『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY          第6章  クレタ  4 

2012-12-27 08:57:51 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 古代のこの時代、ごくごく一部の地域では社会を規制するルールはうまれつつあるも、社会を規制する法なるものは成立していない。全く無法と言っていい時代であり、道徳、倫理などというものも成文化されてはいない状態である。人は勝手気ままに生きているといっていい。そういった時代でありながら、これはここまでしていい、これはしてはならないと、、未来において基本となる道徳、倫理、ルールなるものが不文律として、人々の行動を規制していた。そのなかでも『信頼と報復』が人間が生きていくうえでモラルとして強く厳しく規制していた。裏切り行為は、最もしてはならない悪として憎まれ、報復は手厳しく、必ずといってもいいくらいに遂行された。成文化された法の存在していない社会であるばかりに、人と人、集団と集団、統治機構を有する小国家(ポリス)間の結びつきは、互いを信用するか、信頼するか否かにかかっていたのである。

 アエネアスは、この社会構成の中で人と人とのつながり、その絆の構成がいかに大切であるかを強く認識していたである。彼は、未知なる土地クレタにおいて、社会構成における人と人とのつながり、、その土地における絆の構築を、どのようにして行うかをエノスの浜を船出して以来、船団が波を割って南下する船上において四六時中考えていたのである。社会における心的構成と人と人っを結ぶ絆の構築について、イリオネスやオキテスに説き、話し合い、そして、その心的要素を醸成してきた。彼は、この心情を胸に抱いて、デロス島での用件を済ませたのであった。