浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「独り言」より。

2016-01-12 00:07:34 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

     恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より


        第五章 心の曇りをとるための反省


    反省してはじめてわからせていただいた母親の愛


先の続き・・・

たいへんなことをしてしまったと思った私は、
田舎育ちで薬草や血止めの草の知識があったので、
傷口に血止めの草をぐっとしぼってつけました。
そして、その上から血止めの葉で押さえて急斜面を下の道まで降りて来て、
道端に落ちていたボロ布をひろい、それで患部を縛りました。
「えらいことをしたなあ。なんと言って言い訳しようかなあ」と、
七歳の幼い頭で一生懸命に考えたのですが、いい考えは浮かびません。
もし、嘘などつかずに畑にいつもどおりに出て仕事をしていて怪我をしたなら、
「お母ちゃん、えらいことした。なんとかして」と言えるのですが、
嘘をついて隠れてわることをしたのですから、本当のことを言うこともできません。
そこでまず、血が出ないように応急処置をしました。
私の家と隣家との間が一メートルほど空いていて、
冬の間は田の稲を干す長い木が使わないでかこってあるのですが、
その隙間に入って、「どうしようか。そうしようか。

どう言って親に言い訳しようか」と思いあぐねていました。
他人様の山に竹を取りに行って、自分の足を切ったと言えば怒られますから、
なんとか逃れる方法はないものかと考えているうちに、
だんだんと時間が過ぎて外が暗くなってきました。
そこで、勇気をふるって家の入口から「ただいま」と言って入ったのです。
「遅かったなあ。今迄何してたのや」と母が聞くので、
「友達の所で勉強していて怪我をした」と、私は言いました。
その時、母は「ちょっと見せてごらん」と言って、」「こんな汚い布でどうして
向こうのおばちゃんに言ってあんばいしてもらわなかったのや。
こんなえらいことになってるのに。痛かったやろう」と薬を塗り、
新しい包帯をしてくれたのです。
その時の母の手の温もりがあたたかい感触として、
私の足にありありとよみがえってきたのです。


          ~ 感謝・合掌 ~




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