最初の写真は、楮の刈り取りをしている。記録等含めて写真撮影は、ほぼ自分でやっているため、保存会活動に参加する私の姿はほとんど確認できない。お願いして撮ってもらったものだ。
さて、今シーズンの楮の刈り取りと白皮を作る「しょしとり」の作業は、事実上11月26日から始まった。
この日、日本の伝統工芸に関するネット配信番組の取材が入るということで、急きょ作業日となったのだ。保存会活動の拠点となっている工房「学舎」周辺の楮の枝を伐採して一定の長さに裁断して束ね、湯を沸かした釜に入れて約2時間ふかす。
枝がふかし上がる間に、楮の皮から表皮の黒皮とその下の甘皮(みどり色の皮)を削ぎ落とす「しょしとり」をして、白皮を作る。その時、だいたい私は、白皮の傷や汚れをチェックし取り去り、皮のごみを洗い流す作業をしているのだが、その作業を進めた。
枝が吹き上がると、枝の先端に水をかけて急速に冷やして皮を収縮させる。いわばビックリ水なのだが、こうすることで、皮を向きやすくする。
釜から楮の枝を取り出し、1本を握り、その先端部分の皮をつかんでひねると皮に亀裂が入り。亀裂から皮をつまんで少しむき取り、枝の芯と皮の間に人差し指を入れ、皮は人差し指と中指の間から引っ張り出すように操作しながら枝の根元に向ってつかんだ手を移動させていく。こうして皮は枝からむき取られていく。
はぎとった皮は少し冷やした後に束ねて竿にかけ乾かし、次の作業「しょしとり」に備える。しょしとりの際には乾燥した皮を1晩ほど水に浸け、柔らかくしてから作業をする。
この日の作業は1釜分の楮はぎとり、全ての作業を終了した。
11月30日には会津短期大学の沈先生のゼミ生を迎えて、遠野和紙や楮の芯を活用したインテリアやおもちゃ、ポシェットなどの実用品、ブランド名とロゴの提案などをいただいた。ワークショップの題材や、製品としても活用できそうな内容。後日、手芸が得意な会員に紹介すると、さっそくポシェットなどを作成していた。器用さに舌を巻く。
次の活動日が12月3日と4日。3日は、午前に質問項目に関して該当部署に説明する聴取があったため、午後から参加。前回に続きしょしとり後の皮をきれいにする作業に従事した。4日は朝から参加して楮の皮はぎやしょしとり等の作業をすすめた。
3日は温かったために、温もりを降り注ぐ太陽光の下で作業をしていた。学舎前の楮を刈り取ったため、周辺の景色が広びろと目に入る。昨年、体験に訪れた大学の先生が、この農村の景色が魅力の一つと言っていたが、たしかにその通りと思う。とても若い方が家族とともに見学に訪れ、ごみ取りや皮剥ぎなどを積極的に手伝っていった。数回試すうちに上手に皮を剥くようになった。飲み込みの速さにびっくり。「また来てね」と帰路を見送った。
12月定例会が開会した12月5日午後、福島県内で実施された全国のALT(外国語指導助手)の研修の一環で34名の方が紙漉き体験に訪れた。
この人数は学舎で活動するには多すぎるので、入遠野公民館に、漉き船、塵取りと打解の準備、説明用のボード等を準備して、こちらで紙漉きを体験してもらった。
紙漉きサイズはハガキ大。それぞれ2枚を漉いてもらったが、そこそこうまく漉いていたと思う。揺すりが弱い場合もあった。おっかなびっくり。そんな感じ。初めての紙漉きだと、揺すりを大きくすることが怖いのかもしれない。
説明ボードの前には人垣ができていた。私は打解や紙漉きをサポートしていたので、どんなことが話されていたのかは分からない。興味関心を持っていただけたのならば幸いだ。
参加者をサポートしたのは、保存会員、地域おこし協力隊員、元地域おこし協力隊員など10名ほど。人数が多いだけに、慌ただしい時間を過ごした感じ。参加者のみなさんには楽しんでいただけたようで幸いです。
紙漉き体験を準備する保存会員等
10日、11日の保存会活動日は、本会議が開かれていたので参加できず、遠野町地域づくり振興協議会が主催した15日の軽トラ市に保存会として紙漉きを展示した。
以前から保存会メンバーが野菜などの販売をして売上を会に寄付してくれていた。また、本部テントの一画を使ってハガキや和紙を利用した製品の販売も継続していた。
