恩師のご著書「講演集」より
講演集、 二
人間は皆、自己が最もいとおしい
人間といいますのは、今地球上に五十億の人口がありますけれど、この世の中で誰が
一番いとしいかをよく考えてみますと、自分ほどいとおしいものはないのです。
「いや、私はあの人が好きでいとおしくて・・・」といっても、それは嘘です。
「うまいことして、その人と結婚したら、その人はちゃんと食べさせてくれる」
というように、心の底ではまず自分のことを第一に思っています。
「私はこの子供が可愛くて可愛くて」といっても、その子が苦労かけてくれたらどうも
ならんと思いますし、掘り起こしてみると、全部自分のことに帰着します。
「私は主人を命の限り愛しています」といっても、主人がよそへいってお金を持ってきて
くれなかったりすと、主人を憎むようになります。
主人のほうも「私は家内を愛しています。いとおしくてたまりません」といいましても、
心の底を掘り起こしてみると、「この人がいないと洗濯もしてくれない、
めしも炊いてくれない」という具合に結局は全部自分の為です。
お釈迦様は、「自己がいとおしいように、人さまも各自、自己がいとおしい、だから自分を
いとおしむ如く、他をいとおしみなさい」と教えておられます。
これは蚊一匹、蟻一匹といえども自らをいとおしんでいます。
だから私たちは自分をいとおしむように、
他のすべての命あるものをいとおしまなくてはならないのですね。
「自らを愛し、自らを愛するが如く他を愛しなさい」
~ 感謝・合掌 ~