伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

県移行までの値上げ抑制に基金を使用ーー国保税

2020年09月03日 | 市政
国保事業の財政運営主体は県に移りました。
低所得世帯の国保税が値上げされないように県に求めることが大切です。

 

 国保の財政運営は2018年度から県が主体となり、市が定めていた国保税率は、2025年には全県で統一される見込みです。この時に、低所得世帯の国保税が高くなることが心配されます。多くの問題を抱えた国民健康保険事業ですが、住民運動と関係者の努力によって、たびたび改善されてきました。私たちの会派がこれまで求めてきたこと、改善されたこと、今後の課題等について考えます。


福島県が財政運営の主体に

 国保の財政運営は、これまで市が主体でしたが、法律が改定され、2018年度から福島県が主体になりました。現在は過渡期として、市が国保税率を定めていますが、2025年度以降には福島県が県内統一の税率を定めることを目指しています。

 国保会計には、安定的な運営を目的として財政基金があり、国は一定程度保有するよう指示してきました。

 かつて、私たちの会派は、必要以上に基金を保有しているので取り崩して値下げすることを求めてきました。

 しかし、運営主体が県に移れば、①保険給付費等に要する費用は県が支出する。②全市町村ごとの国民健康保険事業納付金を決定し、徴収する。③将来的には統一保険税とする。ことになります。その為、県に移行するまでは、市は基金を使って国保税の値上げを抑制する事に使われています。

 下表のように、2019年度末の基金残高は22億円ですが、2024年度末に4億円になる見込みです。

 すでに運営主体が県に移り、過渡期である今、基金を途中で枯渇させることなく計画的に使い果たしていくことが大切だと考えています。

 さらに、県が示す標準保険料率と本市の国保税率には乖離があり、統一後に低所得世帯の国保税が高くなりかねないという問題もあります。

 そうした中、県に対して低所得者の国保税が高くならないよう求めていく必要があります。なお、昨年6月議会で伊藤浩之議員の質問に対し、市は「県との協議の場で要望し詰めていきたい」と答えました。

低所得者を軽減する施策の拡充

 医療の高度化等で医療費が増大してきましたが、国の負担は抑制されてきました。

 もともと国保は、高齢者の割合が多く、加入者の所得水準が低いので、所得に対して国保税は高額になっています。

 そうした中、私たちの会派にとどまらず、市議会では国保の質問が度々されてきました。値下げを求めて全国的な運動がなされ、また、全国市長会等も、国の負担を増やすこと等を求めてきました。

 こうした声を受け、国は低所得者への減免制度を充実させ、市も対応してきました。結果、本市で軽減されている世帯の割合は年々増え6割に達しています。

 これは大きな前進ですが、国の負担を抜本的に増やし、値下げすることが必要です。

資格証交付数が減

 国保税を1年以上滞納し、特別な理由がないとみなされると、保険証の代わりに資格証が交付されます。

 資格証は国保に加入していることだけを示すもので、受診の時には一旦医療費を全額支払わなければなりません。そのために資格証を交付された方が受診を抑制してしまい、病状が悪化する、手遅れになることが大問題になっています。

 私たちは、受診を申し出ても保険証が交付されない、あるいは、受診が遅れて亡くなってしまった本市での事例を挙げながら議会で度々追及してきました。また、納税しても過去の滞納分が1年以上あると保険証をもらえない、納税しても資格証という実態も示して改善を求めてきました。

 これに対して市は、納税で滞納分が減少している場合や、病気で受診したいと申し出がある場合には短期の保険証を交付することにしました。その結果、表に示したように資格証を交付されている世帯数は、2015年度の1367世帯から、2019年度の553世帯に激減しました。

 さらに、新型コロナウイルスが問題になる中で、私たちの会派は資格証の交付を止めるよう求めました。そして、市は、今年度は資格証の交付をしませんでした。
 
 今後も納税相談をしっかり促すことで資格証の交付をなくすことを引き続き求めていくことが必要です。   
文・溝口民子


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