いわき市長選挙が終わり、新しい市長に清水敏男氏が決まりました。
日本共産党は候補者を持たなかったことから、新しい市長にも引き続き是々非々の立場で、対応していくことになります。選挙戦の中の論戦から、その公約等について考えてみたい。こうしたことから15日付の日本共産党議員だよりの原稿を書くことになりました。以下、その内容を紹介します。
いわき市長選公約
暮らし向上に役立つ施策は早期実現を問題点は強く是正を求めます
9月8日、いわき市長選で新しく清水敏男氏が市長を務めることが決まりました。現職の渡辺敬夫氏に約7000票差での当選でした。新市長に何が期待され、何が問われるのか、考えてみたいと思います。
NHK連続ドラマ小説「あまちゃん」。岩手県北三陸市を舞台にした作品です。市長選告示の翌日放送分が、2011年3月11日東日本大震災の発災でした。続く放送が、ローカル鉄道の一部を震災から5日目に再開させるエピソードで、復興に立ち上がる人々の前向きな姿を描きました。
震災から2年6ヵ月、ドラマと同じように、市民と本市は原発事故と放射性物質の拡散という厳しい条件も重なった中、復旧・復興と暮らしと生業の建て直しに取り組んできました。
市長選では、そのスピードが問題になりました。
清水敏男氏は、「復興対応のスピードアップに全力投球」、除染に「スピード感を持って取り組みたい」としていました。
しかし、復興資金の多くを国からの交付金に頼らざるをえず、放射性物質への市民の理解と合意を広げるという条件があります。公約を着実に進めるには、これまでの市政のどこに問題があり、どうすればスピードアップが図れるのかを明確にする必要があります。
二つ目に病院建設の問題です。
選挙では、総合磐城共立病院の病床数を建て替えの基本計画にある670床にするのか、それ以上にするのかが争われ、清水氏は「ベット(病床)数を減らすことの是非を含め、新病院のあり方を再検討する」としました。
病院建設は、本年度中に基本設計を行い、2014(平成26)年度に実施設計と造成などに着工、15(平成27)年度に本体工事に移る計画です。この計画を前提に、福島県地域医療再生基金を活用した地域医療復興事業補助金78億円が確保される予定です。
仮に計画が見直され、事業に遅れが生じた場合、補助金を活用できるのかどうかは不透明です。活用できないということになれば、その分の市民負担が増大することになります。
病床数については、入院日数が減少傾向にあり、現在約14日の入院日数が13日になっていくことも見込まれます。患者の実数は同じでものべ入院日数が減少し、病床の稼働が減少することが見込まれるといいます。基本計画はこの観点からつくられています。
一方、現在、医師の招へいも看護師の雇用も困難な状況です。病床を増やせば、それに見合った医師や看護師を含めた医療スタッフをどう確保するかという新たな問題を抱えることになるでしょう。
もう一つが町外コミュニティーの問題です。
分散型を表明する渡辺現市長に対し、「分散型か集約型か形態にこだわるつもりはありません」と、清水氏は集約型も視野に入れています。
現在の町外コミュニティーは、双葉郡各町住民が帰町することを前提に整備されます。その場合、市内に建設するコミュニティー(以下仮の町)は、一定期間後には住民がいなくなるか、極端に減少することになります。
経済も人口も右肩上がりを見込んだ時代に拡大してきたまち(公共投資がされている地域)を、人口減少期に入った今、どのようにしていくのか問われています。住民合意のもと、居住域を徐々に集約していく誘導策をとることも選択肢の1つと言われています。その中で集約型で整備すると、市街地をいっそう拡大しかねない問題を含むことになります。
町外コミュニティーの設置には課題も多く、国の制度の整備も進みません。この中、本市が原発事故被災者を快く受け入れるのは当然ですが、仮の町設置方法については、将来のいわき市のまちづくりを見越した慎重な判断が望まれます。
清水氏の公約には以上のような疑問点がありますが、子ども部の新設や小中学校への図書館司書の配置、出産祝い金の創設、放課後児童クラブの拡充など、くらし、教育に役立つさまざまな施策が盛り込まれています。市保育士の約半数が非正規雇用という問題には、「公立の施設として望ましいものではない」と早期改善を打ち出しています。
一方、高すぎる国保税の引き下げには「国に要望」にとどまり、保育所民営化に理解を示すなどの問題もあります。
日本共産党市議団は、市民の暮らし向上に役立つ施策の早期実現を強く求める一方、問題点については是正を強く求めていきます。みなさんの声を引き続きお寄せください。
