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伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

やっぱり支持されていない安倍政権 選挙結果におごるなかれと思う

2019年07月24日 | 政治
 今朝新聞を開くと、「安倍政権下改憲反対56%」という見出しが目に飛び込んだ。





 参院選の結果を受けて共同通信社が22日、23日に実施した世論調査にの結果で、「安倍晋三首相の下での憲法改正に『反対』との回答は56.0%で、『賛成』の32.2%を上回った」と記されていた。

 安倍首相は、安倍首相は「与野党の枠を超え、3分の2の賛同が得られる改正案を練り上げたい。自民党案だけにとらわれず、柔軟に議論していく」としており、あくまで改憲の発議に向けた議論を呼びかけている。

 しかも、この言い回しを見ると、開票日の21日、TBSの番組で「議論はいつでも積極的にやるという立場だ。自民党の4項目(の改憲案)については、中身はともかく議論する中で、問題点もしっかりと指摘していきたい」(読売、22日)とし、NHKでは「環境を自民党と野党第一党が中心になって整えていくのが大事だ。9条だけでなく中身もわかりやすい議論を積み重ねていくことが大事だ」(朝日デジタル、22日)と語った玉木氏が代表を務める国民民主党を念頭にしているようだ。

 実際、安倍首相が「改憲案の国会発議に必要な3分の2の多数に関しては、NHK番組で『憲法審査会の議論を通じて形成していきたい』と語った」(河北、22日)とされるように、憲法審査会で議論さえ始まれば、これらの政党を丸め込んでいけると考えていることは見え見えだ。

 しかし、世論調査の結果はそれを求めていないという国民の意向をはっきり示しているわけだ。

 これは共同通信社の調査だけではない。朝日新聞も同じ日に世論調査を行っている。この調査では、首相に一番力を入れてほしい政策は「憲法改正が」が3%で最も低く、安倍政権のもとでの憲法改正には賛成が31%に対し、反対が46%と、共同通信調査同様に首相が進めようとする改憲が国民の望みとなっていないことが浮き彫りになっている。

 安倍首相は在任中の改正憲法施行の願望を持っていると聞くところではあるが、国民の声より自分の願望を優先するのはやめていただきたいものだ。


 さて、共同通信の調査では、参院選の争点になった問題について次のような結果になっている。

■公的年金制度を信頼できるか。
  信頼できる   29.2%
  信頼できない  64.9%

■安倍政権の経済政策「アベノミクス」を継続してほしいか。
  継続してほしい 23.5%
  見直してほしい 69.2%

■今の景気の状況についてどう思う。
  良くなっている  9.2%
  変わらない   62.4%
  悪くなっている 26.2%

■10月に消費税を10%に引き上げる方針に賛成か。
  賛成      39.8%
  反対      55.9%

■安倍首相の下での憲法改正に賛成か。
  賛成      32.2%
  反対      56.0%


 朝日新聞の調査では、安倍首相が進める政策について、「期待の方が大きい」が32%、「不安の方が大きい」が55%となっている。このような政策に対する国民の評価を見た時に、減らしたとは言え何であそこまで政府与党が議席をとれるんだろう、との思いも湧いてくる。

 
 この調査で安倍内閣の支持は48.6%、支持しないが38.2%となり、そこそこの支持率を維持していることが分かる。

 ではなぜ支持するのか。「ほかに適当な人がいない」が38.5%で最も多く、続いて「外交に期待できる」が20.0%となっている。そう、「ほかに適当な人がいない」からという消極的な支持の構図は、選挙が終わっても変わっていない。

 そこには野党に対する期待の低さというものもあるのだろう。朝日が「投票率が低かったのはどうしてだと思いますか」と聞いているが、最も多い回答が「投票しても政治は変わらない」が43%、「政治に関心がない」が32%と続いている。今の政権与党も、野党も、政治を変えるという展望を有権者に伝えきれていないということなのだろう。

 今回の選挙でも、1人区で野党統一候補が3年前の11議席に近づく10議席を獲得することができた。そこには、安倍政権に対抗する野党共闘に対する有権者の一定の期待を見ることができる。ここの磨きがまだ足りないために、政治を変える展望が伝わりきらない現実があるのだろう。どこかの新聞に棄権が政党政治に勝った、と今回の参院選を評した見出しを見たのはそのためなんだろう、と思う。


 山本太郎氏が代表を務める「令和・いしん」が、比例代表の得票を大幅に伸ばし2議席を獲得した。ウォッチャーではないので、つぶさに彼の言動を見ているわけではないが、聞いた範囲では、安保にしても、経済政策にしても、社会保障の政策にしても、共産党と大して変わらないというか、彼が発言する以前から共産党の政策や主張で言っていたことそのものという感覚で聞いてきた。

 同じことを言っているのに、勢いの違いはどこに原因があるのか。そんなことも考えさせられる。


 いずれにせよ、有権者・国民が政治に期待しているのは次のようになっていた。

■(共同通信)安倍内閣が今後、優先して取り組むべき課題は何だと思います。2つまでお答えください。
  年金・医療・介護     48.5%
  景気や雇用など経済政策  38.5%
  子育て・少子化対策    26.0%
  外交・安全保障      20.0%
  財政再建         19.8%
  震災復興・防災対策     8.7%
  地域活性化         7.9%
  原発・エネルギー政策    7.7%
  憲法改正          6.9%

■(朝日)安倍首相に一番力を入れてほしい政策は何ですか。
  年金などの社会保障     38%
  教育・子育て        23%
  景気・雇用         17%
  外交・安全保障       14%
  憲法改正           3%

 両者とも、年金・医療・介護など社会保障を始めとした暮らしと雇用を支える政治を望んでいる有権者の姿を浮き彫りにしている。

 市議としての自分の活動でも参考にさせていただきたいと思う。


追記
 そういえば、本ブログの「安倍政治に福島の声を届けるために野党統一候補を」(7月18日)で、改憲の議論についてこんなことを書いていた。

「安倍内閣の下で、自民党の改憲草案を前提としない議論は大いに進めれば良い。その議論は当然にして改憲を前提にしたものではない。現行憲法の徹底をするための議論だってあるはず。いずれにしても大いに議論していけばいいのだ。憲法についての議論を野党は否定していない。」

 この時には憲法審査会の役割についての不十分な認識というか、間違った認識があったので、意図を正しく伝えることができない表現となっていた。

 衆議院のホームページに、「憲法審査会は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査する機関です。」と解説されていた。「憲法改正原案~中着~審査する機関」とされるように、憲法改正を前提として審議する機関になっているということを、その後、知った。

 審査会で議論すでは、その議論の出口は「改正原案の発議」という形になるか、それとも改正の必要なしという形になるか、どちらかの結論が考えられるのだが、この機関で正式に議論が始まれば、これまでの特定秘密保護法や安保法制の採決強行など安倍政権のこれまでの強権的な手法から考えて、数に任せて強引に憲法改正案の発議に持っていかれる危険性が見えてくる。

 私のブログの表記に「現行憲法の徹底をするための議論だってあるはず」とあるが、これは憲法審査会の議論のテーマとしてはふさわしくない(あるテーマを議論する過程での意見としてはありと思うけれど)ようだ。このような議論は、憲法審査会の役割から考えれば、本会議や予算委員会等、またテレビ討論などの国会外での議論など、より一般的な場面での議論がふさわしいと思う。

 不十分な認識のもと、不明確な表記をしていたことをお詫び申し上げたい。


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