故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

時代遅れ

2020-06-23 06:20:32 | よもやま話

絵のタイトルは、「この人はいつもこうです」です。
補足説明は不要。


流れる川で釣りをしている。
釣れたと喜んだ。連れた場所を記憶しようと、船に印をつけた。
「時代遅れ」とは、そんなことでしょうか。

二十年前にある役をやった。後輩たちを指導して誰もが俺に従ってうまく行った。
困ったことがあったら何でも相談しろ、俺が口添えしてやる。
後輩さえ死んでいく。それは、「時代遅れ」でしょう。
でも、他に話すことがありますか。
生きてきた証と、昔の話をする。
何度も聞いた自慢話です。

じゃあ、年寄は黙っていろと言うの。
そうではありません。
「時代遅れ」が、生きることがある。
今でも槍で突いて、クジラをとる島民がいる。
命がけの漁である。獲れない日が続く。島民全員がひもじい想いをする。
獲れたら、皆に均等に獲物を分ける。漁に出ていない後方支援者にも均等に配る。
ある時、島民の一人が使い古しの銛(クジラ漁に使われた発射銃)を手に入れた。
クジラは面白いように獲れた。一人とそのグループが残った獲物を独り占めにした。
島は荒んでいった。その時から、突き漁に戻したと時代遅れは語った。

誰もが「時代遅れ」になります。
新しいこと(スマホを使いこなす)など、やめた方がよい。到底、若い者に追いつけない。
昔取った杵柄で良いじゃない。人間国宝とはいかぬまでもできることがある。
得意なこと(農業など)をやり続けられる人は救われる。
農業のリベンジは、一年後であり成果が出る迄数年はかかる。
若い者は、そんな風に悠長に生きてはいけない。

お袋の味が忘れられぬ。
お袋は、限られた旬の食材で手早く料理をして、ひもじい子供たちに食わせた。
美味しいと欲張る子に、お袋は自分のものまで分け与えた。
それしかなかった。料理本どおりに作ったって美味しいものには仕上がらない。
お袋だってそうだった。姑に泣くほど絞られて、アウェーで生き抜いた。
料理本にない野菜の切り方だって、いつしか覚え、美味しくなあれと振った塩梅が味を決めた。
汗をかいたときは、少し塩分を効かせた。この心遣いと臨機応変さがお袋の味なんです。
グルメ全盛、男だって台所に立つ時世です。だが、にわかシェフに負けないお袋の味です。
でも、こってり味を好む若いもんにとっては、野菜中心の時代遅れです。

生きざまは、時代遅れになりません。
どんな生きざまですか。
シャッター街の再生に、しわくちゃの眼光鋭い老人の写真を使った。
その顔には、物語が刻まれていた。
だから、シャッター街になったんじゃないと誰も言わない。
昔のようにとも言わない。
俺たちも頑張ろうと、若者が動く。
時代遅れは、ほくそ笑む。

これ美味い 老練シェフよ 舌を巻け

2020年6月23日
コメント
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