市長に対する要望は、10月の洪水災害を受けて、「防災・減災のまち」など6つの柱で方向性に沿って、従来から求めながら実現に至っていない項目に新たな項目を加えた85項目の要望をまとめたもの。
冒頭、各柱の重点を各議員から説明し、市長の回答を得た。
市長は、台風19号と10月25日の水害での要望提出も含めて、要望項目で示した各種の指摘に感謝を語りながら、災害の克服に最善を尽くしているが100%ではないとの認識を示し、被災者の生活再建の形を一日も早く作りたいとし、会派としての協力を求めた。
その上で、災害の対応については年内に第三者を含む検証委員会を年内に立ち上げ、災害対応についての問題点を指摘していただき、次の災害に備えたいとした。
また、被災者支援の義援金も十分ではない状況があるが、赤十字や県の配分を受けて被災者への配分をしたいとした。
また学校教育に関しては、市が「教育先進都市」を掲げているとして、各施策に取り組む豊富を述べ、子育て支援はいわきネウボラを通じて親と子の支援を中心に進め、介護従事者の確保に事業者と一体に取り組んでいきたいとした。
再生可能エネルギーの導入で、太陽光発電や風力発電の民間事業者の事業で、地元に還元する仕組みを作りたいとし、地元、事業者の協定に市も加わり三者協定とする中で、地元にメリットのある施策展開を図りたいとしました。
従来から市民から提案のある戦争遺品の収集・保管、展示に関しては「どういう形がいいか、総務部と検討していきたい」とした。
これらの回答で、約束の時間30分を若干超過していたが、被災者の生活再建に関して、「被災者生活支援法による支援が半壊ではほとんどなく、生活再建の展望を持てない被災者がいることから、浸水高にかかわらず床上になれば修繕等は同じようにかかるものであり、支援のあり方を水害の特性を踏まえ、生活に住宅供することができるかどうかを支援の基準にするよう、国に制度の改善と遡及適用を求めていただきたい」と重ねて求めた。
会派の要望全文は以下の通り。
いわき市長
清水 敏男 様
日頃の市政進展と台風19号及び10月25日水害等の災害対応にご尽力される貴職をはじめ執行部のみな様に心からの敬意を表します。
この間の国政を概括してみると、かつての憲法解釈ではありえなかった、ヘリコプター搭載護衛艦の空母への改修や搭載する垂直離着陸機F35Bの装備、また、上陸作戦等に幅広く活用できるオスプレイの購入など、従来の専守防衛を超える装備品購入が計画される一方、社会保障費の自然増を抑制するとの名目のもと、生活保護費の切り下げや医療費の患者負担の増加、介護の抑制につながりかねない要介護1、2の介護給付外しなど、国民の命と暮らしに直結する様々な施策が削減されてきました。
消費税の8%への増税で経済へのマイナスの影響が続いているとされる中、この10月には消費税が10%に引き上げられました。この引き上げは、市民の暮らしを直撃し、生活防衛の観点から生じる買い控え等で市内経済にも多大な影響を及ぼしかねない事態を引き起こしました。
こうした下で、10月には本市をはじめ関東から東北の広範囲が多大な災害に見舞われました。
本年10月12日の台風19号及び10月25日の台風21号接近に伴う大雨で、平・平窪、赤井、小川、好間、内郷をはじめ遠野、田人、三和等広範囲かつ大規模に生じた水害は、8名の市民の尊い命を奪い、住家の床上浸水が3914棟(10月31日現在)に及ぶなど市民生活に未曽有の困難をもたらしました。
本市は、2011年3月11日の東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故による災害からの復旧と復興に取り組んできましたが、この間に全国的に大規模な地震災害や大雨による災害が繰り返され、そして本市も再び大きな災害に見舞われてしまいました。
大規模に浸水した地区では、多くの人々の避難が遅れ、ハザードマップの徹底と市民的活用及び災害時に避難の呼びかけが聞こえなかったなど情報伝達の面で課題があることが浮き彫りになり、また、平浄水場の被災による断水では、市内の給水体制の構築を急ぐ必要性があることなどが示されました。本市として、改めて今回の災害による課題を的確に捉え、市民の命と財産を守ることができる防災・減災のまちづくりを進めていくことが求められています。
これまで、東日本大震災を受けて、防波堤や地盤の嵩上げを含む津波対策など沿岸部での基盤整備や公共施設の耐震化、個人住宅の耐震化など、災害に強いまちづくりに向けた取り組みが進められてきました。10月の台風に伴う災害は、これに加えて、夏井川や好間川、新川、そして鮫川など、本市に存する水系ごとに水害対策の強化が必要であること、災害が迫り発生した際の、市民の命を守るために必要な取り組みの強化の重要性を示しました。
同時に、今回の災害の背景には、温暖化を始めとした地球的な気候変動がもたらす我が国の気象状況の激変があるものと考えられます。本市は、「いわき市復興ビジョン~日本の復興を「いわき」から~」で、「再生可能エネルギーの導入を推進するなど、将来的には、原子力発電に依存しない社会の実現を目指します」として、具体的には「太陽光発電、洋上風力発電、木質バイオマス発電など、再生可能エネルギー関連の実証実験施設等の誘致や産業の集積に取り組みます」としてきました。この本市の方向性は、化石燃料の使用を削減し、温暖化にブレーキをかけるものとなる可能性のある先見的な方向性を持つもので、大いに推進することが求められています。
また、東日本大震災及び原発事故の被災から暮らしや生業を建て直すことも引き続き課題となっています。特に試験操業が続く水産業をはじめ本市の産物に対する風評被害の克服とともに、安心して利用して下さる消費者のみな様に本市の産物の良さのアピールがいっそう重要になっています。
本市が本年実施した市民アンケート調査では、現行の基本計画の7つの政策の柱のうち、暮らしの安全や子育て・医療福祉等を含む「心をつなぎ、支え合う」が、現状の満足度が低く、かつ、今後最も優先すべきとされている外、創生総合戦略の3つの基本目標においても、子育てや医療を含む「“人づくり”“まちづくり”の好循環を生み出す」の継続希望が最も多い結果となっています。
以上のことを踏まえ、本市として以下の観点から、住んで良かったと市民が実感できるまちづくりを進めることが重要となっています。
1 東日本大震災と原発事故の対応に加え2019年10月水害の教訓をいかした防災・減災のまちいわき
2 子どもたちが生きる力をしっかり身につけることができるどの子も伸びる教育環境のまちいわき
3 子育てするならこのまちでと選択される支援策の充実したまちいわき
4 社会保障費抑制に抗し誰もが安全・安心してくらすことができる施策の展開を図るまちいわき
5 地元資源をいかし雇用とくらしを守るまちいわき
