『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1484

2019-02-28 07:30:56 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 次いで、イリオネスがオキテスに声をかける。
 『おう、オキテス、大変だったな。嵐には、どこで遭遇したのだ?』
 『はい、イラクリオンでです。試乗会を終えてその夜、夜半にです』
 『航海の途中でなかったことが幸いであった。よかった、安堵した。いま、オロンテスがパン工房の者らが総出で夕食の支度をしてくれている。少々、待機だ!一同を休ませてくれ』
 パリヌルスとドックスがオキテスを帰着を歓迎する。
 『おう、オキテス、無事の帰着ごくろうであったな!お前と一同が無事に帰ってきてくれる、顔を合わせる、これがうれしい限りだ。安堵した。引き渡し納入うまくいったか?』
 『おう、うまくいった!』
 ドックスが声をかける。
 『オキテス隊長!おかえりなさい!無事が何よりです』
 オキテスが笑顔を返す。
 オロンテスが姿を見せる。
 『おう、オキテス、無事の帰着ご苦労、心配したぞ!』と言って、オロンテスがオキテスの肩を抱く。
 『おう、オキテス、待たせた、夕食の支度が出来た、一同を連れていこう!こっちだ!』
 オキテスとオロンテスが並んで歩を進める、一同がついていく、炎をあげる焚火のシマが彼らを迎える、一同が焚火を囲んで落ち着く。
 酒杯が手わたされる、酒が注がれる、オキテスが一同に声をかける。
 『一同、帰途の航海よくぞ頑張ってくれた。礼を言うぞ!無事の帰着をよろこぼう、乾杯!』
 一同が杯の酒を飲み乾す、たて続けに杯に注がれた酒を飲み乾す、腹にしみわたる、体に感じていた疲労感がうすれていく。
 アエネアス、イリオネス、パリヌルスらが同席して、彼らの労を慰労する。
 彼らは、長途の海旅の疲労をその達成感で慰撫する。
 アエネアスら、工房の者らが彼らの労をねぎらう。
 彼らは、持てる体力、精神力を駆使して、身に負った疲労が癒されていく、それを身に感じている。
 深更に到る、心と体を休める寝についた。

 夜が明ける、朝行事をすませる、朝陽を身にに受ける。
 オキテスは、建造の場の朝礼に臨む、ドックスの報告を聞く、各部のの巡回を終える。
 海旅を共にした者らに充分といえる休養の時を与える。『お前ら、今日一日は、体の疲れをとる休養日だ。自由気ままに過ごして休め!』
 用件を終えて、会所に向かう。
 アエネアス、イリオネスに催行した展示試乗会の結果を報告する、春先ををのぞんでの展望を話し合う、それらに加えて、受注艇の引き渡し納入の実行計画、営業の諸活動について話し合う、そのうえで年内の行動計画を説明して了承を得る。
 同席しているパリヌルスは、オキテスの春先までの活動と行動計画を把握する。
 オキテスは、話し合いを終えてパリヌルスに話しかける。
 『おう、パリヌルス話を聞いてくれたな。今日だが、艇の建造と出来あがりと引き渡し納入の詳細を打ち合わせたい。そのうえで、実行計画を作成して、関係筋と打ち合わせて実行していく。また、この計画を共有してやっていく、力を貸してほしい』
 『おう、了解した』
 二人は、受注を整理し引き渡し納入予定を決定する、引き合いの集計と動向を考え、建造計画を立案することにした。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1483

