8月31日。市長選挙告示1日前のこの日、市内では各地で避難訓練が行われましたが、 遠野地区では避難の図上訓練とともに、婦人会による炊き出し等の活動が行われ、活動内容を視察させていただきました。図上訓練。実は初めて見たのですが、道路と川の把握、危険個所の把握など、中々参考になりました。
水なら40分、お湯なら30分で食べられるアルファー化米の炊き込みごはんのおにぎりも試食しましたが、中々食べられましたよ。防災の日を迎えるにあたって議員だよりに何か書け、ということで、以下の記事を書きました。
震災から2年6ヶ月―遅れる防災計画・実効力ある計画の早期策定を
2011年3月11日の東日本大震災から2年6ケ月が経ちました。損壊した公共施設の復旧作業がすすみ、災害公営住宅の建設など、復興事業も進みだしています。一方で中々見えてこないのが、災害時の対処を示す防災計画です。こうした中、今日9月1日、防災の日を迎えました。
8月31日、市内では支所毎に防災訓練が行われました。原子力災害に対する図上訓練、津波避難訓練、その他災害時の安否確認や炊き出しなどが取り組まれました。
■国の計画策定の遅れが地方の手をしばる
一方で未だに防災計画の改定が進まず、津波ハザードマップの改訂版も東日本大震災の浸水区域を前提とした暫定版にとどまります。
なぜ改定が進まないのか。
大規模災害は市の範囲を超えて発生するため、広域な防災計画と整合性をもつ必要があります。しかし、基本になる「災害対策基本法」に基づく国の考えが小出しに出てくるため、全体像が見えないということです。市としては年度内の策定を考えています。同時に国の「原子力災害対策特別措置法」に基づき、いわき市原子力災害避難計画も暫定版がまとめられました。この計画の策定は同法で義務付けられています。
東電福島第一原発の事故ではっきりしたように、原発事故の影響は広範に及びます。この計画も本市単独ではなく、広域な計画との整合性が必要です。ところが国の計画がいまだにはっきりしない。このため現時点で本市単独でできる範囲での計画を定めることしかできていません。
■原子力災害避難計画・本格的策定はこれから
内容をみると、東電福島第二原発の事故を想定して、災害対策範囲を半径30㎞と想定。対象となる居住者6万2093人を、それぞれの地区から内郷、小名浜、泉、常磐、勿来などの市内避難所に避難させる計画です。避難の際は、特別事情がある市民以外は徒歩が原則。最寄りの一時集合場所からバスを使って30㎞圏外の市内避難所に輸送します。避難の判断基準は1時間当たり20マイクロシーベルト以上で、線量の高い地域から順次避難します。同500マイクロシーベルト以上の場合は即時避難の措置がとられます。避難輸送人数は、市内の利用可能な民間バスで1万7730人、公用車で108人の合計1万7838人です。
暫定版では、30㎞をこえる避難が必要となる場合、「市外への広域避難が必要となる」として、本年度中に県が策定する広域避難計画との整合を図り今後検討するとしています。
本格的な原子力避難計画がどのような内容になるのかが注目されます。
■原子力災害は想定できないような避難が現実
東電福島第一原発の事故では、原発からの距離に関わらず多くの市民が市外に避難しました。その数は10万とも10数万人とも言われます。誰も想定できない事態だったと思います。その多くは自家用車で避難をしたと考えられます。避難が短時間に集中すれば渋滞の発生と被ばく量の増大が懸念されます。
また市外への避難が必要になった場合、最大で30数万人の避難が必要になります。広域的な対応が必要ですが、どこにどれだけの人を、どんな手段で短時間に移送するのかなど様々な困難が想定されます。
さらに日本には50基の原子力発電所があります。いわき市は、事故をおこした第一原発と第二原発、そして南は勿来地区から50㎞に東海第二発電所(原子力発電所)があり、南北を原発に挟まれています。東日本大震災では東海第二発電所も5・4mの津波が襲来し、海水ポンプ(非常用ディーゼル発電機の冷却用)1台が水没し使用不能になりました。
幸い残り2台のポンプは水没をまぬがれ、原子炉等の冷却を継続できましたが、これを超える津波が到来していたらどうなっていたのでしょうか。
2つの原発事故に挟まれるという最悪の事態さえ想定できる位置にいわき市はあるわけです。最悪の事態にいわき市民はどこにどうやって避難をすればいいのか…。
日本の原子炉の分布をみれば、似たような地域は多数存在するものと思います。こうした実態を考えれば、原発に頼ったエネルギー政策を続けることが許されるのか、原発再稼働をしてもいいのか、このことが問われなければならないと思います。
停止していようがいまいが原発が存在する限り、現実的で実効的な避難計画が必要です。