6 平和への願いを国内外に発信し非核平和都市宣言をいかすまちいわき
以上の柱に沿って、以下の項目について要望しますので、その実現に向けて取り組まれることを強く希望いたします。
1 東日本大震災と原発事故の対応に加え2019年10月水害の教訓をいかした防災・減災のまちいわき
(1)水害対策について
① 昨今の気象状況の変化にともなう雨量の増加を踏まえると、今後、これまでの想定を超える降雨が予想されることから、遊水設備や放水路の整備などで「水を逃がす」という考え方も踏まえた洪水対策を視野に入れながら、市内の流域の再点検を行い、堤防等治水施設の問題点を把握し、嵩上げや堤防整備をすすめるよう県に求めること。
また、市管理の河川についても必要な護岸等の整備をすすめること。
② 流木等の影響による越水を防ぐ観点から、間伐材等の活用を広げて伐採木の放置を防ぐとともに、森林の整備を図ること。
また、搬出のために開削した仮設の林道が土砂災害のきっかけの一つとなっているとみられることから、これらに対する保安措置等必要な措置を講じる仕組みを作ること。
③ 高齢者など情報弱者にもしっかりと情報を伝達できるよう、水害危険地区への防災無線の設置など情報伝達手段の構築を図ること。
④ 全市民に対する避難勧告が、「避難所に入り切れるはずがない」などの受け止めから、結果的に避難の必要性の認識を低下させている可能性もあり、避難方法あるいは具体的な危険要因・危険箇所とセットで勧告を知らせるなど、市民に危険性がよりリアルに伝わる表現あるいは勧告の発出方法を検討・実施すること。
⑤ 地域における防災訓練等の機会を増やし、ハザードマップの活用を図ることで浸水の危険性の認識を住民と共有しながら避難の必要性についての住民理解を促すこと。
(2)東日本大震災及び原発事故対策について
① 国及び東京電力株式会社に対して、原発事故は必要な対応策を取らなかった為に発生したものである観点から責任を認めるよう強く求めること。また、国及び東電に、東京電力福島第一原子力発電所と福島第二原子力発電所の廃炉を着実にすすめるよう継続的に求めるとともに、国に対して、原発事故収束の事業は、国が先頭にたち国の責任で実施するよう求めること。
② 東京電力の情報公開のあり方には引き続き問題があるので、原発事故にかかわる情報公開を徹底してすすめるよう引き続き国・東電に強く求めること。
③ 原子力に依存しない社会の実現を目指す本市の立場を堅持し、再生可能エネルギー導入の推進を図ると同時に、民間事業者等が本市への風力発電や太陽光発電設備などの設置を希望するにあたっては、安全で適正な設置を誘導するために実効性のある規制等の仕組みを作ること。県内原発ゼロはもとより、国内の原発再稼働に反対し、原子力に依存しない社会の実現を目指すこと。
④ 本市の農水産物の普及を図るため、風評被害対策はもとより、今後は本市の農水産物の味の良さなどその魅力の発信に努め、販路拡大を図ること。
⑤ 自家消費食材の測定等は、本市産の食材で安心して食生活を送る基本となり、また風評被害を克服するデータにもなることから、ベクレルモニターやホールボディーカウンターなどによる放射性物質の測定を継続すること。
⑥ 原発事故の収束に向けても原発作業員の確保は重要であり、東京電力に原発作業員の確保をはかり収束作業を安定的にすすめるため、さらなる労働環境の改善を図るよう国・東電に求めること。具体的には以下の通り。
ア 割増賃金(危険手当)は、多重下請け構造のもとで、賃金や手当の「中抜き」の問題があることから必ずしも労働者の待遇改善につながっておらず、確実な待遇改善となるよう、実態の掌握につとめ、東電が労働者に手当などを直接支払うことが出来る仕組みを構築するなど、さらに改善をすすめること。
イ 作業員の福利・厚生のさらなる充実を図るとともに、国の責任で教育した労働者を事故収束作業に従事させる体制を作ること。
ウ 被ばく線量の管理と定期的な健康診断などの作業員の健康管理及び作業員とその家族の心のケアに、国及び東京電力等が責任を持つ体制、仕組みを構築すること。
エ 作業員の雇用の継続をはかり、作業員が安定して働くことができる体制づくりをすすめるよう求めること。
(3)避難所について
① 学校体育館等が避難所の場合、戸外のトイレを利用する事例があるが、大雨等の状況下では移動等に危険も伴うことから、避難所に指定される施設を優先して体育館内トイレの整備を図ること。
また、情報伝達手段としてテレビ等の活用できるよう整備を図ること。
2 子どもたちが生きる力をしっかり身につけることができるどの子も伸びる教育環境のまちいわき
この10月にスタートした幼児教育の無償化は、対象から給食が外されるなど不十分な仕組みでスタートした。
本市は低所得世帯への学習支援など子どもたちが学ぶ環境づくりに一定の取り組みを進めているが、こうした方向を一層強めるために以下の取り組みを進めること。
(1)子どもの生きる権利・育つ権利、学ぶ権利の保障の観点から、家庭の経済力に左右されず子どもの成長を保障し、次代の担い手を育てることができる学習環境整備について
① 幼児教育の無償化に伴い副食材料費が徴収されるが、給食は食育を担い子どもの育ちを保障するものであることから無償化に含めるよう国に求めること。国が有償化しているもとでは、市独自に無償化すること。
② 同様に食育を担い子どもの育ちを保障する学校給食費を無償化すること。
③ 福島県の県立高等学校改革基本計画に基づく県立高校改革前期実施計画による作業が進められているが、本市の次代の担い手を育成するために、学級規模を小さくし少人数教育も視野に入れた多様な特色を持った高校を存続させる計画に見直し、これまでそれぞれの高等学校が本市の教育に果たしてきた役割が維持されるとともに、市民や地元の意見が反映された改革となるよう、時間もかけて準備をすすめることを県及び県教育委員会に求めること。
④ 学校教育で利用している補助教材の無償化を図ること。また、国に対して財政負担を求めること。
⑤ 国は就学援助の対象にPTA会費、クラブ活動費、生徒会費も含めており、本市もこれに準じて支給すること。
⑥ 震災等にかかる児童・生徒への就学援助について、所得制限をやめ、それぞれの被災者が生活再建の基盤ができるまでは引き続き行うようにすること。
⑦ 事務経費や管理経費など学校運営に必要な経費について、不足するためにPTA負担となっている場合があるため、保護者負担の軽減を図る上からこのようなことにならないよう必要な学校運営に経費は十分確保すること。
