伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

平和求めて揮毫・フラの日平和記念式典

2023年08月20日 | いわき市
 平和を正面に据えた式典が実施された経緯を、実は分かっていない。主催者に聞けばいい話なのだが、聞いていなかった。数ヶ月前、遠野職人倶楽部がいわき市で実施されるフラガール甲子園で、遠野の職人の手による竹細工の骨組みに遠野和紙を使ったバルーンを作り展示されると聞いていた。しかし、こうした式典が準備されているとは全く思わっていなかった。式典実行委員長がチラシを届けてくれたことで式典を知り、参加することにした。

 バルーンの直径は1m。会場には2つ容易されていた。

 これに揮毫するのは、入遠野小学校の高木さん、入遠野中学の山口さんと面川さん、上遠野中学校の鈴木さんの4名と、東日本国際大学に留学しているウクライナ人学生のアルミナさん(ザボリージャ出身)、カリーナさん(マキュエフカ出身)、アナスタシアさん(ハルキウ出身)の3名。日ウの少年少女と青年が、それぞれ平和への思いを揮毫に託すことになる。ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナ国内では、都市へのミサイル等による攻撃もあり民間人にも多数の死傷者が出ている。攻撃で幼少の子ども達が犠牲になっている報道などに、ロシというか、これを命令しているプーチン大統領に憤りも湧いてくる。揮毫は、ロシアの撤退を求め、ウクライナの平和の回復の願いの発信になることは間違いない。

 また、遠野和紙は古くは商店の帳面などの記録に使われたり、近年は障子紙等、もともと民生品として流通していたが、先の世界大戦では武器に利用されたことがある。風船爆弾だ。和紙とコンニャクから作るのりを利用して巨大な気球を作り、下に爆弾や焼夷弾を取り付けて偏西風に乗せて飛ばし、米本土を攻撃しようとした兵器だ。和紙の製造は各地の産地に及び、遠野和紙も活用されたらしく、田人はコンニャクの産地だった。

 発射基地はいわき市勿来町と現在北茨城市となっている大津町の2ヶ所あり、約9,300機が発射され1,000機程が米本土に到達し、山林火災(ただし冬季のため小規模だったらしい)などを引き起こした例もあったという。痛ましい犠牲者も出ている。ピクニック中の妊娠していた女性教師と生徒5人が風船爆弾の不発弾に触れて爆死したという。紙漉き職人には、軍調達の和紙が爆弾に使われると知らされていなかったようだが、遠野和紙は戦争によってこうした負の歴史を背負わされたと思う。

 遠野和紙のバルーンに平和の揮毫をする今回の企画は、こうした遠野和紙の負の歴史を塗り替えるものとしてユニークだと思っていた。

 そんな思いを持ちながら式典実行委員長の開会あいさつを聞いていると、同じような考えがにじんでいた。
 「遠野町では様々な町おこしが取り組まれています。和紙は風船爆弾に利用されたが、平和のバルーンとしてよみがえり、小中学生、留学生に揮毫をしていただきます。いわきから戦いが渦巻く世界に平和の願いを発信する式典になります」
 だいたいこんな感じだったと思うが、遠野和紙の負の歴史を塗り替えるという意味では良い機会に恵まれたのではないかと思う。

 来賓で出席した内田広之市長も、「戦がおさまらない世界で、文化の交流で平和を訴える素晴らしい企画です。書道で綴る平和が世界に届いて欲しい」と子ども達と留学生の期待を述べた。



 揮毫は2つのバルーンに。小中学生と留学生が分かれてそれぞれ揮毫した。
 以下、その模様。


「笑顔」=世界の人が笑顔で暮らせるよう願った。(高木さん)


「飛翔」=若い世代が積極的な行動で世界に羽ばたけるよう願った。(鈴木さん)


「日常」=平和の問いに答えは難しいと思うが、戦争前の日常があることが平和だと思った。

(高木さん)


「平和の光」=世界が戦争のない平和の光に包まれて安全に暮らせるよう願った。

(面川さん)


「自由」=人々は自由に生きる権利を持っている。戦争が終って自由に暮らせるように願った。

(アルミナさん)


「平和」=ウクライナに平和を望む。(カリーナさん)


「希望」=ウクライナに希望を願っている。(アナスタシアさん)


 おおよそこんなふうに揮毫に込めた想いを語っていたと思う。
 こうした想いが世界に届くといいな。


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