2019-02-27 04:16:34 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 夜半からの荒れ模様が荒れつのる、やみそうにない。
 彼ら一行が荒れ模様のおさまりをひたすらに待つ、おさまりを乞い願う、オキテス以下一行のひたすらの願いである。
 午後半ばになって荒れがおさまってくる、空一面の雲に切れ目が見えてくる、陽が射してくる、風もおさまりかける。
 オキテスとダッカスらが波打ち際に立つ、西に沈みゆく太陽を見送る、願いが届けよとばかりに念じる。
 エドモン浜頭から、気持ちのこもった差し入れが届く、彼ら一同は、感謝して夕食を終える。
 ようやくにして、彼らは満天星空の夜を迎える。
 オキテスは、ダッカスら数人のスタッフを連れて、エドモン浜頭宅へ謝礼に足を運ぶ。
 『エドモン浜頭殿、ありがとうございました。一同ありがたくいただきました。満天に星を見るように天候が落ち着いてきました。明朝には出航できそうです。いろいろと心遣いをいただきありがとうございました』と言い終えて一同が低頭する。
 『そうか、天候が回復したか、それは重畳!何よりだ。天気は気まぐれ、いつ急変するか判らない、そのような季節にさしかかっている。道中、入念気配りだ!無事の航海を祈っている』
 一行はエドモン浜頭宅を辞する。
 宿営地に戻ったオキテスは、一同に明朝出航の件を伝えて寝についた。
 彼らは、夜が明けきらない、星が光を振りまいている刻にイラクリオンの浜を離れて帰途航海に就く。
 イラクリオンを出て半刻後に東の水平線を破って昇る大日輪をのぞみ見ながら、嵐の終焉をうねりで伝える海洋を懸命に漕ぎ走る。
 帰途航海の2艇は、沿岸からの離岸距離を短く保ち航走する。
 積載人員制限量オーバーの人員が乗船している、漕ぎかたの交替を繰り返し力走する。
 レテムノンまでを通常航走時間を2割強短縮して航走する、昼食時間を過ごす。
 ダッカスが航海事情を一同に説明する。
 『天候も落ち着いてきている、海も落ち着いてきている。ここからは一気に半島岬に向かい、我らが浜を目指す。我らが浜に到着する頃合いは、日暮れの頃合いと考えられる!懸命の漕ぎを要請する。一同、奮励して漕いでくれ!』
 2艇はレテムノンの浜をあとにする、一刻半を経ずして半島岬の東端にしかかる、進行方向を西に転じる、東北東から風が来ている、帆張りする、船を押す力は十分とはいえないが、少しは頼れた。
 艇上の漕ぎかた連中は、懸命に櫂を握って漕ぐ、2艇は航走する、キドニア沖を通過する頃には、宵が迫りくる、秋の宵は短い、日暮れてくる。
 浜が近づく、とっぷりと日暮れている、オキテスがダッカスに指示する。
 『ダッカス、松明信号だ!』
 松明に火をつける、松明信号を浜に送る、その信号を受けて、浜にかがり火が燃えあがる。
 2艇がニューキドニアの浜に無事の帰着を果たす、浜には大勢が出て、オキテスらを迎える。
 アエネアスらも浜に立って帰着した彼らを迎える。
 オキテスら一同が波うち際に整列する、アエネアスに無事の帰着を報告する。
 『おう、ご苦労であった。嵐に遭遇し大変であったろう。それにもかかわらず全員無事の帰着ごくろうであった』
 アエネアスが進み出る、オキテスの肩をしっかりと抱いた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1482

