよ。

「私たち、星野源と新垣結衣は、この度結婚する運びとなりましたことをご報告させていただきます」とね。

でも「結婚する運び」、つまり「このまま(順当に)いけばふたりは結婚するという流れになったよ」ってことだよね。「結婚しました」「入籍しました」「新しい命を授かりました」とかではないのだ。「結婚する運び」になっただけなのだ。まだ結婚していないのだ。諦めてはいけない。

 

なんてね。こじつけだけどさ。

悪あがきだよ。わかってるよ、そんなこと。

 

しかし、まだわからんぞ。(しつこいな)

星野源よ、実はその新垣結衣、中身は舘ひろしかもしれんぞ。

 

そんなくだらんことを考えるくらいショックを受けている・・・。

おめでとう。

 


現代版遠山の金さん イチケイのカラス

2021-05-16 10:54:17 | MUSIC/TV/MOVIE

イチケイのカラス。

以前も書いたが裁判官を主人公にしたドラマだ。これが面白い。

 

原作は浅見理都の漫画。

実写化が最近大流行りだが、これは今に始まったことじゃない。「タイガーマスク」や「巨人の星」だって漫画原作のアニメ化だし、「仮面ライダー」だって漫画原作の実写化だもの。

漫画や小説を実写化すると、原作ファンから必ずと言っていいほど「イメージが違う」とか「この話を何故描かないんだ」とかいろいろ言われる。

最近は「ネタバレ歓迎」って人も多いそうで、そんな人はオリジナル脚本より原作あるものの実写ドラマ化がいいそうだ。どんな結末を迎えるのかわかってからの方が、安心して観れるってのは俺にはちょっと理解できないが、まぁそれも一つの楽しみ方なんだろう。犯人がわかってから推理小説を読むみたいなもんか。そういや「古畑任三郎」はこのパターンだもんな。

 

確かに原作があるとストーリーの大筋やキャラクターなどの設定がつかみやすい。そこらへんが昨今の実写化ブームの背景にあるのかもしれない。(ただスポンサー探しや説明が楽だからってのもありそうだが)

 

実写化にあたって一番原作ファンが戸惑うのが、原作と違ったキャラクター設定にされたり、舞台が変更さたりすることだ。これをされると原作ファンは戸惑ってしまう。

今回の「イチケイのカラス」、ドラマでは竹野内豊が演じてる入間(いるま)みちおが主人公だが、原作の主人公は坂間真平だ。坂間真平は堅物のエリートで面白みの欠片も無い融通の利かないいかにも裁判官ってキャラはそのままだが、今回のドラマで女性に変更され、坂間千鶴として黒木華が演じてる。

この主人公変更とか、キャラ変・性別変更されると、原作ファンは違和感かなり感じ戸惑う。

まぁドラマを観るのは原作を読んでる人だけとは限らんけどね。

 

筒井康隆原作の「富豪刑事」の主人公は男(神戸大助)だが、実写ドラマでは性別変更され、深田恭子が神戸実和子として演じた。アニメ化では性別変更なしだったから、深キョンを主演で起用のするために変更したんだろう。

万城目学原作の「鹿男あをによし」では、原作では男の藤原くん(妻子持ち)が実写ドラマでは、藤原道子と変更され綾瀬はるかが演じてる。まぁ、玉木宏演じる主人公・小川孝信も原作では「おれ」で、本名不明の語り部だけどな。

綾瀬はるかは、同じく万城目学原作「プリンセス・トヨトミ」の実写映画化版でも性別変更(原作:鳥居忠→映画:鳥居忠子)され、出演してる。

木村拓哉の黒歴史とも言える「宇宙戦艦ヤマト」の実写版映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」。原作漫画やアニメでお馴染みの、一升瓶片手に診察する艦内おっさん医者・佐渡先生を実写映画では、性別変更し高島礼子に演じさせるという暴挙。かなり無茶だ。(映画も見事にコケた)

 

これに比べりゃ今回の「イチケイのカラス」、黒木華の性別変更キャラは許容範囲とも言える。

事務的に法律にのっとって事件を処理する、頭の固い融通きかない東大卒のエリート裁判官ってキャラ設定は変わってないもの。その黒木華が竹野内豊演じる破天荒な裁判官に振り回され、その考え方に徐々に感化され本物の裁判官になっていくって話は原作に沿ってるもの。男か女かなんてどうでもいい事だ。

そもそも竹野内豊が演じる入間みちおは、原作漫画ではデブでメガネでお菓子ばっか食ってるイケてないキャラだしね。

しかしドラマで竹野内豊が演じる入間みちおは、かっこいい。この人は「BEACH BOYS」の頃から変わっていない。この人のまわりだけ時間が止まってるのではないか。

髭を生やし、服装はカジュアル(ネルシャツの上から法衣を纏う)、ゆる〜い口調でとぼけた発言する砕けたイメージの裁判官。「BOSS」の時とちょっとかぶってるが、これはこれで良しだろう。

ふるさと納税好きって設定は、HEROのキムタクが通販好きだったってのをオマージュしてるのかな。

普段は飄々としてるが、必要とあらば事件現場現場まで出向き捜査のやり直しまでする。これも検察官が現場検証をし直す「HERO」のリスペクトかな。

 

「そんな裁判官いるわけねぇよ」

なんてのは言いっこなし。そんなこと言ったらほとんどのドラマは成り立たない。

以前も書いたが、裁判官を主人公にしたドラマは初めてだろう。

時代劇には「遠山の金さん」や「大岡越前」など奉行ものがあったけど、現代物じゃこの「イチケイのカラス」が初めてじゃないかな。

 

「遠山の金さん」は、普段は身分を隠して(っていうより元々武士なのに町人暮らししてた人だけど)町の人と触れ合い、事件が起こったところに出くわして、お白州で裁きを下すっていうパターンだ。

下手人(今でいう容疑者)がお白州(今でいう裁判所)にてシラを切る。「はて、なんのことですかねぇ」としらばっくれる悪者。「私にはなんのことかさっぱり」などとすっとぼける黒幕(悪代官や庄屋)。あげくには「金さんとかいう遊び人が・・・」などと逃げ口上を言い出す。

そこで遠山金四郎奉行、満を持して『ヤイヤイ、黙って聞いてりゃいい気になりやがって」と一喝。諸肌脱いで『この桜吹雪が目に入らぬか』ババーンと効果音とともに決めセリフ。悪人どもはへヘェ〜と平伏。『これにて一件落着』。

これが「遠山の金さん」の黄金パターンだ。

決めセリフには『この顔は忘れちまってるようだが、この桜吹雪には見覚えがあるんじゃねぇのかぃ?』ってバリエーションもあるが、基本的に毎回このパターンだ。

 

「イチケイのカラス」でもこの黄金パターンが形成されつつある。

毎回、東京地方裁判所第三支部第1刑事部(通称:イチケイ)に事件が入る。

裁判が始まり、検察(升毅・山崎育三郎)や被告、証人などの言葉から事件に疑問を感じ、掘り下げて審議したいと言い出す刑事裁判官・竹野内豊。

「職権発動します」

裁判所主導で再捜査だ。警察や検察は何してたんだとか言っちゃぁいけない。そもそもこんな事は日常的に行われはしない。基本的に裁判は検察側の起訴状の鵜吞みだ。過去の判例主義や効率最優先の慣習だ。だから起訴されたら99.9%で有罪判決が出るのだ。

これまでのドラマでは寡黙で冷静な法の番人として描かれてきた裁判官だが、竹野内豊は違うのだ。

「職権発動」するのだ。

そんな事やるから「いつまでも処理件数が減らないんだ」と嘆く刑事裁判官・黒木華。渋々言いながらも結局は協力する。

「やりましょう」とにこやかな部総括判事・小日向文世。「毎度のことだ」と諦めながらも協力してくれる書記官たち(中村梅雀・新田真剣佑)。

検察も協力的だ。本来は裁判(起訴事実)をひっくり返されたら不満に思う立場なのだが、升毅も山崎育三郎も協力的だ。なぜかいつも被告側の弁護士(国選だからか?)がやる気がない。

 

そしてラスト、衝撃の事実が明らかになり、公正な判断による正当な判決が下る。これなら再審請求や上告はされないだろう。

毎回基本はこの黄金パターン。

偉大なるワンパターンは見る側が安心できるのだ。

 