⑧ 「全国学力・学習状況調査」(小学6年生、中学3年生)や福島県が独自に計画する学力テスト(小学4年生から中学2年生まで)が行われ、また、以前から多くの学校では独自に保護者負担で民間試験を活用した学習定着度の調査が行われており、子ども達にとって大きな負担となっている。政府与党である自民党・教育再生実行本部は、悉皆による全国学力・学習調査の効果を疑問視し、見直しの検討を始めると伝えられており、また、教育現場では人事評価が導入されたもとでは、テスト結果が評価に結びつけられることによって、教育内容が歪みかねないとの危惧もされている。こうした動向をしっかりと捉えて、テストの本市の参加のあり方を検討すること。
⑨ 高校授業料無償化の所得制限をやめ、全高校生が無償となる制度に戻すよう国に求めること。また、福島県内の公立高校受験料を無償化するよう県に求めること。
(2)教育環境の整備について
① 教職員の多忙化解消に向けた福島県教育委員会のアクションプランを受けた本市の取り組みでは、教職員の意見を十分に取り入れ、市教育委員会が先頭に立ち具体的に業務削減につながるよう引き続き進めること。
② 教職員に対する変形労働制は、多忙化による長時間労働を固定化あるいは拡大しかねず、教職員の働き方改革と逆行することから、導入しないよう国及び国会に求めること。
③ 各校とも生活面や学習面において特別に支援を要する子どもが増えている状況を踏まえ、市採用の支援員を希望する学校に、必要な人員を適正に配置出来るように待遇改善を図ること。併せて図書館司書の待遇の改善も図ること。
④ 小・中学校の教室等へのエアコンは、来年度で設置が完了することになっているが、引き続き、学校体育館への設置も検討すること。
⑤ 小中学校における洋式トイレの設置を拡大すること。
⑥ 小中学校の校舎などの修繕費を大幅に増やして、修繕を早急に進めること。
⑦ 児童・生徒のけが・病気等への対応で、洗浄等が必要となる場合があることから保健室に温水シャワーの設置をすすめること。
⑧ 学校で児童・生徒が洗浄している箸や配膳盆をセンターに回収して洗浄する方式に変更し、これに対応するため学校給食共同調理場に箸や配膳盆を洗う設備の設置や保管スペースの確保をはかること。
⑨ 給食の栄養面や食の大切さを学ぶ中心的指導となる栄養教諭は、学校への訪問指導が不十分であり、十分に実施できるよう増員を図ること。
⑩ 平第二小学校及び菊田小学校で実施される「幼児のための言葉の教室」は年間50名程の幼児が個別指導を受けており、60名前後の子ども等の相談にも応じている。対応する職員は常勤1名と非常勤3名であるが、運営は市の補助金600万円と幼児1名につき保護者負担金3,000円で賄われている現状があり、専門性に見合った水準となっていない。保護者負担をなくすとともに、専門性にふさわしい待遇改善を図ることができるよう、補助金の増額を図ること。
また、通うことができない幼児や児童生徒の相談・指導のため巡回指導ができる体制の構築を図ること。
3 子育てするならこのまちでと選択される支援策の充実したまちいわき
(1)保育及び幼児教育の充実と環境整備について
① 市社会福祉審議会児童福祉専門分科会の答申「いわき市における保育所整備のあり方について(平成16年10月29日)」及び市社会福祉審議会の答申「いわき市における保育所整備の具体策について(平成18年2月10日)」にもとづく市立保育所の民営化計画には、市全体の保育の質の低下を招きかねないなど問題があることから中止すること。
② 私立保育所・幼稚園及び無認可保育所に対する助成を拡充し、支援・指導を強化すること。
③ 引き続き待機児童の解消につとめること。また、市立保育所の非正規保育士及び調理師、市立幼稚園の教諭などの正規職員化を図るとともに、専門職にふさわしい給与等に改善を図ること。
④ 車道と歩道の区別がない通学路の歩行部分にカラー塗装を施したり、側溝に蓋のない場所では蓋がけをすすめるなど、歩行スペースの拡大を図り、通学の安全確保の取り組みをすすめること。
(2)出産支援について
① 高額な費用がかかる不妊治療は、必要な方に適切な治療が受けられるよう保険適用の拡充を国に求めること。
(3)学童保育について
① 低所得者層の学童保育料の負担軽減を図るための補助制度を設けること。
4 社会保障費抑制に抗し誰もが安全・安心してくらすことができる施策の展開を図るまちいわき
(1)国民健康保険税の引き下げをはじめ国保制度の改善を図ること
① 国保加入者の構成は、かつては7割が農林水産業と自営業だったが、今では無職や非正規雇用者などの加入者が合わせて8割近くとなり、国民健康保険は低所得者に重い負担の制度となっている。全国知事会は国保に対する財政支援の確実な実施を引き続き求めており、住民・加入者の健康の確保と負担軽減の観点から、本市としても国庫負担の増額を図るよう国に求めること。
② 世帯当たりの国保加入者の人数に応じて負担する「均等割」は、子どもの数が多いほど国保税が高くなり子育て支援に逆行する。子どもの均等割額の減免制度を創設し実施すること。
③ 滞納者に保険証を渡さないことで、病気の重症化や死亡事件が全国で起こってることから、国民健康保険被保険者資格証明書及び短期被保険者証の発行をやめ、全加入世帯に一般の保険証を発行すること。
(2)後期高齢者医療制度について
① 被用者保険の被扶養者だった方が後期高齢者医療制度に移った場合の保険料の軽減割合が、当初9割だったものが5割になっているもとで、制度の存続と軽減割合を高めるよう国に求めること。
② 滞納者への被保険者資格証明書は原則発行しないという立場を今後も堅持するよう求めること。
(3)介護保険について
① 介護ヘルパー・ケアマネージャー等、介護従事者の労働条件や待遇改善の向上を国に求めること。
② 必要な介護が保障され安心して利用できる制度にするため、国の責任で利用料や保険料の減免制度を確立するよう求めること。
③ 保険料や利用料の高騰を抑えながら制度の充実や基盤の拡充を図るため、現在25%の国庫負担割合の引き上げを国に求めること。
④ 特別養護老人ホーム・認知症対応の施設の整備を図り、入所を希望する要介護者が施設を利用できるようにすること。
(4)障がい者施策について
① 精神障害者手帳3級所持者まで入院費や医療費を無料にすることを、先進事例を踏まえながら検討すること。
② 各地区保健福祉センターに精神保健福祉士の配置を拡大すること。精神障がい者に関する正しい知識の普及を図り、差別をなくすための施策を充実させること。
③ 視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の破損が市道等で見受けられるため速やかに補修すること。
④ 障がい者等軽自動車税の軽減手続きは、毎年同じ書類を提出する等手続きが繁雑であり申請者の負担となっていることから、手続きの簡素化を図り利便性を向上すること。
(5)低所得者のくらしを守ることについて
