三流読書人

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ドングリ小屋住人 

「月光の夏」を 

2009年07月09日 22時37分48秒 | 平和
昨夜(7月8日)、劇団「東演」の「朗読劇・月光の夏」を観た。
原作は毛利恒之著 汐文社刊「月光の夏」 演出・鈴木完一郎。
太平洋戦争末期昭和二十年初夏、明朝出陣するという音楽を愛する学徒出陣の特攻隊員二人が小学校にかけつけ、
今生の別れにベートーヴェンのソナタ「月光」を弾き沖縄の空に出撃して行く。
一人は戦死、一人は・・・。

これほど公演時間を短く感じたものにかつて出会ったことがあっただろうか。
生のピアノ演奏と、演者は舞台上で芝居を演じるのではなく、内容はすべて原作の語りを朗読によって観客に伝える。
観客はすべての場面をそれぞれの想像力に委ねられる。
黒い衣装の演者もまたその内容を声のみによって伝えるという厳しいものを要求される。
身体の演技はいらない。
神山征二郎監督による映画「月光の夏」も感動的であったが、今回の東演の公演に私は、まいった。

ピアノもよかった。
客席第一列、かぶりつきにいた。
はじめから涙が流れ、最後まで泣いていた。

そして今日は7月9日、和歌山空襲によって和歌山市が灰燼に帰した日。
1945年7月9日を忘れるものか。
紅蓮の炎の中を逃げまどった6歳の夏。
生きのびたけれど辛い戦後であった。

憲法第九条守るべし。



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