「職権発動」は、水戸黄門で言えば印籠だ。

「水戸黄門」の黄金パターンは、毎回縮緬問屋の老人一行が旅先で事件に遭遇。風車の弥七などが調べ、悪者がわかり、アジトに乗り込む一行。「懲らしめてやりなさい」という黄門様の号令で助さん格さんが立ち回り、それでもまだ歯向かう悪者に「この紋所が目に入らぬか!」と印籠登場。

この偉大なるワンパターンでかなりの長寿番組だ。一度印籠出さなかった回があったらしいが大クレームだったらしいぞ。(由美かおるの入浴シーンの無い回も)

 

時代劇は基本的に勧善懲悪が鉄板の黄金パターン。

弱気を助け強きを挫く。町人が事件に巻き込まれそれを助ける。越後屋とか悪徳商人は悪いお代官様と悪だくみをしている。羊羹の箱には小判など金子が入ってる。そこへ正義の主人公たちが現れたら決まり文句「皆のもの出あえ出あえ〜」。用心棒と大立ち回り。「先生、お願いします」と登場した剣客も、最後は切られてめでたしめでたし。

基本はこの黄金パターン。

 

現代劇でも「半沢直樹」や「下町ロケット」にしたって黄金パターンは踏襲してる。

毎回なんか事件が起こり、窮地に追いやられるが、起死回生の一発で逆転。見てる方はスッキリだ。

 

「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」でも黄金パターン。

1,怪獣が暴れる、2,地球防衛軍が戦うが手に負えない、3,ウルトラマン(セブン)が現れ戦う、4,一進一退の攻防が続き、5,カラータイマーが鳴りピンチだ。頑張れ。そして6,必殺技(スペシウム光線とかアイスラッガーとか)が炸裂しやっつける。

ただし、ウルトラマンやセブンでは戦わない回があったり、怪獣が悪者でなかったりするのもある。大人になってDVDで見返してわかったのだが、人の業やエゴが描かれてたりする回もある。子供の頃はそんなこと気にもしちゃいなかった。ただ単に怪獣をヒーローがやっつけてる黄金ワンパターンを楽しんでたのだ。

 

日本はアメリカと違って法廷ものってあんまり受けないからか、裁判所が舞台のものは少ない。

今まで裁判所は警察や弁護士ドラマの法廷シーンで出てくるくらい。そして法廷でのメインは被告人の無罪か有罪かを、弁護士と検察官が論戦を繰り広げる。裁判官はヒートアップしたところで「静粛に」と言うくらいだ。裁判官の他のセリフは「主文、被告を○○に処す」くらいだ。

しかし、この「イチケイのカラス」。裁判官が主人公のドラマだけあって、裁判所とかのセットが見事だ。机や壁紙、調度品から窓まで(裁判所に基本窓はないはずだがそこは無視して)、実に年季の入った重厚感ある雰囲気。奥行きや臨場感が見事に出てる。

美術さんや大道具さん、小道具さん、演出、見事なり。(照明や効果もね)

 

ほとんどの人が裁判所でどんなことが行われてるかは知らない。法廷に立ったことのある人も少ない。犯罪者(被疑者・容疑者)になったか、民事訴訟を起こされでもしない限り縁がないはずだ。証言台に立つこともまぁほんどないだろう。

逮捕から起訴、裁判の流れもよく知らない。

警察が捕まえ、調書をまとめ、検察に送致するかを判断し、検察はその送検書類を元に起訴するかしないかを決める。そして起訴されればようやく裁判所で司法判断が下される。

刑事事件が起訴されて裁判になれば、99.9%有罪判決が下されるのは、一人当たり250件前後の事件を担当する刑事裁判官(民事はまた別)が、迅速かつ効率的に処理をしていくがゆえに、この一連の流れがパターン化・慣習化されてるからだ。

悪く言えば警察は証拠を集められなかったり自白が取れなかったり、検察も送検された案件が裁判でヒックリ返されそうな場合は不起訴にするのだ。

だから刑事事件は起訴されたらほぼ間違いなく有罪判決が下る。だから弁護士も法廷では無罪を主張するよりも、情状酌量とかで減刑や執行猶予狙いをする。

 

今回竹野内豊が演じる主人公の裁判官・入間みちおは、そんな慣習的に行われる事務的に処理される刑事事件を掘り下げて調べていく。元弁護士だがある事件をきっかけに裁判官に転身したのも、冤罪である場合も多いそんな裁判制度に疑問を感じたからなのだ。

だから裁判の最中に法廷でいきなり「職権発動します」なんて言うのだ。

裁判官が「職権発動」する事なんて現実にはまず無い。だいたい、こんな破天荒で型破りの判事もいるわけ無いのだが、そこはドラマだ。大目に見てくれ。

それよりもこの黄金のワンパターンを楽しんで観てほしい。

そして、ちょっとでもこの国の司法制度のことを知ってもらえたら、いいなぁって思う。

 

ところで、ドラマ主題歌「Straight」。アーティスト名が、最初WGBと明記されてた。

正体は「和楽器バンド」だった。

今までの和楽器バンドのサウンドとちょっと違うからわかんなかった。デジタルサウンドがミクスチャーされ、打ち込みも多用されてる。何よりボーカルの歌い方がナチュラルだ。

でも、かっこいいぞ。

ドラマにピッタリな楽曲だ。

 

ところで、すっかり世間の話題にならなくなったが、裁判員制度ってどうなってるのかね。

お呼びがかかるの、ずっと待ってるんだけどなぁ。

 


数原晋さんのトランペット

2021-05-13 22:34:36 | MUSIC/TV/MOVIE

トランペッターの数原晋さんがお亡くなりになられた。

まぁ名前を知らない人の方が多いと思う。「フライデー・ナイト・ファンタージー」のトランペット吹いてた人だよと言われてもピンとこないかもしれない。もっとかいつまんで「『金曜ロードSHOW』のオープニングで流れてた、夕日をバックに流れるあのメロディだよ」と言われれば「アァあれね」とわかるだろう。

「フライデー・ナイト・ファンタージー」は、フランスのピアニスト兼作曲家ピエールボルトが「金曜ロードショー」のテーマ曲として、番組のために書き下ろした曲。

真っ赤な夕日に映し出された海をバックに流れる切ないメロディ。夕陽が沈む入江に浮かぶヨット、沖に伸びる桟橋にたたずむ一人の男のシルエット。「さぁ今夜も映画の始まりだ」と期待感いっぱいにワクワクさせる映像に合わせた、哀愁を帯びたトランペットの旋律。

「金曜ロードSHOW!」1985-1997年の初代オープニングで、このドラマチックなトランペットを吹いておられるのが数原晋さんだ。

 

「必殺仕事人のテーマ」の方が知られてるか。

チャラリーチャラリラらららららら〜。闇に紛れて悪人の背後に忍び寄る仕置人たち・・・。こちらも哀愁を帯びた素晴らしい演奏だ。

「ルパン三世」や「天空の城ラピュタ」のトランペットも彼の仕事だというのは、訃報のニュースで知った。

 

昭和を彩ったベテランミュージシャンが次々と亡くなられていく。

まぁ、みなさんある程度お歳を召されてるんだから仕方がないんだけどね。

 

同じくトランペッターの近藤等則さんも昨年10月に亡くなられた。この人の『337』(IMA名義)は傑作だ。なんのコマーシャルだったかは忘れてしまったが、CMで流れてるのを聞いてすぐレコード屋に走ったことは覚えてる。

 

今年の3月にはドラマーの村上“ポンタ”秀一さんが亡くなられた。

春一番(キャンディーズ)、UFO(ピンクレディ)、プレイバックPart2(山口百恵)、勝手にしやがれ(沢田研二)など歌謡曲から、井上陽水、山下達郎、氷室京介、近藤房之助などフォーク・ロック・ブルーズ、そしてガッチャマンなどのアニメ主題歌まで、幅広いジャンルドラムを叩く人だ。

演奏曲は1万五千曲を超えるという。またどれもうまい。

ラジオから流れてきた曲のドラムを「うまいなぁこのドラム。誰が叩いてんの」と絶賛。実は村上“ポンタ”秀一さんが叩いてたってオチなのだが、誰の曲を叩いたかなんて、あまりに多すぎて本人も覚えちゃいないんだろうね、

