『晴れた日には・・・』

日々の雑感を綴ります。

映画『ペコロスの母に会いに行く』

2021年08月02日 | 介護

オリンピック競技のテレビ観戦にも疲れて

先日、何気なく見た『ペコロスの母に会いに行く』。

途中からだったけれど、

なんとも、ほっこりする内容だった。

 

赤木春恵さんの認知症の「母」が秀逸で、

(88歳にして、初めて主演を経験したそうな。)

認知症によくある

「無感情の表情から、回路がつながった時の表情へ」の変化が、

母を思い起こさせて、ちょっと泣けた。

 

認知症には、

「物がなくなった」とか「知らない人が家に入ってきて物を盗んだ」とかの

被害妄想型があるけれど、

ペコロスの母は、どちらかというとお人よし。

それも母に似ている。

「オレオレ詐欺」に引っ掛かりそうになるけれど、

その電話が来たことも忘れる。

「訪問販売」の男性を、知り合いだと思い、家に上げる。

そして、そのことを息子に怒られると、

「ごめんねえ、ごめんねえ。怒らなんで・・・。」という。

 

こんな危険なことは、母にはなかったけれど、

でも、失敗(母にとっての)をすると、

「へえ、ふんとう(本当に)に馬鹿になっちゃって・・・。」と切ながったっけ。

 

息子と孫息子、男二人では介護が大変になり

施設に預けることにする。

置いてくるときの、息子の気持ち・・・・。

会いに行くと、帽子をかぶった息子を認識できない。

でも、帽子をとると、禿げた頭で息子を思い出し、

嬉しそうに、頭をぺたぺたたたきながら、息子の名前を呼ぶ。

 

うちの母は、

私が帽子を取っても、眼鏡をはずしても、

もう私だと認識することはない。

「よく訪ねてくれる、親切なおばさん」

 

やがて、それもわからなくなったとき、

息子は、泣く。

たった一人の息子のことが分からなくなった。

母の寝顔を描きながら、息子は泣く。

(これは実話で、作者は漫画家、だそう。)

 

母は、だんだん娘時代に戻っていく。

娘時代を思い出し、

当時の話を口にする。

 

認知症って、不思議だけれど、

過去の思い出は、なんとか消えずにいるんだなあ・・・。

母から、思いがけない話を聞いたことがあるけれど、

認知症を発症していたから、

「そりゃあ、ほんとかい!」と疑ったけれど、

今なら、それはきっと、本当にあったこと、と思える。

幸せだったことばかりでなく、

つらかったことも(もしかしたら、つらかったことのほうが)

しっかり記憶の奥に残っているのかもしれない。

 

そんなふうに、

私も母のことを思い起こさせてくれた映画鑑賞の時間でした。

 

 

 

 

 

 

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