新興国の債務不履行懸念広がる ドバイショック (1/2ページ)
【ロンドン=木村正人、ワシントン=渡辺浩生】アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国の政府系企業をめぐる信用不安は、世界的な金融危機から脱し切れていない国際金融市場に、新たなバブル崩壊のリスクを想起させている。欧米中央銀行の低金利政策を背景に、過剰なマネーが流入する他の新興市場国の財政問題への懸念が広がり、欧米金融当局は事態を注視している。
ドバイ政府が25日に、債務の支払い猶予を要請した持ち株会社「ドバイ・ワールド」向けの残高を抱える海外金融機関は、HSBCなど英国勢が中心だ。
UAE全体の債務総額は1230億ドルで、うち英銀の貸し付けは約4割の502億ドル。債務総額が590億ドルとも伝えられる「ドバイ・ワールド」には、昨年の金融危機で公的資金が注入され、事実上国有化された英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が、過去3年間で22億8000万ドルを貸し付けていたことが判明。米金融大手ゴールドマン・サックスの推計では、HSBCの貸付額は6億1100万ドル、スタンダード・チャータード銀行は1億7700万ドルにのぼる。
今後の債権処理の行方次第では、RBS再建への懸念が広がる恐れもあり、ブラウン首相は27日、「世界の金融システムは強固になった。この問題に対応することは可能だ」と、“ドバイ・ショック”が第2の世界的金融危機の引き金になるとの懸念を否定した。