伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

子育ての社会化ーフランスの子育て事情に感心

2017年01月25日 | 社会
 「フランスはどう少子化を克服したか」

 気にかかる書名にひかれ購入した新潮新書。高崎順子さんというフランス在住の著述家がフランスの子育て事情を書いたものです。移動の車内で読み終えました。

 そもそも子どもを産む適齢の人口が減少している状況の中で、人口増をはかろうとするなら、3人以上の子どもを産んでもらう必要があり、人口の増加は望めない。こんな衝撃的な話を聞いたのが2年前だったかな・・、この時に開かれた福島県市議会議長会主催の講演会でした。

 その時に対応策として話されていたのが、子どもを産んだ方々への支援策を強化していくことでした。

 この本には、この子育て支援策のフランスでの事情をよく説明していました。

 まず驚きなのが、フランスでは親の育児能力に対する期待が低いこと、だからこそ子育てをする親を社会で助けるという考え方が一般的にあるようなのです。

 同書で保育園の園長の言葉を引いています。

 「子どもに一番大切なのは、やっぱり親なんです。どんなにいい保育園も、親の変わりはできない。親ってそれだけ大切で、大変な役目なの。だからこそ、みんなで親を助けなくちゃいけない。親が子どもと市合わせていられることが、子どもにとっては一番なのよ。だからみなさんも、遠慮しないでいろいろ話してくださいね。私たちは、あなたたちを助けるためにいるんですからね」

 だからこそ様々な子育て支援策が次々と取られ充実していき、その結果、確か1.6まで落ちた合を計特殊出生率が2.0を前後で推移するまで回復をしてきたわけです。

 驚きは3歳になれば全部の子どもを対象にした保育学校に無償で入学ができるというのです。保育学校は、義務教育を受ける前に「生徒になることを学ぶ」学校と位置付けられる学校で、子どもが獲得すべき能力に対して、その子どもの到達点によってのみ評価する学校だというのですね。

 生まれれば、公立、私立、企業内、アソシエーション(非営利団体的な組織)などに運営される認可保育園や母親アシスタント(ベビーシッターの進化形で公的に管理される職業)、個人シッター、共同シッターなどの中から自分の経済力と利用したい形態に応じて選択をしていくことが可能な状況にあります。個人シッターのようにだいたい260万円かかる、一般的庶民の目から見れば目玉が飛び出るような高い負担のものがありますが、この場合も補助金や特別控除で74万円が払い戻されるなど、どの手段を使っても負担の軽減をはかるような仕組みが作られているといいます。

 そしてそれぞれを利用するにあたっても親の負担を軽減するような仕組みにされているというのです。

 子育ては親がするもの、家庭がするもの。という考え方が日本では一般的なように思います。だから子どもの鳴き声をうるさいと言ったり、乳母車は電車内でたたんでしまえ、といったことが当たり前のように行われている。こうしたことを社会的に改善をしていくことが、先に書いた講演会で講師の先生が強調していた「子どもを産んだ方々への支援策の強化」で子どもを産みやすい環境、子どもを育てやすい環境が充実していくのだろうと思いました。

 この間、子育て支援に関する講演会などをいくつか聞いてきましたけど、そこで提示された課題、疑問に、本書は一つの回答を与えてくれるように思いました。

 さて、こんな風景を見ました。

 風力発電機が山裾に並んでいます。



 遠野地区でも風力発電事業が計画されていますけど、こんな風になるんでしょうね。ただ写真のところほど見通しが良い所ではないので、多くのところではこれほどむき出しで見えることはないのでしょうけど。 


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