① 生活保護費の連続的引き下げが実施されているが、低所得者の生活困窮の状況を踏まえ、最低限元の支給額に戻すよう求めること。さらに、老齢加算の復活などをするとともに、生活保護費の国の負担割合(現在、国4分の3、市4分の1)を増やすよう求めること。
② 生活保護費の支給は、1級地~3級地と地域によって区分され支給金額に大きく影響する。国に対して級地格差をなくすよう求めること。
③ 猛暑や厳寒など気象状況が過去と変化している現状を踏まえ、低所得世帯や生活保護世帯を対象に、灯油や電気料金等の市独自の補助制度を創設すること。
④ 65歳以上の高齢者がいる非課税世帯に対して、エアコン設置の補助制度を設けること。
⑤ 生活困窮者に対する緊急小口資金の原資を増やすこと。
⑥ 市営住宅の入居を希望する低所得者が入居出来るように市営住宅戸数を増やし、また、家賃の減免制度を設けること。
⑦ 低所得者の就労と生活を支援し自立を促す相談窓口となる生活・就労支援センターは、現在、内郷・好間・三和地区保健福祉センター内に設置されているが、対応をさらに手厚くすることができるよう、市南部地区の保健福祉センターにも設置すること。
⑧ ひとり親家庭等医療費助成制度の自己負担を廃止し、窓口無料化にすること。
⑨ 年金保険料の納付の有無にかかわらず、月5万円の最低年金保障額を創設するよう国に求めること。
(6)引きこもり者への対応について
① 引きこもり者の実態調査を行い、平地区で実施される「若者の居場所づくり」事業を南部地区にも設置し、ひきこもり者が社会と繋がることで自立が促進するよう事業を拡充することをはじめ、長期の支援策を講じ、社会復帰を図ること。
(7)DV被害及び児童虐待への対応について
① DVによる被害者支援のため、相談員の増員を図ること。
② 民間シェルターへの助成を増やすこと。
③ 児童虐待の相談体制を強めるため、児童福祉司の増員を国、県に求めること。
(8) 交通弱者の交通手段確保について
① いわき市生活交通ビジョンに基づく具体的計画を早期に策定し、その実現をはかること。
(9)公共施設へのエアコン設置の促進について
① 生涯学習に活用される公民館等、市民の利用する施設の利用環境の向上及び勤務する職員の労働環境の改善を図るため、エアコのン設置を進める計画を策定すること。また、公民館の男性用トイレに洋式トイレを設置すること。
5 地元資源をいかし雇用とくらしを守るまちいわき
(1)雇用、営業を応援する施策の拡充について
① 地域別最低賃金を1,000円以上とするよう国に求めるとともに、公契約にかかる業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保するため「(仮称)いわき市公契約条例」を制定すること。
また、市の契約制度で総合評価方式には2省協定労務単価の80%以上にすることを取り入れるなど、労働者・下請け保護をはかるための入札・契約制度のさらなる改善をはかること。
② 市道や側溝及び公共施設など小規模な修繕等の市民要望に応えられるよう予算を拡充すること。
③ 「個人住宅優良ストック形成支援事業(住宅リフォーム)」を継続し、予算の増額を図ること。
④ 家族従事者の労賃を青色申告時に必要経費として認めない所得税法第56条を廃止するよう国に求めること。
(2)再生可能エネルギー導入の促進について
① 民間が計画する太陽光発電や風力発電の事業について、国はそれぞれ事業を進める上でのガイドラインを示しているが、努力規定が多く、市民の安全・安心を担保するには心もとない状況にある。市として、条例の制定等でガイドラインに盛られた事項について、強制力を持たせ事業の安全と住民の安心を確保することによって、事業のスムーズな誘致を図ることができる仕組みを作ること。
② 本市で太陽光発電及び風力発電事業など、再生可能エネルギー事業を展開しようとする事業者が、地域住民と安全協定を締結しようとする際には、本市もこれに参加し、3者協定とすることによって協定の実効性を高めること。
③ エネルギーの地産地消の大切さが指摘される中、地場のエネルギーである再生可能エネルギー活用による利益を直接住民に還元できる仕組みとして、市民による事業参入を図ることができるよう、市としての啓発・普及、また支援の仕組みを構築すること。
(3)農林水産業について
① イノシシによる農産物等の被害が継続しており、また、住家周りへの出没も発生し人命にもかかわる事態が想定されることから、狩猟者の育成をはじめとした取り組みを強め、適正な捕獲に努めること。同時に、捕獲状況と被害発生の状況を踏まえ、必要に応じて捕獲頭数の増減を調整するなど、県と協議しながら柔軟な対応がとれるようにすること。
② イノシシの捕獲ワナを増設すること。
③ 農道の整備を求める声は強く、管理台帳上で管理される農道の整備は現状の進め方では事業の完了まで数十年かかることから、整備を促進するため予算の拡大をはかること。
6 平和への願いを国内外に発信し非核平和都市宣言をいかすまちいわき
(1)非核平和宣言都市にふさわしい本市の対応について
① 国民の7割から8割が審議不十分とした安保法制と、その法制の根拠とした集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更の閣議決定は、憲法違反の指摘が広範になされており、廃止するよう政府に求めること。
② 憲法9条に自衛隊を明記すれば、安保法制により自衛隊の無制限の武力行使が出来るようになり、日本は戦争する国となる危険性がある。改憲に反対し、軍事力によらず多国間の話し合いによる安全保障体制をつくるよう国に求めること。
③ 米軍基地や自衛隊のオスプレイの配備に対する国民・住民の反対の意向をくみ取り、配備を中止するよう国に求めること。また、オスプレイの低空飛行訓練空域に本市も含まれる恐れがあることから、情報収集に努め、飛行訓練の中止を求めること。
④ 沖縄の米軍普天間基地を廃止すること。さらに、沖縄県知事選挙で辺野古新基地建設反対を掲げた知事が過去最多の得票で圧勝した県民の民意を尊重し、辺野古新基地建設を中止するよう国に求めること。
⑤ 平和市長会議加盟自治体として、同会議が取り組む2020年までの核兵器廃絶をめざして「核兵器禁止条約」の交渉開始などを求める署名の普及を図ること。また、唯一の被爆国としてただちに核兵器廃絶をすることを世界に強く働きかけるよう求めること。
⑥ 中学生を被曝地広島や長崎へ派遣する事業の継続や原爆パネルの小中学校等の配置を進めるなど、平和と戦争について考える機会を増やし平和教育を一層進めること。
⑦ 貴重な戦争遺品の喪失・散逸が懸念されることから、市として戦争遺品を収集・整理・常設展示する「(仮称)平和のための戦争資料センター」を整備すること。
冒頭、各柱の重点を各議員から説明し、市長の回答を得た。