日本共産党は候補者を持たなかったことから、新しい市長にも引き続き是々非々の立場で、対応していくことになります。選挙戦の中の論戦から、その公約等について考えてみたい。こうしたことから15日付の日本共産党議員だよりの原稿を書くことになりました。以下、その内容を紹介します。
いわき市長選公約
暮らし向上に役立つ施策は早期実現を問題点は強く是正を求めます
9月8日、いわき市長選で新しく清水敏男氏が市長を務めることが決まりました。現職の渡辺敬夫氏に約7000票差での当選でした。新市長に何が期待され、何が問われるのか、考えてみたいと思います。
NHK連続ドラマ小説「あまちゃん」。岩手県北三陸市を舞台にした作品です。市長選告示の翌日放送分が、2011年3月11日東日本大震災の発災でした。続く放送が、ローカル鉄道の一部を震災から5日目に再開させるエピソードで、復興に立ち上がる人々の前向きな姿を描きました。
震災から2年6ヵ月、ドラマと同じように、市民と本市は原発事故と放射性物質の拡散という厳しい条件も重なった中、復旧・復興と暮らしと生業の建て直しに取り組んできました。
市長選では、そのスピードが問題になりました。
清水敏男氏は、「復興対応のスピードアップに全力投球」、除染に「スピード感を持って取り組みたい」としていました。
しかし、復興資金の多くを国からの交付金に頼らざるをえず、放射性物質への市民の理解と合意を広げるという条件があります。公約を着実に進めるには、これまでの市政のどこに問題があり、どうすればスピードアップが図れるのかを明確にする必要があります。
二つ目に病院建設の問題です。
選挙では、総合磐城共立病院の病床数を建て替えの基本計画にある670床にするのか、それ以上にするのかが争われ、清水氏は「ベット(病床)数を減らすことの是非を含め、新病院のあり方を再検討する」としました。
病院建設は、本年度中に基本設計を行い、2014(平成26)年度に実施設計と造成などに着工、15(平成27)年度に本体工事に移る計画です。この計画を前提に、福島県地域医療再生基金を活用した地域医療復興事業補助金78億円が確保される予定です。
仮に計画が見直され、事業に遅れが生じた場合、補助金を活用できるのかどうかは不透明です。活用できないということになれば、その分の市民負担が増大することになります。
病床数については、入院日数が減少傾向にあり、現在約14日の入院日数が13日になっていくことも見込まれます。患者の実数は同じでものべ入院日数が減少し、病床の稼働が減少することが見込まれるといいます。基本計画はこの観点からつくられています。
一方、現在、医師の招へいも看護師の雇用も困難な状況です。病床を増やせば、それに見合った医師や看護師を含めた医療スタッフをどう確保するかという新たな問題を抱えることになるでしょう。
もう一つが町外コミュニティーの問題です。
分散型を表明する渡辺現市長に対し、「分散型か集約型か形態にこだわるつもりはありません」と、清水氏は集約型も視野に入れています。
現在の町外コミュニティーは、双葉郡各町住民が帰町することを前提に整備されます。その場合、市内に建設するコミュニティー(以下仮の町)は、一定期間後には住民がいなくなるか、極端に減少することになります。
経済も人口も右肩上がりを見込んだ時代に拡大してきたまち(公共投資がされている地域)を、人口減少期に入った今、どのようにしていくのか問われています。住民合意のもと、居住域を徐々に集約していく誘導策をとることも選択肢の1つと言われています。その中で集約型で整備すると、市街地をいっそう拡大しかねない問題を含むことになります。
町外コミュニティーの設置には課題も多く、国の制度の整備も進みません。この中、本市が原発事故被災者を快く受け入れるのは当然ですが、仮の町設置方法については、将来のいわき市のまちづくりを見越した慎重な判断が望まれます。
清水氏の公約には以上のような疑問点がありますが、子ども部の新設や小中学校への図書館司書の配置、出産祝い金の創設、放課後児童クラブの拡充など、くらし、教育に役立つさまざまな施策が盛り込まれています。市保育士の約半数が非正規雇用という問題には、「公立の施設として望ましいものではない」と早期改善を打ち出しています。
一方、高すぎる国保税の引き下げには「国に要望」にとどまり、保育所民営化に理解を示すなどの問題もあります。
日本共産党市議団は、市民の暮らし向上に役立つ施策の早期実現を強く求める一方、問題点については是正を強く求めていきます。みなさんの声を引き続きお寄せください。