恩師のご著書「講演集」より
講演集、三
「行深般若波羅蜜多時」
先の続き・・・
ここに在る食べ物は、形として現れた物質で、
「これはほんとうは無いのです」と言いますと、
「いや、そこに在る」と言います。
在るから実在していると、私たちは思っていました。
そこに間違いがあったのです。
「では頂きましょう」と言って、私が食べたら、
忽ちにしてこの世から消える存在です。
実体が無いから消えるのです。
お茶もそうです。
飲めば、実体が無いから消えて当たり前、
形として現れているから消えるのです。
消えたけど、尻から又同じものが出てきたというのでしたら、
これは実体です。
しかし、この世に実在はしません。
なぜかというと、実体が無いから実在しないのです。
「般若心経」には、それが説かれております。
そして私たちが触れたり、見たり、聞いたりしていることも、
ほんとうにはただ現れているだけで、
実体が無かったのです。