伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

成人式

2025年01月12日 | いわき市

 出席するのは何年ぶりだろう。過去を振り返ってみると2020年の式が最後。5年ぶりの成人式の出席となった。同じく遠野町在住の市議会議員と2人で出席することになっており、紺藍は、私が祝辞を担当することになっていた。

 そんなことで一昨日の夜に原稿を書いたのだが、翌朝、別のアイデアも浮かんでしまった。そちらの方が良さそうだったので、昨夜、原稿を書き直して今日の式に臨んだ。

 開始時刻15分前に会場に入ると、駐車場はほぼ満杯。車を停め、公民館に入ると間もなく式が始まった。

 式典では、市長の「贈る言葉」を遠野支所長が代読。成人が過ごした20年間を振り返り、体験してきた災害などで実感した「人と人とのつながりの大切さ」を噛みしめながら「人を支え、絆を大切にする気持ちを持ち続けてください」と要望し、パリパラリンピックの柔道女子48kg級で銀メダルを獲得した半谷静香さんの活躍をひきながら「夢に向って生きてください」と激励。市政としても若い人たちに「戦略的に投資」し、その活躍を支援することを伝えていた。

 続いて新成人に記念品を贈呈があり、祝辞を贈った。

 

 最後に代表が謝辞に立った。

 代表は、「大人の門出を迎えることができたのも、家族や戦死、地域のみなさんのおかげ」と感謝を述べ、小学校入学を東日本大震災で迎えて恐怖や不安が心に残っているが、この中で体験した「支え合う大切さや絆を忘れられない」として「この絆をつなげる番」だとして、あきらめずに協力することや人と人の絆など20年間に身につけたことや、遠野で生まれ育ったことを誇りに生きていくとしながら「たくましい大人になることを誓う」と決意を語った。

 式典の流れは以前と変わらないが、全体で約30分の式典だ。これだけ時間がかかったのは、私の祝辞が長かったのかも。だろすればひんしゅく物か。式典で配布された封筒の中に「恩師からのメッセージ集」があった。以前の式では見たことがない。新成人の在学中の思い出などにふれながら、これからの人生を激励する言葉がちりばめられている心温まるメッセージ集だ。これを読んだ新成人、うれしかっただろうな。

 さて、私の祝辞は以下の通り。


                    祝  辞

 成人式を迎えたみなさん。おめでとうございます。

 みなさんが生まれた2004年度に、この世に送り出された歌がありました。

………

誰にも見せない泪があった 人知れず流した泪があった

決して平らな道ではなかった けれど確かに歩んで来た道だ

あの時想い描いた夢の途中に今も

何度も何度もあきらめかけた夢の途中

いくつもの日々を越えて 辿り着いた今がある

だからもう迷わずに進めばいい

栄光の架橋へと…

………

 フォークデュオ「ゆず」の「栄光の架橋」ですが、この歌に、みなさんが歩んだ20年の歩みが折り込まれていると感じました。

 振り返ると、みなさんの小学校入学は東日本大震災と原発事故で混乱する中で迎え、中学校卒業間際には新型コロナウイルスが流行しました。高校生活もその流行下にあり、マスク着用やイベントの制限など、様々な制約が課せられる時を過ごしてきたものと思います。

 子どもの時代から困難に満ちた日々を乗り越えてきたみなさんだからこそ、これまでの経験を活かして、それぞれの栄光の架橋に進んでいくことができるのだろう。そんな思いを強くしています。

 さて、今年は終戦から80周年を迎えます。

 先日、「女の子たち風船爆弾をつくる」という小林エリカさんの小説を読みました。アメリカ本土の直接攻撃が目的の、風船爆弾の製造に当たった当時10代の女性の目から戦中・戦後を描いた作品で、和紙やコンニャク糊などで巨大な風船を作るため、全国の産地から和紙が調達されたことも紹介していました。

その産地の一つとして「入遠野」の地名が登場します。

その入遠野に戦中、敵機の侵入を監視する防空監視哨があった。今は故人となった鍛冶屋の長谷川さんから聞きました。防空監視隊員として任務についていたある日、銀色に輝きながら上昇する多数の物体を南の空に見たそうです。平にあった上級の機関に報告すると、何も見なかったことにしておけと言われた。そう体験を語ってくださいました。勿来や北茨城市平潟の基地などから9,000機が放球され、1,000機がアメリカに到達していますが、その一部の風船爆弾だったのでしょう。

あの時代を記憶している方々もどんどん減り、遠い過去のことになりつつあります。しかし、ウクライナへのロシアの侵略、イスラエルのガザ地区攻撃など、きな臭ささが漂う今の時代だからこそ、あの時代の経験に学び今を考え、次の時代への架橋を創造、新しく作り出していくことが大切になっていると思います。

 今年は夏に参議院選挙があります。日本の未来にとどまらず、一人ひとりのみなさんの未来につながる選挙となることはまちがいありません。

 残念ながら20代中心に若い世代の投票率が低い傾向があります。選挙はみなさんの生活や仕事と政治を結ぶ架橋です。その架橋を栄えあるものとするためにも、政治を考え、投票を通じて積極的に政治参加をしていただきたいと思います。

 結びに、今年の干支は乙に巳と書く「乙巳(きのとみ)」で、成長と結実の時期を意味するそうです。今年成人式を迎えたみなさんにふさわしい巡り合わせです。みなさんのこれまでの努力や準備が実を結び、その力がこれからの時代にどんな変化を生みだすのかを期待しながら、また、今日の式を準備された実行委員をはじめ関係者のみなさんに御礼を述べて、祝辞とします。

 本日はまことにおめでとうございます。

 2025年1月12日       

いわき市議会議員 伊藤浩之



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