『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第15章  エピローグ  1

2008-07-22 08:30:02 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 夜が明けてくる。トロイを襲った炎と剣と槍、残火は、くすぶり、煙はたちのぼり漂い、トロイを覆う、煙は太陽の光をさえぎり生き残った者たちの心を暗黒に閉ざした。
 戦端を開いてのち、10たびの春が訪れ、平和で民情が豊かであったトロイを、凄絶な戦いが灰燼として血で染めた。市民や兵の屍体が瓦礫の街路に積み重なり、死臭が漂い始めていた。
 生きているのは、ひと握りの老人たちと虜囚となった女たちであった。老いた王妃へカベ、幼子アステアナクスを抱いた故ヘクトルの妻アンドロマケ、アイアースに凌辱されたカッサンドラもその中にいる。虜囚の女たちには、それぞれ引き取り人がいた。カッサンドラはアガメムノンに、へカベはオデッセウスに、アンドロマケはネオプトレモスに、そして、戦功のあった者にもあてがわれた。また、トロイ遠征のスポンサーとして介在している、ギリシアの貴族にも与えられるのである。


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