2019-02-26 08:49:41 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 日にちが新たまる。
 各部署が活動する、日常の業務が落ち度なく進む。
 オキテスは、月があらたまっての今日2日には、キドニアにおいて戦闘艇の引き渡し納入を済ませる。
 アエネアス暦11月10日、集散所暦11月8日より展示試乗会を各地において開催する。同時に並行して受注艇4艇の引き渡し納入も無事に終える。
 また、前回の船舶売り出し展示試乗会において引き合いをしてくれた客を招いての招待昼食会では引き合いの受注に成功したといえる成果を収める、引き合い12艇のうち6艇を受注する。
 なお、展示試乗会においては、受注が3艇、希望的成果として新しい引き合いが8件生まれている。その引き合いのうち、新々艇が5艇と新々艇が注目されている。
 イラクリオンを最終にして展示試乗会催行を終える。
 オキテスは展示試乗会を終えて、エドモン浜頭と今後のことについて打ち合わせをする。
 すでに受注している艇の引き渡し納入の件、そして、今回受注した3艇の引き渡し納入の件について打ち合わせる。
 次いで、新しい年、新しい暦の始まりを待って展示試乗会の開催のありかた、新しい引き合いにどのように対応するかを話し合う。
 そのうえで、受注艇の引き渡し納入、引き合い客を招いての昼食会の実施による引き合いの受注、新引き合いの発掘等を打ち合わせる。
 それらの実行に加えて、春の新しい暦の始まる時期までの各所への訪問計画を打ち合わせた。
 エドモン浜頭は、オキテスの業務への熱心さに感動する。
 展示試乗会の催行中は、クレタ島の晩秋でありながら、おちついた気候に恵まれていた。
 オキテスは、エドモン浜頭といろいろ多岐にわたって打ち合わせを終えて、宿営の浜に戻ってくる、一同に明日の行動予定を伝えて寝につく。
 しかしである、予定は予定であって変更を強いられることがある。
 寝について夜半に到る、その事態がおとずれる、天候の急変である。
 東からの風が強まり雨も伴い嵐の到来である。
 宿営をしているオキテス以下80人に及ば総員が飛び起きる、ダッカスが指示を飛ばす。
 『艇を浜に揚げるのだ!万難を排してやるのだ!急げ!』
 総員が艇の揚陸に取り掛かる、何とか安全地帯に2艇を安置させる、一同は艇を囲んで一夜を過ごす。
 朝となれども、嵐がやまない、彼らは帰途出航をあきらめる。
 オキテスがダッカスらと話し合う。
 『風の止むのを待つ!』
 このひと言である。
 夜が明ける、エドモン浜頭がオキテスを訪ねてくる。
 『おう、オキテス隊長、どうだ?この風雨、雨は午前中に止む、風はおさまらない、午後、遅くには風も小康する。風がやんでも海のおさまりがつかんな。明日の朝まで状況待ちだな。まあ~ゆっくり休め』
 『浜頭、気遣いありがとうございます』
 帰途航海の出航は、天候と海のおさまり待ちとなった。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1481

2019-02-25 07:39:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスが身体を廻しながら声をあげる。
 『この場に集まってくれた諸君!日夜の精勤ごくろう!統領として諸君らに心から感謝の意を伝える!ありがとう!』
 アエネアスは、まず、前面の者らに『ありがとう!』と感謝の意を伝える。それを終えて身体の向きを90度右へ転じて前面に対する者らに『ありがとう!』と告げる。
 言い終えて、またもや身体を90度右へと身体を廻し前面の者らに『ありがとう!』と告げる。さらに身体を90度廻して前面の者らに『ありがとう!』と告げた。
 このようにして4回にわたって場に集っている者らに感謝の言葉を告げて意を伝えた。
 統領からの感謝の言葉をもらって、会場から大歓声が湧きあがる、集っている者らが足を踏み鳴らす、声をあげる、焚火のシマの周りを足を踏み鳴らして廻り始める。
 場の興奮状態がマックスに達する、台上のアエネアスがしばしたたづみ、この情景に見入る。
 一同に酒杯が配られる、酒が満たされるアエネアスが酒杯をかざし、一同と目線を合わせながら身体を巡らせる、場に一瞬、静寂の時が漂う、アエネアスが声をあげる。
 『乾杯!』
 一同が杯の酒を飲み乾す、夕食会がスタートした。
 海に身を沈め行く太陽、台上のアエネアスを、会同している一同を照らし映えさせる。
 食材の焼けるにおいが煙とともに会場を覆う、夕食会の雰囲気が頂点にに達する、アエネアスとイリオネスが各シマをおとずれ彼らと親密の言葉を交わす。
 セレストスが場の真ん中に立つ、一同に向けて声をあげる、余興の開始を告げる。
 屈強なる二人の男が場に中央に姿を見せる、ジャッジ役を務めるリナウスの合図を受ける、余興ルールを説明される、対峙する、にらみ合う、リナウスが試合開始を告げる、二人が組み合う、レスリングの試合である。会場からやんやの声援が飛ぶ、セレストスが根回しして打ち合わせをしての部署対抗レスリング試合と防具を身に着けての剣合競技をも催行する。会場は湧いて湧きまくる。
 勝者にはアエネアスから酒杯に満たされた酒とオリーブの冠が手渡される、勝者は歓び感動する。
 最終には、アエネアスとイリオネスが防具を身にまとい、木剣を手にして、剣合試合をする、その迫真性に見入る、会場から拍手が沸きあがった。
 久々に挙行した夕食会は、盛会を極めて閉じた。
 パリヌルスがセレストスに声をかける。
 『おう、セレストス、いい夕食会であった。あの余興はよかったな』
 パリヌルスは、セレストスと目を合わせ、握手を交わした。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1480

