伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

震災から10年の記念日

2021年03月11日 | 災害
 あの震災では、沿岸部に津波が発生し、多くの住民の命を奪った。テレビは、災害の犠牲者を追悼した全国追悼式を中継した。発災時間の午後2時46分に犠牲者への黙祷が捧げられたが、これにあわせて自宅で黙祷を捧げさせていただいた。

 式典では首相の式辞に続き、天皇(称号ととるか尊称ととるかによって対応が代わると思うのだが、マスコミなどは敬称の「陛下」を付けることにしているようだ)の「お言葉」が続いた。

 天皇は、原子力発電所の事故にふれながら、「被災された方画の心の傷を癒やし、心身の健康見守っていくことも大切」としながら、「皆が心を合わせて、被災した地域の人々に末永く寄り添っていくことが大切であると思います」とした。ハード面での復興がほぼ終わり、一方、被災地に戻らない住民もあり、原発被災地ではそもそも帰還を考えない被災者も多いようだ。地域コミュニティーの再見が課題になっている中で、大切な姿勢となるだろう。

 復興に直接責任を負う首相は、これまで10年の取り組みと相次ぐ災害にふれながら、福島と東北復興の「総仕上げに全力を尽くす」とした。また「震災による大きな犠牲の下に得られた貴重な教訓を決して風化させてはなりません」とした。具体的には国土強靭化の取り組みを上げているが、その内容をよく見ていくことが必要だろう。特に自衛隊関連の場合、装備の改修等が、兵器としての性能向上につながりかねないものがあったように記憶している。諸外国の受け止めも含めて、節度を持った対応が必要になるものと思う。

 また、東日本大震災の教訓を考えるならば、原発政策をどうしていくかだ。政府のエネルギー基本計画は、ベースロード電源と位置づけて、原発の稼働を進める方向性を捨てていない。原発事故以降、原子力工学を学ぶ者が減っており、廃炉への影響が懸念されるなどの報道もある。その問題への対応は必要としても、核廃棄物の最終処分も含めて先の見通しを持つことができない原発によるエネルギー確保は、政策としては放棄することが必要なのではないか。原発事故も、その事故による教訓も風化させることなく、真摯に議論してほしいものだ。

 同日は、震災や原発事故関連の放送が相次いだ。たまたまチャンネルを合わせた番組で、東京電力副島第一原子力発電所の爆発事故の映像を、最新の技術で画像処理して見えてきたものがあったとする内容のもの等があった。

 あの爆発の瞬間は、福島中央テレビの定点カメラが撮影したものだった。当時、アナログカメラからデジタルカメラに切り替えが進んでおり、デジタルカメラに切り替えた他局は電力の供給がストップしたため、撮影できなかったという。ところが、FCTは、デジタルカメラを設置した後、アナログカメラもバックアップとして運用しており、この電力供給が途絶えることがなかったため、唯一、爆発の瞬間を撮影することができたという。

 その爆発が次の画像だ。
 まず爆煙が横に広がった第一原発1号機。



 爆煙が縦に伸びた第1原発3号機。



 3号機の爆発を画像処理したわけだが、この処理により、これまで見えていなかった新たな現象を確認できたという。それが次の画像だ。



 爆煙が上がる直前に、原子炉建屋の4階で、横に吹き出す炎がみえている。この画像が画像処理で初めて見つかったわけだ。

 これまでも、建屋3階に4階の梁等の鉄骨が落ち込んでいることから、4階で爆発が起きたと推定されてきたという。画像はこれを裏付けるもので、4階で発生した水素爆発によって建屋横から炎が上がり、次ぎに屋上部分から炎が吹き出し、続いて屋上部分が爆風によって空高く持ち上げられていった。このような経過をたどって爆発した分けだ。

 4階での爆発という事実によって、原子炉建屋の安全基準が変わるようだ。これまでは最上階にしか水素爆発への対応措置が執られていなかったようだ。今回の確認によって、最上階のみでなく、少なくとも4階にも同様の処置をとる必要が生じるわけだ。原発の当面の安全を確保するためにも、このような知見を集めていくことは必要なことなのだろう。

 地震のメカニズムにも新しい知見が加わっているようだ。こうした新しい知見の積み上げが、地震対策等に活かされていって欲しいものだ。


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