廃盤になっていた、デビュ−25周年記念アルバム「Welcome to My Life」(1998年発売)のサイプレスが始まったようだ。参加ミュージシャンも豪華。山下達郎、矢野顕子、忌野清志郎、桑田佳祐、井上陽水、CHAR、仲井戸麗市、渡辺香津美、高中正義・・・レジェント球がこれでもかと並ぶ。

そういやポンタさんの25週年だったか30周年だったかのライブ。吉川晃司が歌った「飾りじゃないのよ涙は」はサブイボもののドラムだ。ぜひ機会あれば聴いてみてくれ。ちなみにその時のサックスは武田真治だ。

 

3月にはプリズムの和田アキラさんも亡くなられた。

フュージョンギタリストって呼べばいいのかな。「PRISM」が結成されて、「カシオペア」「スペクトラム」「T-スクエア」とかフュージョンってジャンルはどこまでが入るのかよくワカらない・・・。

中森明菜の「ミ・アモーレ」のラテンあふれるギターを弾いてる人だ。

 

4月には菊池俊輔さんが亡くなられた。

この人も数多くの名曲を作曲されてるのだが、名前だけ聞いたらわからないと思う。

「Gメン’75」ならどうだ。この曲を聴けば、世代の奴らは滑走路を横並びになって歩きたくなるはずだ。

「暴れん坊将軍」もそうだ。白い馬に乗って浜辺を駆けたくならないか。「スクール☆ウォーズ」や「スチュワーデス物語」などもそうだ。主題歌だけでなく、劇中でBGMや効果に使われるアレンジ・編曲されたのもまたいいのだよ。

何と言っても「タイガーマスク」のオープニングとエンディング曲が有名よね。

特にエンディングの「みなし児のバラード」は傑作。今ならどこかのなんちゃら保護団体とかやらがワーワー言いそうなタイトルだが、「あたたかい 人の情けも 胸をうつ あつい涙も 知らないで育った僕は〜」と哀愁バッチリ。プロレスの必殺技とかで興奮した気持ちを鎮めるのに、ぴったりのエンディング曲だった。

仮面ライダーシリーズの楽曲も菊池さんだ。初代仮面ライダーのエンディング曲も哀愁があるメロディだよね。

そうかと思えば、「ドラえもん」「Dr.スランプ アラレちゃん」「おばけのQ太郎」「ドラゴンボール」など、実に幅広い。

 

耳に残る、記憶に残る楽曲を、数多く世に送り出してくれたレジェントたち。

お亡くなりになられても、曲は受け継がれ、歌い継がれていく。

すごいことだな。

 

ご冥福をお祈りします。


コントが始まる ユーミンの歌の世界観

2021-05-09 20:43:06 | MUSIC/TV/MOVIE

これは『売れないコントグループを10年続けてきた三人と、心に傷を持った女の青春群像劇』のドラマである。

「コントが始まる」を簡単に説明するとこうなる。番宣でもそうなってる。

 

このドラマは観る人によって評価が別れると思う。人によっては「うまい作り方だなぁ、面白いぜこれ!」と絶賛する人もいれば、「なんだこれ?意味わからん」と全く共感できない人もいるだろう。

いや、それ以前にタイトルで「コント番組かぁ」と勘違いしてしまう人もいるのではないだろうか。

したがって多分視聴率は悪いと思う。いいドラマ=高視聴率とは限らんからな。世代視聴率ならともかく、子供から老人まで全世代が楽しめるドラマ(ファミリードラマ)って、今の時代不可能だと思うのよ。

 

俺はこのドラマ、めっちゃ面白いと思う。めっちゃいいドラマだと思う。脚本もいいし、演出もいいし、何より演じる役者がいい。

演じるのは、今売れに売れている菅田将暉、仲野大賀、神木隆之介、そして有村架純(奇しくもみんな1993年生まれ)という豪華メンバー。古川琴音、芳根京子、松田ゆう姫、伊武雅刀、中村倫也、鈴木浩介などが脇を固める。

菅田、仲野、神木の三人は高校の同級生で、同居(シェアハウスなんていいもんじゃない)しながら「マクベス」という売れないコントグループを10年続けてる。

有村架純は三人がネタ作りに利用してるファミレスのウェイトレスで、最近マクベスのヲタ(ファン)になった。古川琴音はボロボロになって会社辞め引きこもった姉(有村)を心配して上京〜そのまま同居している妹。

 

毎回、ドラマ冒頭でコントシーンがあり、それが伏線となって展開され、ラストで見事に回収される。

ってのがドラマ通とか言われる人(誰だ)の評価だ。ネットでもそう書いてる人が多い。半分正しく半分間違ってる。伏線は至る所に張り巡らせてあり、いろんなところで回収される。週をまたいで回収されたりする場合もある。

したがって「何だ、あれ(伏線)はここに繋がっていたのか」と気付く人、「えっ、あれってそういうことだったのぁ」と、してやられた感を楽しむ人にとってはめちゃくちゃ面白いドラマだ。

逆に最近多い「ネタバレ希望」「結末は先に教えてくれ。じゃないと落ち着いて見れない」という人には全く不向きなドラマである。

 

例えば、第一話で菅田将暉が泥酔している有村架純と初めて出会うシーンがある。これは第1話の冒頭のコントの伏線でもあるのだが、第3話のたこ焼きパーティシーンで、これは有村架純が会社を辞めた日の事だったことが判明。

そのあと彼女は引きこもるのだが、助けに来てくれた妹(古川琴音)の事は第2話と第4話でリンクしている。

ちなみにそのたこ焼きパーティの際、第1話と2話で仲野大賀が調味料を使ったらすぐに冷蔵庫に戻してたのだが、あれがここで回収される。スルーしてしまうようなキャラクターのただの癖さえも伏線として利用されてる。

他にも神木は卒業後プロゲーマーになり、途中からマクベスに参加した本当の理由や、母親(西田尚美)との不仲とか金髪の理由とかいろんな事が、第2話第3話で繋がり回収される。

 

演じるのがかなり難しい脚本だ。

この演技力に長けてる実力派が集まったからこそ成り立つドラマだ。よくスケジューリングできたなぁ)。

芳根京子が演じる仲野の彼女もいい。可愛い。小憎たらしい。こんな彼女がいたら最高だろう。そりゃ告白するときアキレス腱も伸ばすし、部屋に上がる前に足も洗うさ。

松田ゆう姫が古川がバイトしてるスナックのママを演じてるのだが、ミステリアスだねぇ。目立つ演技をしてるわけではないが華があるのはさすが。

伊武雅刀は神木がバイトしてる焼き鳥屋の大将。津川雅彦亡き今、不敵な笑いの似合う役者は彼以外いない。元祖スネークマンショーは神木に泣かせる言葉かけたり、菅田にきつい言葉かけたり、親代りみたいな役どころ。

中村倫也はマクベスのマネージャー。解散を撤回するよう説得するが「10年やって人気の無い奴に可能性なんてあります?」と言う菅田。そんな彼に『今売れてる奴らは、例外なくもう限界だなってところからもう一踏ん張りしてきてるんだよ』と説得(説教)するシーンがあるんだが、これがリアリティあってサブイボ出たわ。だってこれ、くすぶってた中村がムロツヨシに言われた言葉やん(ちょっとニュアンス違うけど)。

鈴木浩介は三人の高校の先生。グループ名マクベスの由来でもある。結成の後押しをしてくれた先生だが、解散撤回の後押しはしてくれなかった。「今までの10年とこれからの10年は意味が違う」と。これも売れない下積みの時代の長かった鈴木の言葉だけに重みがある。

 

毎回大げさな事件が起こるわけでもなく、どこにでもある、いやどこかにある若者たちの姿が描かれる。

そう、このドラマはまるで80年代全盛期の松任谷由実の歌なのだ。

「なんか懐かしい」とか「わかるわぁ」とイメージできる、いや、そう錯覚してしまうのだ。

「あの時あの夢を諦めてなかったら」「あの道を進んでたら」「ずっと夢を見続けてたら」

分岐点でこっちを選んで今の自分の生活がある。それを後悔することはないが、間違ってなかったとも思えない。

ただ時々ふっと懐かしく思えて振り返ったりすると「なぜ私は(僕は)現実に向き合ってしまたのだろう」と考えたりもする。

 