市長は、台風19号と10月25日の水害での要望提出も含めて、要望項目で示した各種の指摘に感謝を語りながら、災害の克服に最善を尽くしているが100%ではないとの認識を示し、被災者の生活再建の形を一日も早く作りたいとし、会派としての協力を求めた。
その上で、災害の対応については年内に第三者を含む検証委員会を年内に立ち上げ、災害対応についての問題点を指摘していただき、次の災害に備えたいとした。
また、被災者支援の義援金も十分ではない状況があるが、赤十字や県の配分を受けて被災者への配分をしたいとした。
また学校教育に関しては、市が「教育先進都市」を掲げているとして、各施策に取り組む豊富を述べ、子育て支援はいわきネウボラを通じて親と子の支援を中心に進め、介護従事者の確保に事業者と一体に取り組んでいきたいとした。
再生可能エネルギーの導入で、太陽光発電や風力発電の民間事業者の事業で、地元に還元する仕組みを作りたいとし、地元、事業者の協定に市も加わり三者協定とする中で、地元にメリットのある施策展開を図りたいとしました。
従来から市民から提案のある戦争遺品の収集・保管、展示に関しては「どういう形がいいか、総務部と検討していきたい」とした。
これらの回答で、約束の時間30分を若干超過していたが、被災者の生活再建に関して、「被災者生活支援法による支援が半壊ではほとんどなく、生活再建の展望を持てない被災者がいることから、浸水高にかかわらず床上になれば修繕等は同じようにかかるものであり、支援のあり方を水害の特性を踏まえ、生活に住宅供することができるかどうかを支援の基準にするよう、国に制度の改善と遡及適用を求めていただきたい」と重ねて求めた。
会派の要望全文は以下の通り。
2019年11月15日
いわき市長
清水 敏男 様
2020年度の予算編成及び施策に関する要望書
日本共産党・市民共同
代 表 伊藤浩之
幹事長 渡辺博之
副幹事長 溝口民子
副幹事長 坂本康一
代 表 伊藤浩之
幹事長 渡辺博之
副幹事長 溝口民子
副幹事長 坂本康一
日頃の市政進展と台風19号及び10月25日水害等の災害対応にご尽力される貴職をはじめ執行部のみな様に心からの敬意を表します。
この間の国政を概括してみると、かつての憲法解釈ではありえなかった、ヘリコプター搭載護衛艦の空母への改修や搭載する垂直離着陸機F35Bの装備、また、上陸作戦等に幅広く活用できるオスプレイの購入など、従来の専守防衛を超える装備品購入が計画される一方、社会保障費の自然増を抑制するとの名目のもと、生活保護費の切り下げや医療費の患者負担の増加、介護の抑制につながりかねない要介護1、2の介護給付外しなど、国民の命と暮らしに直結する様々な施策が削減されてきました。
消費税の8%への増税で経済へのマイナスの影響が続いているとされる中、この10月には消費税が10%に引き上げられました。この引き上げは、市民の暮らしを直撃し、生活防衛の観点から生じる買い控え等で市内経済にも多大な影響を及ぼしかねない事態を引き起こしました。
こうした下で、10月には本市をはじめ関東から東北の広範囲が多大な災害に見舞われました。
本年10月12日の台風19号及び10月25日の台風21号接近に伴う大雨で、平・平窪、赤井、小川、好間、内郷をはじめ遠野、田人、三和等広範囲かつ大規模に生じた水害は、8名の市民の尊い命を奪い、住家の床上浸水が3914棟(10月31日現在)に及ぶなど市民生活に未曽有の困難をもたらしました。
本市は、2011年3月11日の東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故による災害からの復旧と復興に取り組んできましたが、この間に全国的に大規模な地震災害や大雨による災害が繰り返され、そして本市も再び大きな災害に見舞われてしまいました。
大規模に浸水した地区では、多くの人々の避難が遅れ、ハザードマップの徹底と市民的活用及び災害時に避難の呼びかけが聞こえなかったなど情報伝達の面で課題があることが浮き彫りになり、また、平浄水場の被災による断水では、市内の給水体制の構築を急ぐ必要性があることなどが示されました。本市として、改めて今回の災害による課題を的確に捉え、市民の命と財産を守ることができる防災・減災のまちづくりを進めていくことが求められています。
これまで、東日本大震災を受けて、防波堤や地盤の嵩上げを含む津波対策など沿岸部での基盤整備や公共施設の耐震化、個人住宅の耐震化など、災害に強いまちづくりに向けた取り組みが進められてきました。10月の台風に伴う災害は、これに加えて、夏井川や好間川、新川、そして鮫川など、本市に存する水系ごとに水害対策の強化が必要であること、災害が迫り発生した際の、市民の命を守るために必要な取り組みの強化の重要性を示しました。
同時に、今回の災害の背景には、温暖化を始めとした地球的な気候変動がもたらす我が国の気象状況の激変があるものと考えられます。本市は、「いわき市復興ビジョン~日本の復興を「いわき」から~」で、「再生可能エネルギーの導入を推進するなど、将来的には、原子力発電に依存しない社会の実現を目指します」として、具体的には「太陽光発電、洋上風力発電、木質バイオマス発電など、再生可能エネルギー関連の実証実験施設等の誘致や産業の集積に取り組みます」としてきました。この本市の方向性は、化石燃料の使用を削減し、温暖化にブレーキをかけるものとなる可能性のある先見的な方向性を持つもので、大いに推進することが求められています。
また、東日本大震災及び原発事故の被災から暮らしや生業を建て直すことも引き続き課題となっています。特に試験操業が続く水産業をはじめ本市の産物に対する風評被害の克服とともに、安心して利用して下さる消費者のみな様に本市の産物の良さのアピールがいっそう重要になっています。
本市が本年実施した市民アンケート調査では、現行の基本計画の7つの政策の柱のうち、暮らしの安全や子育て・医療福祉等を含む「心をつなぎ、支え合う」が、現状の満足度が低く、かつ、今後最も優先すべきとされている外、創生総合戦略の3つの基本目標においても、子育てや医療を含む「“人づくり”“まちづくり”の好循環を生み出す」の継続希望が最も多い結果となっています。
以上のことを踏まえ、本市として以下の観点から、住んで良かったと市民が実感できるまちづくりを進めることが重要となっています。
1 東日本大震災と原発事故の対応に加え2019年10月水害の教訓をいかした防災・減災のまちいわき
2 子どもたちが生きる力をしっかり身につけることができるどの子も伸びる教育環境のまちいわき
3 子育てするならこのまちでと選択される支援策の充実したまちいわき
4 社会保障費抑制に抗し誰もが安全・安心してくらすことができる施策の展開を図るまちいわき
5 地元資源をいかし雇用とくらしを守るまちいわき