今回、軽トラ市を前にして、会場で紙漉き体験を提供したらどうだろうかと考えた。様々活動をしているが、まだまだアピールが不足している感じがしていた。人の集まる場所で紙漉きをし、また、体験を提供できるなら、保存会の活動を効果的にアピールできるだろうと考えたのだ。
そんな思いつきを保存会会長(振興協議会会長でもある)話して了解を得て、地域おこし協力隊員達の協力を得て準備し、当日実行してみた。
紙漉き体験提供をアピールするポスターなどを準備していないうえ、本部テントが人の流れから若干外れていることもあって足を止める人は少なかったのだが、協力隊員が実施する紙漉きをのぞき込みながら通り過ぎる人もいた。また、和紙や保存会の活動についてあれこれ質問する方もいて、いろんなお話しができて良い時間を過ごすことができたと思う。
紙漉き体験参加者は主に保存会員に関係する方々6人、他に和紙製品のお買い上げをいただいた。ありがとうございます。
17日は議会が休会していたので保存会の材料づくりに参加した。
18日は保存会の全体活動の最終日。いわば御用納め。私は本会議のため参加していないが、年末最後の活動日恒例のコンニャク作りをしたようだ。
20日は、いわき湯本高校の紙漉き体験が予定されていた。午前は3年生のうち希望者が自らの卒業証書を漉き、午後の下級生は希望者がはがきサイズの紙漉きを体験した。3年生は2枚ずつ紙を漉き、シワがよるなどちょっと危ないかなと思った人には追加で1枚漉いてもらった。
下級生の体験煮は約20名、紙を漉くまでの間の空き時間が長い。紙ができるまでを道具を紹介しながら説明したり、学舎周辺の楮刈りを体験してもらったりして待つだけの時間を極力なくそうとしたが、限度があった。次回の機会があるならば、他の体験会のように他の作業も体験してもらいながら紙漉きをするプログラムを考えておいた方が用意かもしれないと思った。
かれらにとっては楮の刈り取りも、めったにない体験なのだろう。よほどうれしかったようだ。
はがきの漉き方は個性がある。それぞれ個性を発揮しながら漉いていたと思う。
いわき湯本高校のみなさん。ご利用ありがとうございます。
翌20日、いわき市が募集した中山間地支援ボランティアが来るというので、その受け入れで和紙の材料作りの作業をした。計画した作業は楮刈りと楮枝のふかしと楮はぎ、合間にしょしとりをするという内容。参加者の体長の問題で若干計画は狂ったのだが、しょしとりの作業を進めてもらった。
この作業にもちょっとしたコツがいる。最初戸惑いながらも、何枚かの紙を処理するうちにコツをつかみ、上手に余分な皮を削ぎ落としていたと思う。
最後に紙漉きを体験してもらい3時間ほどのボランティア活動を終了した。
ここでややこしいのだが、ボランティアを受入れる保存会は、地域おこし協力隊員を別として無償ボランティア(というより用具の損費や燃料費、交通費など持ち出しが多い)での活動だ。保存会員である私も無償ボランティアとして活動に関わっている。ボランティア活動を終了したの意味は、あくまで保存会以外の方のボランティア活動参加の意味だとご理解をお願いしたい。
ちなみに、この日の作業量を過大にみこんだ結果、用意した材料を処理しきれいない事態となった。市募集のボランティアが活動を終えた後、私と地域おこし協力隊員の2人で、1釜分、本数にすると400本程はあると思うが、この枝(70cmにカットした枝)から皮を剥ぎ、翌22日の午前中までかかって水にひたした楮皮のしょしとり作業をした。その合間に高校生が漉いた紙の乾燥作業もすすめた。なかなか忙しい時間となった。
今日は、午後から中山間地ボランティアが漉いたはがきの乾燥作業をした。乾燥機のボイラーを入れてから一定の温度となるまで1時間30分程度はかかり、乾燥機に紙を貼り付け、乾燥するまでにさらに時間がかかる。その間、学舎にあった材料を使って「溜め漉き」で卒業証書用紙を漉いた。
簀桁に紙料(水に楮繊維と糊状のネリを加えたもの)を汲み上げた後に簀から水を滴り落とすため、1枚を作るためにも時間がかかる。使った材料がなくなるまで漉いてみたが、10枚程度しか漉けなかったかな。
学校で利用する卒業証書は、印刷機での印刷のために紙の厚みに制限がある。その範囲に収まっていれば良いのだが。
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