浜頭とオキテス、どちらからともなく手が差しのべられて、互いの手がしっかりと握られていた。
『浜頭、海賊の死体処理の件ですが、荼毘にふすのは大変です。埋葬でいいでしょう。どこかに埋めて、そこに大石でもおいておかれたらいいと思いますが。それよりも、このあとのことです。注意深く海上を見張ることです。何か不穏なことがあれば、一時も早く、私たちに連絡してください。出来る限りの対応をいたします。』
『お願いします。そのように言っていただけると、とても心強い、不安がなくなります。何卒宜しくお願いします。』
『私たちは、昼過ぎには帰ります。海賊の乗ってきた船で帰ります。あの船は喫水も浅く船足が速そうだ。試しておきたい船のひとつです。では、浜頭、朝餉をいただきます。』
『どうぞ、どうぞ。』 浜頭も加わって朝餉が始まった。
『浜頭、サモトラケからこの浜まで50キロくらいと思われる。海賊が様子を見に来るとすれば、日脚の長いこの時期といえども、早くて明朝以後と考えられる。』
『しかし、海賊の故国は、どこだと思われますか。オキテス様。』
『う~ん、そうだな。』 彼は首を傾げた。
『ギリシアでないな、フエニキアでもない。奴らは、小アジア、黒海、カルケドンあたりの風体に似ている。そちらの方の者どもと思われるな。浜頭、奴らの狙いは何だろう。小麦かな。』
『そのように思われます。それに娘や子供までさらっていく。全く悪い奴らなのです。許されない奴らなのです。』
二人の話は終わったようである。
それにしても瞬時に決着させた『惨』の一字に尽きる闘いであった。
『浜頭、海賊の死体処理の件ですが、荼毘にふすのは大変です。埋葬でいいでしょう。どこかに埋めて、そこに大石でもおいておかれたらいいと思いますが。それよりも、このあとのことです。注意深く海上を見張ることです。何か不穏なことがあれば、一時も早く、私たちに連絡してください。出来る限りの対応をいたします。』
『お願いします。そのように言っていただけると、とても心強い、不安がなくなります。何卒宜しくお願いします。』
『私たちは、昼過ぎには帰ります。海賊の乗ってきた船で帰ります。あの船は喫水も浅く船足が速そうだ。試しておきたい船のひとつです。では、浜頭、朝餉をいただきます。』
『どうぞ、どうぞ。』 浜頭も加わって朝餉が始まった。
『浜頭、サモトラケからこの浜まで50キロくらいと思われる。海賊が様子を見に来るとすれば、日脚の長いこの時期といえども、早くて明朝以後と考えられる。』
『しかし、海賊の故国は、どこだと思われますか。オキテス様。』
『う~ん、そうだな。』 彼は首を傾げた。
『ギリシアでないな、フエニキアでもない。奴らは、小アジア、黒海、カルケドンあたりの風体に似ている。そちらの方の者どもと思われるな。浜頭、奴らの狙いは何だろう。小麦かな。』
『そのように思われます。それに娘や子供までさらっていく。全く悪い奴らなのです。許されない奴らなのです。』
二人の話は終わったようである。
それにしても瞬時に決着させた『惨』の一字に尽きる闘いであった。