パリヌルスが朝行事を終えて時を待つ、黎明がおとずれる、待ちわびた暁天の時である。
時がきた、起ちあがる。
少し早いと思うがイリオネスに朝明けの声をかける。
『軍団長、軍団長、いい風が来ています』
『おう、パリヌルス、どうした?』
『軍団長、おはようございます、いい風が来ています』
『なにっ!出航の風が来ていると?』
声をあげてはね起きる。
『者どもを起こせ!』
イリオネスが暁の空を見あげる、断崖に視野がさえぎられて全天が見えない、空が狭い、一面に雲が垂れ込めている、暁の空はまだ薄くらい。
『出航の準備だ!一同を起こせ!派手に音を立ててやれ!いいな』
『解りました!はい!』
パリヌルスは一番船の者らを大声で起こす、出航の準備の指示をする。
イリオネスは、アエネアスに伝えに向かう。
『統領、統領、おはようございます、待っていたいい風です!出航を決断してください』
『なにっ!いい風だと!オキテス、起きろ!』
アエネアスの身近かに横になっているオキテスが統領の大声にとび起きる、イリオネスがオキテスに指示する。
『おう、オキテス、いい風だ。出航の準備を整えろ!三番船のアレテスにこの件を伝えろ。オロンテスにも連絡するのだ』
『了解しました』
オキテスがアレテスを探す、探し当てる、用件を伝える、その足で四番船に向かう、オロンテスは、四番船内に寝をとっている。
『おう、オロンテス!起きろ!出航だ!いいな』
船団の者らは簡単に朝行事をすませる、時間をかけることなく出航準備を整える。
一番船は、帆張りを終えて船首を入江の入口に向け微速で進んでいる、船団の船列の整うを待ち受けている。
朝が明けきっている、空一面が雲に覆われている、いい風が西より来ている、航海に適した海の状態と見てとる。
船列が整う、イリオネスが一番船上のおいて出航の令を下す、風が船団を押す、操櫂なしで全船が海を割る、船団が入江を出ていく、行き交う他船の姿がない、左手はるか遠くにケルキラの島影を望みながら船団が航走する。
ケルキラの島影が遠のいていく、船団は、大海原に進み出ている、進行方向の前面に広がる大海洋の先を望みながら、うねる波を割って航走する。
イリオネスは、例の方角時板を手にして進行方向をチエックしている。パリヌルスが声をかける。
『軍団長、進行方向にくるいはないですね』
『この方向でいいはずだ。そう信じている』
二番船上アエネアスは、何事かに想いを凝らして、舳先に起って進行方向前方に目を凝らしている。
プトロトウムを出航する際に、ぺリオスことヘレノスの言った言葉を思い起こしている。
『アエネアス、お前と俺が建てる都市国家、二つが一つになってトロイを建てる。我々の子孫もこれを目標にして努めさせる!そうありたい!それが俺の望みでもある』
ヘレノスの言った言葉をかみしめる、アエネアスは、己の信条に照らし合わせる。
『脚下照顧!一歩、前へ!だ。二歩三歩と欲張らない、俺は至誠と謙虚に勤めて国を建てる!』
彼は、炎上する欲張る想いに水をかける、消える、前方を心して見つめる、志が海の上を駆けていく。
風にあおられる、波立つ海洋、風を帆にはらみ、波濤を割る、航走する船団。
アエネアスは、海路図をまぶた裏に想い浮かべる、今日の航海は長途に及ぶ、無事の航海を念じた。
第2章 プトロトウムにて 完
時がきた、起ちあがる。
少し早いと思うがイリオネスに朝明けの声をかける。
『軍団長、軍団長、いい風が来ています』
『おう、パリヌルス、どうした?』
『軍団長、おはようございます、いい風が来ています』
『なにっ!出航の風が来ていると?』
声をあげてはね起きる。
『者どもを起こせ!』
イリオネスが暁の空を見あげる、断崖に視野がさえぎられて全天が見えない、空が狭い、一面に雲が垂れ込めている、暁の空はまだ薄くらい。
『出航の準備だ!一同を起こせ!派手に音を立ててやれ!いいな』
『解りました!はい!』
パリヌルスは一番船の者らを大声で起こす、出航の準備の指示をする。
イリオネスは、アエネアスに伝えに向かう。
『統領、統領、おはようございます、待っていたいい風です!出航を決断してください』
『なにっ!いい風だと!オキテス、起きろ!』
アエネアスの身近かに横になっているオキテスが統領の大声にとび起きる、イリオネスがオキテスに指示する。
『おう、オキテス、いい風だ。出航の準備を整えろ!三番船のアレテスにこの件を伝えろ。オロンテスにも連絡するのだ』
『了解しました』
オキテスがアレテスを探す、探し当てる、用件を伝える、その足で四番船に向かう、オロンテスは、四番船内に寝をとっている。
『おう、オロンテス!起きろ!出航だ!いいな』
船団の者らは簡単に朝行事をすませる、時間をかけることなく出航準備を整える。
一番船は、帆張りを終えて船首を入江の入口に向け微速で進んでいる、船団の船列の整うを待ち受けている。
朝が明けきっている、空一面が雲に覆われている、いい風が西より来ている、航海に適した海の状態と見てとる。
船列が整う、イリオネスが一番船上のおいて出航の令を下す、風が船団を押す、操櫂なしで全船が海を割る、船団が入江を出ていく、行き交う他船の姿がない、左手はるか遠くにケルキラの島影を望みながら船団が航走する。
ケルキラの島影が遠のいていく、船団は、大海原に進み出ている、進行方向の前面に広がる大海洋の先を望みながら、うねる波を割って航走する。
イリオネスは、例の方角時板を手にして進行方向をチエックしている。パリヌルスが声をかける。
『軍団長、進行方向にくるいはないですね』
『この方向でいいはずだ。そう信じている』
二番船上アエネアスは、何事かに想いを凝らして、舳先に起って進行方向前方に目を凝らしている。
プトロトウムを出航する際に、ぺリオスことヘレノスの言った言葉を思い起こしている。
『アエネアス、お前と俺が建てる都市国家、二つが一つになってトロイを建てる。我々の子孫もこれを目標にして努めさせる!そうありたい!それが俺の望みでもある』
ヘレノスの言った言葉をかみしめる、アエネアスは、己の信条に照らし合わせる。
『脚下照顧!一歩、前へ!だ。二歩三歩と欲張らない、俺は至誠と謙虚に勤めて国を建てる!』
彼は、炎上する欲張る想いに水をかける、消える、前方を心して見つめる、志が海の上を駆けていく。
風にあおられる、波立つ海洋、風を帆にはらみ、波濤を割る、航走する船団。
アエネアスは、海路図をまぶた裏に想い浮かべる、今日の航海は長途に及ぶ、無事の航海を念じた。
第2章 プトロトウムにて 完