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伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

2月にはデータ改ざん把握と説明/市議会が常磐共同火力から説明・申し入れ

2015年12月24日 | いわき市
 ああ、そういえば今日はクリスマスイブ。なるほど数日前からテレビ番組で、寿司ケーキとかケーキの話題が多かったことに合点がいきました。

 そんな日ですが、排出ガス量のデータを改ざんし、いわき市に提出していた問題で、いわき市議会は各派代表者会議を開き、常磐共同火力株式会社から説明を受け、若干の質疑を行った後、データの虚偽報告に遺憾の意を伝えるとともに、原因の早期究明と速やかな報告・公表、責任の所在の明確と厳正な処置、新たな管理体制の構築などの再発防止策の実施を求める申し入れを行いました。



 会議には、常磐共同火力株式会社の小泉俊彰取締役社長はじめ勿来発電所の所長・副所長が出席し、虚偽報告の内容と経過を説明しました。

 新聞報道等もあわせてみると、経過はおおよそ次のようになります。

 いわき市と常磐共同火力は公害防止協定を締結しています。

 これにもとづいて日常的には、煙突で測定するSOx濃度やNOx濃度と発電出力をもとに排ガス量、SOx量やNOx料を算出し、テレメーターでいわき市環境監視センターにデータを送信・記録しています。また、2か月に1回ほどばいじん濃度や流量の測定を実施、そのデータを半年に1回報告書(「自主測定報告書」という)にまとめ、同じく環境監視センターに提出しています。

 今回、データが改ざんされたのは後者の報告書に記載された流量のデータで、6号機から9号機で大半のデータが実測値より1割程低い数値に改ざんされていたといいます。改ざんは電磁記録が残っている2000(平成12)年以降続いており、それ以前の紙べースのデータは震災の津波で消失し確認できないといい、さらに長期にわたってデータ改ざんが行われていた可能性を残しています。

 報道によるとばいじんの数値には改ざんはなく、また大気汚染防止法の排出基準を超えるデータは確認されていないといいます。

 改ざんが行われた原因は、国に電気事業法にもとづいて提出した「ばい煙に関する説明書」に記載した届出値を超えないように、流量を過少に見せるためで、報道では9号機の今年9月のデータは204万6000㎥を測定したものの、報告書に記載したのは届出値の199万㎥より小さい198万5000㎥(河北新報)だったとされています。

 改ざんは「担当者レベルで引き継がれていた」と報道されていますが、「届出値を絶対に超えてはいけない数値と考えていた」ことに原因があったと説明をされました。

 以上のように経過を踏まえながら説明を聞くと、いろいろ疑問が湧いてきます。「調査中ということなので、どこまで説明できるか、という問題はありますが」と前置きしながら質問しました。

 一つは、改ざんのメリットはなく、むしろデメリットなのに、なぜ改ざんを続けていたかという問題です。

 市の担当部署から聞き取りをすすめる中で、流量を大きくすればばいじんの値が下がって会社側には有利な数値になるのに、今回は小さくしたということなので、という説明がありました。流量を小さく見ることでばいじんの値は相対的に大きくなる――なるほどそうです。

 これには前述の「届出値を超えてはいけな数値」ととらえていたことにあると説明されました。

 二つ目には、現場がそのような気持ちを持ちながらデータ改ざんをしていたのに、会社としてチェックできなかったという問題です。

 小泉社長は、「チェックを担当することになっているグループのリーダーがチェック機能を発揮できなかった。公害防止担当もいるがここもチェックできなかった。そして、所長等の工場幹部には実データは示されず、外部に出す(報告書に盛られた)データしか上がってこないため承認して外に出す以外になかった。会社全体では監査の機会などもあるが、こうしたものも含めて再発防止のための対策を考えていきたい」という趣旨の説明をしました。

 この説明には、会社には現場任せの風土があると感じるわけで、その点をたずねると、「結果論となるが、仕組みの問題がある」として、今後の調査で再発防止策を構築していきたいと話します。

 と、説明を聞いているうちに新たな疑問が浮かびます。「なぜ今月になって明らかになったのか」。三つ目の問題です。

 小泉社長は、こう説明しました。

 火力発電の効率化を検討していたグループがデータに疑問を呈したことをきっかけに、データを担当している環境グループが、データが報告を上回っていると本社に相談したことがこの問題の始まりだというのです。

 ただ不思議なのが、担当は近年代わったのではなく、数年前だといいます。ということはこれまでデータ改ざんにかかわってきたことになります。その同じ人が、なぜ報告をする心境に至ったのか。「会社としてのコンプライアンス(法令あるいは規則遵守)徹底で問題意識を持ったの(相談したきっかけ)なら、会社の取り組みの成果ではあるが、その実態は今後の調査を待たなければ分からない」といいます。

 では問題意識を持ったのはいつだったのか。四つ目の問題です。

 担当している環境グループが流量に疑問を持ったのが今年の1月のこと、2月には環境グループと本社の企画部で検討が開始されていたというのです。

 びっくりです。発表の10ヶ月も前に問題を掌握し、検討を始めていたというのです。

 社会的な影響が大きいだけに、なぜ問題が分かった時点で公表しなかったのか。質問しました。

 「トップとして、その問題を発見できなかったのは残念に思っています。関係者のヒアリングをすすめ、早期に問題を解明し、報告したい」といいます。

 つまり、社内及び発電所の一部の部署がデータ改ざんの事実を掌握しながら、10ヶ月間も幹部には共有されなかったというのです。

 “えっ!”。またまたびっくりです。そんなことがあるのでしょうか。

 データ改ざんは会社の信頼性に関わる大きな問題です。流量のデータを恣意的に書き換え報告することが通用するなら、どのデータをいじって報告しても通用することになり、測定及びその報告の信頼性を失墜させ、現在行われている公害監視のシステムを根底から否定することにつながるからです。市民生活の安心の根底を掘り崩します。

 ばいじんのデータには改ざんはなく、環境への影響はないと言ってすむ問題ではありません。

 今日の説明と質疑を通じて、問題意識が深まりました。

 こうした重要な問題を社内で把握しながら、幹部が情報を共有できない事態が常態化している、あるいは会社全体で情報を共有できない、という事態があるとするなら、その会社の危機管理は皆無に等しいということになります。公害物質の排出など地域環境に与える重大な負荷、また二酸化炭素の排出など地球環境に与える重大な負荷を考えた時に、こういう事業者に発電事業を継続させて良いのかが問われることになります。

 発電効率が良いとされるIGCC(石炭ガス化複合発電)を新たに建設するために、現在、環境評価をすすめている同社にとっては、なおさら重要な問題ではないでしょうか。

 今回の事態を受けて必要なことは、この問題を現場の担当者の問題だけにとどめることなく、幹部を含めて会社全体の問題としてとらえ、その問題点を把握し改善に取り組むことだと思います。そうでなければ、問題を完全に解決し、再発を防止することはできないという思いが湧いてきます。きょうの説明では、多少、問題を過小評価している、問題把握の軸がずれているという印象をもってしまいます。

 同社は、明日、これまでの調査状況をいわき市に報告するようで、その報告に関する資料を市議会に提出するといいます。少なくとも担当部門だけの調査にとどまらず、こうした問題を看過してきた会社全体の問題にも踏み込んで、しっかりと調査し、再発防止をできる体制を構築する。そのためにも第三者による調査を位置づけることも必要と思います。

 しっかりとした常磐共同火力の対応を期待したいと思います。  


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