『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

ご挨拶申し上げます。    HIPOKRATESHERB

2007-12-30 13:38:02 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 日頃、私のブログを訪ねていただき、誠にありがとうございます。
 今年は、ラッキーが連続しましたか。
 来る年は、ラッキーを沢山積み重ねて、グレートなラッキーにしてください。
 2008年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
 新春は、1月4日より、ブログをスタートさせます。
 
           HIPOKRATESHERB   SUBISIKI HIPOKRASON
                       山田 秀雄

第9章  戦闘再開  19

2007-12-29 07:41:45 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 トロイ軍は、ヘクトルの奮闘と激しい励ましとで、勢いを盛り返していた。この勢いがヘクトルの背中を押す、着実な歩調で連合軍を押し下げた。連合軍の主だった将の半数近くが傷を負って、戦列から後退していた。
 押されて、退きさがった連合軍は、防衛柵を背にする一歩手前まで押されて来ていた。
 アキレスは、冷ややかな目で戦闘の有様を見ていた。風は、戦場の草いきれと共に生臭い血の匂いを運んできていた。彼は、駆け過ぎていく戦車に、ふと、目を運んだ。軍医のマカオンを乗せて駆けて行く、追い詰められた連合軍の難局を肌に感じた。

第9章  戦闘再開  19

2007-12-29 07:34:32 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 トロイ軍は、ヘクトルの奮闘と激しい励ましとで、勢いを盛り返していた。この勢いがヘクトルの背中を押す、着実な歩調で連合軍を押し下げた。連合軍の主だった将の半数近くが傷を負って、戦列から後退していた。
 押されて、退きさがった連合軍は、防衛柵を背にする一歩手前まで押されて来ていた。
 アキレスは、冷ややかな目で戦闘の有様を見ていた。風は、戦場の草いきれと共に生臭い血の匂いを運んできていた。彼は、駆け過ぎていく戦車に、ふと、目を運んだ。軍医のマカオンを乗せて駆けて行く、追い詰められた連合軍の難局を肌に感じた。

第9章  戦闘再開  18

2007-12-27 08:07:05 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 この叫びを耳にした、メネラオスとアイアースは、戦車で駆けつける、オデッセウスを戦車に乗せるやメネラオスが、急ぎ引き返す、アイアースは、大楯と槍で群がる敵と入り乱れての戦闘に及んだ。ヘクトルの軍団は連合軍を押して、押して、押しまくり、戦野に流れるスカマンドロス河の河口近くで老将ネストルの率いる軍団と遭遇し、対峙した。大声をあげて、相手をなじりながらの衝突である。力は伯仲していた。押す押される、攻める退く、退いては攻めた。
 軍団医師のマカオンが、この攻めぎあいに加わっていた。パリスは、弓に矢を番える、ヒヨーッと射放った。三番目に放った矢が、マカオンの左肩に刺さった。矢には力なく、重傷ではない。マカオンは、安全と思われる場所に身を移して、手当てに取りかかった。

第9章  戦闘再開  17

2007-12-26 07:48:42 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 オデッセウスは、周囲を見廻した、わずかの手勢と共に敵中に孤立していた。敵は、包囲を縮めてくる。彼は、血路を開こうと、敢然と向かい討った。倒れ行く敵将兵、間をおかずに攻め来る新手の兵、オデッセウスは息が切れてきた。彼は脇見をした、その隙を巧みに、敵兵の突き出した槍の穂先が胸甲を貫き、胸から左脇にぬけて傷を負わせた。突き出された槍の穂先の角度がオデッセウスに幸いしたらしい。逃げようと背を見せる敵兵、すばやく反応したオデッセウスの槍は、この兵の背中の真ん中を貫いていた。兵の目は閉じられていく、その双眸は再び光を見ることはなかった。
 オデッセウスは、救助を求めるべく三度び、大声をあげた。

第9章  戦闘再開  16

2007-12-25 08:00:17 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 この二人の軍団が、ヘクトルの行く手に立ちはだかった。彼等は、群れ集って攻め来るトロイの将兵を薙ぎ、斬り、突き伏せていた。ヘクトルは、攻勢をゆるめず懸命に攻めたてた。デオメデスがヘクトルを狙い槍を投げた。槍がヘクトルを襲う。兜に当たりはじけとんだ。ヘクトルは、命拾いをする、衝撃で尻餅をつく、駆け寄る兵、ヘクトルは立ち直った。再び、ヘクトルの攻勢は、連合軍左翼のウイークポイントを突き、攻めたてた。
 デオメデスめがけて飛び来る矢が一本!避ける間がなかった。矢はデオメデスの大腿部を正面から貫いた。兵は、駆け寄り楯をかざして矢を防ぐ、オデッセウスは、彼に駆け寄り、刺さった矢を引き抜いた。
 全身をかけめぐる矢傷の激痛は、彼を後陣に退かせた。