震災も含めた防災計画、原発事故避難計画を早期に策定し、災害に盤石の体制をつくる―このことが強く求められています。
水なら40分、お湯なら30分で食べられるアルファー化米の炊き込みごはんのおにぎりも試食しましたが、中々食べられましたよ。防災の日を迎えるにあたって議員だよりに何か書け、ということで、以下の記事を書きました。
震災から2年6ヶ月―遅れる防災計画・実効力ある計画の早期策定を
2011年3月11日の東日本大震災から2年6ケ月が経ちました。損壊した公共施設の復旧作業がすすみ、災害公営住宅の建設など、復興事業も進みだしています。一方で中々見えてこないのが、災害時の対処を示す防災計画です。こうした中、今日9月1日、防災の日を迎えました。
8月31日、市内では支所毎に防災訓練が行われました。原子力災害に対する図上訓練、津波避難訓練、その他災害時の安否確認や炊き出しなどが取り組まれました。
■国の計画策定の遅れが地方の手をしばる
一方で未だに防災計画の改定が進まず、津波ハザードマップの改訂版も東日本大震災の浸水区域を前提とした暫定版にとどまります。
なぜ改定が進まないのか。
大規模災害は市の範囲を超えて発生するため、広域な防災計画と整合性をもつ必要があります。しかし、基本になる「災害対策基本法」に基づく国の考えが小出しに出てくるため、全体像が見えないということです。市としては年度内の策定を考えています。同時に国の「原子力災害対策特別措置法」に基づき、いわき市原子力災害避難計画も暫定版がまとめられました。この計画の策定は同法で義務付けられています。
東電福島第一原発の事故ではっきりしたように、原発事故の影響は広範に及びます。この計画も本市単独ではなく、広域な計画との整合性が必要です。ところが国の計画がいまだにはっきりしない。このため現時点で本市単独でできる範囲での計画を定めることしかできていません。
■原子力災害避難計画・本格的策定はこれから
内容をみると、東電福島第二原発の事故を想定して、災害対策範囲を半径30㎞と想定。対象となる居住者6万2093人を、それぞれの地区から内郷、小名浜、泉、常磐、勿来などの市内避難所に避難させる計画です。避難の際は、特別事情がある市民以外は徒歩が原則。最寄りの一時集合場所からバスを使って30㎞圏外の市内避難所に輸送します。避難の判断基準は1時間当たり20マイクロシーベルト以上で、線量の高い地域から順次避難します。同500マイクロシーベルト以上の場合は即時避難の措置がとられます。避難輸送人数は、市内の利用可能な民間バスで1万7730人、公用車で108人の合計1万7838人です。
暫定版では、30㎞をこえる避難が必要となる場合、「市外への広域避難が必要となる」として、本年度中に県が策定する広域避難計画との整合を図り今後検討するとしています。
本格的な原子力避難計画がどのような内容になるのかが注目されます。
■原子力災害は想定できないような避難が現実
東電福島第一原発の事故では、原発からの距離に関わらず多くの市民が市外に避難しました。その数は10万とも10数万人とも言われます。誰も想定できない事態だったと思います。その多くは自家用車で避難をしたと考えられます。避難が短時間に集中すれば渋滞の発生と被ばく量の増大が懸念されます。
また市外への避難が必要になった場合、最大で30数万人の避難が必要になります。広域的な対応が必要ですが、どこにどれだけの人を、どんな手段で短時間に移送するのかなど様々な困難が想定されます。
さらに日本には50基の原子力発電所があります。いわき市は、事故をおこした第一原発と第二原発、そして南は勿来地区から50㎞に東海第二発電所(原子力発電所)があり、南北を原発に挟まれています。東日本大震災では東海第二発電所も5・4mの津波が襲来し、海水ポンプ(非常用ディーゼル発電機の冷却用)1台が水没し使用不能になりました。
幸い残り2台のポンプは水没をまぬがれ、原子炉等の冷却を継続できましたが、これを超える津波が到来していたらどうなっていたのでしょうか。
2つの原発事故に挟まれるという最悪の事態さえ想定できる位置にいわき市はあるわけです。最悪の事態にいわき市民はどこにどうやって避難をすればいいのか…。
日本の原子炉の分布をみれば、似たような地域は多数存在するものと思います。こうした実態を考えれば、原発に頼ったエネルギー政策を続けることが許されるのか、原発再稼働をしてもいいのか、このことが問われなければならないと思います。
停止していようがいまいが原発が存在する限り、現実的で実効的な避難計画が必要です。
震災も含めた防災計画、原発事故避難計画を早期に策定し、災害に盤石の体制をつくる―このことが強く求められています。