その店で使用されていた暖房器具は、ベージュ色のいわゆる昔ながらの円筒形の石油ストーブで、小窓から見える橙色の炎が、店内を暖かいものにしていた。
奥にどうぞと言われ、奥へ行くと、そこには4組の20代のキレイ系女性達がランチ中であった。
そこには、オヤジはお呼びでない雰囲気が漂っており、それ以上奥へは行けなくなったボクはオーディオが置いてある一番手前の席に腰をおろした。
ジーインズでラフな格好をしたカワイイ顔のウェイトレスの彼女に、とりあえずビールを注文した。
彼女はキョトンとした表情になった。ツカツカと接近してきて、「生ビールでよろしいでしょうか」と意思確認のような口調だった。
「ハイ、ナマを・・・」ボクはそう答えるのが精一杯だった。
「ナニかツマミを・・・」と言いそうになったが、メニューも見ずに「ランチ下さい」と無難に言った。
店内には、スローなかんじのクリスマスソングが流れていた。
オーディオが置かれたラックには、サーフ系雑誌やハワイアンのオーガニック系のCDがあった。
ランチを待っている間、ボクは音楽を聴きながら生ビールを喉に流し込みながら、ここまでのミッションの過程を野球に例えて振り返っていた。
1球目は『見逃し』だった。→場所を間違えた。
2球目は『空振り』だった。→店は閉まっていた。
打席を外し、一呼吸している。→現在だった。
ランチを運んできた彼女に、『赤獅子』について訊いてみた。
もともと『赤獅子』は古着屋でこの近辺では有名な店だったと話してくれ、だけど、最近、ソレはやめているみたいだと付け加えた。そして、いつもは12時には開店しているとそう教えてくれた。
時計は既に12時30分を回っていた。
クリスマスソングが止み、ボクがオーディオを気にしていると、厨房から若いシェフがでてきて別の音楽に替えてくれた。
アコースティックギターをバックに男性ボーカルが暖かい風のような唄を奏でていた。
2杯目が全身をゆるくほぐしてくれ、ボクはビールと音楽をしばらく楽しんだ。
だけど、3球目が心配だった。
三振したら、また、この店にくればいいや、そう思った。
時計は1時を過ぎた。
酔いが回り最高の気分になった。
お店をでるときに、今、流れてる音楽のアーティスト名を訊いた。
彼女はCDケースをボクのところに持ってきてくれ、喜々としてそのアーティストについて説明してくれた。LAULAという男性デュオだった。時々、お店でライブもするという。今度是非、聞きに来てくれと満面の笑みで誘ってくれた。
だけど、ボクはこういう素性の男で残念ながらそう簡単には来れない旨を話し、今から行く『赤獅子』が閉店だったらまた戻ってきてゆっくりさせて下さいと言って、そのカフェを後にしたのだった。
奥にどうぞと言われ、奥へ行くと、そこには4組の20代のキレイ系女性達がランチ中であった。
そこには、オヤジはお呼びでない雰囲気が漂っており、それ以上奥へは行けなくなったボクはオーディオが置いてある一番手前の席に腰をおろした。
ジーインズでラフな格好をしたカワイイ顔のウェイトレスの彼女に、とりあえずビールを注文した。
彼女はキョトンとした表情になった。ツカツカと接近してきて、「生ビールでよろしいでしょうか」と意思確認のような口調だった。
「ハイ、ナマを・・・」ボクはそう答えるのが精一杯だった。
「ナニかツマミを・・・」と言いそうになったが、メニューも見ずに「ランチ下さい」と無難に言った。
店内には、スローなかんじのクリスマスソングが流れていた。
オーディオが置かれたラックには、サーフ系雑誌やハワイアンのオーガニック系のCDがあった。
ランチを待っている間、ボクは音楽を聴きながら生ビールを喉に流し込みながら、ここまでのミッションの過程を野球に例えて振り返っていた。
1球目は『見逃し』だった。→場所を間違えた。
2球目は『空振り』だった。→店は閉まっていた。
打席を外し、一呼吸している。→現在だった。
ランチを運んできた彼女に、『赤獅子』について訊いてみた。
もともと『赤獅子』は古着屋でこの近辺では有名な店だったと話してくれ、だけど、最近、ソレはやめているみたいだと付け加えた。そして、いつもは12時には開店しているとそう教えてくれた。
時計は既に12時30分を回っていた。
クリスマスソングが止み、ボクがオーディオを気にしていると、厨房から若いシェフがでてきて別の音楽に替えてくれた。
アコースティックギターをバックに男性ボーカルが暖かい風のような唄を奏でていた。
2杯目が全身をゆるくほぐしてくれ、ボクはビールと音楽をしばらく楽しんだ。
だけど、3球目が心配だった。
三振したら、また、この店にくればいいや、そう思った。
時計は1時を過ぎた。
酔いが回り最高の気分になった。
お店をでるときに、今、流れてる音楽のアーティスト名を訊いた。
彼女はCDケースをボクのところに持ってきてくれ、喜々としてそのアーティストについて説明してくれた。LAULAという男性デュオだった。時々、お店でライブもするという。今度是非、聞きに来てくれと満面の笑みで誘ってくれた。
だけど、ボクはこういう素性の男で残念ながらそう簡単には来れない旨を話し、今から行く『赤獅子』が閉店だったらまた戻ってきてゆっくりさせて下さいと言って、そのカフェを後にしたのだった。