伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

憲法記念日が近いということで議員だよりの記事を書きました

2018年04月25日 | 市政
 基本的に毎週発行する議員だより。次号は何のテーマで書くかを議員団で相談して、憲法記念日も近いから、これをテーマにすることになり。原稿を書くことになりました。

 テーマは分かったが、じゃあ何を材料に、何を主張しよう。悩みました。悩んで、手探りしながら、そろそろと書き進めたのが次の議員だよりの記事です。

 そんな事情があるので、少しヨタヨタした文章になっているかもしれません。よろしければご一読ください。




市民の平和と生活を脅かす政治に声をあげる市政こそ
憲法記念日にあたって考える



 「九条の二を付け加えて九条を意味のないものにする陰険なやり方はやめて、堂々と九条について議論をすればいい。九条は絶対的平和主義をうたっている。私は丸腰で行こうでいいと思っている」。勿来九条の会の10周年記念講演会(勿来市民会館)で、東京大学名誉教授の米倉明氏は、政府・自民党がすすめる改憲論議に異議を唱えました。歯に衣着せぬ物言い。聴講した160人余は時折爆笑の渦で、賛同を示していました。間もなく71回目の憲法記念日です。

■自民改憲案を批判

 1947(昭和22)年5月3日、日本国憲法が施行されてから、間もなく71年が過ぎようとしてます。

 昨年5月3日憲法記念日に、改憲を目指す日本会議の関連団体が主催した「公開憲法フォーラム」に、安倍首相が自民党総裁としてビデオメッセージを寄せました。

 安倍首相は、「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべき」と主張し、「『九条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む』という考え方、これは国民的な議論に値する」、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明しました。20年までに改憲を成し遂げるというのです。

 自民党の憲法改正推進本部で議論が進み「有力と考える案」として報道されたのが、九条二項(陸海空軍その他の戦力を保持しない。国の交戦権を認めない)を保持し、新たに九条の二を加え、自衛のための実力組織として、「内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」という案でした。



 冒頭の言葉は、米倉氏がこの自民党案を批判したものでした。

■安倍政権余力無し

 安倍首相に改憲をすすめる余力がなくなった――こう解説したのは、14日に文化センターで講演した上智大学教授の中野晃一氏でした。

 この日、安倍首相は、訪問した大阪で、「維新の会」がめざす「大阪都構想」に反対を表明しました。維新は改憲をすすめる立場なので、本来、対立は避けたいところです。あえて、都構想を否定し対立の種を作ったのは、改憲のために維新をつなぎ留めておく余裕がないからというのです。

■戦場への派遣に加え森友・加計疑惑

 森友学園や加計学園に便宜を図った疑惑に端を発し、文書隠蔽、文書改ざん、おまけにセクハラ疑惑まで。いまや疑惑がてんこ盛りの安倍政権です。

 加えて、これまでの安倍政権の行状もあります。

 安倍政権は、自衛隊の任務を拡大し、海外に派遣するために、国論を二分する安保法制(=戦争法)などを、国会での多数を頼りに強行採決してきました。こうした安倍政権への不信感は国民に渦巻く状況がありました。

 安保法制の前段には、小泉政権下でのイラク特措法がありました。この法律で自衛隊は「非戦闘地域」に派遣されるはずでした。しかし、安倍政権下で隠され発見されることになった派遣部隊の日報には、「戦闘」という言葉が散見されました。本来派遣してはならない場所に隊を派遣していた疑いが濃厚となりました。派遣ありきの派遣であったことが見て取れます。



 また、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された部隊の日報には、「宿営地5、6時方向で激しい銃撃戦」など、派遣されたジュバが戦闘状態にあることが記されていました。派遣隊員は、戦闘に巻き込まれることを想定し、「「実弾を込めて武器を携行するように」と命令されていたことを証言しています。

 「自衛隊の施設整備は一定の区切りがつけることができると判断した」という自衛隊のPKO撤収も、治安の悪化に伴うものに違いありません。



 これらの派遣で、自衛隊員に戦闘による犠牲者はありませんでした。幸いなことです。しかし、自衛隊の海外での集団的自衛権が可能という事実上の“改憲”を強行したことによって、自衛隊員に戦場で命を落とす危険を、国民には、不安と不穏をもたらしたことは間違いありません。

 こうした事態に国民が不信感を募らせた。これに連なる森友・加計疑惑。国民の不信の渦が最大級に育て上げられたのは当然のことです。

■派遣で防衛費拡大

 安倍首相のもとで進められた集団的自衛権を行使するための法整備は、自衛隊の装備面でも、海外で作戦を展開するためのものに変更することを促しているように見えます。

 17機導入予定のV22オスプレイは1機約100億円(予備エンジンなど諸経費込みで約200億円)もかかりますが、この任務は、敵地深く潜入して軍事作戦を展開するための兵員輸送などにあります。