2019-02-22 06:14:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 声をかけられたセレストスがパリヌルスと目線を合わせる。
 『おう、セレストス、いい具合に出来あがったな、グッド、グッド!真ん中がやけに広いな、何か目的があるのか?』
 『あっ、はい!この場は余興の場です。オロンテス隊長から、夕食会の運営をやってみろと言われてています』
 『そうか、解った。考えたところを存分にやってみろ!参加者全員がシマについたら俺が統領と軍団長を呼びに行く!』と言って、パリヌルスが太陽の方向に目を移す、夕陽が照らす海がギンラの茜色に輝き始めている。
 小島の一団が軍船で浜に到着する、設営担当の者らが参加者全員がそろったところで焚火の燃え盛るシマに一同を誘う。
 アレテスがパリヌルス、セレストスと顔を合わせる。
 『おう、アレテス、全員来たか、ごくろう!』
 『セレストス、お前のほうも全員来たな?』
 『全員、場に来ております』
 『よし!俺は、統領と軍団長を呼びに行ってくる。二人が姿を見せたら拍手と歓声でよろしく歓迎してくれ。統領からはメッセージがある。あとはお前が考えた計画で夕食会をやるのだ、いいな!オロンテス隊長も程なく来る』
 言い終わったパリヌルスが会所に向けて歩みだす、キドニアから帰ったギアスと顔を合わせる。
 『おう、ギアス、帰ったか、ごくろう。漕ぎかたの連中を連れて夕食会のほうへ行ってくれ』
 『はい、ありがとうございます』
 会所についたパリヌルスは、オロンテスと顔を合わせる。
 『おう、オロンテス、ご苦労、ご苦労。夕食会の準備は出来ている。俺は統領と軍団長を呼びに来たところだ』
 『おう、世話をかけたな、パリヌルス。一緒に行こう』
 『おうっ!』
 パリヌルスがアエネアスとイリオネスに声をかける。
 『統領、夕食会の準備が整いました。出席かた願います』
 『おう、ありがとう』
 次いで、イリオネスのほうに身体を向ける、アエネアスにかけた文言と同じ文言を伝える。
 『おう、ありがとう』
 二人が立ちあがる、イリオネスがオロンテスに声をかける。
 『オロンテス、行こう!』
 『はい!』
 一同がパリヌルスとともに夕食会の場に向けて歩き始める、一行は雑談を交わす雰囲気ではない、歩調は同調している、夕陽が海に映えている、景色が茜に輝いている、浜の一隅にしつらえられた夕食会の場を目にする。
 アエネアスが声を上げる。
 『えらく盛んだな。焚火のシマも盛んに炎をあげている。感動の風景だ!』
 イリオネスもこの光景を目にして感嘆の声をあげる。
 一行が夕食会の場に着く。湧きあがる歓声と拍手、セレストスが進み出て統領と軍団長を迎える、二人が席に就く、またもや湧きあがる歓声と拍手。
 アエネアスが右手をかざす、会同している者たちと目線を合わせる、セレストスが一同の歓声と拍手を制する、場の中央にしつらえた台上にアエネアスを案内する。
 台上に立つアエネアス、身体を廻して、再び、一同と目線を合わせてうなずく、おもむろに口を開いた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1479