6 平和への願いを国内外に発信し非核平和都市宣言をいかすまちいわき
以上の柱に沿って、以下の項目について要望しますので、その実現に向けて取り組まれることを強く希望いたします。
具体的要望項目
1 東日本大震災と原発事故の対応に加え2019年10月水害の教訓をいかした防災・減災のまちいわき
(1)水害対策について
① 昨今の気象状況の変化にともなう雨量の増加を踏まえると、今後、これまでの想定を超える降雨が予想されることから、遊水設備や放水路の整備などで「水を逃がす」という考え方も踏まえた洪水対策を視野に入れながら、市内の流域の再点検を行い、堤防等治水施設の問題点を把握し、嵩上げや堤防整備をすすめるよう県に求めること。
また、市管理の河川についても必要な護岸等の整備をすすめること。
② 流木等の影響による越水を防ぐ観点から、間伐材等の活用を広げて伐採木の放置を防ぐとともに、森林の整備を図ること。
また、搬出のために開削した仮設の林道が土砂災害のきっかけの一つとなっているとみられることから、これらに対する保安措置等必要な措置を講じる仕組みを作ること。
③ 高齢者など情報弱者にもしっかりと情報を伝達できるよう、水害危険地区への防災無線の設置など情報伝達手段の構築を図ること。
④ 全市民に対する避難勧告が、「避難所に入り切れるはずがない」などの受け止めから、結果的に避難の必要性の認識を低下させている可能性もあり、避難方法あるいは具体的な危険要因・危険箇所とセットで勧告を知らせるなど、市民に危険性がよりリアルに伝わる表現あるいは勧告の発出方法を検討・実施すること。
⑤ 地域における防災訓練等の機会を増やし、ハザードマップの活用を図ることで浸水の危険性の認識を住民と共有しながら避難の必要性についての住民理解を促すこと。
(2)東日本大震災及び原発事故対策について
① 国及び東京電力株式会社に対して、原発事故は必要な対応策を取らなかった為に発生したものである観点から責任を認めるよう強く求めること。また、国及び東電に、東京電力福島第一原子力発電所と福島第二原子力発電所の廃炉を着実にすすめるよう継続的に求めるとともに、国に対して、原発事故収束の事業は、国が先頭にたち国の責任で実施するよう求めること。
② 東京電力の情報公開のあり方には引き続き問題があるので、原発事故にかかわる情報公開を徹底してすすめるよう引き続き国・東電に強く求めること。
③ 原子力に依存しない社会の実現を目指す本市の立場を堅持し、再生可能エネルギー導入の推進を図ると同時に、民間事業者等が本市への風力発電や太陽光発電設備などの設置を希望するにあたっては、安全で適正な設置を誘導するために実効性のある規制等の仕組みを作ること。県内原発ゼロはもとより、国内の原発再稼働に反対し、原子力に依存しない社会の実現を目指すこと。
④ 本市の農水産物の普及を図るため、風評被害対策はもとより、今後は本市の農水産物の味の良さなどその魅力の発信に努め、販路拡大を図ること。
⑤ 自家消費食材の測定等は、本市産の食材で安心して食生活を送る基本となり、また風評被害を克服するデータにもなることから、ベクレルモニターやホールボディーカウンターなどによる放射性物質の測定を継続すること。
⑥ 原発事故の収束に向けても原発作業員の確保は重要であり、東京電力に原発作業員の確保をはかり収束作業を安定的にすすめるため、さらなる労働環境の改善を図るよう国・東電に求めること。具体的には以下の通り。
ア 割増賃金(危険手当)は、多重下請け構造のもとで、賃金や手当の「中抜き」の問題があることから必ずしも労働者の待遇改善につながっておらず、確実な待遇改善となるよう、実態の掌握につとめ、東電が労働者に手当などを直接支払うことが出来る仕組みを構築するなど、さらに改善をすすめること。
イ 作業員の福利・厚生のさらなる充実を図るとともに、国の責任で教育した労働者を事故収束作業に従事させる体制を作ること。
ウ 被ばく線量の管理と定期的な健康診断などの作業員の健康管理及び作業員とその家族の心のケアに、国及び東京電力等が責任を持つ体制、仕組みを構築すること。
エ 作業員の雇用の継続をはかり、作業員が安定して働くことができる体制づくりをすすめるよう求めること。
(3)避難所について
① 学校体育館等が避難所の場合、戸外のトイレを利用する事例があるが、大雨等の状況下では移動等に危険も伴うことから、避難所に指定される施設を優先して体育館内トイレの整備を図ること。
また、情報伝達手段としてテレビ等の活用できるよう整備を図ること。
2 子どもたちが生きる力をしっかり身につけることができるどの子も伸びる教育環境のまちいわき
この10月にスタートした幼児教育の無償化は、対象から給食が外されるなど不十分な仕組みでスタートした。
本市は低所得世帯への学習支援など子どもたちが学ぶ環境づくりに一定の取り組みを進めているが、こうした方向を一層強めるために以下の取り組みを進めること。
(1)子どもの生きる権利・育つ権利、学ぶ権利の保障の観点から、家庭の経済力に左右されず子どもの成長を保障し、次代の担い手を育てることができる学習環境整備について
① 幼児教育の無償化に伴い副食材料費が徴収されるが、給食は食育を担い子どもの育ちを保障するものであることから無償化に含めるよう国に求めること。国が有償化しているもとでは、市独自に無償化すること。
② 同様に食育を担い子どもの育ちを保障する学校給食費を無償化すること。
③ 福島県の県立高等学校改革基本計画に基づく県立高校改革前期実施計画による作業が進められているが、本市の次代の担い手を育成するために、学級規模を小さくし少人数教育も視野に入れた多様な特色を持った高校を存続させる計画に見直し、これまでそれぞれの高等学校が本市の教育に果たしてきた役割が維持されるとともに、市民や地元の意見が反映された改革となるよう、時間もかけて準備をすすめることを県及び県教育委員会に求めること。
④ 学校教育で利用している補助教材の無償化を図ること。また、国に対して財政負担を求めること。
⑤ 国は就学援助の対象にPTA会費、クラブ活動費、生徒会費も含めており、本市もこれに準じて支給すること。
⑥ 震災等にかかる児童・生徒への就学援助について、所得制限をやめ、それぞれの被災者が生活再建の基盤ができるまでは引き続き行うようにすること。
⑦ 事務経費や管理経費など学校運営に必要な経費について、不足するためにPTA負担となっている場合があるため、保護者負担の軽減を図る上からこのようなことにならないよう必要な学校運営に経費は十分確保すること。
