2019年8月1日に発売になる、キヤノンの1インチコンデジの新モデル「PowerShot G5 X Mark II」「PowerShot G7 X Mark III」。両モデルともCMOSセンサーが積層型になり、連写性能などが大きく進化している。ここではその進化点を詳しく紹介しよう。
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ポップアップ式EVF採用の光学5倍ズームモデル「PowerShot G5 X Mark II」
PowerShot G5 X Mark IIは、EVF(電子ビューファインダー)を搭載する「PowerShot G5 X」(2015年10月発売)の後継モデル。約4年ぶりの新モデルということで、撮像素子、映像エンジン、レンズ、動画撮影など全方位で性能が向上している。
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PowerShot G5 X Mark IIの主な特徴
・積層型の1.0型CMOSセンサー(有効約2010万画素)
・最新の映像エンジン「DIGIC 8」
・ISO125~12800の感度に対応(拡張ISO25600)
・C-RAW(CR3形式)対応
・24mm(開放F1.8)~120mm(開放F2.8)対応の光学5倍ズームレンズ
・手ブレ補正効果4.0段分
・最高約30コマ/秒連写の「RAWバーストモード」と「プリ撮影」
・AF固定で最高約20コマ/秒、AF追従で最高約8コマ/秒のメカシャッター連写
・撮影回数(2~500回)を選択できるフォーカスブラケット
・起動時間約1.1秒、AF時間約0.11秒、撮影間隔約0.4秒
・フル画角での4K/30p動画撮影
・ポップアップ式のEVF
・従来モデルと比べて約37gの小型・軽量化
・自分撮り対応のチルト式3.0型タッチパネル液晶モニター(約104万ドット)
・USB端子(USB Type-C)からの充電・給電
・Bluetooth(Ver.4.1)でスマートフォンと常時接続可能
・従来と同じバッテリー「NB-13L」に対応
・撮影可能枚数は約230枚(液晶モニター表示時)、約180枚(EVF表示時)
スペック面では、キヤノンとしては初めて、画素領域と回路領域をそれぞれ独立したチックで形成する積層型のCMOSセンサー(1.0型、有効約2010万画素)を採用し、高画質化と高速化を実現したのが大きな特徴。映像エンジンも最新の「DIGIC 8」になり、感度はISO125~12800に対応(拡張ISO25600)する。RAW記録として、画質劣化を抑えながら容量を小さくできるC-RAW(CR3形式)も選択できるようになった。
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高速化では、最高シャッタースピード1/25600秒の電子シャッターに新たに対応するようになり、電子シャッターで最高約30コマ/秒の超高速連写が可能な「RAWバーストモード」を新搭載。ワンショットAFとC-RAW記録に限定されるものの、秒間30コマ連写で一瞬の動きを逃さずに記録できるのが魅力だ。さらに、このモードでは、シャッターボタンを押す最大約0.5秒前から最高約30.0コマ/秒で連写する「プリ撮影」も選択可能。RAWバーストモードの撮影可能枚数は、プリ撮影を含めて最大約70枚までとなっている。加えて、メカシャッター時の連写性能も向上しており、AF固定で最高約20コマ/秒(約118枚まで)、AF追従で最高約8コマ/秒(約320枚まで)の連写に対応する。
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PowerShot Gシリーズの1インチセンサー機では初の電子シャッター対応ということで、PowerShot G5 X Mark IIの電子シャッターの使い勝手を報告しておこう。実際にPowerShot G5 X Mark IIの電子シャッターで撮影をしてみたところ、極端に高速で動く被写体を撮る場合や、カメラを素早く振りながら撮る場合はローリングシャッターによる像の歪みが発生するものの、ほとんどの場合問題がないレベルに収まる。ざっくりとした計算したところ走行時間は30ms程度で、スキャン速度(幕速)は1/35~1/40秒程度ではないだろうか(フリッカー光源下で高速シャッタースピードを試したところ画像内に3本の縞が出ることからの推測)。アンチディストーションというわけではないが、一般的なデジタルカメラの電子シャッターと同じ使い勝手と考えていいだろう。なお、電子シャッターを選択した際は通常の高速連続撮影/低速連続撮影を設定することは不可。電子シャッターで連写を行いたい場合はRAWバーストモードを選択する必要がある。また、電子シャッター時に内蔵ストロボは利用できないようになっている。