でもそれは「もしかしたら自分にもあったかもしれない」世界。

夢を一緒に追う友達と狭いアパートで同居してたこともないし、バイト生活しながら売れないまま10年経ったこともない。親に「10年好きにさせてくれ」と約束してしまった期限が来る焦りも感じたことないし、志半ばで諦めて帰ったこともない。

普通の人はそうだろう。バンドマンか劇団員かそういった類の夢老い人以外は、普通に会社に入り、普通に通勤し、普通に恋愛し、普通に家庭を持っていく。

なのに、「なんか懐かしい」とか「わかるわぁ」と感じさせるドラマなのだ。

 

このドラマかなりの秀作である。

ただ、残念なのは「コントが始まる」というタイトルのくせに、肝心のコントは全く面白くないってところだ。まぁ「だから10年間売れなかった」ってことなんだけどさ、結構苦痛よ。毎回この面白くないコントのくだり見せられるの。

視聴率は悪いだろうな。

でもいい、ドラマ自体は面白いもん。


桜の塔 イマイチ入り込めないドラマ

2021-05-08 15:00:21 | MUSIC/TV/MOVIE

面白いんだけど、わかりづらいなぁ。

それがこのドラマ「桜の塔」の印象。

 

玉木宏主演のこのドラマ、今までの警察物と違って犯人逮捕とかより、警察組織の闇に焦点を当てたドラマ。

警視庁キャリアの玉木宏は、警察官だった父が自殺した事件を探るべく、警察組織の頂点(警視総監)を目指している。そのために非合法な手段な操作や捏造も厭わないダーティな警視。

警視庁捜査一課警部補の広末涼子は、幼馴染の玉木宏の強引なやり方に抗議しつつも何かと協力する。

ってのが基本の筋なんだけど、これがまたえらいわかりにくいの。

 

警視総監に段田安則、警視監に椎名桔平・光石研・吉田鋼太郎、広末の部下に岡田健史、玉木宏をサポートするクラブのママ・高岡早紀と元警察官・橋本じゅん。そして派閥の上司である椎名桔平の娘・仲里依紗。豪華メンバー。

なのにただでさえ、警察組織の構図なんてマニアくらいしかわからないことをテーマにしてるが故に、組織の対立や上下関係を描くのだが、よくわからん。そもそも警察組織の構図がよくわからん。

そこに事件の発生から解決が、実は玉木宏が評価を得る(成り上がる)ために仕組んだ策略だったとか、警察官だった父が死んだ過去の思い出とかまで組み合わせるもんだから、もう何が何だか。

話があっちゃこっちゃ行ってよくわからんのよ。

 

もっとひとつのことに焦点当てて描いたら、このキャストだ、きっといいドラマになっただろうに。

ストーリーもそうだけど、色々アラが目立ってさ。

玉木宏のプロファイリングが「BOSS」の天海祐希よりチャチイとか、玉木宏は勤務中にスキットルで酒を飲んだりワイルドさを演じてるのだが、どうしても「竜の道」の辛気臭さがハナにつくのよね。

それを察してか、所々にコメディシーンが入るんだけどなんか空回り。いっその事「極主夫道」くらいはっちゃけてくれたらいいんだけどね。同じく「極主夫道」でお茶目な組長役だった橋本じゅんもでてることだしさ。

広末涼子に好意を抱いてる刑事を岡田健史が演じてるんだけど、橋本じゅんとコンビ組ませて「それMIU404のオマージュ?」って匂わせるとかさ。

 

だいたいまず、一般の人は警察組織の階級がよくわかっていない。組織図だってよくわかっていない。

「太陽にほえろ」とか「西部警察」とか、それまでの警察ものではそんなこと描かれなかったもんね。ただ単に刑事たちがチームワークで捜査してホシをあげる。階級社会は多分「踊る大捜査線」でようやく一般に知れ渡ったんじゃないかな。所轄とか、管理官とかね。それこそ「事件は会議室でおこってるんなじゃない」だ。

警察組織や階級を、知ったかぶりして記載してみる。ただし俺は警察マニアではないので、多少の間違いがあっても許してくれ。特に警視庁と各都道府県警では若干組織体系が異なる。

 

大きく分けて国家公安委員会と警察庁にわかれる。

警察庁には警視庁・管区警察局(道府県警察)・内部部局がある。

警視庁は東京都の警察で、ドラマで「本庁から」と言われてるのはほぼ警視庁のことを指す。「相棒」とか「捜査一課長」とかの舞台はここ警視庁だ。

管区警察局は各都道府県の警察本部のこと。神奈川県警とか大阪府警とかね。「踊る大捜査線」で出てきた「所轄」は、更にこの各都都道府県の区や市などにある警察署のこと。更に交番・派出所・駐在所などが連なる。

内部局には情報通信局・警備局・交通局・刑事局・生活安全局・長官官房などがある。更に警備局は公安課や警備課、刑事局は組織犯罪対策部・捜査第一課・捜査第二課などがある。

公安のことや機動隊やSATとか、110番通報やサイバーテロ何ちゃら、科捜研なんかがどこに所属してるとかまで書くと、これまた一冊の本が出来上がってしまうので、この先は自分で調べてくれ。

次は階級。

警察組織は全国29万人で構成されていて、警視庁だけでも4万6千人いる。

 

●警察庁長官

1人/高級官僚/警察法による階級制度が適用されない地位/警察庁すべての職員の任免権や懲戒権限を持つ

●警視総監

1人/高級官僚/警察法におけるトップ/警視庁本部長

●警視監

38人/高級官僚/警視庁副総監/各部署の部長職

●警視長

警察官全体の約0.5%/キャリアは約20年で準キャリアは定年前になれるがノンキャリアでは数名しかなれない

●警視正

警察官全体の約0.5%/国家公安委員会が任免/警察署署長/一般職国家公務員

●警視

警察官全体の約2.5%/警部実務経験や年数で考慮/空席待ち/警視以下は地方公務員

●警部

警察官全体の約6%/ノンキャリアは警部補4年の実務で昇任試験資格/キャリアは無試験で選考のみ

●警部補

警察官全体の約30%/現場監督的なポジション/キャリアはここからSTART

●巡査部長

警察組織の初級幹部/道府県警察署主任/交番所長/準キャリアはここからSTART

●巡査長

所轄署・交番・派出所・駐在所勤務/巡査の指導など

●巡査

俗に言われるおまわりさん。所轄署・交番・派出所・駐在所勤務以外にも道府県警察署での捜査や事務を行う者もいる。

 

キャリアっていうのは国家公務員試験の総合職試験・上級甲種試験またはI種試験合格者で中央省庁に採用された国家公務員。各省庁に存在する俗に言われる背広組のエリートで出世が早い人のこと。

今回「桜の塔」での玉木宏はキャリア組で、ポジションは警視から警視正に昇進したところ。広末涼子はノンキャリアの警部補で、部下の岡田健史はキャリアの警部補だから、正確には部下ではない。

警視監は光石研(警務部長)、吉田鋼太郎(警備部長)、椎名桔平(刑事部長)で、それぞれ「東大派」「薩摩派」「外様派」の派閥を持ち、警視総監の椅子を虎視眈々と狙ってる。

ここで「本部長」とか「管理官は」とか「参事官って何」とかまで言い出すと、これまた一冊本が書けるくらいになるから、自分で調べてくれ。

 

でも、これ書いてて、いろんな警察・刑事ドラマでの役職が思い浮かんだので、ついでにそれは書いておこう。どんどん「桜の塔」のレビュー(本題)からずれていっているが、まぁいつものことだ、許してくれ。

 

●警察庁長官

小野田公顕(相棒/警察庁長官官房室長/←警視監)

●警視総監

橘朝子(奥様は警視総監)

●警視監

甲斐峯明(相棒/←警察庁次長→警察庁長官官房付)

●警視長

内村完爾(相棒)

●警視正

大岩純一(警視庁・捜査一課長)/中園照生(相棒)/野立信次郎(BOSS)

●警視

室井慎次(踊る大捜査線→警視正)/岩崎白昼夢(翔んでる警視)/小早川冬彦(警視庁ゼロ係)

●警部

藤堂俊介(太陽にほえろ)/十津川省三(西村京太郎トラベルミステリー)/銭形幸一(ルパン三世)/目暮十三(名探偵コナン)/大澤絵里子(BOSS)

●警部補

杉下右京(相棒→警部)/江波敦史(駐在刑事)/糸村聡(遺留捜査)/姫川玲子(ストロベリーナイト)/加賀恭一郎(新参者)/雪平夏見(アンフェア)

