弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

保守派で固めた 最高裁は「政権交代」どうするの?

2024年01月22日 22時15分11秒 | 裁判
日米共通して、最高裁裁判官の任命は極めて政治的である。
アメリカは、トランプ政権最末期に、リベラル派のギンズバーグ裁判官が逝去するやいなや、無理矢理6人目の保守派を任命したので、6対3とバランスが崩れている。それでも、ロバーツ長官が保守派にしては見識が高いので、妊娠中絶と大学入試問題を除けば、まだ予想されたほどひどい判例にはなっていない。

日本では、トランプが15人全員を指名したようなものだから、リベラル派がせいぜい1〜3名程度にとどまるのも仕方がないかも知れない。最高裁裁判官の指名権を内閣に与えても、国民審査でバランスが取れると考えたのは、日本国憲法の唯一の設計ミスか。
それにしても、もし政権が変わったらどう対処するつもりなのだろうか。

全国の高裁部総括を私が数えたところ、高裁ごとに多い順に並べて下記合計91人(支部・知財高裁の部総括を含み、特別部総括は除く。)。
東京34
大阪20
福岡11
名古屋8
広島 7
仙台 5
札幌 3
高松 3
そのうち明確なリベラル派は高々数人程度のようにも見えてしまうのだが、本当にそうだとすると、最高裁以上に保守派に偏っていることになる。
(写真)静岡地裁で袴田事件の再審開始・釈放決定をした村山浩昭裁判長は、名古屋・大阪の高裁部総括を経て、退官後は再審法改正の先頭に立っている。刑事では珍しいリベラル派の高裁部総括だった。

戦犯政治に 加担をすれば 裁判官も 裁かれる

2024年01月22日 00時00分03秒 | 裁判
中日新聞の今朝の社説から。
ニュールンベルグ裁判では、裁判官も戦犯として裁かれた。
https://www.chunichi.co.jp/article/840909

東京裁判では、裁判官は起訴されなかった。例えば翼賛選挙の無効判決をした立派な大審院判事たちもいたお陰で、命拾いしたのだろう。
戦後の最高裁長官の一部をはじめとする超保守派裁判官の生き残りからすると、裁判官の責任を問わないことが良かったかどうか疑問もある。

しかし、いい加減な裁判をすれば裁判官にとって命取りになることは、領地争いを専断して幽閉・暗殺された鎌倉幕府2代将軍の源頼家や、盟神探湯(くがたち)を復活するなどして暗殺された室町幕府6代将軍の足利義教の例を挙げることができる。