茶道資料館に隣接して、「本法寺」があります。
このお寺は、長谷川等伯ゆかりの寺で、
本阿弥光悦の作と伝えられる「巴の庭」があります。
最近、阿部龍太郎の小説「等伯」を読んだので興味もあり、
初めて立ち寄ってみました。
このお寺には、等伯の描いた重要文化財『仏涅槃図』があり、
普段かかっているのは複製ですが、
毎年の涅槃会にはこの『仏涅槃図』の実物が一般公開されるそうです。
縦は10メートルほどもある、かなりの大きさの迫力のある絵で、
若くしてこの世を去った息子や、等伯の人生に関わった人々への思いが、
絵の隅々にまで、込められているように感じられました。
これもまた、小説ではありますが、等伯の人生をたどった後に見ることで、
心に迫るものがきっとと違ったのでしょう。
「巴の庭」もしばし眺めて。
お庭を眺める風ポーズの写真も一枚。
いつも資料館まで来ても、ゆっくり出来ずに、
ついぞ立ち寄ることのなかった本法寺ですが、
等伯の『仏涅槃図』はきっと忘れないと思うほど、目に焼き付きました。
これも又、最初で最後の冥土の土産になるかもしれませんが。
そのあとはせっかく近くまで来たのだからと、
裏千家と表千家の門まで廻ってみました。
兜門はいつもながらの佇まいでした。
私は裏千家、同行の友は表千家を修行中ですからご挨拶です。
今回の旅では懐かしい場所を二か所訪れました。
それは、大徳寺と平安神宮。
大徳寺は、50年も前の修学旅行の時と、お茶を始めてから一度。
その50年前に、見学のわたしたちに、ユーモアたっぷりに説明をしてくださった、
大仙院の尾関宗園老師に、お会いできましたので、
思わずなつかしさに、「あの時の和尚さんでしょうか?」
「そうですそうです。」と又あの口調に載せられて、
サイン付きのありがたいお言葉をお土産にすることに。
かなりのご高齢でしょうに、驚くほどお元気でいらっしゃいました。
玄関前には沙羅(夏椿)の木の花が二輪ほど開いていました。
五月の特別公開の時期ではなく、拝見できる塔頭は限られていますので、
今回は懐かしい場所を訪ねただけで、お寺を後にしました。
三日目に、細見美術館の帰りに、
雨上りの平安神宮も、50年ぶりに訪れてみました。
今回の目的には神社仏閣は重きを置いていなかったので、
こんな風に立ち寄れたのはよかったです。
お寺編のご報告はこんな感じでしょうか。