2019-02-21 08:29:08 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスがセレストスに声をかける。
 『おう、セレストス、会場の設営を手伝う助っ人だが、何人くらいの手がいる?』
 『はいI50人くらいの手を借りることができれば幸いです。少々シマで燃やす燃焼材を集めたいと考えています』
 『了解した。助っ人を待機させておく』
 パリヌルスは、セレストスとの打ち合わせを終えて場を去っていく。
 セレストスは、設営責任担当の三人に設営要領を事細かく指示をする、それを終えて、場の設営箇所に立つ、歩測する、場のサイズ設定をする、設営責任担当の一人を呼び寄せる。
 『場の真ん中にこの広さの場をつくる。いいな!これが今日の夕食会の余興の場だ』
 『了解しました。この場の周りに焚火のシマをつくるのですね』
 『そうだ!この場を囲んで焚火のシマを23か所をつくる。わかったな!そういうことだ』
 『了解です!一つのシマあたりの人員は15人くらいということですね』と念を押す。
 担当は、セレストスのうなずきを見て納得する。
 『では、よろしく頼む!すぐに一同をここへよこす』
 『解りました』
 『なお、パリヌルス隊長のほうから50人くらいの助っ人が来る。作業を滞りなく進めてくれ。夕食会のスタートは、茜のさす頃合いがスタート時となっている。以上だ』
 夕食の場作りの責任担当者を残してセレストスは、パン工房へひきあげていく。
 パリヌルス方の夕食会の場つくりの助っ人が姿を見せる、間を置くことなくパン工房のほうよりの場作りの作業者らが到着する。
 責任担当が彼らをシマつくりに人員を割り振る、作業を進める、場作りの作業が進む、場が出来あがる。
 『おう、いい具合に場が出来あがった。次は食材のシマへの分配だ。一同、いいか!工房のほうへ食材をとりに行く!』
 一同に声をかける、パン工房に向かう。
 責任担当の一人が太陽の位置を確かめる、頃合いを測る。
 『頃合いはどうだ?』
 『まだ時間的に余裕がある』
 パリヌルスの指示を受けて、小島への連絡係が来る、場つくりの担当と言葉を交わす、小島から食材が届く、各島へ配分する。
 責任担当が連絡係に伝える。
 『小島へ連絡してくれていいぞ!』
 『解った!』と応えて、食材を届けてくれたハシケに乗って小島に向かう。
 責任担当が声をあげる。
 『各シマに火を入れろ!』『了解!』の返事があがる。
 シマの一つに焚火が盛んに燃えあがっている、火種である、そのシマの焚火から火種を持って各シマに火を入れていく、シマの焚火が燃えあがる、火入れ作業が順調に進む、各シマの焚火が燃え盛る。
 パリヌルスが一団を引き連れて姿を見せる、設営された夕食の場を見渡す、セレストスがパン工房の一同を連れて場に到着する。
 それを機に、パリヌルスがセレストスに声をかけた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1478

2019-02-20 08:57:40 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスとオキテスが話し合う。
 『諒解した。この数でいいのだな』
 木板に書き込まれた数字を見て、パリヌルスが返事をする。
 『おう、前回の未使用分があるのだ』
 パリヌルスが場を去ろうと立ちあがる、ひきとめるオキテス。
 『ところで、パリヌルス、展示試乗会の際にだが、受注している艇の引き渡し納入艇を曳いていかねばならんのだが、その運送方法の答えを出しかねている。知恵を貸してくれ』
 『おう、解った』
 『明後日に話し合おう。それでどうだ。お前の都合は?』
 『おう、それでいい。午後にその時間を都合する』
 『お前、明日、艇の引き渡しがあるのだろう』
 『おう、明日はキドニアで1艇の引き渡し納入をやる。運送方法についての話し合いは、明後日の午後にやる!それでいい』
 『思案しておく』
 『おう、頼む!』
 パリヌルスはオキテスの席場をあとにする、販促ツールの製作の場へおもむく、担当と打ち合わせる。
 『隊長、解りました。この製作数でしたら今日を含めて3日もあれば十分です』
 『おう、了解した。よろしく頼む』
 販促ツール製作を打ち合わせて、会所へと足を運ぶ、アエネアスとイリオネスと今夕の夕食会の件を打ち合わせる。
 『パリヌルス、承知した。昨日に続いて、今夕で全員と会うことになるな、俺の気持ちを伝えられる。お前らいいことをやってくれる。礼を言う』
 イリオネスが代わって話しかけてくる。
 『それでパリヌルス、今日、会同するのは、小島の連中に、お前の部署の者ら、それにパン工房の者らだな。総人数はどれくらいだ?』
 『はい、350人弱と考えられます』
 『そうか解った。統領と俺、喜んで出席する!気を使わなくていいのだぞ、わかったな!』と優しげに話しかける。
 『無礼講を許していただけるということですね。ありがとうございます』
 『おう、そうだ』
 『頃合いになったら迎えに来ます』
 話し終えて、今夕の夕食会を行う浜へ歩を向ける。
 彼が夕食会開催の浜に立つ、場を見まわす、夕食会の情景をまぶた裏にイメージする、焚火のシマ数を考える。
 セレストスが会場の設営を担当する者を連れて姿を見せる。
 『あっ!パリヌルス隊長、ここでしたか』
 『おう、セレストス、会場の場の下見か』
 『はい、設営を担当する者らとの打ち合わせです。隊長、焚火のシマ数をどれくらいに考えていられますか?』
 『その件だが、セレストスお前の考えはどうだ?』
 『私の考えでは、23か所くらい作ろうと考えています』
 『シマひとつあたり、15人くらいになるな、いいだろう。互いの想いの合致だ、俺もそのくらいを考えていた。よろしく頼む』
 『夕食会スタートの頃合いは、茜さす頃合い開始ということで設営します』
 パリヌルスとセレストスが目を合わせてうなずき合う、会場設営の要領の打ち合わせが終わった。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1477

