アルルの女(4)
—————————【4】—————————————————————
Rien, pas même un grelot de mule... Sans les rideaux blancs des
fenêtres et la fumée qui montait des toits, on aurait cru l'endroit
inhabité.
—————————(訳)—————————————————————
騾馬の鈴の音さえしなかった。 窓の白いカーテンがなかったら、
また屋根から立ち上る煙がなかったら、きっとその場所は
人が住んでいないと思ったことだろう。
—————————《語彙》—————————————————————
grelot (m) 鈴
mule (f) 雌の騾馬
—————————≪文法≫———————————————————————
Sans les rideaux blancs des fenêtres et la fumée qui montait des toits,
on aurait cru l'endroit inhabité.
窓の白いカーテンがなかったら、また屋根から立ち上る煙がなかったら、
その場所は人が住んでいないと誰もが思ったことだろう。
on aurait cru l'endroit inhabité.
この部分が条件法になっています.
人はその場所が人が住んでいないと思ったことだろう.
条件法の基本形は、「条件節」と「帰結節」で成り立つのですが、
本文では、条件節の代わりに
sans les rideaux blancs des fenêtres et la fumée qui montait des toits
という前置詞句で条件を述べています.
sans はこの場合「~がなかったら」という意味で、条件を作ります.
「窓に白いカーテンがなかったら、屋根(の煙突)から吐きだす煙
がなかったら」
(2) on aurait cru l'endroit inhabité.
において、l'endroit inhabité. を「人の住まない場所」と見れば
「人は人の住まない場所を信じる」、となって、わけがわからなくなります.
inhabité はl'endroit を修飾する形容詞ではなく、croire の支配を受ける属詞で
l'endroit もcroire の目的語.croire A B で AをBだと思う、という文型です.