『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  984 

2017-03-09 08:33:49 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『ところで、ここに書き記している動員人数だが、その意図するところはなんだ?第一案に34名とあるが、これについて説明してくれ』
 『はい、それは、新艇自走の操船人数17名、伴走する舟艇の操船人数17名、その合計の34名です。34名はヘルメス艇の最大積載量を乗船人員に換算した総人数です。ヘルメス艇が許容する乗船人員の最大総人数です』
 新艇納入後、帰途に就いたときにヘルメス艇に乗船する人員数であることを説明した。
 『ほう、そうか、理解した。一同もこのことについて解ったな。いいだろう』
 イリオネスは一同を見廻す。
 『この計画案について、各案を見たところ、検討の必要はないと考えられる。どの案で実行するかを決める、いいな』
 イリオネスは、じい~っと一同と目を合わせる。
 『レテムノン行きについては、この案の実行で新艇を納入する。統領、テムパキオへの納入航海三案についてですが、統領の見解はいかがですか?』
 『おう、俺の見解か』
 アエネアスは一同と目を合わせる、場が緊張する、八個の目がアエネアスを見つめる。
 『俺の考えはパリヌルスの言う軍船案だ。オキテス、オロンテスは、どのように考えている?』
 オロンテスが口を開く。
 『軍船案が、この三案の中で安心度のある案だといえます』
 『この三案のほかに、この案でという案がないか。イリオネスどうだな』
 『パリヌルスの立てた案のほかに、これといった案は考えつきませんといったところです』
 オロンテスが口を開く。
 『軍船案でしたら、ここにいる一同、そして、彼らを送る全員が、彼らの帰ってくるのを安心して待つことができます』
 イリオネスが強い口調で一同に向かって告げる。それは軍団長としての決断であり、会議の決定事項であった。
 『テムパキオへの新艇納入航海には、その伴走に軍船を使用する。新艇納入に関する実行計画は、パリヌルス、オキテスの二人の責任担当とする。納入航海にかかわる期間の食料の供給計画とその実行についてはオロンテスの責任担当とする。なお、新艇納入に関する日時、日程は、パリヌルスの設定した日付にて実行する。一同、いいな!』
 『了解しました』
 『仕事、作業等、この日程で進めてくれ。なお、集散所への連絡打ち合わせは、オロンテスが責任担当としておこなってくれ。以上が決定であり、関係者への指示である』 
 『解りました!』     
 パリヌルスら三人は了解、承諾の返事を唱和した。
 イリオネスが三人に会議で検討した議題のほかに議題のあるなしを問いかけた。
 『軍団長、新艇納入祝い品の贈呈はどのようにすればいいか、軍団長の考えを聞かせておいてください』  
 『おう、その件か。櫂20本、櫂舵1本、これは祝いしばりして贈呈しよう。ほかに堅パンを数箱としよう。そのうち気が変わったときはそのときだ』 
 『了解しました』        
 『ほかに会議にかける議題はあるかな?』
 『今はありません』
 『では、今日の会議をこれで終了する』
 彼らは会議を終えた。