●巡査部長

安浦吉之助(はぐれ刑事純情派)/青島俊作(踊る大捜査線→警部補)/大門圭介(西部警察→警部)/浅輪直樹(特捜9→警部補)

●巡査長

大下勇次・鷹山敏樹(あぶない刑事)/両津勘吉(こちら葛飾区亀有公園前派出所)

●巡査

中川圭一・秋本カトリーヌ麗子(こちら葛飾区亀有公園前派出所)

 

 

他にも調べたら誰がどんな役職だったかわかるんだろうけどいいや。

刑事とかおまわりさんとかでいいや。

 

桜の塔、とりあえず第1章完結までは観る。

お父さんを死に追いやった真犯人や事件の全貌は解明できたが、ラストは嫉妬に狂った仲里依紗に玉木宏か広末涼子のどちらかが刺されるってオチだろうな・・・。


面白いぞ コタローは一人暮らし

2021-05-05 17:19:20 | MUSIC/TV/MOVIE

漫画原作を実写化にするのが流行ってる。

今クールも「イチケイのカラス」「珈琲いかがでしょう」「ドラゴン桜」「レンアイ漫画家」など、漫画原作を実写化したドラマが多い。

この「コタローは一人暮らし」もそうだ。

 

 

実写化した場合に原作ファンが「なんか違う」とか「変更しすぎ」とかアレヤコレヤ言う。設定などの多少の変更やキャスティングなどは仕方がないとはいえ、それぞれ頭の中で「もし実写化ならこのキャストは誰々だな」とか「この話は外せないでしょう」とか思ってるからね。

だから原作ファンを納得させる実写化は難しい。

でも、原作ファンが一番思うのは「世界観を変えないでほしい」だ。ここを外してしまうと「コレジャナイ感」が漂い、「ガッカリだ」「なんか違う」がSNS上に飛び交う。

 

この「コタローは一人暮らし」は見事に実写化している。

簡単に説明すると、売れない漫画家(関ジャニ∞横山裕)の住むアパート(アパートの清水)に、コタロー(瑛都くん)という5歳児が引っ越してくる。笑顔を見せず無表情なこの子には親がいないのか?なぜ一人暮らしなのか?訳ありなのか?と訝しがりながらも、何かと世話を焼いてしまう横山。

って話だ。

津村マミさんの漫画が原作なのだが、連載開始時は「あれ?安達哲さんのバカ姉妹の二番煎じ?」って思ったのだが、微妙に違う。ガキの二人暮しと一人暮らしってとこは似てるけど、ちょっと違う。多分違う。

 

毎回事件が起こるわけでもないし、警察階級社会でのし上がる野望を持ってたりもない。離婚だソロ活だと忙しくするわけでもない。

一人暮らしの漫画家が、なんか訳ありの5歳の男の子が隣に越してきたのを機会に、それまで面識もなかったアパートの住人たちともハートウォーミング(日本語に直すと心温まる)な交流をするって話だ。

津村マミさんの漫画の世界観を見事にドラマ化してるのだ。

 

横山裕がいい。

以前スピリッツの漫画賞を受賞して以来、全く鳴かず飛ばずで自堕落な生活を送ってる漫画家・狩野進を演じてるのだが、その気だるさや無気力感がいい。漫画のそのまんまだ。面倒臭がりのくせに、おせっかいで何かとコタローのことが気がかりってのも上手く演じてる。

瑛都くんがいい。

さとうコタローを演じるこの子役俳優を、俺は今まで知らなかったのだが他になんか出てるのかな?アニメ「とのさマン」の真似をして「わらわ」とか「おぬし」とか殿様言葉で話す5歳児。実際の殿様は「わらわ」なんて言わないが、あえてここは原作漫画通りに忠実に演じてる。無表情さもいいし、時折見せる子供らしさも上手い。

ちなみにこの劇中アニメ「とのさマン」の声は滝藤賢一がやっている(多分)。無駄に豪華なキャスティング。

 

山本舞香がいい。

横山裕の隣に住むキャバクラ嬢・秋友美月役。ヒモみたいな彼氏がいてあまり幸せそうじゃないけど、コタローくんの前では明るく元気を振りまいてるって役だが、ぴったりだ。

生瀬勝久がいい。

同じくアパートの清水に住む訳ありな職業の田丸勇。強面で派手なスーツを着てオラオラだけど(「ごくせん」の教頭役でしたた髪型だ)、実は子供好き。離婚した妻が子供に会わせてくれないので、用意してたぬいぐるみをコタローにあげようとするが「代わりじゃない」と拒否られ落ち込むとこなんかさすがにうまい。

しかも「コタローくん」が「コタローキュン」にしか聞こえないように発音するところなんざぁ名人芸だ。

 

百田夏菜子は・・・。

最初誰かわからなかった。1話目のラストに登場したんだけど、いきなり「下手くそだなぁ」って思った。これで「次回に続く」ってきついなぁと。第二話冒頭はその続きからだったのだが、なんじゃこれ、演技をしてるつもりか?と。誰やねんこの大根役者!ひでぇなぁって。さらにどうみても弁護士に見えない上に「こんな簡単な仕事ではなくもっと私に・・・ 」とかいうのだが、これがまた酷い棒読み。

調べたら、ももいろクローバーZの子なのね。納得。

 

最近ミュージシャンがドラマに出演することが多いんだけど、正直やめてほしいと思ってる。そりゃ中には上手い人もいるかもしれないが、ほとんどは「なぜキャスティングした」ってくらいダメ。セリフは棒読み、演技は問題外、「このバンド(ミュージシャン)のファン狙いか?」と勘ぐってしまいたくなる。

そりゃ過去にはショーケンや沢田研二、世良公則などミュージシャンなのに俳優としても認知されてる人もいたし、福山雅治とかもそうだね。アイドル出身でも松井玲奈(SKE48)や川栄李奈(AKB48)のように女優として一本立ちしてる人もいる。

ジャニーズにも多数いる。今回主演の横山裕くんだって関ジャニ∞だ。だけど彼はもう20年以上のドラマ出演経験がある。「有閑倶楽部」のあたりから演技力が増し、「絶対零度」あたりでかなりパワーアップした。

 

ももいろクローバ−Zの楽曲は好きだよ。

中島みゆき提供の「泣いてもいいんだよ」や、布袋寅泰作曲の「サラバ、愛しき悲しみたちよ」なんかはかなりハイレベルな楽曲だ。ダンス・パフォーマンスもいい。しかし、それとドラマの演技は別問題だ。

 

おっといけない、コタローは一人暮らしの世界観の話から、ももクロ百田のディスりに変わってしまったが、ついでに言うと、コタローの通う幼稚園の先生役の役者もダメだ。

棒読みと下手くそな演技(と呼べる代物でさえない)。久々にこんな学芸会レベルの演技を見た。彼はジャニーズ?横山くんのバーター出演かな?どうでもいいけど、ドラマの世界観は壊さないでくれ。

 

先ほどのももクロ・百田が演じる弁護士が所属する事務所で、所長を務めるのは光石研。今クール、かなりの頻度で登場。玉木宏主演の「桜の塔」では東大卒の警視庁警務部長を演じ、「珈琲いかがでしょう」ではチンピラ時代の中村倫也にコーヒーの世界を教える浮浪者役だ。

生瀬勝久とか、光石研などこんないぶし銀の役者をバイプレイヤーとして使うドラマ。面白くないわけがない。イッセー尾形も一人2役で出てるぞ。

 

ゆる〜い世界観。

みんなそれぞれなんやかんや抱えてたりするけど、今日もまた平穏無事に過ぎていく。

たまにはこんなドラマもいいんじゃない?

