1 根気よく関わったら
A支: 私は熊本市のあるフリースクールでサポートをしています。私自身も発達障がいもあり、当事者、経験者として同じ境遇にある子どもたちに関わっています。年齢は30代で、他のスタッフより子どもたちと年齢的に中間的な立場で深い話をする関わりができてきています。
省略・・その若者は感情の波があり、手も出る子で施設側もフリースクール側も心を開いてくれるのか、悩んでいました。
半年くらい、根気よく関わったら、信頼できる大人として心を開いてくれるようになったようで「先生に渡したいから一緒に写真を撮ろう」と言ってくれ、ツーショットで写真を撮りました。気持ちが通じたと思います。受験前に藤崎宮にお参りに行ったり、一緒に江津湖や熊本城に行ったりしています。しだいに表情が開かれて全体活動に入れるようになりました。他の子のためにおやつを何十枚も焼いたりする変化もあって希望する学校にも受かりました。彼が他者を思いやる行動をとる様子を見て、信頼できる大人や、学校のような施設とは違った第3の場所が子どもたちにも必要だと思います。
進行: 毎日、ずっと寄り添っていたんですか?
A支: 毎日、報告を書いてファイリングして、写真も貼って寄り添っていました。
最初は、人に対して不信と拒否があったみたいです。それにパソコンが珍しかったみたいで、ずっと1人でパソコンをしていました。
スマホを貸したら有料サイトに加入してしまい、否定せずに怒らずに一緒に解約をしました。一つ一つ私に対して信頼をしてくれ、施設のホームページに写真をアップしてくれて、2ヶ月位で、これまでのことを話してくれるようになりました。
進行: そばにいる感じですか?具体的にどんな風に寄り添われました?
A支: 一度、私に足蹴りをしてきた時は「〇〇君を信頼しているから」と言って「省略・・ 自分で考えてみて」と言いました。・・省略・・。
翌日、私の顔を見るなり「昨日は調子悪かった、ごめん」と言いました。その日はその子の合格発表の日でした。すごく落ち込んでいるようでしたが、合格おめでとうの写真と言葉をラミネートして渡したら、「昨日あんなことをしたのに、心の広い人だ」と喜んでくれました。一人ひとりの関わりができています。
進行: フリースクールの先生方も戸惑われていて、Aさんに頼まれたんですか?
A支: 自分は福祉の経験もあるし、最初スクールの責任者が担当していたけれど、その子を見てほしいと言われ、私がやるようになりました。
B母: うちの子もそのフリースクールに行っていて、A先生のことを話してくれます。「とっても一生懸命されていて大変なんだよね」と言います。大変そうだけど、一生懸命、怒らずやっていらっしゃるのを子どもから聞いて、感銘しています。
A支: 他にも、だいぶ明るくなって、自ら他の人のために行動できるようになったお子さんもいらっしゃいます。
B母: そこでの子どもたちの様子を知ることができて、嬉しいです。ありがとうございます。
A支: いろんな居場所があると思うんですが、ここのフリースクールはその1つと思ってください。