⑧ 「全国学力・学習状況調査」(小学6年生、中学3年生)や福島県が独自に計画する学力テスト(小学4年生から中学2年生まで)が行われ、また、以前から多くの学校では独自に保護者負担で民間試験を活用した学習定着度の調査が行われており、子ども達にとって大きな負担となっている。政府与党である自民党・教育再生実行本部は、悉皆による全国学力・学習調査の効果を疑問視し、見直しの検討を始めると伝えられており、また、教育現場では人事評価が導入されたもとでは、テスト結果が評価に結びつけられることによって、教育内容が歪みかねないとの危惧もされている。こうした動向をしっかりと捉えて、テストの本市の参加のあり方を検討すること。
⑨ 高校授業料無償化の所得制限をやめ、全高校生が無償となる制度に戻すよう国に求めること。また、福島県内の公立高校受験料を無償化するよう県に求めること。
(2)教育環境の整備について
① 教職員の多忙化解消に向けた福島県教育委員会のアクションプランを受けた本市の取り組みでは、教職員の意見を十分に取り入れ、市教育委員会が先頭に立ち具体的に業務削減につながるよう引き続き進めること。
② 教職員に対する変形労働制は、多忙化による長時間労働を固定化あるいは拡大しかねず、教職員の働き方改革と逆行することから、導入しないよう国及び国会に求めること。
③ 各校とも生活面や学習面において特別に支援を要する子どもが増えている状況を踏まえ、市採用の支援員を希望する学校に、必要な人員を適正に配置出来るように待遇改善を図ること。併せて図書館司書の待遇の改善も図ること。
④ 小・中学校の教室等へのエアコンは、来年度で設置が完了することになっているが、引き続き、学校体育館への設置も検討すること。
⑤ 小中学校における洋式トイレの設置を拡大すること。
⑥ 小中学校の校舎などの修繕費を大幅に増やして、修繕を早急に進めること。
⑦ 児童・生徒のけが・病気等への対応で、洗浄等が必要となる場合があることから保健室に温水シャワーの設置をすすめること。
⑧ 学校で児童・生徒が洗浄している箸や配膳盆をセンターに回収して洗浄する方式に変更し、これに対応するため学校給食共同調理場に箸や配膳盆を洗う設備の設置や保管スペースの確保をはかること。
⑨ 給食の栄養面や食の大切さを学ぶ中心的指導となる栄養教諭は、学校への訪問指導が不十分であり、十分に実施できるよう増員を図ること。
⑩ 平第二小学校及び菊田小学校で実施される「幼児のための言葉の教室」は年間50名程の幼児が個別指導を受けており、60名前後の子ども等の相談にも応じている。対応する職員は常勤1名と非常勤3名であるが、運営は市の補助金600万円と幼児1名につき保護者負担金3,000円で賄われている現状があり、専門性に見合った水準となっていない。保護者負担をなくすとともに、専門性にふさわしい待遇改善を図ることができるよう、補助金の増額を図ること。
また、通うことができない幼児や児童生徒の相談・指導のため巡回指導ができる体制の構築を図ること。
3 子育てするならこのまちでと選択される支援策の充実したまちいわき
(1)保育及び幼児教育の充実と環境整備について
① 市社会福祉審議会児童福祉専門分科会の答申「いわき市における保育所整備のあり方について(平成16年10月29日)」及び市社会福祉審議会の答申「いわき市における保育所整備の具体策について(平成18年2月10日)」にもとづく市立保育所の民営化計画には、市全体の保育の質の低下を招きかねないなど問題があることから中止すること。
② 私立保育所・幼稚園及び無認可保育所に対する助成を拡充し、支援・指導を強化すること。
③ 引き続き待機児童の解消につとめること。また、市立保育所の非正規保育士及び調理師、市立幼稚園の教諭などの正規職員化を図るとともに、専門職にふさわしい給与等に改善を図ること。
④ 車道と歩道の区別がない通学路の歩行部分にカラー塗装を施したり、側溝に蓋のない場所では蓋がけをすすめるなど、歩行スペースの拡大を図り、通学の安全確保の取り組みをすすめること。
(2)出産支援について
① 高額な費用がかかる不妊治療は、必要な方に適切な治療が受けられるよう保険適用の拡充を国に求めること。
(3)学童保育について
① 低所得者層の学童保育料の負担軽減を図るための補助制度を設けること。
4 社会保障費抑制に抗し誰もが安全・安心してくらすことができる施策の展開を図るまちいわき
(1)国民健康保険税の引き下げをはじめ国保制度の改善を図ること
① 国保加入者の構成は、かつては7割が農林水産業と自営業だったが、今では無職や非正規雇用者などの加入者が合わせて8割近くとなり、国民健康保険は低所得者に重い負担の制度となっている。全国知事会は国保に対する財政支援の確実な実施を引き続き求めており、住民・加入者の健康の確保と負担軽減の観点から、本市としても国庫負担の増額を図るよう国に求めること。
② 世帯当たりの国保加入者の人数に応じて負担する「均等割」は、子どもの数が多いほど国保税が高くなり子育て支援に逆行する。子どもの均等割額の減免制度を創設し実施すること。
③ 滞納者に保険証を渡さないことで、病気の重症化や死亡事件が全国で起こってることから、国民健康保険被保険者資格証明書及び短期被保険者証の発行をやめ、全加入世帯に一般の保険証を発行すること。
(2)後期高齢者医療制度について
① 被用者保険の被扶養者だった方が後期高齢者医療制度に移った場合の保険料の軽減割合が、当初9割だったものが5割になっているもとで、制度の存続と軽減割合を高めるよう国に求めること。
② 滞納者への被保険者資格証明書は原則発行しないという立場を今後も堅持するよう求めること。
(3)介護保険について
① 介護ヘルパー・ケアマネージャー等、介護従事者の労働条件や待遇改善の向上を国に求めること。
② 必要な介護が保障され安心して利用できる制度にするため、国の責任で利用料や保険料の減免制度を確立するよう求めること。
③ 保険料や利用料の高騰を抑えながら制度の充実や基盤の拡充を図るため、現在25%の国庫負担割合の引き上げを国に求めること。
④ 特別養護老人ホーム・認知症対応の施設の整備を図り、入所を希望する要介護者が施設を利用できるようにすること。
(4)障がい者施策について
① 精神障害者手帳3級所持者まで入院費や医療費を無料にすることを、先進事例を踏まえながら検討すること。
② 各地区保健福祉センターに精神保健福祉士の配置を拡大すること。精神障がい者に関する正しい知識の普及を図り、差別をなくすための施策を充実させること。
③ 視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の破損が市道等で見受けられるため速やかに補修すること。
④ 障がい者等軽自動車税の軽減手続きは、毎年同じ書類を提出する等手続きが繁雑であり申請者の負担となっていることから、手続きの簡素化を図り利便性を向上すること。
(5)低所得者のくらしを守ることについて