まぁ、百聞は一見にしかず。

とりあえず観てくれ。


ドラゴン桜 第二話は圧巻のバドミントンシーン

2021-05-03 20:20:41 | MUSIC/TV/MOVIE

先日ドラゴン桜の続編について書いた。

「コレジャナイ感」満載だとか「半沢直樹とGTO」みたいだとかなんやかんや書いたが、第2話を見て「なるほど、こうきたか」と感心してしまった。なぜ上から目線なのかはほっといてくれ。

 

第二話は将来が嘱望されるバトミントン部のスター選手(平手友梨奈)がメインのストーリー。

平手はオリンピック候補になるだろうと将来を嘱望されるプレイヤー。両親が叶わなかったオリンピック出場の夢を背負わされた彼女は、ハードな練習を続けるが膝を故障しかかってる。名門大学の推薦がかかった試合でついに倒れる彼女。しかし怪我の悪化は、推薦枠を横取りするためコーチと吉田が結託して仕組んだ事だった・・・。

ってな感じのゴタゴタ・騒動が今回の話なのだが、これが実に上手く描かれてた。いや、マジで。

 

まずバドミントンシーンが見事なり。

もちろん練習もしただろうし、元々の運動神経や反射神経の良さとかもあるんだろうけど、どう見てもバトミントン選手。実際にプレーしてる人が見たらどうなのかはわからないが、素人目では違和感全くなし。いや、かなりすごいハードな動き。

それを映すカメラワークと編集が見事なり。

高速で打ち返されるシャトルの応酬、ロブ、ドライブ、ブッシュ、ドロップなど多彩なショットをそれぞれ効果的に映し、プレイヤーの躍動を追うカメラ、カット割り、構図、すべて見事なり。これでスポ根ドラマが一本撮れるんじゃないかってぐらいのハイレベル。

欅坂46時代から別格だった平手友梨奈が放つオーラのせいかもしれないが、迫力満点でついつい見入ってしまったよ。

パートナー役の吉田三月喜も負けじといい動きをする。バド経験者か?サイドステップがサマになってる。スマッシュするシーンでのジャンプはちょっとバスケットぽいが、遜色ない。関係ないがクラブ活動の練習シーンでシャトルを次々と放ってた女性もすごいぞ。プロかな?明らかに別格だったぞ。

 

今回の話は学校のクラブ活動のあり方が描かれてた。

クラブ活動はあくまでも学校教育の一環と言いながらも、サッカー部、野球部、バレー部などの強豪校は別格扱いだ。設備も充実している(もちろんそうでない学校もあるが)し、コーチや監督、トレーナーなんかも招聘する。

クラブが全国大会出場すれば知名度も上がるし、入学希望者も増える。それこそ東大合格者を出すのと変わりないからね。学校も力を入れるのもわからんでもない。

強豪校や名門と呼ばれる学校のクラブは、練習量も多いしハードだ。

そりゃ昭和の時代みたいに「水飲むな」「血反吐出してもへこたれるな」「根性見せろ」「甘っちょろい考えは捨てろ」など、時代遅れの精神論や根性論の練習方法してるところは少ないだろうけど、まぁそれでもハードだ。

逆を言えばそれゆえに強いのだがね。才能があるものが集まって切磋琢磨し、ハードな練習とトレーニングして努力までしてるんだ。「楽しんで」とか「自分らしく」なんて言ってるような奴はかないっこないのだ。

 

卒業後にプロを目指してたりすると、全国大会に出場することをまず通過点とする。野球なら甲子園、ラグビーなら花園(タグビー)などね。そこでスカウトや協会の目に留まり、さらに選抜やオリンピック候補に選ばれる事を目標とする。

したがって全国大会常連校は入学希望者も集まるし、当然推薦枠で入学する生徒もいる。今回のドラゴン桜では、この名門大学の推薦枠をめぐって、平手友梨奈に嫉妬心を燃やす吉田三月喜がコーチとともに画策する話。実際にもこんなことはそこらであるんだろうなぁ。「エースをねらえ」の頃のように、シューズに画鋲仕込んだりラケット壊したりってレベルじゃないのね。

 

吉田三月喜の演技も悪くない。

彼女は平手とペアを組むくらいの実力・才能があるのに、ちやほやされたり話題にされるのはいつも平手。「平手友梨奈さえいなければ・・・」からの画策した悪巧み。それがバレた後の試合で、裏方に回った平手が励ます言葉をかけてるのに素直に聞けない。No.2に甘んじてた嫉妬と、今はtopの重責。

今回も相変わらず半沢風アングルが多用され、顔面アップで血走る目。彼女の目力込めた演技はなかなかのものでした。今後も期待。

 

そして今回はもう一つ、毒親が描かれてた。

平手友梨奈の両親は、自分たちが叶わなかったオリンピック出場の夢を彼女に背負わさす。それがまるで決められた運命のように。試合中に倒れたのは、すでに膝の半月板が無理な練習量と疲労のせいなのに、それを全て無能なコーチのせいにする。

安静とか休養とかの前に次の練習のことを言う。なぜ彼女がそんなに悪化するまで無理をしたか、なぜ黙って他のかは一切聞かずに。そんな親を駿河太郎が見事に演じてた。

 

「あなたのためを思って」「あなたの為に言ってるのよ」という、悪魔の呪文。

そりゃ、中にはガキの頃からそればかりさせて、勉強なんてしなくていいからって親がマネージャー代わりにあれこれ世話焼いて、それでプロになったり五輪でメダル取ったりするアスリートもたまにいるよ。イチローとか松井秀喜ってそうだよね。でも、その他のほとんどの凡人は潰れてるんじゃないかな。

勉強ばかりさす親もいる。いい大学入ること、いい会社に入ること、それが勝ち組と呼ばれる人になるということ。それ以外は認めない。

どちらにしても殺し文句は「親の言うことを聞いてれば大丈夫だ」。

勉強なら大学受験に失敗したり、一流商社に入った途端燃え尽き症候群になったり、アスリートなら、肩壊したり選抜に選ばれなかったり、世の中の引きこもり予備軍はこうして作られていくんじゃないのかね。

 

まぁ俺らの時代は、子供が何かをしたいと言っても「無理」とか「あんたにそんな才能ない」と決めつける親の時代だけどね。口癖は「そんなことやっても将来食えへん」ね。サッカーやっても、絵を描いても、ギターを弾いても、何をやっても認めん。

そんな親が主流だった頃に比べりゃ、今のステージママのような過保護な親のほうがまだマシか。どっちも嫌だけど。

 

いろいろ盛りだくさんだったけど、それらをうまくテンポよく描いてくれたので、めっちゃ面白かった。

観るのやめなくてよかった。

 

そして余談だが、第一話で桜木(阿部寛)に追い詰められたクソみたいなハンチク不良の二人が、今回、舎弟(手下)のように動いてたのが傑作。

江口のりこは二人が登校してないのは、阿部寛にやられたせいで登校拒否になったと勘違いしてたが、実は二人は阿部寛に頼まれてバド部のこといろ探ってたのね。

バイク(もちろん前回と同じくファンティック・キャバレロ・スクランブラー)で登場、阿部寛に「遅いぞ〜」とか言われてんの。ちゃんとタンデム用に平手のヘルメットまで用意してるマメさ。見送る時に手を振るって・・・、ちっとやりすぎ感はあるがまぁ良い。

モブキャラじゃなかったのね。次週予告でもきっちり桜の木を植えるシーンで出てたし。レギュラーメンバー入りね。

 

高橋海人にもちょっと諭したりするんだけど、相変わらずタバコを吸うシーンがある。

昨今すぐ「子供が真似したらどうする」ってクレーマーが出てくるから(そん時はお前が「あれはダメなことだよ」と教えりゃいいだけなのにね)、コンプライアンス大丈夫か?っていらん心配してしまう。

 

長澤まさみが放火に関する刑罰や少年法など法律的解釈を述べる演技は、「そうだ、この子は東大行って弁護士になったんだ」とわからせるに充分なシーンでした。うまいね、さすがに。

 

こうなってくると、もちろん次週も見る。

次回はいよいよ桜木式メゾット登場か?

