LE PAPA DE SIMON
シモンのパパ(最終回)(92)
.————————【92】————————————————
Le lendmain, comme* l' école était pleine et que*
la classe allait commencer, le petit Simon se leva,
tout pâle et les lèvres tremblantes: « Mon papa,
dit- il, d' une voix claire, c' est Philippe Rémy, le
forgeron, et il a promis qu' il tirerait les oreilles
à tous ceux qui me feraient du mal. »
Cette fois, personne ne rit plus, car c' était un
papa, celui- là, dont tout le monde eût été fier.
.—————————(訳)———————————————————
その翌日、学校は生徒でいっぱいだった.そして
授業が始まろうとしていた.シモンは席から立ち上が
ると顔を真っ青にして、唇を震わせ、だがはっきりと
した声でこう言った: 「ぼくのパパは鍛冶屋のフィリ
ップ・レミーだ.パパは言ったよ.ぼくに悪さを仕掛
けるやつはみんな耳を引っぱり懲らしめるんだってさ.
今回は誰も笑いませんでした.というのは、誰もが
あのフィリップをパパに持てたら、自慢できるのにな
あと思っていたからである.
—————————⦅語彙⦆———————————————————
comme.....que:commeをくり返し使う時は2度目以降は
comme をque に変えます.
plein(e):(形) (de で) いっぱいの
本文にはd'éleves は書かれていないが、教室
がいっぱいということは、生徒でいっぱい
だったはずである.
classe (f):ここで考えられる意味は2つ.「教室」と
「授業」ですが、「始まろうとしていた」ので
「授業」の意味になります.「教室」は始まる
ものではありません.
se leva:(3単単純過去) < se lever (pr) 立ち上がる.
本文には sa place もde son siège もありません
が、日本人の感覚でいきなり「立ち上がる」とい
うのは、不自然なので「席から」を補填して訳し
ました.コンコルド和仏の「席」の項目では
席を立つ se lever [de son siège]、quitter la place
とありますので、se lever だけでも席を立つの意味
になるようです.ただしquitter la place のほうは
字義通りだと、席を離れる
claire:(形) はっきりした、明るい、透明な、
fier:(形) 自慢のできる;
être fier de ~ :~を自慢する、誇りに思う
——————————≪文法≫ —————————————————
「シモンのパパ」の学習は今回で終わります.これが
最後の文法学習です.さあ、ねじり鉢巻で頑張りまし
ょう.
tout le monde eût été fier. / 誰もが自慢できるのになあ、
と思った.
これは条件法過去、ただしくは条件法過去第2形.
ですので、どこかにペアになる条件節がないか、
探してみます.しかしsi で始まる節は見当たりません.
よくみると、この「~なのになあ」という帰結節は
関係代名詞によって、celui-là (こちらのパパ)に連結
されています.クラスメートそれぞれのパパではな
く、こちらのパパ、フィリップさんなら.クラスの
お友達はみんな、こんなパパなら自慢できるのにな
あ、と思っていたのです.そのパパがシモンに出来
たというシモンの大勝利で終わった、胸のすくよう
なお話でした.
最後に条件法過去第2形とは何か?それは
通常の条件法過去よりも、文語的ということです.
簡単にいうと「文学の香り」がする表現です.
そしてその実態は、構造的には「接続法大過去」
です.組合わせは、いろいろありますので、見て
みましょう.どうぞ、もう最後だから、おつきあい
ください.
「もしできたら、彼は戻ってきただろうに」
Si'il l'eût pu, il serait revenu.
(接・大過去=条・過去2形)と(条・過去)の組み合わせ
S'il l'avait pu, il fût revenu.
(直大過去)と(接・大過去=条・過去2形)の」組み合わせ
S'il l'eût pu, il fût revenu.
(接・大過去=条・過去2形)と(接・大過去=条・過去2形)
の組み合わせ.
——————————≪おしまい≫—————————————————
おつきあいいただきありがとうございました.
ゴタぴょん