 新中期防衛力整備計画には、上陸作戦に使用する水陸両用車の整備や、海上輸送力の強化などがうたわれています。

 その上、すでに就航している全通甲板を持つ護衛艦「いずも」を空母に改修する構想も浮上してきました。元自衛隊幹部は、当初から空母改修が想定されていたと証言しています。

 これに合わせるように、新中期防で調達がうたわれているF35A(滑走路で離着陸)の一部を、カタパルト(空母から離陸する航空機を加速するための装置)がない空母でも活用可能な、垂直に離着陸ができるF35Bに変更する構想まで浮上しています。

 これらはいずれも領土である島嶼(とうしょ)を防衛する名目ですが、自衛隊が海外で作戦を展開する上での能力を飛躍的に向上させるものであることは間違いありません。

 安倍内閣になって、これらの装備調達を含む防衛費は過去最高を毎年更新し、2018(平成30)年度も、過去最高の約5兆2000億円の規模に達しています。

 自衛隊の海外派遣が拡大することになれば防衛費の拡大はさけられず、市民生活を圧迫することは間違いありません。

■後退する社会保障

 日本国憲法25条は、すべての国民に、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障し、国に、社会福祉、社会保障や公衆衛生の向上などを義務付けています。

 ところが、いま、国の政策はこれに逆行しています。

 戦後の混乱の時期を多くの国民が苦労して乗り越えてきたのは、生産力の向上と経済力の進展で、豊かな社会の実現を夢見たからに他なりません。

 そして、日本は世界でも屈指の経済力を手にしました。夢見た豊かな社会に一定程度近づいたにも関わらず、現実には、豊かさからの恩恵の放棄を国民に求める政策に見えます。

 端的にあらわれているのが、労働法制と年金、そして生活保護制度ではないでしょうか。

 労働法制では、派遣労働の拡大で不安定雇用が当たり前にされ、「働き方改革」をうたいながら、人件費を抑制するための裁量労働制の導入が執拗に狙われています。

 年金では、「100年安心」なはずにもかかわらず、物価スライド制の適用で年金額が目減りする事態に。年金者から「どこが安心か」と批判の声が聞こえてきます。

 そして生活保護制度。病気で働けない、高齢で就職も困難などの事情で収入が見込めない場合や、収入があっても生活が苦しい場合などに、憲法でうたう「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するための制度です。

 ところが、政府はこの支給額を減らそうとしているのです。

 今の支給額でさえ、生活には厳しいという訴えがあります。ところが政府は、生活保護を受給せずに、保護費よりも少ない収入で生活している人と比較し、もっと少なくても生活できるとばかりに保護費の支給額をへらそうとしているのです。

 本来は、保護費よりも低い水準で生活している人たちの生活水準の向上をはかるために、どんな施策をすすめるかを検討すべきです。こうした検討はサボタージュして、国民生活を切り下げるために四苦八苦する。それが今の安倍政権なわけです。

■国と地方議会との関係を姿勢に学ぶ機会に

 日本共産党市議団は、たびたび、本市が採択した「いわき市非核平和都市宣言」を取り上げ、市長が改憲についてどう考えるか、あるいは、、自衛隊の海外派遣の拡大をどう考えるかなどについて質してきました。

 市長は、権限が及ばない問題なので、国の対応を見守るという姿勢を示す事が普通です。

 非核平和都市宣言は、憲法の精神である「恒久平和」の願いを込めて核兵器廃絶を世界に呼びかけています。

 この立場に立って、改憲や自衛隊の活動のあり方に本市が声をあげる、それは裏の意味では、問題がある法や制度の改定をやめさせて、市民生活のために貴重な税金を使えと声をあげることになります。市政にはこのことが求められているのではないでしょうか。

 5月4日、元文部科学事務次官の前川喜平氏が本市文化センター大ホールで講演します。

 前川氏は、出会い系バー通いをしていたと読売新聞1面で報道された人物です。しかし、これは人物像を汚すために事実をゆがめられた一面的な報道でした。出会い系バーに行ったことは事実です。しかし、そこで彼と知り合った若い女性は、彼に悩みを話し、相談に乗ってもらい、彼のアドバイスを受けて奮起し、今では高級ブランドに就職して働いていると週刊誌に証言していました。「私は前川さんのおかげで今がある」と言っているのです。

 前川氏は、日本記者クラブで開いた会見で読売の記事には「官邸の関与あったと考えている」と発言しています。国家ぐるみかもしれない圧力であっても、これにしっかりと物申す姿勢。そこには、今後、国と自治体との関係、国と地方議会との関係でも、学ぶべき点は多々あるものと思います。

 すでに入場整理券の配布は終了するなど市民の関心は高いようですが、憲法記念日にあたって、ぜひ聞いてみたい講演です。ちなみに、講演開始は午後2時、資料代として500円が必要なそうです。


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