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アテルイ蝦夷(東北)酋長・・・評価三例・・・岡本太郎も爆発した!!

2008年08月22日 | 川柳

1 アテルイブームの背景にあるもの

奥州の英雄アテルイが亡くなって今年は丁度没後1200年に当たる。そのこともあってか、最近富みにアテルイの名誉回復とも言えるような運動が各地で巻き起っている。今回の長編アニメ「アテルイ」をはじめ、わらび座ミュージカル「アテルイ 北の燿星」 、市川染五郎主演の芝居「アテルイ」、米澤牛一の一人芝居「アテルイの首」、アテルイの新作神楽「夕霧物語」など続々と登場している。さしずめアテルイの復権の文化運動の感がある。もちろんこの運動の背景に眠っているのは、東北人のアイデンティティーの発露ということがあるのは言うまでもない。

つまりアテルイの名誉回復は、東北人の名誉回復そのものなのである。1200年の昔、奥州は大和から見れば、日高見国と呼ばれる国家があったとされる。厳密に言えば国家あるいは「クニ」とは呼べるほどの体制であったかどうかは定かではないが、各部族が横のつながりを持ちながら緩やかな部族の連合体のような形で、社会を構成し平和に暮らしていたと思われる。

国家というものは、人間の欲そのものを体現しているから、人間同様に欲張りなものである。日高見国というのは、古事記や日本書紀、風土記などを見ても書いてある通り、本来大和(奈良)あたりにまでも棲んでいた人々であったが、大和朝廷が、東に攻め入って来て、奈良盆地に入って来たため、先住民のエミシは、当然北へ北へと押しやられることになったのである。以来、大和国と日高見国の境界線は、畿内から関東へ関東から東北へと移っていく。

もちろん現在の東北人が、エミシの末裔かと言われれば、それは残念ながらノーと言わざるを得ない。全国各地からの民の移配流入や移住などによって、住む人の構成は大きく変わっていることは確かだ。だから昨今のアテルイの名誉回復という運動の本質は、アテルイの復権とは言っても、エミシ文化(あるいは縄文文化)という背景を持つ東北人のアイデンティティーの運動として展開されてこそはじめて歴史的な意味を持つものである。

つい50年ほど前まで、東北文化の基底部に存在する縄文文化というものは、荒々しくて洗練されていなくて弥生文化に一段劣る文化との評価がなされていた。ところが、縄文文化の素晴らしさや文化的価値を発見した一人の芸術家がいた。岡本太郎である。彼はフランスのパリ、ソルボンヌ大で最先端の民俗学を学んだ人物でもある。

彼は1951年、偶然上野の東京国立博物館でひとつの縄文土器を見て、あの大きな目を剥いてその場に立ち尽くした。それは炎が天上に向かってゆらゆらと挑みかかるような迫力を持つ火焔型土器と呼ばれる土器の前であった。その時の感動を岡本はこのように書いている。

「偶然、上野の博物館に行った。考古学の資料だけを展示してある一隅に何ともいえない、不思議なモノがあった。ものすごい、こちらに迫ってくるような強烈な表現だった。何だろう。(中略)縄文時代。(中略)驚いた。そんな日本があったのか。いや、これこそ日本なんだ。身体中に血が熱くわきたち、燃え上がる。すると向こうも燃えあがっている。異様なぶつかりあい。これだ!まさに私にとって日本発見であると同時に、自己発見でもあったのだ。」(1997「画文集・挑む」より)

それまでの評価が、岡本太郎の芸術的直感から発した一撃によって、粉砕された瞬間であった。これによって縄文文化は、単なる東北の辺境にあった文化から、日本文化の底流にある一大潮流との認識が生まれることとなった。こうして縄文文化は今日のような世界的な評価を受けるまでになったのである。それでも日本国内においては、縄文文化の価値が正当に評価されるまでに、20数年の歳月を要したのである。

現在、世界各地では、国連を中心に、先住民族の文化を見直す動きが国際的に起こっている。現在のアテルイブームの根底には、こうした流れも影響していることは明らかである。東北人いや日本人の心の中で、アテルイに象徴されるイメージが肯定的に評価され拡がりつつあるのを感じる。ともかく東北人が、アテルイを自らのアイデンティティーの象徴として主張する時代となったことは、とても喜ばしいことであると、一人の東北人として素直に思う次第である。

 

  ■岡本太郎氏の芸術的直感に出逢ってとてもうれしい!WATASI!

生前、岡本太郎氏にインタビュアーが「岡本先生にはお子さんがいらっしゃらないんでしたね?」との問いに・・・

「私の子供は世界の海へ流れている!」と、壮大なお答えをしていました。

父は一平、日本の漫画界の重鎮。母はかの有名な岡本かの子。

岡本太郎氏が、沖縄や縄文文化に造詣が深いとは・・・知りませんでした。

 ■川柳っていいね!北海道散歩は本日、岡本太郎氏の芸術的パッションに遭遇  中!!

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