① 生活保護費の連続的引き下げが実施されているが、低所得者の生活困窮の状況を踏まえ、最低限元の支給額に戻すよう求めること。さらに、老齢加算の復活などをするとともに、生活保護費の国の負担割合(現在、国4分の3、市4分の1)を増やすよう求めること。
② 生活保護費の支給は、1級地~3級地と地域によって区分され支給金額に大きく影響する。国に対して級地格差をなくすよう求めること。
③ 猛暑や厳寒など気象状況が過去と変化している現状を踏まえ、低所得世帯や生活保護世帯を対象に、灯油や電気料金等の市独自の補助制度を創設すること。
④ 65歳以上の高齢者がいる非課税世帯に対して、エアコン設置の補助制度を設けること。
⑤ 生活困窮者に対する緊急小口資金の原資を増やすこと。
⑥ 市営住宅の入居を希望する低所得者が入居出来るように市営住宅戸数を増やし、また、家賃の減免制度を設けること。
⑦ 低所得者の就労と生活を支援し自立を促す相談窓口となる生活・就労支援センターは、現在、内郷・好間・三和地区保健福祉センター内に設置されているが、対応をさらに手厚くすることができるよう、市南部地区の保健福祉センターにも設置すること。
⑧ ひとり親家庭等医療費助成制度の自己負担を廃止し、窓口無料化にすること。
⑨ 年金保険料の納付の有無にかかわらず、月5万円の最低年金保障額を創設するよう国に求めること。
(6)引きこもり者への対応について
① 引きこもり者の実態調査を行い、平地区で実施される「若者の居場所づくり」事業を南部地区にも設置し、ひきこもり者が社会と繋がることで自立が促進するよう事業を拡充することをはじめ、長期の支援策を講じ、社会復帰を図ること。
(7)DV被害及び児童虐待への対応について
① DVによる被害者支援のため、相談員の増員を図ること。
② 民間シェルターへの助成を増やすこと。
③ 児童虐待の相談体制を強めるため、児童福祉司の増員を国、県に求めること。
(8) 交通弱者の交通手段確保について
① いわき市生活交通ビジョンに基づく具体的計画を早期に策定し、その実現をはかること。
(9)公共施設へのエアコン設置の促進について
① 生涯学習に活用される公民館等、市民の利用する施設の利用環境の向上及び勤務する職員の労働環境の改善を図るため、エアコのン設置を進める計画を策定すること。また、公民館の男性用トイレに洋式トイレを設置すること。
5 地元資源をいかし雇用とくらしを守るまちいわき
(1)雇用、営業を応援する施策の拡充について
① 地域別最低賃金を1,000円以上とするよう国に求めるとともに、公契約にかかる業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保するため「(仮称)いわき市公契約条例」を制定すること。
また、市の契約制度で総合評価方式には2省協定労務単価の80%以上にすることを取り入れるなど、労働者・下請け保護をはかるための入札・契約制度のさらなる改善をはかること。
② 市道や側溝及び公共施設など小規模な修繕等の市民要望に応えられるよう予算を拡充すること。
③ 「個人住宅優良ストック形成支援事業(住宅リフォーム)」を継続し、予算の増額を図ること。
④ 家族従事者の労賃を青色申告時に必要経費として認めない所得税法第56条を廃止するよう国に求めること。
(2)再生可能エネルギー導入の促進について
① 民間が計画する太陽光発電や風力発電の事業について、国はそれぞれ事業を進める上でのガイドラインを示しているが、努力規定が多く、市民の安全・安心を担保するには心もとない状況にある。市として、条例の制定等でガイドラインに盛られた事項について、強制力を持たせ事業の安全と住民の安心を確保することによって、事業のスムーズな誘致を図ることができる仕組みを作ること。
② 本市で太陽光発電及び風力発電事業など、再生可能エネルギー事業を展開しようとする事業者が、地域住民と安全協定を締結しようとする際には、本市もこれに参加し、3者協定とすることによって協定の実効性を高めること。
③ エネルギーの地産地消の大切さが指摘される中、地場のエネルギーである再生可能エネルギー活用による利益を直接住民に還元できる仕組みとして、市民による事業参入を図ることができるよう、市としての啓発・普及、また支援の仕組みを構築すること。
(3)農林水産業について
① イノシシによる農産物等の被害が継続しており、また、住家周りへの出没も発生し人命にもかかわる事態が想定されることから、狩猟者の育成をはじめとした取り組みを強め、適正な捕獲に努めること。同時に、捕獲状況と被害発生の状況を踏まえ、必要に応じて捕獲頭数の増減を調整するなど、県と協議しながら柔軟な対応がとれるようにすること。
② イノシシの捕獲ワナを増設すること。
③ 農道の整備を求める声は強く、管理台帳上で管理される農道の整備は現状の進め方では事業の完了まで数十年かかることから、整備を促進するため予算の拡大をはかること。
6 平和への願いを国内外に発信し非核平和都市宣言をいかすまちいわき
(1)非核平和宣言都市にふさわしい本市の対応について
① 国民の7割から8割が審議不十分とした安保法制と、その法制の根拠とした集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更の閣議決定は、憲法違反の指摘が広範になされており、廃止するよう政府に求めること。
② 憲法9条に自衛隊を明記すれば、安保法制により自衛隊の無制限の武力行使が出来るようになり、日本は戦争する国となる危険性がある。改憲に反対し、軍事力によらず多国間の話し合いによる安全保障体制をつくるよう国に求めること。
③ 米軍基地や自衛隊のオスプレイの配備に対する国民・住民の反対の意向をくみ取り、配備を中止するよう国に求めること。また、オスプレイの低空飛行訓練空域に本市も含まれる恐れがあることから、情報収集に努め、飛行訓練の中止を求めること。
④ 沖縄の米軍普天間基地を廃止すること。さらに、沖縄県知事選挙で辺野古新基地建設反対を掲げた知事が過去最多の得票で圧勝した県民の民意を尊重し、辺野古新基地建設を中止するよう国に求めること。
⑤ 平和市長会議加盟自治体として、同会議が取り組む2020年までの核兵器廃絶をめざして「核兵器禁止条約」の交渉開始などを求める署名の普及を図ること。また、唯一の被爆国としてただちに核兵器廃絶をすることを世界に強く働きかけるよう求めること。
⑥ 中学生を被曝地広島や長崎へ派遣する事業の継続や原爆パネルの小中学校等の配置を進めるなど、平和と戦争について考える機会を増やし平和教育を一層進めること。
⑦ 貴重な戦争遺品の喪失・散逸が懸念されることから、市として戦争遺品を収集・整理・常設展示する「(仮称)平和のための戦争資料センター」を整備すること。
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