レンズは新開発で、焦点距離24mm~120mm(35mm判換算)の画角に対応する光学5倍ズームに対応。開放F値は広角端でF1.8、望遠端でF2.8。絞り羽根は9枚羽根の虹彩絞り。UDレンズ1枚、非球面レンズ4枚を含む11群13枚のレンズ構成により、さらなる高画質を実現しているという。従来モデルの光学4.2倍ズームレンズと比べると、広角端・望遠端の明るさはそのままに、望遠端が100mmから120mmになったうえ、望遠端の最短撮影距離が40cmから20cm(いずれもレンズ先端からの距離)に短縮。望遠端の撮影倍率は0.47倍に達しており、ハーフマクロに匹敵する倍率でのテレマクロ撮影が可能となっている。また、光学式手ブレ補正の効果は約4.0段分で、従来モデルよりも1段向上している。
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筐体のデザインが大きく変更になったのもPowerShot G5 X Mark IIの特徴。従来は中央に電子ビューファインダー(EVF)を搭載する一眼レフスタイルのデザインだったが、PowerShot G5 X Mark IIではポップアップ式のEVFを採用。これにより、従来モデルと比べて高さを約15.5mm、重量を約37g抑えた、約110.9(幅)×60.9(高さ)×46.0(奥行)mmで重量約340g(バッテリー、メモリーカード含む)の小型・軽量ボディを実現している。
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ポップアップ式のEVFは、ボタンを押してポップアップさせてから手動で引き出して利用するタイプ。従来と同様に0.39型の有機ELデバイスを採用し、解像度も約236万ドットで同じだ。アイポイントは約20mmで従来モデルより2mm短くなっている。新旧モデルでファインダーの見え方を比較したところ、PowerShot G5 X Mark IIは従来モデルよりも倍率が低くなっているものの、輝度が上がっていることもあってか全体的に明るい表示になっている。ポップアップ式の小型ファインダーだが周辺の歪みもあまり気にならない。アイポイントが短くなっているがその分倍率も低くなっているので、メガネを掛けた際の視認性は新旧でそれほど変わらない印象だ。
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ダイヤルやボタンのレイアウトも見直されており、撮影モードダイヤルと露出補正ダイヤルは同軸の2段構造になった。レンズ部のコントローラーリングと背面のコントローラーホイールはそのままだが、従来モデルにあった電子ダイヤルとAFフレーム選択ボタンは省略されている。さらに、ポップアップ式のEVFになったことも理由のひとつだと思うが、液晶モニターは、横開きのバリアングル液晶から上下方向に回転するチルト液晶に変更になった。
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動画機能は、PowerShot Gシリーズとして初めて4K記録に対応。クロップなしのフル画角で4K/30p動画を撮影できる。4Kでのタイムラプス動画に対応するほか、撮影した4K動画から任意のフレームを静止画として切り出せる「4Kフレーム切り出し」、フルHD/120pでのハイフレームレート動画、HDR動画モードなども搭載。電子補正も活用する動画撮影時の5軸手ブレ補正も備わっている。
AFシステムはコントラストAFのままで大きな進化はないが、AF時間は従来モデルの約0.12秒から約0.11秒に高速化。通常の1点AFよりもポイントが小さいスポット1点AFに新たに対応する。撮影間隔約0.4秒、起動時間約1.1秒でレスポンスのよさも特徴となっている。
このほか、別売オプションのUSB電源アダプター「PD-E1」を利用することで、USB Type-C端子からの充電に対応。新たに、給電しながらの撮影も可能となった。
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