伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

いわき市が希望者にPCR検査を実施

2021年04月29日 | 市政
 市が公表している資料によると、検査は、4月初旬から新型コロナウイルス感染症のクラスターが多数発生し、市内全域で家庭や職場を中心にに感染が拡大していることから、感染拡大を早期に押さえ込み、病床の逼迫の改善につなげるための取り組みだという。

 市内では、4月に入ってから感染拡大が顕著で、同時に公表された資料によると、27日までの4月の市内感染者は277人にのぼっている。最初の感染者から同日までの感染者は538人であり、その約52%が4月の発症となる。ここだけ見ても、急劇な感染拡大の状況を見て取ることができる。市内の病床使用率は、近日は低下傾向にあるとされるとは言え、50%を越える状況が依然として続いており、医療機関の逼迫の状況には変わりはない。

 この状況を受けて市長は、

 「市内の病床につきましては、爆発的感染拡大を示すステージ4の目安である50%を超えており、『病床ひっ迫宣言』を解除できるような状態には至っているわけではありません。
 地域医療体制は、依然として厳しく、予断を許さない状況にあると認識しております。
 このため、市といたしましては、感染者が多数発生している現状を踏まえ、感染拡大を早期に、できる限り抑え込むため、既に発表しております
『感染拡大防止一斉行動』、並びに、
『高齢者及び障がい者等の入所系施設の職員に対するPCR一斉定期検査』に加え、新たに、来月より、福島県内初の取り組みとなります
『PCR検査の拡充』を緊急に実施することといたしました。」

と、PCR検査の拡充を図る理由を述べている。

 検査の概要は市ホームページで公開しているが、次の内容である。




 小さい画像をクリックすれば大きな画像でご覧いただけるが、概要を紹介しておきたい。

 PCR検査の無料実施の対象となるのは、いわき市民のうち、無症状の検査希望者となる。発熱等で症状がある場合は、これまで通り、かかりつけ医や「受診・相談センター」に相談をする。

 検査は本年5月中旬から6月末日までの期間中平日に、市内の医療機関で実施される。検査を受けるためにはあらかじめの予約(完全予約制)が必要で、予約をしたものに、だ液PCR検査を原則1回実施する。

 ただし、実施機関内に最大2回検査を受けることができ、2回目を希望する場合には、1回目から最低1週間以上あけて予約の申し込みをする必要がある。

 検査は、
電話で申し込み、
郵送されてくる、検査同意書、容器封入用ビニール袋等を受領、
予約当日の朝にだ液を自己採取、
同意書とだ液の入った容器を実施施設に持参することで、受けることができる。
 検査の結果は判明次第、本人に勇壮で通知され、要せだった場合には、本人に電話連絡がされるという。

 なお詳細は、決定次第お知らせするという。

 今回、公表されたのは、以上のような内容だ。自分はどうなのかとご不安の方もいらっしゃるかもしれない。この機会に、検査をして正しい状況をつかみ、感染予防等にその結果を活かされることが望ましいのではないだろうか。

 ただ、今回の検査の実施についていくつか疑問がある。

 1つは、PCR検査の実施されるようになったことは、歓迎されると思っている。1年程前から、感染拡大の防止のために検査の拡充を求めていた。回数と時期限定とは言え、それが実施されるようになったのだから、この取り組みを歓迎するのは当然だ。

 市が公表した資料から感染経路等の状況を見ると、経路不明が22%、5人に1人となっていた。ここから考えれば、潜在的な感染者を早期に発見して、感染拡大防止を図ることは、引き続き重要な取り組みだろう。

 ここで分からないのが、以前は、濃厚接触者等の必要な検査を、検査機関も順次拡大しながら実施している・・逆の見方をすれば、検査態勢がいっぱいいっぱいで検査件数を増やすことは困難という立場で一貫していたと記憶している。

 それがここに来て、無症状の市民を全部対象にする検査を実施することができるようになったのは何故なのか。検査の必要は理解できるのだが、検査を実施できるようになった理由が分からない。

 以前は綿棒等により喉の奥からの検体採取が必要だったものが、だ液の自己採取という簡便な方法で検体採取ができるようになったり、検査機器等の配備の拡大という背景もあるのかもしれない。

 であるならば、もっと早くに検査の拡大を実施できたのではないだろうか。早期の検査拡大を図っていれば、今、いわき市が落ち込んでいるような感染拡大の危機に陥ることがなかったのではないか。こう考えると、なぜ、今検査の拡充なのかは、市長の説明だけでは分からない。

 2つ目に、検査の拡充で新たな感染者の確認が増加するかもしれない。実施期間が1ヶ月程先の話になるので、4月に経験しているような感染状況は改善しているかもしれないが、仮に十分な改善がないままに感染者の確認増加となった際には、どのような体制で必要な措置をとるのかの対応は準備しておく必要があるだろう。後の感染拡大を予防することには、大きな意味がある。しかし、当面、短期間の医療体制に疑問が残る。

 3つ目に、本市の感染拡大が4月に入ってから拡大しているのは、東京都等の緊急事態宣言が3月21日に解除された時期に符合していると考えられる点だ。あうまで私の見方ではあるが、3月21日に緊急事態宣言が解除され、県境を越えた人流が復活し、ここで感染した市民が2週間程度のうちに発症したと考えると、本市の流行と時期が一致してくるのだ。

 実際、市が公表した「性別・感染リスクの高い主な行動の有無」を見ると、市外との接触による感染が、男性で45件・16%、女性でも15件・5%と最も高くなっている。そうすると、市内での感染抑制を図る上でも、国の対応との絡みで、必要な意思表明をすることが必要になっているように思う。この辺の対応は、どのように考えているのだろうか。

 市内の医療従事者は、続く新型コロナ感染と感染拡大の状況の中で、大変なご苦労をされていると思う。また、新型コロナ感染に関わる業務に携わる市職員をはじめとした関係者も大変なご苦労されていると思う。その中でも、市民の安心と安全のために、引き続き、広く必要な情報を発信しながら、ご尽力いただきたいと思う。


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