伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

清水市政を考える6・優先 / 議員だよりの記事を書きました

2017年08月30日 | 市政
 清水市政の4年間の連載をしめくくる第6回目。無事に原稿を書き終えました。

 一応計画的に始めながら、執筆する途中で調べた資料により新たなテーマを差し込むなど紆余曲折のあった連載でしたが、何とか最後まで書き通すことができました。最後までおつきあいいただきありがとうございました。

 今回は「優先」をテーマに、これからのいわき市政をどの方向に進めたら良いのかを、自分なりに解きほぐしてみました。ご覧ください。



清水市政を考える6
優先


 4年前、震災直後の復旧・復興事業に取り組んだ渡辺敬夫市長(当時)から市政を引き継いだ清水敏男市長。この4年間に多くの事業が完了期を迎えました。

 市内最大の津波被災地・薄磯地区では、宅地造成事業が完了、今年7月15日の海開きに合わせて被災者に最後の宅地引渡しが行われました。隣の豊間地区も来年3月に宅地の引き渡しが完了する予定です。

 一方、この4年間、いわき市では様々なイベント的性格を持つ事業が展開されました。

 2015(平成27)年度の環太平洋首脳会議(太平洋・島サミット)、16年度にはWBC(ワールドベースボールクラシック)アンダー15ベースボールワールドカップ(U15)、また同年の市政50周年を記念した各種事業では、いわきサンシャイン博をはじめ50の事業が展開されました。

 こうした事業の展開には懸念もありました。

 例えば、U15の開催基準を満たすための改修で、南部スタジアムに約3億円が投じられました。また、いわきサンシャイン博は約1億円が投じられ、小名浜花火大会の例年900万円の補助金は3,000万円に引き上げられました。

 ふるさと・いわき21プラン実施計画(3年間)」に位置付けられていない事業も含まれていました。

 実施計画は、当面3年間にすすめる具体的事業内容を定め、行財政運営の指針にするために策定されます。

 計画のおおもとは2020年度までの20年間を実施期間とする総合計画(本市では「ふるさと・いわき21プラン」)で、総合計画の10年ごとの計画である基本計画をより具体化するものです。

 先に書いたように、実施計画は行税制運営の指針です。計画外の事業実施は、財政に悪影響を与える恐れもあります。ですから、実行しようとする事業は実施計画に位置付け、財政の影響を検討しながら、計画的にすすめようとするわけです。

 今年の2月定例会には、仮称・磐城平城城跡公園の用地取得や公園の基本設計にかかわる予算が計上されました。予算化される直前に実施計画に入った事業でした。同地区のまちづくり関係者の長年の要望事項であった公園整備はやむをえない側面があります。

 7月31日に平地区のまちづくり懇談会が開かれました。清水市長は、いわき市にはこれはというシンボルがないとしながら、「磐城平城をシンボルにしていきたい」という趣旨で発言をしました。

 いま、この整備構想に櫓(やぐら)の建設も盛り込むなど、より大きな事業費になりかねない内容になろうとしています。


市が発表した磐城平城整備構想の中で櫓の想像図


 ある市民は次のようにいいます。

「そのような計画があるということを全く知らなかった・・。私個人としては、目の前で日々重機が行き来している沿岸部の工事を見ているので、え?お城って何のこと!? と、狐につままれちゃってる状態です・・」

 本市のシンボルにしようとするのに、市民が計画自体を知らない。そんなことで、本市のシンボルとして育て上げることができるのでしょうか。

 また、14市町村が合併して誕生した広域の本市は、それぞれの地域が背負ってきた歴史的条件も、地理的条件も異なっています。

 こうしたことを考えると、広範な市民の合意が得られるシンボル事業となるのか。その点も疑問です。

 「ふるさと・いわき21プラン」は、めざすべき本市の姿を作り上げていく上での「まちづくりの姿勢」にこう書きました。「生活者起点」「将来世代への責任」の2点は、「私たち自身が共有すべき約束事」というのです。

 こうしたまちづくりの基本姿勢を踏まえた時に、今後の市政で何が優先されるべきなのか。それは本市を支える未来の担い手を育てていくことです。

 日本共産党市議団は、その一つの政策として、学校給食無償化の実現を市に迫ってきました。

 また、生活が困窮する世帯の児童・生徒の学習の機会確保のための市の支援策の実現を求めてきました。

 一部は、今年度から、生活困窮世帯の中学生を対象にした「子供の学習支援事業」として実現をしてきました。

 しかし、全体を見れば、まだまだ十分な対応がとられているとはいいがたい状況があります。

 「磐城平城」づくりという箱モノを優先するのか。それとも子どもたちが安心して学び、生活できる環境を充実して本市の担い手育成・人づくりを優先するのか。いま鋭く問われています。



 これまでの記事はこちらに掲載しています。あわせてご覧ください。

 清水市政を考える1・公約

 清水市政を考える2・子育て・教育施策

 清水市政を考える3・市民ファースト

 清水市政を考える4・値上げ

 清水市政を考える5・非核平和都市宣言


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