2019-02-19 05:17:35 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『何でしょう?』と問いかけるアレテス。 
 『アレテス、今日のことだが、キドニアから帰っての予定はどうなっている?』
 『日常の業務です。特別の業務予定はありません』
 『久しぶりに夕食会でもと考えている』
 『夕食会ですか、いいですね!昨夕は建造の場の夕食会でしたね。いま、各事業の場はそれぞれに多忙を極めています。全員が会同しての夕食会の催行を朝にやるぞと言って夕べにと言うのは難しい、事情を理解します』
 『そうだ。アレテス、お前が担当している事業部署の事情を聞いて、やれるものなら今夕にでも夕食会をやろうかと考えている。パン工房、それに俺の管轄の部署の三部署合同でだが』
 『パリヌスス隊長、やりましょう』
 『よしっ!決定だ。浜焼きスタイルでやる。会場の設営は俺の方でやる。場は、いつもの浜だ。アレテス、お前に頼みたいのは、魚類の食材の準備方を頼む』
 『解りました。参加する予定総人数は?』
 『そうだな、350人くらいだ。会場ができ次第使いをよこす』
 『解りました。一同総揚げで、喜んで参上します』
 パリヌルスが小島から帰る、パン工房へと歩を運ぶ、セレストスに会う。
 『おう、セレストス、忙しいか?』
 『いえ、そんなではありません』
 『チョット、打ち合わせたい。夕食会の件だ。手をはなせるか?』
 『はい、大丈夫です。夕食会の件ですか、オロンテス隊長から聞いています』
 『おう、それなら話がはやい。小島のアレテス隊長とは打ち合わせを終えた。今夕、夕食会をやる。場所は広場の下の浜だ。総人数は350人くらいとみていいだろう。設営準備の件よろしく頼む。手伝う助っ人はその時に行ってくれ、俺が手配する』
 『解りました。よろしく願います』
 『食材の件だが、魚のほうはアレテスに準備するように言ってある』
 『そうですか、それは助かります』
 『それからだが、小島の連中のために肉の食材を彼らのために多めに準備してやってくれ』
 『心得ました』
 パリヌルスは、セレストスとの打ち合わせを終える、建造の場のオキテスの席場へ歩を向ける。
 『おう、オキテス、どうだ、落ち着いたか?今月の販促ツールの製作枚数を打ち合わせるか』
 『おう、そうだな。11月8日から展示試乗会を催行する。販促ツール、あれは客との接点におけるタノミのツナだ!あれがあればこそだ!よろしく頼む』
 二人は、念を入れて販促ツールの製作枚数を打ち合わせた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1476

2019-02-18 04:57:31 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 建造の場の浜にはパン工房からセレストスらが夕食会の場を整えてくれている、建造の場からも設営の人員が繰り出されている、夕食会の開始のころ合いが迫る。
 オキテスが場に姿を見せる、焚火の島がに火が入れられる。
 セレストスから、オキテスに夕食会の場が引き継がれる、建造の場の各部署に伝令が走る、オキテスが統領、軍団長らを呼びに会所へ向かう。
 建造の場の一同が集合を終える、焚火が燃え盛る各島に就く、場の運営をする者らの指示に従って、食材を焼き始める。
 統領らを案内してオキテスが場に着く、ドックスが声をあげる、拍手が沸きあがる、歓声があがる、統領と軍団長を拍手と歓声で迎える。
 統領が準備されている台上に立つ、口を開く。
 『諸君!日々精魂を尽くしての船造り、はなはだご苦労である。ささやかではあるが諸君らと感謝の夕べを過ごしたい!』
 会している全員に酒杯が配られる、酒が満たされる。
 統領が台上に立って声を上げる。
 『乾杯っ!』
 一同が杯の酒を飲み乾す、夕食会がスタートする、焚火の島は20余り、集う一同の顔が夕陽と焚火に映えている。
 統領と軍団長が各焚火の島をおとずれる、彼らの日ごろの労をねぎらう、言葉を交わす彼らには上下の隔てがない、互いが同じ立脚点に立って言葉を交わす、節度ある姿勢がたもたれている、心地いい会話が弾んだ。
 夕食会は盛り上がりを見せている、ささやかを通り越して建造の場の志気を昂ぶらせている、彼らは訪れ来たる時を身に覚え、節度を心得た夕食会を終えた。