 


ドラゴン桜 続編の難しさ2-脚本と演出

2021-04-26 20:57:13 | MUSIC/TV/MOVIE

ドラゴン桜が始まった。

2005年に放送された「ドラゴン桜」の続編。

暴走族上がりの弁護士・阿部寛が倒産寸前・低偏差値の高校にやってきて、落ちこぼれたちを東大受験させ合格させる、いわゆる痛快お受験ドラマの続編が15年ぶりに制作された。コロナによる放送の延期で16年ぶりになってしまったが待たされた分だけ期待が高まる。

続編となると「前作は良かった」などと言う奴が必ず出てくることや、キャスティングについてあれこれ言われることを前回に書いたが、今回は演出や脚本について。

 

「続編ならここは外さないでほしい」ってのが、前作ファンなら必ずある。

前作の「ドラゴン桜」の醍醐味は、暴走族上がりの破天荒な弁護士が、無気力な生徒達を奮起させ、東大合格のための奇想天外な勉強法や受験テクニックを教えるところだ。

卓球しながら勉強したり、ビートルズで英単語覚えたり。どんどん偏差値が上がっていく落ちこぼれ生徒たち。生徒たちそれぞれには家庭事情や悩みがあるのだが、そんなこんなも全部東大受験勉強で吹き飛ばす痛快さね。ここは外さないでほしい。

 

しかし、第1話では全くその気配すら感じさせなく、いきなり「半沢直樹か?」って感じで始まった。

偏差値32で年々生徒数が減り、経営破綻しかかってる学校を東京大学合格者を出して再建するってのは前作と同じテーマだが、ちょっと学園再建の部分を描くのに偏りすぎ。

会議室では「伝説の桜木(阿部寛)先生を招致してこの学校から東大合格者を出す」と再建案を出す教頭・及川光博の姿が。親から継いだ学校を自由な校風のままでいいと及川の提案を一蹴する理事長・江口のりこ。「現実を見たまえ!現実を」と机を叩きながら剣幕まくしたてる校長・山崎銀之丞。固唾をのんでた教師陣も喧々諤々論争を始める。

なんだこれ?

及川光博、江口のりこ、山崎銀之丞で会議室ときたら、まるで半沢直樹。いや、阿部寛だから下町ロケットなのか?

いくら演出に福澤克雄が入っているとはいえ、これはちょっと偏りすぎでは。

 

いきなり「コレジャナイ感」が漂う。期待してたのは、見たいのはこんなのじゃない。

学校再建や派閥闘争がメインではなく、奇想天外な痛快受験テクニックで落ちこぼれ生徒がやる気を出していく姿が見たいのだがね。

 

それに三田紀房の原作漫画を弄りすぎ。

もちろん前作でも、受験テクニック中心だった原作漫画を、生徒たちの成長を描くヒューマンドラマにしていた。

ドラマ化にあたって視聴者にわかりやすくしたり、あちこち変えたりするのは仕方がない。漫画や小説など原作のある作品が実写化された際、必ず賛否両論出てくる。特に東大という日本最高府の受験勉強をわかりやすく描くのは難しいもんな。

だけど原作漫画の続編では、阿部寛が教え東大合格者を出たおかげで入学者が増え進学校になったが、今は東大進学者が0になってしまった龍山高校。理事になった阿部寛は元教え子で、今は弁護士として自分の事務所で活躍してる長澤まさみに東大クラスを受けもたせるって話なのだが、大幅に設定が変えられてる。そもそも舞台になる学校・龍山高校がドラマ続編では龍海学園と別学校になっているし。

 

冒頭の会議室のシーンの江口のりこは、「半沢直樹」で堺雅人と対立する憎たらしい代議士を彷彿させるような演技。だが、このドラゴン桜の続編も本来なら2020年の夏期に放送される予定だった(コロナ禍で延期)。同時期に撮影してたはず(半沢は2020年夏期放送)だからキャラがかぶってても仕方がないのだ。

今年に入って「その女、ジルバ」や「俺の家の話」などで一気に評価が高まっている彼女が今回演じる理事長は、自由な校風を理想に掲げ、勉強や押し付けを嫌う。

「自由でのびのびと生徒の自主性に任せるのが一番」と教育方針を熱弁する。

教頭・校長・理事長そして教師陣の討論が行われてる会議室に入ったきたのは、前理事長・木場勝己。現理事長・江口のりこの父親だが、方針の違いや反発心から二人の間には確執がある。

なんか某大手家具会社の父娘騒動みたいだなぁって思って観てたのだが、エンドロール見てびっくり。大塚家具(あっ!実名出しちゃった)が美術協力してるじゃないか。多分重厚な応接セットやインテリアなどは大塚家具の提供だろうが、いいのかこれ。テレ東じゃないんだぞ。

 

「1週間後の理事会の採決で方針を決める」とか、現在の賛成派は誰で反対派は誰で、誰をどう寝返らせるかと画策するところなんかは、完全に福澤克雄ワールド。太陽が沈むシーンがあれば文句なしだ。

でも、見たいのはそれじゃない。

学校の経営破綻や再建はともかく、権力闘争、派閥などはどうでもいいのだよ。

 

設定も原作とは違い、阿部寛は弁護士事務所を畳んでるし、行方不明になった阿部寛の事務所をさっさと解散し、自分の新設する弁護士事務所に長澤まさみを引き抜こうとした早霧せいなとか出てくる。

そのたたむ原因となったのは2年前の東大受験絡みとか、行方不明になった阿部寛を探すのを手助けする長澤まさみの後輩で東大同期のIT企業経営者・林遣都とか、その会社で原因となった生徒・佐野勇斗は働いてる。

そんなあれこれドラマ用の設定を詰め込まんでも・・・。

見たいのは暴走族上がりの破天荒な弁護士が、無気力な生徒達を奮起させ、東大合格のための奇想天外な勉強法や受験テクニックを教えるドラマだ。

 

長澤まさみを嵌めたクソみたいな不良生徒二人を、阿部寛が元暴走族らしく(本人曰く今でも現役)バイクで追うシーンは良かった。

荒くれKNIGHTの善波七五十のごとく、鉄パイプを地面にこすりながら追いかけ、学校に逃げても校舎内をバイクで追っていき、最後は追い詰め鉄パイプで殴ると思いきや寸止め。

痛快なのはいいのだが、これじゃぁまるでGTOだ。

しかもその不良生徒は、姉思いで親の遺したラーメン屋を継ぐとか言ってた高橋海人にそそのかされて今回の騒動を引き起こしたって・・・。そんなややこしくしないでも・・・。

 

前作で江口のりこも暴走族役で登場してたが、今回それは引き継がれてるのか?とかいらないことまで考えるが、落ちこぼれを東大受験という目標をもたせて奮闘させるのが見たいのであって、不良が厚生するドラマが見たいわけじゃない。

「ルーズベルトゲーム」を演出した福澤克雄だから、このままでは落ちこぼれ生徒を熱血教師がラグビーで更生させるドラマになってもおかしくない。それは「スクールウォーズ」だ。それは山下真司だ。阿部寛じゃないぞ。

そういや「スクールウォーズ」も続編は低評価だったな。主役の山下真司は一緒だが、学校など設定を変えちゃったせいだな。今回のドラゴン桜もその二の舞にならないことを祈る。

 

阿部寛の人気作と言えば、仲間由紀恵との「TRICK」。人気が出てシリーズ化されたが、故・野際陽子(前作のドラゴン桜で理事長を演じてた)さんや生瀬勝久さんというメインキャストは変えなかったからだな。映画化もされたが、ゴールデン進出となった「3」はちょっとね。深夜帯で放送されてた時の方が自由だったんだろうな。

同じく阿部寛の人気作「結婚しない男」も、続編「まだ結婚しない男」が13年ぶりに制作された。これは前作の世界観が全く引き継がれてなくてダメだった。キャストも塚本高史以外ほぼ一新され、肝心のメイン女の人三人が全然魅力的じゃなかったせいもあるが、独身を謳歌する阿部寛ってところが中途半端に描かれてたからだ。

 

続編ってのはキャスティングもそうだが、演出や脚本が前作とあまりにも違うと、前作ファンは付いていけなくなる。

そりゃ時代は変わるんだから、以前は許された描写が、今はコンプライアンスに引っかかったり、クレーム入ったり、炎上したりする。なんとも世知辛い世の中である。

今回も不良学生二人が喫茶店でタバコを吸ってるシーンがあるが、そこに乗り込んできた阿部寛が「条例違反だ」とか「注意しなかった店にも問題がある」とかいうシーンがある。バイクで追いかける時もちゃんとヘルメット確かめてるし。対向車線にはみ出したり鉄パイプ持ってたり、校舎内を走ったりするのに今更ヘルメット?って感じなのだがね。

でも、ドラマなんだから大目にみてよ。

「子供が真似したらどうする」とか言うのなら見せるな。それかその時に教えろ。「こんなことしたらダメだよ」って。指導のチャンスを放棄するな。自分の教育ミスを誰かのせいにするな。

それこそ江口のりこ演じる理事長の「自由でのびのびと自主性に任せて」ってのだな。それは言い換えれば無責任・無関心・教育放棄ともいうのだよ。

最近はこういった勘違い親が多いからわざわざ描いたのかな。

 

