本題に入る前に"せって(言って)"おきますが、今回の記事は一寸長いわよん。キノコの話題なんだけどね、興味が無い方はスルーしてちゃぶ台。
スルーしなかった皆様、改めて「いらっしゃいませ~」 お越し頂いただけでも有難いのに、こんな憎まれ口"せっちゃ"何ですが、「暇なのね?(笑)」
キノコ採り終盤ともなると、決まってムラサキシメジが俎上に上がる。「最近ムラサキシメジにお目にかかれないけど、何処へ消えた?」とね。
一昔前までは、ムラサキシメジなんぞ珍しくもなくその辺の道端に腐る程発生していたものだが、ここ最近採取量がめっきり減ってしまった。
その昔、オラの婆さんは、ビクに入りきれず腰巻きに包んで持ち帰ったと笑っていたが、そんな笑い話も一度や二度では無かった。
それ程大量に採れたムラサキシメジだが、気付いたら一本も採れなかったなんて年も珍しくも無く、ある意味幻と化してしまったかのようだ。
幻の?ムラサキシメジ
その幻と化したかのようなムラサキシメジだが、毎年仲間の何倍もの量をコンスタントに採取する強者がいる。
その強者の名をU氏と言う。キノコ大不作の今年、苦戦する仲間を尻目に「今年は少ねぇなぁ」と言いながらも、例年より少なかったもののかなりの収穫量だ。
「お前の今年の収穫量はどれ位だ?」と仰いましたか? 正直教えたくはありませんが2本だよ!たったの2本!「少なくて悪かったな!」
ある日、「Uさん、どうやったらそんなに採れるんですかのぅ?」と仲間内から問われたU氏、「へへへ、実は、栽培しているんだ」と悪戯っぽい笑みを浮かべた。
無論U氏がムラサキシメジを栽培している筈もないが、余りにものその手腕に「ふ〜ん、成程〜」と納得してしまうから不思議だ。
「その栽培方法を教えて?」と尋ねると、「そんな秘密、誰が教えるものか」と一笑に付すが、「マツタケやコウタケを採る時はどうやって採ってる?」と逆に問われた。
意味が分からず、返答に苦慮していると、「マツタケを採る時は、石ずきに付着する菌を穴に戻したり穴を埋め戻したりと、丁寧に扱うだろ?あれと同じさ。」と仰る。
「雑キノコだからと言って雑に扱っちゃダメってことさ」と仰り、ムサキシメジは落葉分解菌だから、落ち葉もろとも引っこ抜き、後は知らねぇよなんてのは論外だ」とも付け加える。
聞けば、生え際の落ち葉を極力掻き回さないよう注意し、石づきに付着する菌をこそげ落とすようにして採取しているのだそうだ。
皆がそれなりの量を採取できる年であれば「ふ~ん」と聞き流してしまいそうなお話しだが、今年のような惨憺たる状況下だとU氏のご説はかなり説得力がある。
更に、拵えた後に出るキノコのクズをただその辺に捨てるのではなく、次回お山へ行った際、採取した場所にそのクズをばら撒きシロを育てているのだそうだ。
そう言われると、昔はビクが主流で菌を蒔き散らしたものだが、近頃はビニールでキノコ採りなんてのも珍しくないから、最近の収穫量減少の要因とシンクロするような?
「だから、俺の場所は年によって豊作不作のバラツキはあるが、毎年コンスタントに採取できるんだな」と語り、「大事な秘密を教えちゃったかな?」と締めくくった。