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テレビゲーム

今の子どもたちは、遊びイコールテレビゲームみたいなところがあります。本当にたくさんのゲームが販売されていますし、ゲーム機も日夜進歩して、いまやパソコンレベルの力は十分にあります。でも、正直なところ、確かにテレビゲームはおもしろいと思うのです。

私は今年で43になりますが、実は最初にテレビゲームに接した世代かもしれません。ブロックくずしやスペースインベーダーというゲームをゲームセンターでやっていた記憶があります。ゲームセンターで何面もクリアする人を横でみながら、いろいろとテクニックを覚えたわけで、今の子どもたちの行動を大差ありません。

今の子どもたちがやっているゲームは、その当時から比べると格段におもしろくなりました。この前も息子がプレイステーションで遊んでいるのと横で眺めていたのですが、画面の構成といい、ストーリーの展開力といい、本当におもしろく作られています。私のような世代でも、この前の「電車でGO」のようなゲームは楽しく遊べます。だいたい、われわれの子どものころは、電車の運転手になりたいと、一度くらいは思ったものですから、こういうゲームは見事なマーケティングがなされているのでしょう。アメリカにいっても、カナダにいっても、子どもたちは日本のテレビゲームに夢中です。最近、日本の最大の輸出品はピカチュウだといった方がいらっしゃいましたが、さもありなんという感じがします。

ゲームに関して言えば、子どもたちの情報量は大変なものです。新しいバージョンの情報もよく知っていますし、またワザの種類も豊富です。新しいゲームが出ると、すぐに買いにいって、攻略が始まります。そのうち、攻略本も出て、それを読みながら、一歩一歩クリアしていくのは、確かにおもしろいでしょう。土台、ゲームはおもしろくなければ、売れないのだから、面白いに決まっているのです。

 ただ、テレビゲームについては、やはり子どもたちをある程度管理する必要があります。ひとつは視力の問題。長い時間テレビゲームをやれば、当然目に影響がでます。これはテレビや漫画、パソコンなどにも共通することですが、子どもたちは夢中になってしまうと、大人にくらべて、きわめて集中度が高いので、すぐ目が悪くなってしまうのです。塾で見ていますと、めがねをかけている子どもは大変多くなりました。これはやはりテレビゲームの影響が少なくないと思います。

もうひとつは時間。テレビゲームはおもしろいので、時間を忘れてしまうのです。これは私が自分でパソコンのゲームをやっていて思うのですが、ふと気が付くと1時間なんかはすぐたってしまいます。ましてや、子どもたちの集中力は本当にすごいので、多分またたく間に時間がたってしまうでしょう。

私は小学校6年生の6月から、子どもたちにテレビゲーム、パソコンゲームの類をすべて禁止しました。といって、私が禁止したのは、これだけです。漫画も、テレビも、見てもいいのですが、テレビゲームだけはやめなさいと諭しました。

「なんで、ゲームはいけないの?」

「え、おもしろすぎるから」

「30分だけならいいじゃん」

「だからさ、30分だけにできるものなら、禁止なんかしないんだ」

「え、僕なんか、いつも30分でお母さんに電源消されちゃうから、大丈夫だよ。(それは大丈夫とはいわないの!)」

「え、いいじゃん、ゲームくらい」

「そうだよ、そんなの、弾圧だ。基本的人権の尊重!(ムムム、こういうときだけ人権問題を持ち出すな!)」

まあ、しばらくはガタガタしていますが、「ゲームをやっていると入試で落ちる!」というわけのわからないうわさに弱い心を揺さぶられて、だんだんみんなあきらめてきます。そうすると、おもしろいもので、

「ゲーム? まだ、そんなこといってんの」

なんて、偉そうなことをいう子どもたちがでてくるものです。それでもあきらめきれない子どもたちはかくれゲーム族となって、家ではできませんから、塾とは関係ない学校の友達の家に遊びにいって、やったりするのです。

私はあまり禁止するのは好きではないのですが、やはりゲームだけは禁止しないとだめだと思っていました。ゲームだけは自己コントロールが及びにくいものだからです。そして、これは、今の子どもたちの生活に少なからず影響を与えているので、こればかりは親がコントロールする必要があると思っています。

ゲームはバーチャルの世界です。殺してもいくらで生き返ります。なぐっても、痛いとはいいません。それは子どもの中でも理解はできているのですが、それがあまりに長くなると実世界とバーチャルの世界で区別がつきにくくなります。

これははっきり、精神的に異常をきたしているのだと私は思うのです。前に全日空機をハイジャックし、機長を刺し殺した犯人が、やはりゲームマニアで、本物の飛行機でレインボーブリッジの下を通過したいと思って、犯行に及んだという話を読みました。ゲームでできるのだから、本当の飛行機でもできると、普通は考えません。しかし、あまりにその時間が多くなると、現実とバーチャルが区別がつかなくなる可能性はきっとあるでしょう。これは極端な話ですが、やはり、最初からゲームに関してはルールを作っておいたほうがいいでしょう。

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