アルルの女(29)
———————————【29】—————————————————
Il monte au grenier * ; elle monte derrière lui :
——Mon fils, au nom du ciel !
Il ferme la porte et tire le verrou.
——Jan, mon Janet, réponds-moi. Que vas-tu faire ?
A tâtons; de ses vieilles mains qui tremblent, elle
cherche le loquet...Une fenètre qui s'ouvre, * le bruit d'un
corps sur les dalles de la cour, et c'est tout ...
———————————(訳)——————————————————
ジャンは屋根裏部屋に上がった*。母親も後を追って上がった。
——お前、後生だよ。待っておくれ。
ジャンは扉を閉めた。
——ジャン、私のジャン、返事をしておくれ。
ジャン、どうする気なのだい?
震える老いたその手で探りながら、母親は掛け金を探しました...
窓が開き、中庭の石畳の上に体が落ちた音がしました。
それっきりでした。
———————————《語句》———————————————————
grenier (m) 屋根裏部屋、(屋根裏の)物置
② 屋根裏の穀物倉庫
verrou (m) 差錠、ラッチ、
tire le verrou は「差錠をはずす」と辞書には載せていますが
ここでは逆で掛ける、という意味になります。
tirer の方に「開ける」と「閉める」の両方の意味があります。
なので、どのような構造になっているかで、
tirer の本来の意味「引く」ことで、「開く」のか
「閉まる」のかは、変わってきます。
loquet (m) 掛け金 この掛け金が見つかれば、反対側からも
開けられる扉だったのでしょうか。
文面だけでは、詳細はわかりません。
Une fenètre qui s'ouvre, * 開く窓、と言う語順ですが、早いテンポ
で物語が展開するのでそうしています。ここも本来の
語順で「窓が開いた。」と訳します。
———————————≪文法≫—————————————————
(il monte. 現在形になっていますが、il monta のこと)
ここから数行は、この物語のクライマックスで、
臨場感が必要です。そこで「手に汗握る」この場面は
現在形にわざと置かれています。以下現在形が続きますが
訳のほうは、過去で統一しておきます。
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