 アエネアス暦11月初日の朝が明ける。
 オキテスは、建造の場の朝礼に臨む、一同と会する、目線を合わせる、彼らの志気をキャッチする、気合い充分と場の雰囲気を感じとる。
 オキテスは、当面のスケジュールを一同に伝え、ドックスと打ち合わせをして、朝礼を終える。
 建造の場の一同がスタンバイの整った持ち場に就く、作業がスタートする。
 オキテスは、明日に行うキドニアにおける戦闘艇の引き渡し納入の諸準備の段取りをして、建造の場の巡察をする、各場の作業状況を見て回る。
 新船台の作業状況を細部にわたってチエックする、場にいるドックスと打ち合わせる。
 『そういうことだ。ドックスよろしく頼む』
 『了解しました、万事抜かりなく遂行いたします』
 オキテスは、建造の場の状況と当月の予定との照合を終えた。
 
 その頃、パリヌルスは、アレテスのいる小島におもむく、アレテスと当月の動向を話し合い、業務予定の打ち合わせを終える。
 『ところで』と話しかけてアレテスと目を合わせた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1475

2019-02-15 05:03:47 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 建造の場の光景を会所から遠目に見ているアエネアスとイリオネス。
 会所にオキテスが姿を見せる。
 『おう、オキテス、建造の場のあの光景だが何があった?』
 『あ~、あれですか、船台を5基にしたことで、彼らの気持ちをあらためさせたのです。彼らの気持ちを高揚させ、いい船造りに邁進させる。それを彼らに伝えたにすぎません』
 アエネアスがオキテスに話しかける。
 『オキテス、お前は大した奴だ。営業の才だけにとどまらず、作業現場における統率、監理監督の才もある』
 『統領、それはほめすぎです。私は、いい補佐役に囲まれ彼らの手を借りて業務を遂行する。一同とともに業務に携わっているに過ぎません』
 『おう、オキテス、お前、にくいことを言うな、部署の頂点に立つものとして、立派、立派!』
 アエネアスがオキテスをほめあげる。
 『ありがとうございます。足が地から浮きたちます。ほめないでください。遂行業務に努めている、ただそれだけです』
 オキテスは統領と目を合わせる。
 『統領、願いごとがあります。今日ですが、建造の場として、ささやかな夕食会をやる段取りにしています。その刻になれば呼びに来ます。統領、軍団長の出席かたよろしく願います』
 『おお~っ!そうか、それはいい!喜んで出席する。イリオネス、そのようにはからってくれ』
 『解りました。オキテス、喜んで出席する』
 イリオネスがオキテスに声をかける。
 『オキテス、いい機会を作ってくれた。ありがとう!』
 アエネアスが話しかける。
 『月があらたまる、業務に携わる者らの心、気構えがあらたまる。大いに結構なことだ。オキテス、それはいいことだ!俺らの心機もあらたまる。お前、いいことをやってくれる。今日、午後イチに建造の場を見まわる。以上だ』
 『解りました』
 オキテスが用件を終える、会所をあとにする。
 歩を進める、歩調のリズム、思いつくまま脈絡のない言葉が喉を突いて出てくる。
 歩を止める、何を言っているのかを確かめる。それは展示試乗会において客と交わす会話、やり取りの文言、言葉であるではないか。我に返って歩いてきた道を振り返った。
 オキテスはそれらの文言を現代で言うラップ調に言葉を吐いていたのである、無意識であった。