美唄の、窓の開かないホテルの夜は寝苦しかった。
暑くて気が狂いそうだ。
朝を迎え、走り始めたときは生き返ったようだった。
美唄から札幌へ。
国道12号線をひたすら走り続けるだけの、単調な1日なのだ。
今朝も快晴。
国道12号線は、ほぼ全線にわたり自転車走行基準を満たした広い歩道がある。
だから、無理に車道に降りて走行してドライバーに迷惑をかける必要性はまるでない。
多少、段差は気になるけれど、ありがたく歩道を走らせてもらう。
歩行者はほとんどいないから、気楽でいい。
道の駅に立ち寄って名物の焼き鳥で豪華絢爛な朝食を、と企んでいたのだけど、
「10時からです」と言われてあっけなく振られる。
焼き鳥の、お兄さん!
その、ジュージュー焼いてる大量の焼き鳥の、
ほんの3〜4本でいいんだけど…
お兄さんは目も合わせず、ガン無視なのだ。
お兄さんは忙しいのだ。仕方ない。
「す、すみませんでした。」
チャリダーは、すごすご退散する。
空腹のまま1時間ほど走り続け、いい加減、血糖値が落ちてきたなと思うころ、岩見沢市に至る。
岩見沢は、国道12号線の札幌、旭川間ではもっとも大きな町だ。
ロードサイドに、マクド発見。
ようやく遅い朝食にありつく。
安くてうまい。コーヒーもうまい。
マクドありがたや。
腹が満たされると心が豊かになる。
歩道さえも美しい。
北海道は銀杏の黄葉が舞う秋なのだ。
この、イチョウという木。
ちょっと臭い実は、果肉部分を十分に取り除いて乾燥させて空炒りしたら、美味なる「ギンナン」となる。
落ち葉は晩秋の頃に煌びやかな黄金色に染まり、カエデの深紅と見事な調和を成す。
木部の材としては、高品質な「まな板」に加工される。なんでも包丁当たりが絶妙なんだそうで、昔から食の職人を中心に絶対的な信頼を得ている。
日本人にとって最も身近な木のひとつと言っていいだろう。
なんて、どや顔的なウンチクなど語りつつ、ペダルを踏み続ける国道12号線の旅なのだ。
函館本線と並走。
札幌が近づき、だんだんと国道周辺も賑やかになってきた。
美唄から3時間も走れば札幌市内に至る。
札幌は大都市だが、本州的な常識に反して町なかも走りやすい。
道も広く、ドライバーの心も広い。
でっかいどー北海道!
ややや!
物欲と食欲の聖地が向かい合っているのを発見!
誘惑のダブルワッパーや!
しかも秀岳荘はバーゲン期間の日曜日なので、駐車場が大変なことになっている。
「俺は自転車やけん関係ないね」的に、ついふらふらと吸い込まれそうになる心を必死に抑え込むのであった。
そうこうしているうちに、まだお昼過ぎだというのに、きょうの宿泊先に到着してしまった。
古い友人がマネージャーを務める公営のホステル。
その友人Y oちゃんは、今から20年以上前、ともに山岳ガイドとして働いた仲間である。
その頃、北海道では知事が主導して山岳ガイド等のアウトドアガイドを公的な資格として認定確立しようとしていた。そんな時代のうねりの中でYoちゃんと僕は初期の第1号ガイドとなるべく共に研鑽を積んだのだ。
そのガイド資格は、ついに国家資格とはならなかったが、日本初の公的なガイド資格として誕生して今日に至っている。
あまりに難易度が高かったため現在では幾分易しくなったようだが、当時の僕らには知りようもない。
僕らは共に試験に臨んだ。繰り返し講習を受講し、一次試験、二次試験を経て、最後の実技試験に挑んだ。そして2人とも合格することができた。当時の合格率は50%以下であったから、なかなか貴重な認定資格といっていい。
当時の初代認定証は北海道知事の署名捺印入りである。
Yoちゃんは山好きの友から北海道公認ガイド資格第一世代まで共に進んだ仲間なのだ。
そんなYoちゃんはホステルのマネージャーになり、僕はレンタサイクル屋さんになった。
その当時の第一世代の他のガイドたちも今では他の職業に転じていたり、独立して個人のオフィスを経営していたり、自由に暮らしていたり、本州の日本アルプスの山小屋の管理人になっていたり、様々な生き方をしている。
山で亡くなってしまった友人もいる。
20年も経つと色んな悲喜こもごもの人生模様があるのだ。
皆それぞれが幸せならば、それでいい。
僕はそう考えている。
いつまでも自分はガキのつもりでいたけれど、そんなことを考えるようでは、どうやら少し歳をとってしまったみたいだ。
さて。
Yoちゃんのホステルはなかなか素敵だ。
豪華なガレージがあるぞ!
そして部屋は、
めっちゃ快適だ!
こんなに清潔でキチンとしていて3300円やで!
凄くない?
そして、さすがは札幌中心部。
周辺にはなんでもある。
宿から歩いて回転寿司に行ってみたら、1時間待ちだと言われ、仕方なく隣のカツ屋に入ってみる。
予定外の、海老フライ定食だ。
え⁈
でかくないですか?
海老フライの、こん棒や!
