恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第五章 心の曇りをとるための反省
自分を赦すことの難しさ
先の続き・・・
どうにもならない心の壁に突き当たってしまいました。
どうしても破れない心の壁でした。
とうとう最後にあきらめざるをえなくなりました。
私のような者が心に法灯をいただくとか悟りを得るとかいう、
大それたことができるはずがない。
それは偉大なる魂をお持ちの尊い方にして初めてできることであって、
私のような凡夫のできることではないのだと気づき、
もうこれ以上はやめようと決心しました。
あきらめて山の木々の間に仰向けになって寝転んでいました。
長い時間が過ぎていきました。
この時、梢の間から差し込んでくる光を見たのです。
もし、光、法灯、悟りというものがあれば、やはり私も欲しいという思いが、
心の中から持ち上がってきました。
むっくり起き上がって、再び座って反省にとりかかりました。
そして、己と向き合いました。
何時間かが過ぎていきましたが、どうすることもできません。
後になってわかったことですが、私たちはこの世に生まれた後に、
環境、教育、思想、習慣、時代の条件の中で、それぞれの人格をつくり、
人生をつくっていきます。
「人に寛大、己に厳しく」これも私の受けた教育でした。
その結果、自分の思想をつくっていたのです。
その自分のつくった思想によって、
自分自身をがんじがらめに縛りつけておりました。
「人に寛大、己に厳しく」は人間の理想であり、道徳的観念であって、
法とは別のものだと思いました。
法においては、ある意味において、己にも寛大でなければなりません。
でなければ、悟ることもできません。
~ 感謝・合掌 ~