絵のタイトルは、「よう来んしゃった」(広島弁)です。
私は、少し痩せました。この地の人使いが荒いせいです。
NHKの番組、プロフェッショナルで「お好み焼き」の話を観た。
お好み焼き(広島風)を生業としているものにとって、参考になった。
今日のタイトルは、「お好み焼き」です。
ただ焼くことは、誰にもできる。
キャベツを甘く、そばをしっかり焼く、ソースをかけないでも美味しくいただけるお好み焼きを作る。
私が注目したのは、周囲(換気やテーブル)やお客さんの年齢に気を遣う。
毎日変わることに気を配ることです。何か変わるんじゃないかと考えることです。
天気であったり、材料であったり、鉄板の表面だったり、蒸気を逃がす換気のことです。
市居さんの焼くお好み焼きは、厚みがあった。キャベツの層に空間がありました。
茹でた麺は、焦げ目がうっすらとついてパリッとしていました。
卵は、そばに絡みしっかり熱が通っていました。見た目も美味しそうであった。
キャベツに均等に熱を入れて、焦げないように甘みを引き出すことは難しい。
キャベツが、シューシューと音をあげる。焼ける音です。
音が変化したら、火が通った証です。その一瞬を追求し、見逃さない。
広い鉄板の中で、一番温度が高い鉄板の上で作業をする。
焼ける音を聞く。お客さんと会話しながらでもできる。集中している証拠です。
私は、カフェを開店するとき、「お好み焼き」も選択した。
自分たちが判断できる味(故郷広島のソールフード)であった。
この地域のラーメンの味付けが、広島焼きを後押しすると考えた。
注文生産できるメニューと判断した。
川崎の厨房中古店で、25mm鉄板(150℃~250℃変換可能の二バーナーのガス式)を見つけた。
軽トラで行き積んできた。
キャベツを焼く時の蓋の役割をする生地の作り方、キャベツの切り方(葉から芯で厚みを変える)を学んだ。
調味料(煮干し粉、鰹粉、ソース(甘いと少し辛い)、天かす(いか天入り))を広島から取り寄せた。
そばは、冷凍めんから焼きそば用までいろいろ試して決めた。
すべて、会津の師匠から指導を受けた。食材の卸も紹介していただいた。
キャベツは均等に火を通すため、葉から芯まで厚さを変えて切り、三度ひっくり返すことにした。
天かすは、キャベツの間に一握りを入れ、サンドイッチにした。
保健所の方に肉屋を教えていただき、しゃぶしゃぶ用の厚さに切って、納入してもらった。
色々と試し、毎日食べて味を確認した。キャベツの甘みが出る迄一年かかった。
開店時に来られた常連客は、最初のお好み焼きにお金を払ったのは何?と言われた。
コーヒー、紅茶とパンとケーキをセットに出す店で、ピザとお好み焼きを組み合わせた。
昼間の顧客だけでは、食べていけないと判断し、一組だけの予約客(夜)をとることにした。
ここでも注文生産(日程、人数、男女比、飲むのか)のおまかせ料理とした。
飲み残しのアルコールをキープする場所もないことから、持ち込み(飲み物、食べ物)自由とした。
一人当たりの飲み単価を下げるためでもあった。
お好み焼きは、焼き上がりが美味しい。
しかも、余熱のある鉄板の上で食感が変わるのを楽しみながら食べる。
カフェでは、鉄板は厨房の中にあり、皿に盛ることとなった。
お好み焼きができるまでのこて捌きを見せる。お客さんの顔を見ながら談笑する。
これが、またよいのであるが、カフェではできないので、お客さんとのコミュニケーションは妻の役割となった。
予約客には、ピザもあわせ必ず出している看板メニューである。
キャベツが甘く、美味しかったと言われると嬉しい。
注文が同時に2枚までなら、何とか同じ味を出せるような気がする。
4枚になると怪しくなる。キャベツへの火の通り具合が均等でなくなる。
仕上げの卵の焼き具合にばらつきが出る。
開店間もない頃は、焼き上がりまで30分かかった。二年経っても20分がせいぜいである。
15分を目指している。プロは10分で仕上げるだろう。
キャベツは、端境期がある。5月頃(約一カ月)にはお好み焼きに適したキャベツが市場から消える。
困ったと、畑でキャベツを作ることにした。冬越しのキャベツは芯が太く甘みが強いことを知った。
カフェで使うキャベツは、1個/日(大きさにもよるが、4-6人分)がせいぜいである。
畑に時期をずらして、苗を植えている。無農薬で作るため、蝶々と青虫との格闘の毎日である。
いろいろ考えて、試行錯誤している。
10年で一人前と言われる。その通りだと思う。
同じ味(最高と信じる)を出し続けるのは至難の業である。
自分が焼いたお好み焼きを毎日味見をする。知らずに味が変化する。
舌が知る ソールフードは お好み焼き
2020年7月1日