さきほど言いました、古生代、中生代、新生代ですが、日本の地層を時代毎で分類してみたのが、この上の円グラフです。ご覧のとおり、新生代の地層が6割で、その多くが12月中旬以降ということがわかり、日本の地層がさらに「若い」ということが良く分かると思います。
下の円グラフは日本の地層を岩石毎に分類したものです。
岩石には、砂や泥が堆積して固まった砂岩や泥岩なのどの堆積岩、マグマが地表に噴出して固まった火山岩などがあります。このほか、マグマが地下でユックリ固まった花崗岩などが代表選手の深成岩などがあります。
このグラフからわかるように、日本の地層の約6割は堆積岩で火山岩を含めると約8割になります。
さて、ここまで日本についてだけみてきましたが、世界の地層は一体どうなっているのでしょうか。
この図は、世界の地層を、中生代から新生代の地層、古生代の地層、古生代より古い地層という具合に大きく分けたものです。
先ほども、言いましたように、日本の地層の大半は中生代から新生代の地層からできています。
この図でいうと、黒っぽく塗られた部分ですね。この新しい地層は、環太平洋とヒマラヤ付近にあるぐらいで、全体の2割から3割ぐらいですかね。これは少ないと言っていいでしょう。
また、図には楯状地とか卓状地って記載がありますが、これらは古生代よりずっとずっと古い地層で安定陸塊などと呼ばれているものです。このように、大陸の多くは安定な地層からできているのです。
さて、先ほどから、日本の地層は「若い若い」と何度も強調していますが、地層が「若い」ということは、どういうことを意味するのでしょうか。
この図は、新生代の堆積岩の硬さと岩石の中にある間隙の関係を示したものです。そして、グラフのなかに四角で囲ってある部分がありますが、それは、新生代の時代をさらに細かく分けたものを表しています。
この図から、時代的に古い岩石ほど固くて、新しい、すなわち若い岩石ほど軟らかいということが分かるかと思います。いわゆる「軟岩」や「硬岩」と呼ばれるような岩盤分類における境界は、一般には一軸圧縮強度25MPaですが、このような軟らかい岩石は、硬い岩石に比べて劣化しやすい性質があります。
テキストにも書いてありますが、このような劣化しやすい軟岩が日本には私の感覚で4~5割程度分布していると推定されます。つまり、「若い地層が多い」ということは、それだけ「劣化する所が多い」ということになります。とどのつまり、日本は劣化するところがとても多いということです。
ご理解頂けたでしょうか。
次は、劣化しやすい岩石の例を示したいと思います。
これは、宇土半島先端付近の切土のり面の写真です。
のり面に分布している地層は、「新生代」の泥岩です。灰色に見える部分が新鮮で、褐色がかって見える部分は風化しています。そして、この灰色の部分は、掘削した直後は比較的良質なのですが、掘削した直後から濡れたり乾いたりの繰り返しによって、あっという間にボロボロになっていきます。こういう現象をスレーキングと言うのですが、こういう性質を持った地層というのは、斜面崩壊や法面崩壊の素因となります。日本にはこういう地層が多く見受けられます。
さて、では、次のキーワード「モザイク」にいこうと思います。
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