第9章  戦闘再開  15

2007-12-24 07:58:03 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 傷は深いが別状はない。アガメムノンは、軍団医師のマカオンを呼び、戦場から手当ての為に退いた。
 これを城壁の高みから見ていたヘクトルは、今だ。この機を逃して、反撃のときはない。城壁内に陣立てをして待機させている軍団を叱咤して、ゲートを開くや、積水を決する勢いで攻撃に飛び出した。ヘクトルは、激戦の中に身を躍らせて突き進んだ。トロイ軍も、援軍の将兵たちも、ともに奮い立った。
 ヘクトルの鋭刃に討ち倒された連合軍の将は、アサイオス、アトノス、オピテイス、ドロプス、オペルテオス、アゲラオス、アイシエムノス、オロス、更に、豪勇のヒッポノスと多数であった。
 ヘクトルは、昼前の作戦の失敗を挽回した。連合軍を追い詰めたヘクトルは、左翼を強烈に攻めて、攻めまくった。
 昨夜からの作戦実行で、戦線におくれて出て来た、オデッセウスとデオメデスの軍団が左翼に姿を見せた。

第9章  戦闘再開  14

2007-12-22 08:34:50 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 ヘクトルの思惑は外れた。作戦指示の失敗であった。追い詰められたトロイ軍は、必死で防戦につとめた。負けてはならない戦いの局面である。スカイア門前の激戦が展開された。
 トロイ軍の槍の勇将イピダマスが、アガメムノンに立ち向かって行く、彼の槍の突きは鋭い、横面を張るかと思われる槍の穂先が、面前で止まるやいなや突きに変わる。アガメムノンは、身をかがめてこれを避ける、二突き、三突きと突いてくる。アガメムノンは、息を弾ませて、楯をかざしながら、身をかがめて踏み込み、体あたりを食らわせた、彼の怯んだところで、槍を奪い取り、彼の喉を槍の穂先で薙ぎ切った。ピヨ~ッと、笛のような音が鳴り、血潮がしぶいて、ど~つと砂の上に突っ伏した。その彼の鎧、兜を剥ぎ取ろうとしたときであった。彼の兄のコオーンが大声をあげて槍で突いてきた。一番目の突きは何とかかわした。二番目の突きも何とかしのいだ。三番目の突き、これはどうにもならなかった。その突きは、アガメムノンの腕に刺さり、深手を負わせた。貫く痛みをこらえた。こ奴を倒さない限り、自分が倒れる。防戦から攻撃に変わった。コオーンを圧倒していく、流れる血を振りまきながらの必死に攻めた。激しい突きを数回繰り返し、コオーンを仕留めた。アガメムノンの九死の一生であった。

第9章  戦闘再開  13

2007-12-21 07:25:42 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アガメムノンは、檄をとばして、将兵たちを励ました。トロイ軍の攻勢を受け止めた。斬り込んでくるトロイ軍、受けてはね返すアガメムノンの軍勢、両軍入り乱れて、干戈を激しく打ち合った。兵には兵の敵があり、将には将の敵がある。アガメムノンは、剣を振るって、多くの将を倒していく、トロイの将ビエノルを討ちとり、ビエノルの馭者オノレウスを槍の一突きで倒した。すかさず、襲い来る若き勇者の二人、アンチポスとイソス、槍でイソスを倒し、彼の剛剣は、アンチポスの頭を割って冥府へ送った。
 アガメムノンは、トロイ軍を激しく攻めて、トロイ城壁の近くまで追い詰めた。

第9章  戦闘再開  12

2007-12-20 08:32:21 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 夜が明けてくる。朝日が戦野を朱け染めていく。トロイ軍の将兵たちが目にした光景は、昨夜、行われた残虐な所業であった。彼等は、目にした、その惨状に恐怖した。王を失ったトラキア軍の5000余の将兵たちは、野営の地より引き揚げて、もうそこにはいなかった。残後処理の兵の姿があるだけだった。
 ヘクトルは、そのような状態に怯んではいられなかった。連合軍の弱いところを攻撃する軍編成で敵の軍団を二分した上で、自軍団も二つに分けて闘う作戦を立てていた。
 連合軍の軍編成は、アガメムノン統領が戦線指揮を執ることになった。前衛は、歩兵の2列横隊を5層に、そのうしろにアガメムノンを中心に数多くの戦車を並べ、後衛に槍の部隊を、そして、両翼に弓と投石の部隊を配置して挑むことになった。
 春の陽光が、ヘクトルの、トロイ軍の背中を押した。丘を駆け下った。将兵たちの狂い立った怒号が空気を震わせて、今日の戦いの幕が切っておとされた。