「バカとブスほど東大へ行け」も今では差別とかなんとかかんとか言われるのだろうか。

先生が喋ってるのにスマホ弄ったり喋ったり、「自由でのびのびと自主性に任せて」たせいで、学級崩壊どころか学園崩壊してる生徒の前で「いいかお前ら東大になんか絶対行くな」と壇上から言う阿部寛。

東大なんか受験テクニックとそれにのとって勉強すれば誰でも入れると豪語し、続いて「お前らにそんな価値などない」「東大の方からお断りだ」と言う。

バイクで不良を追い詰めた時も「大人が子供に何もしないと思ったら大間違いだぞ」と凄み、囲む生徒たちにも「一日中、スマホだゲームだ。毎日なんとなくボケーとした日々を送ってる」「人を叩き、罵り、そのくせ自分の権利ばかり主張する」「真面目に生きてる人間の足を引っ張る、クズみたいな大人に成り下がる」と熱弁を振るう。

そうなんだ、こういうのが見たいのだ。

 

いろいろ「コレジャナイ感」は漂うが、今回のシン・ドラゴン桜。

とりあえず第2週も見るべし。

 


ドラゴン桜 続編の難しさ1-キャスト

2021-04-26 19:32:52 | MUSIC/TV/MOVIE

ドラゴン桜が始まった。

本来2020年の夏期に放送される予定だったのに、コロナのせいで延期になった。学園ものは教室とかで学生が密集するシーンが多いから撮影も大変だ。ディスタンスや感染防止しながらの撮影になるもんね。同じく受験もの、柳楽優弥主演の「二月の勝者〜絶対合格の教室」もまだだもんね。

 

さて、すでに番宣で告知されてるように、この作品は2005年に放送された「ドラゴン桜」の続編である。

暴走族上がりの弁護士・阿部寛が倒産寸前・低偏差値の高校にやってきて、落ちこぼれたちを東大受験させ合格させる、いわゆる痛快お受験ドラマ。その続編が15年ぶり(放送の延期で16年ぶりになってしまった)に登場ってことで期待が高まる。

 

続編となると「前作は良かった」「前作のキャスティングに比べて」「前作に良さが今回は・・・」などと言う奴が必ず出てくる。

良くても悪くても出てくる。ほとんどの奴は前作の内容をうろ覚えくらいにか覚えてなかったり、あるいは見てなかったりするのだがね。

「白い巨塔」なら「田宮二郎バージョンの方が良かった」とか「唐沢寿明ではなぁ」とか言い出す奴が必ずいる。これに岡田准一バージョンまで出したらもうカオスで何が何やら。「GTO」でも反町バージョンとの比較がされる。もう続編作るなら「渡る世間は鬼ばかり」とか「北の国から」みたいに、ほぼ同じキャスト、ほぼ同じ展開じゃないとダメかのように。

なぜ比較する?同じじゃないとダメなのか?それとも通ぶりたいのか?「以前に比べ味が落ちた」とか「新規が増えて雰囲気が悪くなった」とかグルマンみたいに、上から目線でなんかケチをつけないと気が済まないのか。まぁ好きにつぶやいてくれ。

 

学園ものの続編だと主演が同じでも「前作に比べて生徒役が・・・」ってのが多い。

前作には今をときめく俳優が出てたとか言うのだろうが、当時はまだ駆け出しの役者たちで、その後(ドラマ放送後)人気俳優になっていったってだけなのにね。

 

仲間由紀恵のヒット作「ごくせん」の生徒役もそうだ。

2002年の第1シリーズでは松本潤、小栗旬、成宮寛貴とか出てて、他にも松山ケンイチ、上地雄輔、ウエンツ瑛士(引きこもり)なんかも出てた。塚本高史が退学になった元生徒役でも出てたりしたもんだから後に「神キャストだった」とか言われるが、本来は「この作品がブレイクのきっかけ」になり「この作品のあと売れっ子俳優になった」だけなんだけどね。

続編の2005年版(ちなみにシーズン2とか3とかは便宜上ついてるだけで正式ではないぞ)の放送が始まった時も赤西仁と亀梨和也以外は誰?って扱いだった。いや、その頃はこの二人だってジャニオタ以外には認知度はまだ低かった。速水もこみち、小池徹平、小出恵介なんかも、このドラマに出演時はまだ無名だったからね。2008年版でも同じように三浦春馬以外は「誰?」だった。三浦翔平もこの後ブレイクしたのだからな。

 

だから今回のドラゴン桜の15年ぶりの復活も「前作に比べて生徒役が・・・」なんて言われる。

前作では山下智久、新垣結衣、長澤まさみ、紗栄子、小池徹平、中尾明慶・・・。まぁ今考えたら豪華キャストだ。

長澤まさみは今作にも登場。前作では東大受験を家庭事情で諦めたが翌年合格し、阿部寛の法律事務所で働いていたが・・・って設定のメインキャストだ。第1話では紗栄子も登場。ちなみに理事長役の江口のりこも前作では暴走族役で登場してたが、それは今回引き継がれてるかは不明。

今回の生徒役は子供店長の加藤清史郎、元欅坂46平手友梨奈、king&Prince高橋海人、南沙良、鈴鹿央士・・・知ってる人は知ってるって感じの若手役者だ。

「前作に比べて・・・」なんて言ってみたところでしょうがない。そもそも若い役者なんだからまだ知名度は低くて当たり前。演技力も未知数だ。それは「今をときめく役者がこんなに出演していた」と必ず言われる「金八先生」でも同じことだろ?

 

俺はちょっと前のドラマや映画を見るのが好きだ。

「相棒」とかみたいに20年近く続く番組だと、それこそ「今をときめく役者がこんな役で出演していた」のオンパレードだ。まだ売れてない頃のムロツヨシや滝藤賢一、正名僕蔵、平岩紙、甲本雅裕なんかが出てるのを見るとちょっと嬉しくなる。染谷翔太、葵わかな、北村匠海なんかがまだ駆け出しの頃に初々しい演技を見せてたりもする。

阿部寛主演の新参者シリーズ映画化第一弾「麒麟の翼」では、松坂桃李、菅田将暉、山崎賢人なんかが出てるぞ。(新垣結衣もヒロインで出てるよ)

 

今回1000人近くのオーディションを勝ち抜いた生徒役の中には、まだまだ未知数の新鋭が潜んでる。

第1話で長澤まさみを嵌めるクソみたいな生徒役を演じた二人、西山潤と西垣匠のW西コンビ。東大戦かに志願してきたと思えば裏があって、自分たちから「心入れ替えるためには見た目から」とバリカンで坊主にした。長澤まさみが「世界の中心で愛をさけぶ」で実際に丸坊主にしたオマージュか?

この二人のクズっぷりは見てて気持ちがいい。

「先生(長澤まさみ)に無理やり坊主にされた」とネットに投稿したり、バイクで阿部寛を襲撃したり。しかし結局は元暴走族・阿部寛の反撃に遭い、学校に逃げてもバイク(うわっキャバレロ・スクランブラーだ)で追ってこられ、最後は追い詰められて鉄パイプで殴られそうになり失禁。

いいねぇ、このクズっぷり。汚れ役は売れっ子になったら敬遠しちゃうもんね。事務所がうるさかったりもする。

 

学園ドラマの第1話は大体、メイン生徒の簡単紹介風になる。

子供店長の加藤清史郎は弟にバカにされてるみたいで、有望なバトミントン選手として期待されてる平手友梨奈は万引きする。高橋海人は姉思いで親の遺したラーメン屋を継ぐ意志の一見いいやつだけど実は今回の騒動を裏で糸引いてた奴。

今時の高校生女子のテンプレみたいな南沙良。成績優秀だが受験に興味がない志田彩良。同じく成績優秀だがそれゆえに周りを見下してる鈴鹿央士。

注目は細田佳央太。発達障害なのか自閉症なのかわからん難しい役を演じる彼は、まだ若き頃の香取慎吾が「未成年」というドラマで見せた姿に通じる。

 

と、いかにもテレビドラマ通、評論家風っぽく書いてみたが、今後が楽しみな若手役者がいっぱいだ。

学生役の若手とは違うところで「コレジャナイ感」は漂うが、それはこの後また別に書く。いつものごとく長くなるからな。

 

今回のドラゴン桜。とりあえず第2週も見るべし。