昔、ファジーって言葉が流行った。
1990年ぐらいだと思うから、15年以上前になるんだけど。
そうかあ、今の中高生は知らないってか。
「あいまい理論」って意味合いで、“1”か“0”しかないコンピュータの世界に白黒つけない思考回路を導入して、良く言えば控えめで、悪く言えば中途半端なニッポン人の思考にピッタリだっていうことで、大ヒットしたね。
電化製品の多くにそんなネーミングが付いていた。
エアコン、電子レンジ、洗濯機、掃除機、冷蔵庫等々、今では当たり前の機能だ。
その頃よりさらに昔のエアコンは、一旦つけたら止めるまで全力で効きっぱなしで寒かったし、洗濯機も洗濯層の中身を機械が確認などしてはくれなかった。
その当時もオレは社会人ドラマーで、今とさほど変わらず、オールドミュージック・バンドで毎週1回か2回ライブをしたり練習をしてて、楽器屋さんやライブハウスに情報収集のためにちょこっと顔を出すような日々だった。
当時の音楽シーンは、リズムマシンが発展して、あらゆるものが打ち込み中心でドラマーの氷河期だった。
サンプリングされた本物のドラムセットの音で、少しも狂うことのない完璧なドラミング。
人間にはとうてい追いつけない速さでのバスドラを踏み、手順を無視したタムフレーズも可能だ。
「これでドラマーは終わったな。」と正直思った。
ところが終わらなかった。
人間が叩けないフレーズというのは、聞いていても面白くないからだった。
すぐに飽きられてしまい、リズムマシンという機械にプログラミングしたリズムは、いかにも機械っぽくかつてのチープなテクノ音色で別の道を歩くことになった。
そして、いかに人間が叩くように似せるか、というのがその後のドラムマシンの方向性になって、“揺れ”とか“グルーブ”とか“ハシリ”“モタリ”というものを機械が追求することになってきた。
人間が機械に勝ったといえる瞬間だった。
なぜなら、ファジィなドラムは人間ならではのものだからだ。
人間の叩くドラムは、プログラミングなんかされておらず、ループも組まれていない。
あるのは、ドラマーのこう叩きたいという“目標”や“希望”である。
そして、ドラマーを突き動かす“情熱”と、その現場で盛り上がった精神の“ノリ”である。
自分やバンドメンバーや観客の盛り上がり具合によっては、“ハシリ”や“モタリ”が“ノリ”の大きなファクターになってくる。
これが現場の面白みだ。
人間が叩くドラムには、機械は絶対勝てない理由である。
現場で、この目で観客を見て、耳で反応を聞く。鼻で空気を知り、肌で温度を知る。人間に生まれて幸せである。
そんなステージに継続的に立たせてもらえるという幸運を、感謝せずにいられない。
1990年ぐらいだと思うから、15年以上前になるんだけど。
そうかあ、今の中高生は知らないってか。
「あいまい理論」って意味合いで、“1”か“0”しかないコンピュータの世界に白黒つけない思考回路を導入して、良く言えば控えめで、悪く言えば中途半端なニッポン人の思考にピッタリだっていうことで、大ヒットしたね。
電化製品の多くにそんなネーミングが付いていた。
エアコン、電子レンジ、洗濯機、掃除機、冷蔵庫等々、今では当たり前の機能だ。
その頃よりさらに昔のエアコンは、一旦つけたら止めるまで全力で効きっぱなしで寒かったし、洗濯機も洗濯層の中身を機械が確認などしてはくれなかった。
その当時もオレは社会人ドラマーで、今とさほど変わらず、オールドミュージック・バンドで毎週1回か2回ライブをしたり練習をしてて、楽器屋さんやライブハウスに情報収集のためにちょこっと顔を出すような日々だった。
当時の音楽シーンは、リズムマシンが発展して、あらゆるものが打ち込み中心でドラマーの氷河期だった。
サンプリングされた本物のドラムセットの音で、少しも狂うことのない完璧なドラミング。
人間にはとうてい追いつけない速さでのバスドラを踏み、手順を無視したタムフレーズも可能だ。
「これでドラマーは終わったな。」と正直思った。
ところが終わらなかった。
人間が叩けないフレーズというのは、聞いていても面白くないからだった。
すぐに飽きられてしまい、リズムマシンという機械にプログラミングしたリズムは、いかにも機械っぽくかつてのチープなテクノ音色で別の道を歩くことになった。
そして、いかに人間が叩くように似せるか、というのがその後のドラムマシンの方向性になって、“揺れ”とか“グルーブ”とか“ハシリ”“モタリ”というものを機械が追求することになってきた。
人間が機械に勝ったといえる瞬間だった。
なぜなら、ファジィなドラムは人間ならではのものだからだ。
人間の叩くドラムは、プログラミングなんかされておらず、ループも組まれていない。
あるのは、ドラマーのこう叩きたいという“目標”や“希望”である。
そして、ドラマーを突き動かす“情熱”と、その現場で盛り上がった精神の“ノリ”である。
自分やバンドメンバーや観客の盛り上がり具合によっては、“ハシリ”や“モタリ”が“ノリ”の大きなファクターになってくる。
これが現場の面白みだ。
人間が叩くドラムには、機械は絶対勝てない理由である。
現場で、この目で観客を見て、耳で反応を聞く。鼻で空気を知り、肌で温度を知る。人間に生まれて幸せである。
そんなステージに継続的に立たせてもらえるという幸運を、感謝せずにいられない。