もちろん、ご飯もキャベツも‘おかわり’自由なことは言うまでもない。
すっかりお腹いっぱいになり、もう美唄焼き鳥を逃してしまった残念感は、はるか遠い彼方へと過ぎ去ってしまった。
札幌おそるべし。
本日の走行距離、62km。
暑くて気が狂いそうだ。
朝を迎え、走り始めたときは生き返ったようだった。
美唄から札幌へ。
国道12号線をひたすら走り続けるだけの、単調な1日なのだ。
今朝も快晴。
国道12号線は、ほぼ全線にわたり自転車走行基準を満たした広い歩道がある。
だから、無理に車道に降りて走行してドライバーに迷惑をかける必要性はまるでない。
多少、段差は気になるけれど、ありがたく歩道を走らせてもらう。
歩行者はほとんどいないから、気楽でいい。
道の駅に立ち寄って名物の焼き鳥で豪華絢爛な朝食を、と企んでいたのだけど、
「10時からです」と言われてあっけなく振られる。
焼き鳥の、お兄さん!
その、ジュージュー焼いてる大量の焼き鳥の、
ほんの3〜4本でいいんだけど…
お兄さんは目も合わせず、ガン無視なのだ。
お兄さんは忙しいのだ。仕方ない。
「す、すみませんでした。」
チャリダーは、すごすご退散する。
空腹のまま1時間ほど走り続け、いい加減、血糖値が落ちてきたなと思うころ、岩見沢市に至る。
岩見沢は、国道12号線の札幌、旭川間ではもっとも大きな町だ。
ロードサイドに、マクド発見。
ようやく遅い朝食にありつく。
安くてうまい。コーヒーもうまい。
マクドありがたや。
腹が満たされると心が豊かになる。
歩道さえも美しい。
北海道は銀杏の黄葉が舞う秋なのだ。
この、イチョウという木。
ちょっと臭い実は、果肉部分を十分に取り除いて乾燥させて空炒りしたら、美味なる「ギンナン」となる。
落ち葉は晩秋の頃に煌びやかな黄金色に染まり、カエデの深紅と見事な調和を成す。
木部の材としては、高品質な「まな板」に加工される。なんでも包丁当たりが絶妙なんだそうで、昔から食の職人を中心に絶対的な信頼を得ている。
日本人にとって最も身近な木のひとつと言っていいだろう。
なんて、どや顔的なウンチクなど語りつつ、ペダルを踏み続ける国道12号線の旅なのだ。
函館本線と並走。
札幌が近づき、だんだんと国道周辺も賑やかになってきた。
美唄から3時間も走れば札幌市内に至る。
札幌は大都市だが、本州的な常識に反して町なかも走りやすい。
道も広く、ドライバーの心も広い。
でっかいどー北海道!
ややや!
物欲と食欲の聖地が向かい合っているのを発見!
誘惑のダブルワッパーや!
しかも秀岳荘はバーゲン期間の日曜日なので、駐車場が大変なことになっている。
「俺は自転車やけん関係ないね」的に、ついふらふらと吸い込まれそうになる心を必死に抑え込むのであった。
そうこうしているうちに、まだお昼過ぎだというのに、きょうの宿泊先に到着してしまった。
古い友人がマネージャーを務める公営のホステル。
その友人Y oちゃんは、今から20年以上前、ともに山岳ガイドとして働いた仲間である。
その頃、北海道では知事が主導して山岳ガイド等のアウトドアガイドを公的な資格として認定確立しようとしていた。そんな時代のうねりの中でYoちゃんと僕は初期の第1号ガイドとなるべく共に研鑽を積んだのだ。
そのガイド資格は、ついに国家資格とはならなかったが、日本初の公的なガイド資格として誕生して今日に至っている。
あまりに難易度が高かったため現在では幾分易しくなったようだが、当時の僕らには知りようもない。
僕らは共に試験に臨んだ。繰り返し講習を受講し、一次試験、二次試験を経て、最後の実技試験に挑んだ。そして2人とも合格することができた。当時の合格率は50%以下であったから、なかなか貴重な認定資格といっていい。
当時の初代認定証は北海道知事の署名捺印入りである。
Yoちゃんは山好きの友から北海道公認ガイド資格第一世代まで共に進んだ仲間なのだ。
そんなYoちゃんはホステルのマネージャーになり、僕はレンタサイクル屋さんになった。
その当時の第一世代の他のガイドたちも今では他の職業に転じていたり、独立して個人のオフィスを経営していたり、自由に暮らしていたり、本州の日本アルプスの山小屋の管理人になっていたり、様々な生き方をしている。
山で亡くなってしまった友人もいる。
20年も経つと色んな悲喜こもごもの人生模様があるのだ。
皆それぞれが幸せならば、それでいい。
僕はそう考えている。
いつまでも自分はガキのつもりでいたけれど、そんなことを考えるようでは、どうやら少し歳をとってしまったみたいだ。
さて。
Yoちゃんのホステルはなかなか素敵だ。
豪華なガレージがあるぞ!
そして部屋は、
めっちゃ快適だ!
こんなに清潔でキチンとしていて3300円やで!
凄くない?
そして、さすがは札幌中心部。
周辺にはなんでもある。
宿から歩いて回転寿司に行ってみたら、1時間待ちだと言われ、仕方なく隣のカツ屋に入ってみる。
予定外の、海老フライ定食だ。
え⁈
でかくないですか?
海老フライの、こん棒や!
もちろん、ご飯もキャベツも‘おかわり’自由なことは言うまでもない。
すっかりお腹いっぱいになり、もう美唄焼き鳥を逃してしまった残念感は、はるか遠い彼方へと過ぎ去ってしまった。
札幌おそるべし。
本日の走行距離、62km。